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「よし!これでOK♡!どんどん増えるよ?楽しみだねぇ~」
「・・・・・・増やしてどうすんの?」

「だってお部屋に緑があるのって気持ちいいでしょ?」


夏休みも後半になって、牧野が俺の部屋に1番始めに持って来た色・・・緑色の子宝弁慶草に新しい鉢が用意されてそこに子株が降ろされた。
しかもその鉢の数は10個・・・そこまで増やして「売るつもり?」って言うと笑ってた。



あの日、牧野は約束通りバイトをクビになり使用人部屋から追い出された。
その引っ越し先は廊下を挟んで向かい側の俺の部屋で、そこに牧野の道具が運ばれた。もちろんキキも同室・・・おかげで随分賑やかになった。

「おはよう~♪今日も元気だね、キキちゃん、空ちゃん!」
「・・・そっちも増えるの?」

「あっはは!そのうち巣箱入れようか?増えるといいねぇ~」

ピヨピヨピヨ♪~~ピピピピピ~♪


夏休みが終わって俺達が大学に行くと、キキが1羽で可哀想だからって買い求めた空色のセキセイインコ。
今回も何のヒネりもなく「空」・・・お腹が白いから、そこが雲みたいだって牧野が選んだ名前だ。

「サンルームに移せば?」って言うのに「一緒がいい♡」って言い張って、結局俺の部屋の住人が増えた。



バイトをクビになったからって俺の生活指導係は続いてるらしい。
毎朝同じ時間に同じ場所で目覚めるけど、寝惚けて動かない俺をすごい勢いでベッドから叩き出すのは変わってない。

そして半分閉じた目で顔を洗った後、寝癖を直してくれるのは牧野の仕事になった。

変わったのはこの時間が制服じゃないこと。
名前の後に「様」が付かないこと・・・おはようのキスが加わったこと。前後じゃなくて2人並んでダイニングに行くこと。


そこで一緒に朝食を食べるんだけど、相変わらず俺の食べるもののチェックは欠かさない。
「朝はちゃんと食べなさい!」って母さんが居ても俺に喧しく言うけど、それを無視するのも慣れた。逆に牧野のパンにジャムを塗ってやると大喜びで食べるから、だんだん役目が反対になってきた。

「美味しそうに食べるわねぇ」って目を細める母さんに「毎朝起きたらお腹がペコペコで!」・・・それ、どう言う意味で言ってるんだろうって、牧野以外が赤くなったりしてる。

当然俺も・・・その犯人として少しだけ赤くなる。



休暇中には父さんも帰国してきて俺達の事を報告。「計画は上手くいったのかい?」ってこっちもどうやら今までの事を全部知ってるらしい。
「そんなに引き籠もってた?」って皆に聞くと、両親、加代、田村、全員同時に頷かれた。


「あれだけ喋らないとそのうち言葉を忘れるんじゃないかと心配したわ」
「私はこのまま無感情な息子が会社に来たらと思うと胃に穴が空きそうだったよ・・・」

「そうですわ。もう少し食べて動かないと、1番楽しいお年頃なのに勿体ないと思っていましたもの」
「何より花沢家が明るくなりましたので宜しゅうございました」


この散々な言われよう・・・それに1番頷いていたのは牧野だったけど。




夏休みが終わってからは2人一緒に1台の車で登校するようになった。
その時には大学中が大騒ぎになったけど、逆に堂々と並んで歩いたから牧野が攻撃を受けることもなかった。

「やっとそうなったのか?マジ、時間掛かりすぎ!」、そう言って笑うのは総二郎。
「俺なんか殴られたんだぞ?そこまでして結ばれなかったら俺の役目は何だったんだ?」、って怒った顔を見せたのはあきら。

2人にも「・・・悪かったね」「ご心配かけましたぁ!」なんて言葉だけ。
牧野にあれからの事を根掘り葉掘り聞こうとするから走って逃げた。


すぐにあった特待生資格保持試験・・・今回は前回よりもホントにギリギリで合格。教授に言わせると、あと2点で不合格だったらしい。
理由は牧野がフランス語をサボること。それと、勉強を始めても邪魔するヤツがすぐ横に居ること。
「類のせいだよ!」って半分泣きそうな顔で怒るけど、当然その日も「合格祝い」は朝まで続いた。

だって不合格でも問題なんてなかったから。
牧野の在学に関しては花沢が全面バックアップする事になってる。万が一の時でも退学せずに卒業しろって母さんからも言われたけど、本人がどうやら嫌らしい。
「絶対に迷惑掛けない!」って言い張って、空き時間を見付けては勉強をしていた。



そんな楽しい日が続いて2年半が過ぎた。
牧野は特待生のままこの春から4年生に、俺は英徳大学を卒業・・・社会人として新しい生活が始まろうとしていた。




**




「・・・おはよ、つくし。朝だよ?今日は早く起きるって言ったじゃん」
「・・・・・・ん?もう朝・・・ふぁ・・・」

「今日はなんの日か知ってる?俺の誕生日なんだけど?」

「・・・・・・・・・はっ!」


勢いよくガバッと起き上がったつくしは勿論何にも身につけてなくて、慌ててシーツをグルグル巻きにしてたけど、俺はそんな彼女を見ながらシャワーを済ませた身体を拭いていた。
「わ、私も!」って言いながら蓑虫のつくしがバスルームに走って行き、交代で俺がベッドの端に座った。


そのベッドから自分の部屋を見て・・・カラフルになったなって笑いが出た。


友達になったキキと空。そのすぐ側には綺麗な緑色の子宝弁慶草の鉢が今や20個ぐらいあって、専用の棚に並べられてる。
これはつくしが仲良くなった人にプレゼントするために育てていて、本当はもう少し多かった。
今でもある赤いリボンのブートニアも、テレビの横に掛けた折り紙のハートも少しだけ色褪せた。

そろそろこっちも限界かなって思うのはベッドから見える壁のプリザーブドフラワーのリース。
つくしが今日の花束で新しく作り直すって張り切ってたっけ。


つくしの勉強用のオレンジ色のクッションは今でもソファーの上にあるけど、そのソファーのカバーが可愛らしいハワイアンキルトに変わっていた。
ラグも白だったのにベージュに変わり、そこには茶色のクマの縫いぐるみが今でもサングラスを掛けて、「毎日が地獄」のキャップを被ってる。

カーテンもラグと同じ明るめのベージュに変わり朝日が余計に眩しくなった。


クローゼットの中なんてもう黒はほんの少ししか無い。
つくしのドレスも加わったし、今でもお揃いのアロハシャツとムームーは1番手前に掛けてある。色だけじゃなくて柄物もあって、嫌がる俺に色んな色の服を着せようとするんだ。
その時だけがちょっと喧嘩・・・一応今でも服は白と黒が好き。でも週の半分はつくしが選んだものを着ている。

そして俺の耳にもつくしの耳にもアクアマリンのピアス・・・今はつくしにもピアスホールがあって、同じ色がそこで光ってる。
勿論開けたのは病院、流石に総二郎には頼まなかった。



「はぁ~!目が覚めた。気持ち良かった~!」
「くす、そんなに気持ち良かった?」

「バ、バカ!お風呂のことだよ!」
「あはは!茹で蛸みたい!」

「あら、類は茹で蛸と結婚するの?あの純白のウエディングドレス、タコが着てもいいの?」
「・・・・・・・・・ごめん」



今日は俺の誕生日・・・だけど俺達の結婚式の日。


このあとつくしは部屋のど真ん中で威張ってる真っ白なウエディングドレスを着て俺の花嫁になる。

何色にも染まってない純白のドレス。
沢山の色が増えた部屋の中で1番輝いてるドレス・・・・・・バスローブ姿のつくしが嬉しそうにそれを抱き締める。


きっといつの日か小さな天使もやってくる。
その日が待ち遠しくて堪らないねって2人で今日もキスをする。


そしてまた増えていく。
俺の人生に沢山のColorful Pieces・・・。





fin。




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「Colorful Pieces」、これにて終了でございます。

3ヶ月間、どうもありがとうございました。
明日のこの時間はSSを1話、11時には後書きをお届けします。


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Comments 14

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2019/09/29 (Sun) 01:18 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/29 (Sun) 01:40 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/29 (Sun) 02:42 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/29 (Sun) 06:31 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/29 (Sun) 06:58 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/29 (Sun) 10:23 | EDIT | REPLY |   
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2019/09/29 (Sun) 16:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ミキッp様、こんにちは。

ご訪問&コメントありがとうございます。
楽しんでいただけたでしょうか♡

糖度低めで類君もイマイチ格好良くはなかったんですが💦
こんな花沢家を書くのは楽しかったです♡

暫く暗めのお話しを書きますが、その間にまた明るい感じの話が浮かぶといいなぁ、なんて思っています。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。

2019/09/29 (Sun) 17:50 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様 こんにちは。

ご訪問&コメントありがとうございます。
うふふ、可愛かったですか?お子ちゃま類君でしたが気に入っていただけましたら嬉しいです。

とにかく「嘘でしょ!」の連発みたいなお話しで、読者さんも驚かれたのではないでしょうか💦
書く方は楽しいのですが、読まれる方はもっと甘いのがよかったのでしょうね。

ふふふ、いつかそんな激甘なお話しが書ければいいのですが(苦手なのでねぇ💦)


寂しいと言っていただけて嬉しいです。
私もこのお話しは楽しかった分、寂しいですが、次に向けてまた頑張ります。

どうぞ宜しくお願い致します。

2019/09/29 (Sun) 17:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

ご訪問&コメントありがとうございます。

はい!お友達は「空ちゃん♡」もう名前を考えるのが大変ので空さんに借りました(笑)

そそ!子宝弁慶草、売るほど増えています♡
つくしちゃんの事だから花沢邸の前で売ってるかもよ?(笑)

毎日が地獄チャップ💦今度大分に行ったら買おうかしら♡
それを売ってるところでTシャツの方を買ったんですよね~。

うふふ、楽しんでいただけて良かった良かった♡
今度はシリアスなのですが・・・早いうちにあるかもよ?(笑)

2019/09/29 (Sun) 17:59 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

may********様、こんにちは。

ご訪問&コメントありがとうございます。
穏やかなお話しは書く方も楽しかったです。

確かに回りのキャラ設定が明るいと楽しいですね♡気持ち良く終われた作品です。
また遊びに来て下さいね~♡

2019/09/29 (Sun) 18:02 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

ご訪問&コメントありがとうございます。
はい!ラストは純白・・・初めの方で夢見た光景ですね♡
あの時は険悪でしたが、今ではラブラブ・・・このラストシーンを目指して二人を遊ばせました(笑)

嘘つきも楽しかったけど、これも楽しかったぁ♡
思い出にのこる作品です。

ビオラ様には毎日励ましていただきました。本当にありがとうございました。
次はシリアスなので面白くはないですが💦暇な時にはお立ち寄り下さいませ♡

2019/09/29 (Sun) 18:06 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

麦猫様、こんにちは。

ご訪問&コメントありがとうございます。
はい、終わってしまいました💦あはは!甘くなった途端に申し訳ありません(笑)

うふふ、確かにここまで幼い類君も珍しいかも?
まぁ、たまにはいいって事でお許しくださいませ。

plu、もしかしたらコメディ得意なのかも💦なーんて!

本当は真面目で暗い話が大好物です(笑)
でも必ず幸せにしたい派なので、そこを変えることはありません。ただ途中がね・・・💦ははは!

次作はそんな感じです。よかったら遊びに来て下さいね!

2019/09/29 (Sun) 18:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: ありがとうございます

happy様、こんにちは。

ご訪問&コメントありがとうございます。
はい!とにかく明るく元気よく!って事で書き進めましたので♡

その代わり恋人期間はめっちゃ少なかったですけど、笑っていただけたのでしたら嬉しいです。

おおっ💦今度は真逆のお話しです・・・もしかしたらご気分には合わないかもしれなせんが、元気が出た時にでも遊びに来て下さいね~!

ご無理されないように・・・お身体には気を付けて下さいね。

2019/09/29 (Sun) 18:13 | EDIT | REPLY |   

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