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やっぱり想像通り・・・恋愛音痴の牧野をあきらの前に出したら絶対にこうなると思った。

あきらの正体を知らねぇからその見た目だけで「王子様」だと思い込む。
これが似たような雰囲気でも、類だったら笑わないから速効変人だと判断されるんだろうけど、こいつは見境無く笑顔になるから女の方が変な期待すんだよな。

それに毎年交代してる気がするけど、有能且つグラマーな美人が秘書としてくっついてるから、それを見て牧野が自信なくすかもしれないと思ったんだけど。


エレベーターが役員専用フロアに着いたらあきらの秘書が俺達を先に降ろして自分が最後に降り、でもすぐにあきらの後ろにピッタリくっついた。
そして専務室に着くとササッとドアを開け、また俺達を先に中に入れて最後に静かにドアを閉める・・・実にスムーズで無駄のない動き。牧野はそれを勉強すりゃいいのに、廊下の装飾品やあきらの執務室の様子にハイテンションになって肝心な所は見てなかった。

まぁ、いいけど・・・西門にはエレベーターないし。


「総二郎、つくしちゃん、珈琲でいいか?」

「あぁ・・・」
「はい!なんでも大丈夫です!」

・・・普通お前は遠慮するんだよ!って睨んだけど「は?」って顔して判ってない。あきらも笑っていたけど、美人秘書の小百合は完全に牧野を馬鹿にしていた。
だからなのか俺とあきらにはマイセンの珈琲カップなのに牧野にはノーブランドのピンク色のカップ。

あきらは少し小百合を睨んだけど、彼女は知らん顔して秘書席に戻った。


「うわっ!可愛いカップですねぇ~、やっぱり私が女の子だから?」

「・・・・・・・・・」
「くす、まぁね。君のイメージに合ってるカップだね」


そう言う目を養う力はまだまだか・・・って事は茶碗なんて全部同じに見えるんだろうか。
それこそ100均の茶碗と一千万の楽茶碗・・・嫌いな方を割れって言ったら楽茶碗割ったりして。


「それで?帰国したばかりのあきらが俺になんの用だ?」
「あぁ、それなんだけど、実はお袋のひと言でこんなものが出来ちゃってさ」

「は?夢子おばさんのひと言?」


あきらが持って来たのは社内を活性化するためとして美作商事が取り入れる「部活」の一覧表・・・その中に茶道が入ってると言われ、その講師を俺に頼みたいってものだった。

社内部活で聞いた事があるのはフットサルやゴルフに野球。文化的なものなら生け花やオーケストラ・・・いずれも心身のリフレッシュと社員同士の交流が目的でメンタルケアにも役立つって言われている。
それにまさか茶道を・・・茶道家としては有り難いが、その部活の様子が想像出来るから俺もあきらも顔が歪んだ。


「へぇ!すごいですねぇ~!そんな事するんですか?」

「・・・・・・稽古になるのか?」
「さぁ?部員は全員女性だろうけどな」

「えっ!茶道って男性は入れないんですか?」

「・・・いや、そうじゃねぇけど」
「総二郎が講師だとお茶なんて二の次って事だよ」

「・・・・・・あぁ、成る程・・・」


夢子おばさんには何故か昔から逆らえない・・・。
この一覧表に西門の許可もなく俺の名前が入ってるのに驚いたが、来月から美作商事への仕事が増えたって訳だ。


「牧野、この日もお前は同行だからな」

「はい!判りました!」
「・・・・・・(いつになく返事がいいじゃねぇか)」

「じゃあまたつくしちゃんに会えるって事だね。宜しく頼むよ」

「はい!頑張ります!」
「・・・・・・(頑張るのは俺じゃね?)」

「で、総二郎が俺の親友だからなんだろうけど連絡は俺からってことになってるんだ。だから日程とか人数が決まったら野中から・・・つくしちゃんに連絡すればいいのか?」

「・・・あぁ、頼むわ」
「宜しくお願いしますっ!」

「・・・・・・(判ってんのか?このグラマー秘書からだぞ?あきらじゃねぇんだけど)」





*************************





今朝見た夢は最悪でもなんだか仕事が面白くなってきたかも。
今度からこの人にも会えるんだって思うとウキウキしちゃう!

それに工藤響子さんだって今度から私と話すんだし、車は買ってもらえたし靴ももうすぐ出来る。
まだスーツは安物だけど、そのうち良いスーツも買ってビシッと決めて、西門さんと並んで歩いても笑われないようになるかしら?

なーんて、1人で考えてニヤニヤしていた。


「なんだよ、不気味なヤツだな・・・」
「くすっ、何か良いことでもあったの?つくしちゃん」

「いえ!この仕事に就いていい事なんて何1つ無かったんですけど、今日は少し成長した気分なんです!私、前の会社は事務だったので外に出ることもなかったんですけど、こうして外に出て色んな人に会えて楽しいなって♡」

「いい事が何1つ無い・・・」
「あははっ!そりゃ可哀想に。総二郎にくっついてるから大変な事だらけだろ?こいつ、我儘だから」

「そうなんです!我儘って言うより考えてることが読めないんです!」
「・・・・・・・・・(お前が読まれすぎなんじゃね?)」


美作さんの優しい声と柔らかい雰囲気は私をお喋りにさせる。
だからポンポン口から言葉が出たら西門さんが「もう黙っとけ!」って怒鳴り始めた。それでも美作さんに聞かれることをペラペラと・・・それを小百合さんが鬱陶しそうに見ていたなんて気が付かなかった。

暫く和気藹々と話していたら彼女がスッと美作さんの後ろに立ち、私達に一礼して彼に言葉を掛けた。


「専務、そろそろ会議の始まる時間ですわ。この辺りで・・・」
「あぁ、そうか。何時までだっけ?」

「5時までありますわ。その後にはシンガポールのリンド社とのテレビ会議が30分ほどございます。その資料にも目を通さないと・・・お昼にはゆっくり見られなかったでしょう?」

「・・・あ!忘れてた」
「うふっ、専務ったら夢中でしたものね。あぁ、それと急ぎのメールを転送していますわ。西門様、お話し中に社内連絡などして申し訳ありません、すぐにすみますから・・・」

「いや、俺達には縁が無い話だからそっちがいいなら構わないけど」
「・・・・・・・・・」

「ありがとうございます。それでは専務、次回の開発部の会議はここで宜しいでしょうか?」
「ん~、その日は大阪から帰る日だったから気忙しいな・・・次の日に出来る?」
「畏まりました」

「・・・・・・・・・」


うわ、上品な会話・・・それに優雅な手つき。
タブレットの画面を美作さんに見せて、今度の予定と聞かれた事に素早く答えるのは如何にも「秘書」って感じだった。

今頃気がついたけどあの時計はロレックス?
サラサラの髪を掻き上げる時にチラッと見えた女性用の素敵な時計・・・。
それに比べて私の手首には何もない。時間なんてスマホでいつも見てるから・・・自分の左手首をササッと隠したら西門さんが「くくっ!」って笑った。

・・・でも、何に夢中だったんだろ?



「あとイタリアのガウディオ社の新製品、どうだった?」
「あぁ、あれはあまり日本人には好まれないかと・・・香りが独特すぎますわ。もう少し優しいものを日本の女性は好むと思います。ライズ社の去年のオードパルファムは評判が良かったですわ」

「そっか・・・じゃあライズ社にコンタクト取ってくれる?」
「畏まりました」


・・・・・・成る程、これが堤さんの言ってた事かしら。
西門さんに役立つ情報を耳に入れる・・・茶道家にはどんな情報が役立つんだろう?隣をチロッとみたら「変な事考えてねぇだろうな」って睨まれた。


「清風園のお茶は美味しいですよ?ペットボトルで1本160円って高いんですけど」
「・・・は?」

「それに恵比寿の緑川ってお店でお茶の葉買うと、漏れなく梅昆布茶くれるんです。お得ですよ?」
「・・・・・・お前、それなんの為の情報だ?」


逆にすごく嫌な顔された。
どうやらこれは役に立たない情報らしい・・・。


この会話の後、私達との話は終わったって事で、今後は小百合さんから私に詳しい内容が連絡されると言われたからお互いに名刺交換・・・小百合さんの名刺は良い匂いがした。勿論私のは無臭。

そしてもう帰ろうとして立ち上がり、美作さんと西門さんが少しだけ世間話で笑っていた時、小百合さんが「お渡ししたい物があるのでこちらにどうぞ」と私だけに声を掛けてきた。


向かったのは専務執務室の奥にある小さめの給湯室・・・?
こんな所に一応お客さんである私を入れるの?って少し不思議だったけど、黙って小百合さんの後をついて行った。
そこで可愛らしい包みを棚の上から出して「イギリスの紅茶であきらさんの帰国土産ですわ」と・・・でも、それを私の手の平に置いたら急に表情と態度を変えた。


「あなた・・・あきらさんの親友の秘書だって言うけどなんにも出来ない素人でしょ?そんな方がうちに出入りするのも腹が立つけど、あきらさんが優しいからって逆上せ上がらないでいただきたいわ」

「・・・・・・はい?」

「調子に乗らないようにとの忠告です」


私の肩に体当たりしながら給湯室を出て、満面の笑みで2人の元に向かった・・・。



どういう事?!
今度は美作さん絡みで意地悪されたの?!

なんでそうなるのーーーっ?!






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2019/10/12 (Sat) 18:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。
えっ!それも引っ掛かるの?凄いな・・・(笑)
本当はもっと凄いこと書いたんじゃなくて?(笑)

あっはは!あきら君、お昼なのにねぇ~♡
ここのあきら君はなかなかお茶目のご様子。

地下・・・(笑)まだ言うのね💦私、窓がある部屋の方が好きなのよね(笑)

(爆乳もダメなのかしら。試しにやってみよう・・・)

2019/10/12 (Sat) 21:35 | EDIT | REPLY |   

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