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plumeria

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本編に交通事故に関する記述がございます。苦手な方は退出して下さい。今日の部分を読まなくても次話で少しは内容が掴めると思います。
尚、予告として「非現実的な部分があります」と書きましたがホラーの類いではございません。念のため申し添えます。



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どのぐらい時間が経ったんだろう・・・頭がすごく重くて気持ちが悪い。
まさか時差ボケ?なんて思いながら薄目を開けると、辺りが暗くなってるのにまだ俺達は車の中に居た。

空港から自宅までそんなに掛かるわけがない・・・しかも窓の外がこんなに暗いのに外部からの光りもない。街灯やビルの照明・・・信号機や対向車のライト、そんなものが何1つ感じられなかった。
それに何度も繰り返すカーブ・・・都会を走ってるはずなのにどうしてこんな揺れ方をするんだ?

それに違和感を覚えて身体を起こした。
そして隣に居るつくしを確認・・・彼女もまだぐっすり寝ていて俺に身体を預けたままだった。

もう少し身体を起こして今度は窓の外に顔を向けたら、そこは景色の区別が出来ない真っ暗な・・・・・・山の中?

一瞬何が起きたのか判らなかった。


前方を見ると車のライトで道が照らされてるから、片側が崖でその反対側は山の斜面・・・そんな風に見えた。ガードレールもない道・・・でも空の下の方がオレンジ色って事は日が暮れて間がないのか?
それでももう5時間近く走ってるという事?

俺もつくしもそんなに長い時間、目を覚まさなかったのか?!


「おい・・・ここは何処だ?」

運転手に聞いたのに返事がない。
おかしく思って運転席を見たけど、彼は漫然とハンドルを握っていて俺の問い掛けに答えようとはしなかった。
意識がないのか・・・そう思ったけどちゃんとカーブは曲がってるし速度も普通・・・本当に極普通に運転している。


彼はただ真っ直ぐ前を見て運転していて、そのハンドル捌きにもブレーキの踏み方にも問題はなかった。耳だけが聞こえなくなったとか?そんな事を想像するほど俺の言葉を無視していた。


「おい、返事しろよ!何処に向かってる?どうしてこんな時間まで走ってるんだ?」
「・・・・・・・・・」

「聞こえないのか?!」
「・・・・・・・・・」

「車を停めろ!自分のしていることが判ってるのか!」

「・・・・・・・・・ん、類・・・どうしたの?」

俺の声でつくしが目を覚まし、指で瞼を擦りながら身体を起こした。
そしてやっぱり窓の外を見て唖然とし、両手を窓にくっつけて暗闇に視線を向けていた。


「ねぇ、ここ・・・何処?山の中?」
「判らないんだ。さっきから聞いてるんだけど運転手に反応がない。返事をしないんだ」

「え?返事しないって・・・あの!運転手さん、具合悪いんですか?」
「聞こえてないみたいなんだ。くそっ、何処走ってるんだ?」

「もしもーーーし!ねぇ、運転手さん、聞こえてますかぁ?!」

「・・・・・・・・・」


つくしの大声にも反応しない・・・これはもう普通じゃない。

電話でこの状況を加代に伝えようとスマホを出したけど・・・・・・圏外?!
こうなったら助手席に移って無理矢理ハンドルを奪うしかないと、後部座席から前に移動しようとした。それをつくしに「危ないからダメ!」と引き止められたけど、この状況だと事故って最悪は崖に・・・その方がヤバいと判断した。


「つくしはシートベルトをして何処かに捕まってて。とにかく車を停めて運転手と交代して引き返さないと・・・」
「でも、運転手さんはちゃんと判って運転してるんでしょう?横から手を出しちゃ・・・」

「判ってるんだろうけど完全に俺の言う事は聞かないみたいだ。このまま何処かに連れて行かれる可能性もある!スマホの電源が入るところまで行ったらすぐに助けを呼ぶから」
「そんな・・・どうして?どうしてこんな事になったの?」

「彼に聞かなきゃ判らないけど、今はとにかく無事に戻る事だけ考える。俺は前に行くからあんたは万が一に備えて身体を守って!かなり揺れるかもしれないから!」

「・・・う、うん!判った」




************************




あれだけ眠ったのに車に乗ったら急に襲ってきた睡魔・・・そして目が覚めたら私達は全然知らない山道を走っていた。

運転手さんはどれだけ大声出しても返事もしてくれない。
私なら判るけど類まで無視して無表情でハンドルを持つ姿にゾクッとした。

そして類は後部座席から前に移動して運転を交代すると・・・でも、この反応のない運転手さんをどうやって停めるんだろうかと心配でドキドキしていた。

殆ど外からの灯りがない中で、車のライトが僅かに類の顔を照らす・・・それは滅多に見ない彼の怒りの表情だった。
それだけ危険な状況なんだろう、私はただ言われた通りにシートにしがみついて類に総てを任せていた。


「おい!いい加減に返事しろよ!運転出来てるんだから意識はあるんだろう?耳が聞こえなくても横に来た俺の姿は見えてるよな?!」
「・・・・・・・・・・・・」

「目的はなんだ!まさか金か?それなら要求すればいい!」
「・・・・・・・・・・・・」

「誰かに頼まれたのか?!これは立派な犯罪だぞ!」
「・・・・・・・・・・・・」

「今なら見逃してやる・・・安全な場所で車を停めろ!!」
「・・・・・・・・・・・・」


怖い・・・類があんなに怒鳴った事なんて1度も無いのに。
そこまで彼を怒らせてるのに無言で運転を続けるこの人が怖い・・・私は両手で顔を覆って類の声だけを聞いていた。
とても目を開けていられない・・・揺れる山道に不安はどんどん増していき、彼が私の側にいないから余計に怖かった。


ガガガーーーッ!

真っ暗な山道にタイヤの音、そして今でも怒鳴ってる類の声。
何処でもいい・・・1度停まって!と声には出せずに踞っていた。


気持ちが悪い・・・なんだか吐きそう。
山道をグルグル走ってるから?恐怖心も加わって緊張してるから?
よく判らないけど気持ちが悪くて顔をあげることも出来なくなっていたら、とうとう類が運転手の手を掴んだみたい。

車の揺れが急に激しくなって私はシートから転げ落ちてしまった!

「きゃああぁーっ!」
「つくし!シートベルトしてなかったの?!」

「ごっ、ごめん!忘れてた!」
「いいから早くシートベルトを締めろ!もうこうなったら山の斜面に車体を当ててでも停止させる!」

「類、無茶はやめて、危ないわよ!」
「・・・ダメだ、こいつ、完全におかしくなってる。どうしてかは判らないけど自分の意思で運転してないみたいなんだ。このままにしてても危険な事に変わりはない。俺が何とかするから心配するな!」



・・・類が振り向いて私の方を見てそう言った時、私は逆に前を見ていた。

恐ろしい顔してる類の向こう側・・・この車が走ってる前方に倒木が見えた。
それは横向きで、このまま真っ直ぐ走ったら・・・・・・

このスピードで真っ直ぐ走ったらぶつかる?!


私の驚いた顔を見て、類が前を向いた・・・そして私と同じ光景を見た!!
その時になって初めて運転手さんが悲鳴をあげた!


「うわああぁーーーっ!!」
「ブレーキを踏み込め!!早く!」


類の声で運転手さんが急ブレーキを踏んだけど、もう倒木は目の前・・・・・・間に合わない!!
舗装されてない道だからなのか小石を弾き飛ばすような音と、ザザザーッ!と砂利の上を滑るような音!



「きゃあああぁーーっ!!類ーっ!」
「つくし、伏せろーーっ!!」






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