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plumeria

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チリン・・・・・・チリン・・・
          ・・・もう起きてもいいよ?


誰かが私を呼んでるような気がする・・・誰の声?
聞いた事ない声・・・ううん、聞いたことある声・・・・・・判らない・・・


チリン・・・・・・チリン・・・

それも随分昔に聞いた事がある音・・・ううん、最近も聞いた?だけど思い出そうとしたら頭が痛い。
頭だけじゃなくて身体も痛い。なんでこんなにも全身が痛いんだろう・・・・・・気持ちが悪い。


類・・・・・・類はどうしたの?

そうだよ、類は?どうして類の声じゃなかったの?類、何処・・・?
私、おかしいの・・・身体が痛くて堪らないの。類・・・助けて?



「・・・・・・・・・・・・ん・・・」
「目が覚めた?」

さっき頭の中で聞こえた声が今度ははっきりと耳に届いた。
ゆっくりと目を開けたらそこは真っ白な部屋・・・何処かの病院かと思ったけどそうじゃない。普通の家の普通の部屋・・・だ。

外は真っ暗なの?・・・・・・なんだろう、この音は雨だろうか。
バチバチと窓硝子に当たる音がする。ビュービューと風が強い・・・嵐の夜みたい。


私はどうしてこんな場所で寝てるんだろう・・・?
身体が思うように動かせなかったから目だけ動かして部屋を確認した。


「・・・あれ?この部屋・・・って」
「思い出した?君の部屋だよ。懐かしいでしょ・・・つくしちゃん」


私の事を名前で呼んだ人・・・明らかに男性の声だったけど聞き覚えがなかった。
その声が聞こえた方に顔を少し傾けたら、そこには優しい顔をした、少し年上だと思う男性が立っていた。

茶色の髪で茶色の瞳・・・類によく似た色。でも類じゃない・・・この人は・・・?


「・・・あの、痛っ!」
「まだ動けないよ。でも大丈夫、つくしちゃんは骨折も何もしてないから。ただね、打撲が酷かったからあちこちに内出血があるんだよ。それに擦り傷も・・・痛かったよね」

「・・・怪我、どうして?」
「事故に遭ったんだ。山道に横たわっていた木に君が乗ってる車が体当たりしたんだよ?覚えてない?」

「山道で・・・車の?」
「そう、もう3日前だけどね」

「・・・えっ、3日前?」


この名前も判らない彼に言われてから自分の記憶を辿った。
山の中・・・車の事故・・・倒れた木?それを思い浮かべていたら類の叫び声を思い出した!

『つくし、伏せろ!』・・・確か類にそう言われて車の床に寝転ぶようにして伏せて、その後凄い衝撃があって・・・その時で私の記憶は止まっている。
でもその前の記憶を辿ると・・・私は類と結婚式を挙げて帰国したばかりだ。

それなのに花沢の車が見知らぬ道を走るから、類が怒って助手席に移動して運転手さんと争って・・・ううん、運転手さんの様子がおかしかったから類が一方的にハンドルを奪おうとして・・・・・・

山道で暗くて怖くて・・・車が揺れて・・・!


それまでの事を思い出して身体が震え始めた。
類は・・・あの後どうなったんだろう?!どうして私の横に彼が居ないの?

まさか・・・・・・類が?


「あの、私と一緒に居た人はどうなったか知りませんか?背の高い男性で、歳は・・・」
「あぁ、花沢類?」

「・・・・・・えっ?」

「花沢類でしょ?彼はどうなったんだろうね・・・車は前面が大破してたから助からなかったかも?」


・・・・・・大破していたから・・・助からなかった?

この人が類の名前を出したことにも驚いたけど、それよりも助からなかったって言葉で私の心臓に尖った杭を打たれたかのようなショックがあった。
それまでドキドキしていたのに急に息が出来なくなって、喉の真ん中が熱くなって、両手の指が震えるんだけど体温は下がる感じ・・・それまであちこちが痛かったのに、身体の総ての感覚が無くなった。



「うそ・・・ですよね?」
「気になる?」

「あ、当たり前です!彼は夫です!私達、結婚したばかりなんだから気になるわよ!」
「叫んだら身体が痛いでしょ?静かにしな?」

「私の事はどうでもいいの!類は今何処に居るの?!彼の所に行かせて!」
「会ってどうするの?もう冷たいかもだよ?」

「そんな事信じない!とにかく彼に・・・つっ!」


この人の言葉にイライラする・・・!
もう自分だけでどうにかしてここを出て類の所に行こうとベッドから起き上がったけど、背中に激痛が走って再びベッドに倒れ込んだ!その時に自分の身体を支えようとした腕にも激痛が・・・!

漸く気が付いた身体中の包帯・・・でも、私の頭には類の姿しか浮かばない。


倒れ込んだ身体をもう1度起こしてギシギシする身体でベッドから降りようとしたら、ガクンと膝か緩んで今度は床に転がり落ちた!そして見えるのはこの人のスリッパ・・・それが音も立てずに私の方に回って来るのを床に這い蹲って見ていた。


「バカだね、動けないって言ってるのに」
「触らないで!!」

「触らないと起こせないでしょ?そうやっていつまでも床で寝てるつもり?つくしちゃん」
「どうして私の名前や類の事を知ってるの?!あなた、誰?!」

触らないでと言ったのに、その言葉を無視して私を抱き上げる手・・・それは類に比べたらかなり華奢で細い腕だった。
嫌だと言っても今の私じゃその華奢な腕すら振り解けない。

もう1度ベッドに寝かされたら、彼はその端に座り、ニヤリと笑った。

背中に嫌な汗が流れる。
類とよく似た瞳なのに、彼からは恐怖しか感じない・・・私は言葉を出そうにも震えて何も言えなくなった。



「ここ、見覚えあるでしょ?」
「・・・・・・・・・」

「懐かしいよね、9年間だっけ?それだけ暮らしてたら忘れないよね?」
「9年間?」

「そう、小学生から中学までの9年間を過ごした場所だよ」
「あっ、ここ・・・有栖川のお爺様の?!」

言われてもう1度部屋を見回したら、そこには昔使っていた机に本棚、窓のカーテンは変わっていたけどその形は同じ・・・そして壁には私が悪戯で付けてしまった傷があった。
間違いなくここはあの時の部屋・・・突然連れて来られたあのお屋敷だ。

でもあの時に私と居たのは女の子の鈴音でこの人じゃない・・・それなのになんで知ってるの?



「くすっ、思い出したようだね。鈴音の事を考えてる?」
「・・・鈴音は途中から居なくなったの。私が中学校に入る前だったわ。鈴音、どうしてるんですか?」

「あの子は病気があったからね・・・もう神様のところに行ってしまったんだ」

「・・・・・・・・・うそ・・・」
「ホント。お爺様はつくしちゃんが悲しむから何も言わなかったんだと思うよ」


鈴音が・・・神様のところに?


今、類の事を聞いたばかりなのに今度は鈴音まで・・・私は頭が真っ白になってシーツを握り締めていた手にも力が無くなった。


何から考えて何をすればいいの?
何処に向かって誰に会えばいいの?

本当の事を知ってるのは誰なの?どうして私は1人でこのお屋敷に居るの?


「・・・あなたは誰?」
「俺?くすっ、見て判らない?」

「判らないわ。私がこのお屋敷で知ってるのはお爺様と鈴音だけよ」


「似てると思うんだけどな。俺は成瀬柊祐(しゆう)・・・鈴音の兄だよ」


「鈴音のお兄さん?」
「そう・・・俺もね、鈴音と一緒にこの屋敷に住んでいたんだよ」


ピカッ!と稲妻が光った。
その光りが柊祐と名乗った彼の顔を照らし、その瞳が妖しい光を放った。


成瀬柊祐・・・・・・私がここに住んでいた時に一緒に居た?

そんなはずない。
お爺様は孫は1人だと言った。鈴音もそんな事はひと言も言わなかった。
他にも人が住んでるなんて、そんな気配を感じたことはなかった・・・。


チリン・・・チリン・・・
     チリン・・・・・・チリン・・・



まただ・・・またあの音が聞こえる・・・。




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