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・・・・・・・・・寝られなかった。せっかく自分の部屋に帰ってきたのに・・・。


次の日の朝、お休みだというのにいつもより早く起きた。
それと言うのも西門さんの言葉が頭から離れなかったから・・・目を閉じるとあの顔とあの声が蘇って来て何度も目を覚ました。

『明日はお前の為に貴重な休日を使ってやるって言ってんだ』

いや、誰も頼んでないし。
確かに彼が言う通り、秘書の私が運転出来て、西門さんが身体を休められるのならいいのよ?
でも、絶対に神経が休まらないから逆に自分が運転した方がいいって思うはずなのよ。

自動車学校でさえどれだけ技能補修を受けたか・・・もう2度と行きたくないと思ったのに、今度の教官は西門さん?
そんなの緊張して運転出来ないっつーの!


「はぁ~・・・もう起きて洗濯しよ・・・」

今まで西門邸で洗濯していたから溜まってる訳じゃないけど、捻挫した日から帰ってなかったからシーツを洗った。それに閉めきってたから窓を開けて部屋に風を通し、朝食の用意・・・って冷蔵庫の中のものは賞味期限切れだから珈琲だけ。
後で西門さんにコンビニでも寄ってもらおう、そう思って我慢した。

それが終わったら洗い物を片付けて掃除機をかける。
それも終わったらタンスの引き出しから洋服をポンポン出して、今日着ていくものを選んだ。


動きやすいもの・・・車の運転だからジーンズでいいって事?
それに上はTシャツ?こんな格好であのイケメンと並ぶの?・・・いや、デートじゃないんだからいっか!


結局選んだのは普通のジーンズにゆったりめのTシャツ。一応彼の目を気にしてロングカーディガンも羽織って、足元はスニーカー。鞄はカジュアルなヤツでメイクは・・・自分の出来る範囲で。
おもちゃみたいなシンプルなチェーンネックレスと普通のボールピアス・・・石のひとつもあれば可愛いんだろうけど。

髪の毛はハープアップにして滅多につけないリボン付きのバレッタをしてみた。


時計を見上げたら8時45分。
もうすぐ西門さんが来るかと思うとドキドキする・・・窓辺に立ってたら待ち焦がれてるみたいだから、カーテンに包まって彼の車がくるのを待ってた。

そうしたらやってきた大きな車。でも初めて見る黒いヤツで、あの西門さんのメタルブルーの外車じゃない。
その車はアパートの真下で止まり、良く見えなかったけどサングラスを掛けてる男性が運転席にいる・・・もしかしてこの車かしら?と急いで部屋を出た。

っと、その前にもう鏡で自分を確認!


「はっ!ルージュ、忘れてるじゃん!!」

急いでポーチからルージュを出してその場でつけて、「OK!」とガッツポーズして鍵を掛けた。


急いで階段を降りて黒い車に近づいたら、運転席の窓ガラスが降りた。
それはやっぱり西門さんで、今日は爽やかな白いシャツにジーンズ・・・シルバーのクロスペンダントに同じシルバーのピアス。色っぽく髪を掻き上げた指にもキラッと光る指輪があった。

嫌味なほど似合う・・・自分の子供っぽさが余計に目立つ。
なんか・・・ムカつく!!


「時間より早めなのは良いことだな」
「・・・そ、そうですか?」

「今日は仕事じゃねぇから普通に喋れよ」
「・・・判った。そうさせてもらう・・・ね」

「くくっ、緊張してんの?いきなり運転しろって言わねぇから助手席に乗りな」
「・・・・・・うん!」




************************




まるで中学生か高校生みたいな牧野が小走りで助手席側に回り、いつものように「お邪魔しま~す」と言って乗り込んできた。
そしてシートベルトをつけたのを確認したら車を発進させた。


「免許証、持ってるな?」
「え?う、うん・・・でも、本当に練習するの?この車で?」

「勿論だ。こいつはうちの営業車だからな。いつもは俺の車を使ってるけど流石にお前に運転させる気にはならねぇし、外車だと難しいだろ?だから仕方なくこれにしたってワケ」

「・・・これが営業車なの?」
「まぁな!俺専用の営業車だ。だから親父は乗らねぇよ」


乗ってきたのはGT-R ・NISMO。
スポーツタイプで、細かい傷を自然修復するスクラッチシールドを使用。シート、ハンドル、インスト上面にアルカンターラ、エアロフォルムに特殊アルミホイール。レース車両と同じターボチャージャーを採用している。

要するに見た目はレーシングカーだ。牧野が驚くも無理はない。
ただ値段で言えばヴァンキッシュの半分以下・・・2000万までしない車だ。


「さてと・・・じゃあ・・・」
「あっ!ねぇねぇ、悪いんだけど何処かのコンビニに寄ってくれない?朝ご飯が何もなかったの。お腹空いちゃった」

「・・・この車でコンビニ?」
「あれ?コンビニって車に制限があるの?」


そう言う意味じゃねぇけど、この車でコンビニって場所に行けと・・・?

俺の疑問が牧野には通じなかったようで、仕方ないからすぐに見付けたコンビニに車を入れた。
当然判るヤツはこの車を見て驚くが、牧野は「ちょっと待っててね~」の軽いひと言でコンビニの中に入って行った。


「・・・さてと、んじゃこっから掛けるか・・・」

スマホを取り出して電話をした相手は・・・


『・・・・・・なに?総二郎、こんな時間に・・・』
「よっ!久しぶりだな、類。頼みがあってさ」


相手はフランス滞在中の類。
この時間向こうは深夜だからすげぇ機嫌悪そうに電話に出た。
くくっ・・・まぁ、こいつが電話に出ること自体、珍しいんだけど。

『なんだよ、頼みって・・・』
「蓼科に花沢のロードコースがあっただろ?今日、使いたいんだけど許可してくれねぇか?」

『・・・いいけど、なにすんの?』
「俺の秘書の運転教習。ペーパーらしいから練習させないと俺の命が危ねぇだろ?」

『秘書?総二郎秘書つけたの?』
「まぁな。じゃ、悪いが今から2時間半ぐらいしたら着くと思うから連絡しといてくれ」

『・・・・・・ん、判った』


大丈夫か?今の寝たまま聞いてて、そのまま寝るとか言うなよ?
ちょっと不安だったが・・・まぁ、何とかなるだろうとスマホをポケットにしまったら牧野が大きな袋をぶら下げて帰って来た。
「やっぱりコンビニは高いわぁ~」なんて言いながら車に入ってきて、ガサガサと袋の中からサンドイッチを取り出した。そしてもう片方の手には珈琲。


「西門さんのも買って来たけど飲む?」
「・・・・・・旨いのか?」

「どうだろ?私は好きだけど・・・ま、試しに飲んでみて?サンドイッチは?おにぎりもあるよ?奮発して買っちゃった!」
「・・・奮発」

「あっ!もしかして緑茶の方が良かった?一番安いヤツ買ってこようか?」
「茶道家にコンビニの一番安い茶を勧めるとはいい度胸だな。行くぞ、シートベルト締めろ」

「・・・はーい!」


俺は珈琲も厳選された一流品しか飲まねぇっての!早いうちに俺の嗜好品も教えとかなきゃ、客先で激安ペットボトル飲料を手渡されるかもしれねぇな・・・マジ、怖いんだけど。



車を長野、蓼科方面に向けて走らせ、天気が良かったから窓を開けた。
そうしたら牧野の髪がサラサラと風に靡き、日差しを避ける為に手を翳しながら空を見上げる・・・その時の自然な笑顔に心がざわついた。

メイクだって殆どしてねぇし、格好だって安っぽい。
俺の回りには甘い香りをさせてるヤツが多いってのにそれもない・・・ガキ臭いシャンプーの香りだろうか、そいつが時々俺の鼻を擽った。
足元をチラッと見れば履き古したスニーカー。


この俺が誘ったのにこんな格好で来たヤツは初めてだ。





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外観と触感は 天然スエードに近く、高級自動車メーカーのシート、ダッシュボードなどに使用されています。


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Comments 4

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2019/09/27 (Fri) 15:13 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/27 (Fri) 21:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは♡

西門自動車学校(爆)頭から離れないの?
そりゃ大変ですねぇ~💦半生サイドブレーキを思いっきり引かなきゃね!

そうして伸びてくる手に震えながらの坂道発進♡いや、堪りませんなぁ~(どこのおっさんや!)

これね、実話だけど話した事ありましたっけ?
私の自動車学校の路上コースの途中にラブホがあったんです。
教官が巫山戯て「右折」って言ったから「はい!」って右折したらそこに入ったのよ(笑)

その人、よくそれをやるらしくて噂で聞いていたのに引っ掛かったと言う・・・。
今じゃ完全にアウトでしょうけど、当時はお茶目で許されていました。

勿論、入って無いのよ?入り口で引き返すのよ?(笑)


ふふふ、つくしちゃん、運転出来るのでしょうか?お楽しみに~!

2019/09/27 (Fri) 22:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、了解(笑)

大丈夫ですが、ガンジー類を忘れていただいたいと思います💦

2019/09/27 (Fri) 22:02 | EDIT | REPLY |   

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