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なんて横暴な・・・秘書の自宅で晩ご飯までが業務ってどういう事なの?
これが企業だったら完全にアウトでしょ!それなのにヤケに嬉しそうに車をスーパーに向けて走らせて・・・一体何を考えてるんだか!

それよりも私は頭の中で「すぐに出来て西門さんが食べられるメニュー」を検索中・・・突然言われたから冷蔵庫の中の食材なんて吹っ飛んでた。
チラッと運転席を見て、この育ちの良いお坊ちゃまに合うもの?
これまでに一緒に食べたものは殆どハイレベルコースだったし、ラーメンはダメだって事しか浮かばなかった。


「・・・でも確か冷やご飯はあったはずだわ・・・」
「は?なんだって?」

「いえ、なんでもありません!西門さん、何かリクエストあります?」
「別に?基本美味ければ何でもいい。でも食い飽きてるから和食じゃねぇ方がいいな~」

「和食以外ね・・・」


不似合いな語尾の延ばし方もスルーして考え込んだ・・・でも、どうせなら冷やご飯をさっさと片付けたい。
それなら、あれしかないよね?って事でメニューは決まった。


車をいつもの激安スーパーの駐車場に停めて、前みたいにカゴを持って店内に入ったら、今日はその時点で彼がそれを私の手から奪った。
そんな行動に不思議そうな顔したらやっぱりニコニコして「重くなるんだろ?」・・・いや、そんなに買わないっつーの!

どれだけ食べるのかって思うけど、私が見る限り食は細い。
この人がガツガツ食べる所なんて想像出来ないもの。


「何作るんだ?」
「そんなに嬉しそうに言われても出来るものなんて限られてますから期待しないで下さい」

「牧野、料理得意なのか?」
「・・・得意というか必要に迫られて小学生から家事全般任されていたので『空腹を満たす』事なら出来ます」

「・・・すげぇ表現だな」
「そういう暮らしだったんで。話し掛けないでいただけます?頭で計算しながら買ってるんだから!」


一瞬ビクッとしたみたいだけど、私が睨んだから大人しくなった。
そんな西門さんを無視してカゴの中に入れていく食材・・・人参、玉ねぎ、しいたけ、ピーマン、今日は贅沢だけどチャーシューも。あったはずだけど玉子も買った。木綿豆腐にえのき、ネギ、生姜・・・必要な調味料はあったはず。

後は数日分の朝食の材料も。その日の夕食はどうなるか全然判らないから。


「西門さん、帰りはどうするんですか?まさかと思うけど、私が本邸まで車で送るの?」
「いや、有り難いがそれはいい。タクって帰るから気にすんな」

随分返事が早かったわね・・・ま、気持ちは判るけど。

「って言うことは・・・お酒飲みます?」
「そうだな~、ビールとか・・・」

「やめましょうね、業務中なので」
「・・・・・・・・・」


西門さんが黙った。




************************




やたら煩い音楽が流れているスーパーで、今日も牧野が不思議なものをカゴに入れていく。
それを見ていてもこの材料で何が出来るんだかさっぱり・・・でもやっぱりソワソワするような、ザワザワするような擽ったい気分で牧野が手に取る商品を眺めていた。

「賞味期限はこっちの方が・・・あっ、見切り品だ、ラッキー!」
「見切り品ってなんだ?」

「値段を下げた・・・う~ん、売れ残り直前の商品のことですよ」
「・・・売れ残り?」


ちょっと待て。この俺に売れ残りを食わせる気なのか?


そう思ってカゴの中を見たら「半額」「30%引」のシールが貼られたものが・・・それを手に持ったら「お得でしょ♡」って笑いやがった!

冗談じゃない!これまで1度だって「売れ残り」ってものを出されたことはねぇんだ!
それを鷲掴みにして「戻してこい!」って言ったら急に真顔になりやがった。


「日本の食品ロスは年間で約620万トンあるんですよ?!これって毎日1人がご飯お茶碗一杯無駄に捨ててるって感じなんです!」
「でもっ、そう言うが俺は・・・!」

「傷んでる訳でもないですし、これからすぐに使うんだから心配ないですって!いくら私でも見切り品買って長持ちさせようなんて思いません。昔からそうしてるんですよ、私」

「・・・・・・・・・」

「節約だけじゃなくて捨てられてしまうかもしれない貴重な食べ物を食べること、そう思ってます。それでもダメですか?」

「・・・いや、悪かった」
「ごめんなさい、貧乏性だから。でも美味しく食べられたらいいでしょ?」


そう言って俺が突き出したものを、またカゴの中に入れて少し前を再び笑いながら歩いて行った。

・・・小さい頃、買い物係は自分だった、そう真凜に玄関で話してたっけ。
あの時に「恥ずかしいとは思わない」と言った牧野をもう1度思い出した。

思い出したけど、これ・・・彼奴らには絶対に言えない・・・。



「・・・以上で3125円です」

レジでそう言われて牧野が鞄から財布を出そうとするのを止め、俺が払おうとしたら慌ててそれを止められた。


「いいですよ~!今日以外のものも買ってるんだから。それに今日のだって私も食べるんですよ?自分で払います!」
「いいって!俺が言い出したことなんだから俺が払う」

「本当にいいんですって!靴だって買ってもらったのに食材まで申し訳ないですから」
「靴って20万だろ?それと比べるか?いいからお前は早くこいつを袋に入れろ!」

「判りました・・・でも、どうしてもう少し早く言ってくれないんですかぁ?それならもっといっぱい買ったのに~!」
「お前、遠慮してんのか厚かましいのか判んねぇヤツだな・・・」


見切り品を手にした時には嬉しそうだったのに、今度は買い損ねたと悔しがる・・・ホント、見てて飽きねぇ女だ。


買った荷物を持って車まで運び、牧野のアパートに向かった。
そして前に尾行した時に見たこいつの駐車場、そこに入れようとしたら・・・

「あれ?なんで西門さん、私の駐車場知ってるんですか?」
「・・・・・・は?」

「私、教えましたっけ?いや、当たってるんですよ?でもどうして判ったのかなって」
「・・・・・・・・・そ、それは・・・」


不味い・・・そう言えば黙って後をつけたんだから俺は知らないはずだった。
それなのに演技することも忘れて真っ直ぐこの空き地に・・・バカだった!『駐車場何処だ?』って聞こうと思ってたのに!

牧野は不思議そうな顔して俺を見ていたが、俺は完全にフリーズ・・・でも何とか誤魔化さないと!


「・・・牧野に言ってなかったけど、西門で保険に入っただろ?あれに駐車場内での事故も対象って事で駐車場の場所を書く欄があったのにお前が書いてなかったんだ。だから大家に電話して聞いたって訳だ。その時にこの場所を説明されたから知ってた・・・そう言う事だ」

「えっ?!私が書き忘れてました?おかしいなぁ、何度も見直したし、西村さんにもチェックしてもらって問題無かったのに・・・。それに私には言わずに西門さんに話したんですか?私、毎日西村さんと会ってますけど何も言われませんでしたよ?」

「・・・・・・た、たまたま俺が事務室に行った時に西村さんがそれで困ってて、お前を呼ばなくても大家に聞けば判るだろうって俺が電話したからな。それで解決したからあの人も忘れたんだろ。そんな些細な事は気にするな」

「じゃあ明日謝っておきますね!」
「いや、もう忘れてるから思い出させなくていい。絶対に聞くなよ」

「・・・?はーい」


あの日、この俺が心配してこいつの後をつけただなんて誰にも知られたく無い。
牧野は不思議そうな顔して首を捻っていたけど「腹減ったぁ!」と話題を変えるのに必死・・・我ながら情けなかった。


空き地の1番奥、ドデカい車がまだ駐車してなかったからすんなりバックで駐車したら「明日の朝は楽だわぁ!」って喜んでいた。どうやらあれからは毎日頭から突っ込んで停めてるらしい・・・確かに車庫入れは類並みに下手くそだったからな。

買い物袋を再び手に持って駐車場からこいつの部屋へ・・・なんだかすげぇ新鮮だった。


実は女の部屋に入るのはこれが初めて。
今までは相手の部屋なんて行く気にもならなかったから・・・なんだけど。


どんな部屋なんだ?と、安っぽい階段を上がりながらなぜか妙に緊張していた。





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Comments 6

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2019/10/15 (Tue) 12:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。
そうなんです~♡総ちゃんは楽しいんです~!

何を作るか判りました?(笑)
私は色んな「歴史」を作ってるのですが、本日また「歴史」を作ったかもしれません♡

『総ちゃんに見切り品を食べさせる』

ははは!確かにつくしちゃんと言うより私ぐらいじゃ無いでしょうか💦


それと申し訳ありません・・・書いた本人が言うのもなんですが何処がおかしかったですかね?
判りにくかったのかな?って少し足したのですが・・・そうじゃなくて?

ご指摘箇所がよく判って無くて申し訳ありません!本当にごめんなさいっ!
(・・・真凜ちゃんでしたよね?雪乃ちゃんじゃ無かった・・・よね?)

2019/10/15 (Tue) 18:17 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/15 (Tue) 19:04 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは🎵

ありがとうございます♥️
いつも丁寧に読んでくださるので、助かります🎵

これからも宜しく~💦

2019/10/15 (Tue) 20:07 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/17 (Thu) 11:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

そうそう、それで見切り品買われる総ちゃん(笑)
半額シールに吃驚するところ、見たいでしょ?

まぁ、普段の総ちゃんの生活費を半額にしても私達には大金だからね💦

2019/10/17 (Thu) 17:26 | EDIT | REPLY |   

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