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類に引っ張られてダイニングに向かったら、そこではもう奥様がニコニコして待っていた。
それにいつもの場所には加代さん・・・その横に今日は田村さんまで揃ってる。

この後で私の処分でもする気だろうかと思うと気分はどん底・・・それなのに類が持ってくれてる手を振り払う事も忘れてた。


「コホン!」と小さく加代さんの咳払いが聞こえてハッとして、自分の左手を確認・・・その指先に絡まってる類の手を慌てて離した。彼にはそれを凄く嫌そうな目で見られたけど、いつも並んでいる加代さんの隣・・・今日はその向こう側の田村さんの隣に立った。

テーブルに顔を向けると何故か今日は類の隣にも席が用意されてる。
誰がそこに座るんだろうかと思ったら、折角離れたのに加代さんが目の前にやってきた。


「牧野さん、エプロンを外してお席に行きなさい」
「・・・・・・は?」

「早く!奥様と類様のお食事の時間が遅くなります。いいからエプロンを外しなさい」
「は、はい!」

加代さんに言われてエプロンだけ外し、田村さんが手を出してくれたからそれを預けた。
そして怖ず怖ずと前に進んだら、奥様に類の隣の席を指さされた・・・って、これ!なんの罰ゲームなの?!

座ろうと思っても足が動かない。
本当に座ってもいいのかと悩んでいたら類が席を立って私を引っ張り、椅子にポスッ!と座らせた。


「・・・・・・・・・・・・」
「うふ、そんなに怖がらないで?怒ってなんかないわ。ただねぇ、ほら・・・契約違反でしょ?」

「・・・・・・・・・はい」
「だからねぇ・・・仕方ないわよね。ね、田村」

「・・・さようでございますね。お屋敷内恋愛禁止でございますから」


奥様・・・ニコニコしながらそんな話をしなくてもいいのに、ってちょっとムッとしたけど、アレを見られちゃ反論も出来ない。隣の類も奥様の楽しそうな言い方に少し怒ったような顔していたけど言葉は出さなかった。
次に何を言うか・・・まぁ、解雇って事だろうけど、それならこの場に座らせなくても良くない?

田村さんの部屋に呼んで、私だけに言えばいいのに・・・そう思って黙って俯いていた。



「まぁ、そういう事だからバイトは今日で終わり。お給料は計算させるわ。牧野さん、判ってるわよね?」

「・・・はい」
「母さん、その事だけど・・・!」

「良いじゃないの、終わったのはバイトなんだから。始まったのは別の関係・・・そう言いたいんでしょ?」

「・・・・・・は?」
「・・・・・・・・・?」


悪戯っぽく笑った奥様は綺麗な手つきで珈琲なんて飲んじゃって。
私も類も今のひと言に驚いて目を合わせた。まるでこうなって良かったみたいな言い回し・・・横を見たら加代さんも田村さんも意味ありげにクスクス笑ってるし。

何がどうなっなってんの?って頭を捻ったけどテーブルに目を移せば豪華な朝食・・・今日は特別お腹が空いていたからお約束のように大きな音が鳴った!


「・・・・・・プッ!」
「いや!だからこれは・・・昨日の夜、殆ど食べて無くて!」

「そうよねぇ、それなのに夜通し起きてたらお腹も空くわよねぇ~」

「「・・・・・・・・・」」


その言い方はやめて・・・って言えないけど、顔だけが真っ赤になって凄く火照る。類まで真っ赤になって、難しい顔のまま珈琲に手を伸ばしてた。
私も空腹を押さえるために先ずはジュースを一杯・・・火照った身体には丁度いい冷たさだ。

そしてこの後、奥様と加代さんと田村さんから衝撃的な話を聞いた。



「私が希望してる元気な女の子を見付けましたって加代さんから聞いた時、まさかこんなに続くとは思わなかったわ~」
「さようでございますね。根性だけはあります!って言われましたのでお屋敷に連れて帰ったのですけれど」
「・・・類様の1番初めの反応もなかなか・・・まぁ、あそこで怒鳴る女の子もこれまで居ませんでしたからねぇ」


「私に向かって感情丸出しにしたのもこの子が初めてだったわ。うふ、そのぐらいが面白いと思ったのよね」
「あれには驚きましたわ。でも奥様の悲しそうな演技の方が可笑しくて笑いを堪えておりました」
「レイチェル・カーソンの言葉まで出ましたから流石奥様だと・・・それにしても牧野さんのお給料への関心は凄かったですね」


「大学では接触禁止なんて言えば当然気になるし、バイトもここ以外禁止にしないと余所見されちゃったら不味いしね」
「登校も別にした方が相手の事を考える良い時間・・・それにお屋敷内恋愛禁止なんてわざわざ付け加えると余計に気になりますもの」
「・・・類様以外に年頃の男性はおりませんからねぇ。お部屋も向かい合わせですし」



・・・・・・ちょっと待って?


初めから類の彼女を探してたみたいに聞こえるのは私だけ?
わざと近づけたり遠ざけたりして私たちが意識し合うように仕向けてたって聞こえるんだけど・・・って、隣の類をみたら同じく顰めっ面で奥様の事を睨んでた。


「お誕生日パーティーの時、わざとバイオリン隠したら2人で取りに来ていい感じだったじゃない?類のピアノは久しぶりだったわ~」
「私もわざと類様のプレゼントを牧野さんに運ばせて類様の人気の凄さを教えたつもりなんですよ」
「・・・私も牧野さんが職務中に類様のバイオリンを聴けるようにと苦労しました。こっそり演奏時間を他の使用人に叫ばせてみましたが、成功して何よりです。偶然とは言え道明寺様という極上スパイス付きでしたし」


「私が居ない時も良い障害があったみたいじゃない?」
「あぁ、仙道様ですね?スマホを夜中に探しに行った時はそのまま進展するかと思いましたわ」
「便利屋のアンダーソンさんも面白かったですね。類様が鶴を折れる事に田村は感動致しましたよ」


「でも、わざわざ壊れたMD持たせて北海道まで行かせたのにインコと遊んでるとは思わなかったわよ」
「そうですよね。何の為にベッドルームをひとつにしたのか、内線まで取り外させて2人きりにしましたのにそれでもダメだとは思いませんでしたわ」
「・・・でも久しぶりに青い服をお召しになった類様をみて、田村は感動でございました」


「学祭のチャイナドレスはまぁまぁ刺激になったんじゃない?」
「でもまさか仮病を使うなんて・・・あまりにも演技が下手でしたから笑いましたわ」
「・・・ドクターにも説明済みでしたが呆れておいででしたねぇ。他の男性には見せたくはないというお気持ち、可愛らしいじゃありませんか」


「わざわざ町内会って言うの?あれにも協力してもらってお祭りで福引きまで捏ち上げたのに」
「ですわねぇ~。東京を離れたら何かしら行動に移すのではないかと思いましたが」
「奥様お愛用の・・・失礼しました、苦労して手配しましたお薬も効き目はなかったようですし、この田村も枕投げは知りませんでした」


「海外ならどうよ!って仕事も投げ出してハワイに行ったのよ?こっちが日焼けして大変だったわ」
「まさか今度はお熱。本当に病気になってしまわれるとは」
「その時も奥様ご愛用の・・・おぉ、また失礼致しました。しかし香りものの効果は長続きしないのですねぇ」


「こんな事なら初めからあきら君か総二郎君を使えば良かったわ」
「美作様で正解でしたね。西門様なら類様がお止めする暇が無かったかもしれませんわ」
「美作様は常識的なお方ですから・・・」


「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」


えっ?!

じゃあ私はわざとお誕生日の演奏を聴けるように時間を知らされて、重要な機械だと聞いたのはただのMDで、あの時のコテージの鍵の掛かったもうひとつのベッドルームは奥様の指示で、アメリカのアンダーソンさんも偽物で、チャイナドレスはわざとあんな刺激的なものを選ばれて、福引きはわざと温泉旅行が当たるように小細工されて、ハワイも奥様の罠で・・・?


「ねぇ、類・・・奥様愛用の薬って何?」
「知らない。全然知らない。見てもないし触ってもない」

「・・・・・・・・・・・・」
「ホントだってば!」


・・・それに加代さんの腰痛も美作さんの誘惑も演技だったの?!
じゃあ昨日のパーティーで急に奥様も美作さんもいなくなったのはわざと私と類を2人にさせるため?!



嘘でしょーーーーっ!!




***********************




・・・・・・アホらし。

いい歳してそこまでやる?ってぐらいこの3人の話を聞いてて呆れた。
同時にそこまでやられても気が付かない俺達って・・・ってこっちはもっと呆れた。

牧野を見たらすごく間抜けな顔して母さんを見てる。
その向こうを見たら憎らしいぐらい涼しい顔した加代と田村が笑ってる・・・母さんはニヤけながらサラダに手を伸ばしたりして、俺達の反応を楽しんでる。


・・・はぁ、マジでアホらし。
くすっ・・・でも、まぁ・・・いいか!


「牧野、いつまでもそんな顔してないで食べたら?多分これからずっとあんたの指定席はそこだと思うよ?」
「・・・は?私の指定席?」

「そう、俺の横。この人達が望んでるんだからそうなるでしょ」
「で、でも・・・」

「いいじゃん、頭下げる必要がなくなったんだから」

「・・・・・・・・・じゃあ、いただきまーす!」


まだ良く判ってない牧野だけど、どうやら空腹の方が勝ったみたい。
急に元気よくなって目の前のパンを手に取ったら、次にジャムの瓶に手を伸ばして「これなんて読むの?」ってフランス語のラベルを俺に向けた。


「Crème de Citron、レモンのジャム。あんた、もっとフランス語の勉強しなくちゃ」
「・・・・・・はっ!」

「言ったろ?花沢物産はフランス中心だって。だから今晩から毎日ね」
「・・・・・・えっ?!」





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明日が最終話です。
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2019/09/28 (Sat) 08:17 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/28 (Sat) 09:25 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/28 (Sat) 14:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

ははは!実はあの最初の出会いから花沢家の計画はスタートだったのですよ♡
類君が興味を示して動き出すような女の子を探していたのですね~。
それにはお嬢様では無理だったと言う事ですかね!

色々小細工してきましたが、やっとここまで来ました~♡
最後はお母様の勝ちですかね?

毎日のコメント、本当にありがとうございました。すごく嬉しかったです♡

2019/09/28 (Sat) 17:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

may******様、こんにちは。

お久しぶりです。ご訪問&コメントありがとうございます。

ふふふ、こう言う花沢家もたまにはいいでしょ?
ちょっと巫山戯すぎましたが、書いてる方は楽しかったです♡

はい、これからはもっと幸せな毎日になると思います♡
ラストも宜しくお願い致します~!

2019/09/28 (Sat) 17:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

えへへ!本当は種あかしをラストに纏めようと思ったのですが、話数が結構いくなぁ~って思ったので途中で色々バラしてきたんですよ。
だから初めの方のは判らなかったでしょ?(笑)
つくしちゃんが気が付かないのはいいとして、類君は気がつけよ!って思うけど(笑)

可愛い恋のお話し、書いてる方は楽しかったです♡
でも、こう言う類君書くとオトナ類君も恋しくなるのよね~。


えっ?!フランス語で・・・それ?
(そんなの休止したけどるいかさん、呼ばなくちゃ💦書けないわよっ!)

そうそう、そして読めない(笑)同じです・・・。

ではでは、ラストも宜しくお願い致します~!

2019/09/28 (Sat) 17:51 | EDIT | REPLY |   

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