FC2ブログ

plumeria

plumeria

昨日牧野が帰ってから届いたコンパクトカー。
今日早速そいつで出掛けようと、俺は屋敷で着物に着替えた。

そして9時半に俺の茶室に来いと伝えてあったはずなのに、それよりも早くすげぇ足音が聞こえる・・・また走ってるな?と廊下に出てみたら、スーツ姿の牧野が血相変えて突進して来た。
そんなのお袋が見たら腰抜かすぞ?ってぐらいスカート捲り上げて。


「西門さーーーん!」
「叫ばなくても聞こえるが、その前に廊下を走るな!学校じゃねぇんだから!」

「電話・・・電話がありましたっ!うわっ・・・!」
「人の話を聞いてるのかって、アブねっ!!」


俺の茶室直前で足が絡まって躓き、そのまま俺にタックル!転けちゃ不味いから必死に受け止めたら、牧野の真っ平らな胸に手が当たった!
「きゃああぁーっ!エッチ!」って叫ばれたけど、俺に言わせりゃお前の方から飛び込んで来たんだが?


「アホか!誰が好き好んで男みたいな胸を触んだよ!」
「うわっ!またセクハラ発言っ!・・・いや、そんな事より電話があったんです!」

「(そんな事なんだ?女には重要な部分だと思ったが)・・・誰から?」
「工藤響子さん!私のスマホに掛かったんです!」


・・・バカなやつ。嫌がらせされて捻挫までしたのにそんなに笑って報告しなくてもいいのに。
しかも彼女の事だから友好的に電話した訳じゃねぇだろう。つっけんどんに嫌みったらしく掛けてきたはず・・・それなのに真っ赤な顔して手に持ったスマホを振り回して喜んでやがる。

相当なお人好しだな、こいつ。


「当たり前だろう、それが仕事だって言ったろ?で、どんな話だった?」
「虫の記事を取りに来るから事務所に預けておくようにって事と、茶道会館で行われる教室で取材したいから都合のいい日にちを教えて欲しいって!」

「そうか。じゃあ原稿は俺の書斎の机の上にあるから封筒に入れて事務所に持って行け。その時に西村さんに頼んで茶道会館の俺の担当日を聞いといてくれ。で、その日を響子に連絡しておけ」

「・・・響子?」
「・・・工藤に連絡入れとけ」


一瞬眉をピクッとさせたけど、牧野は俺の言葉に従って再び廊下を・・・・・・走るなっての!💢


**


数分後、ただの連絡だけなのにすごい大仕事をしたような牧野が俺の茶室に戻ってきた。
でも今度はさっきと違って変な顔・・・あまりの変わりように驚いて聞いてみると・・・


「ちょっと夢見が悪かったものですから。さっき事務所まで封筒届けてホッとしたら何故か思い出しちゃったんですよね・・・」
「あぁ~、杉本って男の夢でも見たのか?裸でお前に迫って来たとか?ヤバいな、その夢!」

「・・・似たような夢でしたけどね」
「(ホントに裸の男の夢でも見たのか?マジで欲求不満かよ!)・・・じゃ、今日の仕事を始めるか」



今日は都内に屋敷を構えている某政治家の爺さんに呼ばれて、その屋敷で簡単な茶会をする予定。その為の道具を運ぶから手伝えと言えば、キョトンとした顔で目の前に座った。

基本、宗家が茶会をするのはこの本邸と茶室がある別邸。
そこに客を招く場合は道具の持ち運びはないが、今回のように外出の難しい客の依頼の場合、本邸から持ち出すことはある。


「そこの茶道具箱を取ってくれ」
「これですか?」

「あぁ、それに必要なものを入れていくから。お前も覚えとけよ?道具の名前はもう大丈夫か?」
「名前は大丈夫です!何に使うか判らないだけで!」

「・・・・・・・・・(そこが判らなくてどーすんだよ!)」


桐で作られた茶道具箱は中に菱形の区切りがあり、その中央に茶碗を入れる。そして四隅の開いたところにそれ以外の道具を詰めて、全部がすっきり収るようになっている。
ただし釜がなければそれも持参するが、今日の爺さんの屋敷には少々古いが釜と風炉があると言うのでそれを使うことにしていた。

茶碗に薄茶器、茶杓、茶筅を入れ蓋をする。そして今日のために選んだ掛け物を持参し、花入れも用意。
それが纏まったら風呂敷で綺麗に包み、準備は完了。


「これを持てばいいんですか?」
「お前が持つのか?いいけど大丈夫か?」

「持てますよ~!力はあるんですから」
「そうじゃなくて中の茶碗、数百万円のものだから」

「・・・・・・持ってもらってもいいですか?私、こっちを持ちますね~」


結局牧野は軽い掛け物と花入れを持って俺の後についてきた・・・ま、そうだろうな。


そして駐車場に行けばそこにある車を見て絶句。「本当に届いたんですか?!」って言うから車のキーを渡してやった。


「今度からこの車で通勤しろ。その方が運転にも早く慣れるだろ?」
「えっ!アパートの駐車場なんて借りてません!」

「駐車場代ぐらい、あの給料で払えるだろう!さっさと手続きしてこい!」
「・・・まさか、今日から運転ですか?」

「俺を見てみろ、着物だろ?この格好で運転はしにくい訳よ」
「西門さんはどうでもいいけど数百万円のお茶碗も乗るんでしょう?それが割れたらどうするの?また弁償?!」


・・・・・・日本語がおかしくねぇか?
それに俺はどうでもいいってどう言う意味だ?この俺が茶碗より下に聞こえるんだけど。

ギャアギャア喚く牧野を運転席に投げ込むようにして、俺はさっさと助手席に乗った。
道具類は後ろのトランクにクッション材を入れて固定、後ろからトラックに当てられない限り大丈夫だろう。


・・・・・・大丈夫だよな?




**************************




本当に私が運転するんだろうか・・・チラッと隣を見たら西門さんが涼しい顔して座っている。
しかも懐中時計を出して眉を顰めるフリまでして「時間がねぇけど?」ってさり気ないアピール。

それを見て仕方なくアクセルを・・・

ブゥオオオォッン!!
「きゃああぁーっ!」
「だからマイルドに発進しろっ!!」



グインと踏んだアクセルで急発進したから慌てて急ブレーキで止まり、車が動いたのは僅かに3メートル。

この3メートルしか進まなかった間に私の心臓はバクバクして身体とハンドルがくっついていた。
この状況を見て代わろうって気はないのか、西門さんは呆れ顔で助手席に埋もれ「はい、もう1回!」って低めの声で言う・・・。

・・・まだ敷地から出てないのにもう疲れた。


「代わる気ないですか?」
「阿呆か!いいから出せ。間に合わねぇぞ?」

「・・・意外と度胸ありますよね・・・私に運転任せるなんて」
「どうにかなるだろ?全身の力を抜いてまずは深呼吸。落ち着いて周囲をよく見ろ。緊張し過ぎると視野が狭くなるから」

「・・・わ、判りました」
「教習を思い出せ。帰り道は運転出来たんだから大丈夫だ」


変な人・・・短気かと思う時もあるのに余裕を見せる時もある。
この状況は絶対イライラすると思うのに、それでも何ともないフリして・・・。

それなら運転するしかないと思ってもう1度慎重に・・・


ブロロロロロロロロ・・・・・・

「おい、もう少し踏み込まねぇと前に出ないぞ。しかもフットブレーキ掛かったままじゃね?」
「はっ!そうだった!それでさっき出なかったんだ?!」

「・・・・・・・・・」

フットブレーキ解除・・・よし、もう1回!


ブゥオォッン!・・・ブォオオォー!!
「きゃあぁーっ!走ったぁ!」
「前を見て運転しろっ!!」



何とか西門邸から公道に出て、そこから2車線、3車線と大きな道を走っていた。
なんだか5分も走ったら気分も落ち着いて、意外と楽しくなってきた。隣は・・・冷静な顔に見えるけど目だけがギンギンしてる。流石に緊張してるみたいだった。

だから小さな注意が多いこと。私を焦らせないように小さな声だけど、ずーーっと喋り続けていた。

「前方50メートル、もうすぐ信号が変わる。お前の場合は停車しろ」
「右後ろからタクシーが飛ばしてくる。車線変更せずにこのまま直進しろ」
「左の交差点からバイクが出てくるかもしれない。少し減速して注意」
「大型トラックが2台後ろから接近中。左に避けて先に行かせろ」

「大変ですねぇ、助手席も」
「・・・命は惜しいからな」


だから自分で運転すればいいのに。
西門さんは自分が寛ぐために私に運転って言ってたけど、逆にクタクタになって目的地に着いた。


そしてそこのお屋敷でお茶を点て、ご隠居様のお話相手をして仕事終了。
私はその間控え室で凝り固まった身体を休め、お茶とお菓子をいただいてのんびり・・・軽く転た寝までしてしまった。


「ふあぁ~!よく休めた!今から何処でしたっけ?」
「・・・飯食ったら1件だけ寄り道して本邸に戻る。お前が食いたいもので駐車しやすい店に入れ」

「はーい!ラーメン屋さんでも・・・」
「料亭にしろ」

「・・・・・・・・・」


私の希望じゃないじゃんっ!!💢💢




にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/10/07 (Mon) 15:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは🎵

ゆかぽ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。お久しぶりです。
そう言っていただけて嬉しいです。

もう少しコメディ度をあげたいのですけどね~。前作の余韻が残っててイマイチですね(笑)
だから暫くないと思いますよ?

あははっ!ごめんさいね~!

う~~~ん、どうだろう?まだ半分行ってないと思います。
長編にする気は無いのですが、長くなる傾向にあるので、まだ判らないですね。
年内には終わるんじゃないかな?(大雑把!)

どうぞ宜しくお願い致します。えへへ!

2019/10/07 (Mon) 17:30 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply