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plumeria

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私はもう妻として類には会えない・・・その言葉に呆然とした。

意味が判らない。
柊祐が何を言ってるのか全然判らない。

私はもう彼の妻で、それは書類としても提出済みで、公の場で結婚式も挙げて神様に誓ったの。私達は一生離れないって誓ったばかりなのよ?
それなのにどうして・・・会えないの?


何か言おうとしても唇が震えるだけで言葉にならない。暫く柊祐を見つめていたら彼の方がニヤリと笑った。
その笑顔にムッとして、もう1度痛い身体を動かしてベッドから降りようとした。でも、その肩を後ろから掴まれて、思わずバシッ!と払い除けたら、また激痛が走った!


「つっ!・・・さ、触らないで!!」
「話を聞かずに何処かに行くつもり?無駄だよ・・・この屋敷から君は出られない」

「・・・あなたの話は信じない。どうして私だけここに居るのか判らないけど、助けていただいたのならお礼を言います。でも私は花沢の人間です。だから彼の所に帰るわ」


「へぇ・・・わざわざ自分の家族をバラバラにした花沢家の人間に戻りたいの?ご両親・・・天国で怒るんじゃない?」


「・・・・・・え?」


「だから言ってるだろう?話してあげるからベッドにお戻り・・・つくしちゃん」


自分の家族をバラバラにした花沢家・・・天国で父さんと母さんが怒る?
今度は両親の事を言われた?

それを聞くと両親が居なくなって進と2人で怯えた1年間を思い出した。
両親を最後に見掛けたと言う人の情報で、2人の残した服を見た時のショックも、それが両親のものだと判って花を手向けに行った時の事も・・・それをこの人は知っているの?

有栖川のお爺様に聞いたんだろうか・・・でもなぜ?それならお爺様も私に隠してる事があったの?

ベッドで身体を起こしたまま柊祐を見ていたら、彼はまた椅子に戻って「本当の事を言うね」って話し始めた。



「君のご両親か経営していた会社は花沢物産の子会社の下請だったのは知ってる?」

「・・・私は5歳で両親と別れたの。その歳の子供が経営の事なんて知ってる訳がないわ。でも、私がお父さんに連れられて花沢のパーティーに行ったことがあるって聞いてるからそうだったのかもね。詳しい事は知らないし覚えてません」

「だろうね・・・実はね、君のご両親の会社は子会社の起こした不祥事の責任を全面的に被って倒産したんだよ。
でも、その不祥事は元々花沢本社の内部で起きたもの。それを花沢が隠蔽するために子会社に責任を負わせ、子会社はそれを下請け会社の責任にすり替えたんだ。社長はそれを黙認した・・・そう言う事だ」

「・・・お義父様が・・・?そんな事ある訳が無いわ!お義父様は誠実で間違った事が嫌いな人よ?」

「表向きはね。でも人って裏の顔があるんだよ」

「そんなはず無い!うちの両親の会社の倒産理由は知らないけど、もし今の話が本当でもそれと類は関係無いでしょう!」


今度は20年近くも前の話に飛んで頭はパニックだった。
でも柊祐の話が真実だとしても、その時に類だって5~6歳だ・・・それこそ会社経営者の息子だと言っても無関係。お義父様の事だってちゃんと調べれば理由があるはず。

子会社の人が私の両親陥れたのなら、そっちが悪いんじゃないの?!



「あるんだよ。その内部不正を知った花沢社長はね、その調査を命じたのはいいけど最終的な判断も関係者の処分についても確認義務を放棄したんだ・・・自分の息子の命が掛かっていたからね」

「類の・・・命?」


柊祐の説明は続いた。

丁度私の両親が何かに苦しみだした時・・・それが花沢物産と子会社の間でのトラブルが始まった頃らしい。
子会社の幹部が花沢物産の誰かと共謀して会社の資金を不正流用したって事で問題になり、その子会社の事業が全面ストップ。当然下請け会社にも影響が出て、うちの会社も経営難になった。

そこで子会社はお人好しのお父さんを利用して、不正流用に関わったことにした。
小難しい事なんて知らないお父さんを騙して何かの書類にサインさせ、主犯がお父さんであるかのように話を作り上げられてしまった。
お父さんは必死に違うと訴えたけど、その書類が証拠だと言われて反論出来なかった・・・そんな内容だった。


『お願いです!私は何も知らんのです!これは何かの間違いだ、ちゃんと調べて下さい!』
『牧野さん、往生際が悪いですよ。これだけの証拠が揃ってるんです。無関係なんて言えないでしょう?』

『いや、無関係だ!私はそんな金を要求した事なんてない!』
『でもそのやり取りのメールも領収もあるんです。あなたは証拠隠滅したつもりでも、こっちの会社が保管してたんです。諦めなさい。幸い花沢物産が公にせず、極秘で処理しようとしているので世間に晒されることは無いでしょうが、会社の維持は困難でしょう。それなりの損害賠償はさせていただきますから』

『だから、うちが倒産する理由なんて無いんだ!そんな事をしたら従業員が・・・!』
『あなたが起こした不正でしょう?ご自分で何とかして下さい』


お父さんが何を言っても聞いてもらえず、子会社の不正はそっくりそのまま両親の不正になった。


「花沢本社でちゃんと調査されなかったの?その捏ち上げられた中身を確かめなかったの?だって花沢本社の人も加担していたんでしょう?」

「社長は自分で動かなかったんだ。処分もそのやり方も全部部下に任せて知らん顔だったんだよ」

「知らん顔?どうして?!」

「一人息子が病気だったから。海外で感染したんだろうけど原因不明の熱病に罹って入院した一人息子のところに夫婦で駆け付けて、何日間も看病と言って病院の特別室に籠もったからさ。確かに危なかったらしいけどね」

「類が・・・?」


「そう・・・たったそれだけの理由で重大な不正の処理を部下に任せ、その結果を聞いても自分で精査せずに了解したんだ。その時に倒産してしまうのが下請けの会社ひとつだと言えば『それで済んだのなら良かったじゃないか。後は上手く始末しておけ』・・・そう言ったそうだよ。
子会社の方でも役員が1人、君のご両親と結託したって事で処分されそれで終わった・・・君のご両親は自分の親会社に騙され、その上の会社に見捨てられ、莫大な弁償金を請求され倒産したんだ」

「・・・・・・そんな・・・」

「数日後その報告をしたらね・・・息子の命が助かったのだから嫌な話は聞きたくないな、そう言って笑ってたんだって。
息子の回復は本人の生命力と医者の力だ。父親も母親もそこに居なくても問題は無かったはず・・・そうだろ?」


チリン・・・・・・チリン・・・
      チリン・・チリン・・・



でも、やっぱり類には関係無い・・・
そう言いたいのに、また何処かからあの音が聞こえてきた。


チリン・・・・・・チリン・・・


この音を聞くとなぜか気持ちが悪くなる。
柊祐の話は有栖川のお爺様の事に変わったけど、私は全身痛みと酷い頭痛に襲われ考える力は無くなっていた。




*********************




母さんと総二郎の声が聞こえて、ゆっくり目を開けた。

僅かな光りでも眩しくて完全には開かなかったけど、それでも少しだけ指を動かし、目を開くとぼんやり2人の顔が見えた。


「類・・・類!起きたの?良かった・・・!すぐにお医者様を!」
「おい、大丈夫か?類、俺が判るか?!」

「・・・・・・そう・・・じ・・・ろ」

「はぁ~~~~!!良かった・・・!判んなかったらどうしようかと思った・・・!」


母さんは急いでナースコールを押し、総二郎は真上から俺を覗き込んでる。
その後すぐに母さんの手は俺の手を握りしめて痛いぐらいだった。

いや、本当に全身が痛い・・・!


何が起きたのか判らずに周りを見たら、目に入ったのは点滴と白いカーテン。病院の匂いに自分のじゃないベッド・・・それに使われてはないけど医療器具の数々。
ここは病院だと理解するまでに数分かかった気がする。

そして動かない左手・・・どうやら固定されているようだった。しかも全身にある包帯の感触とこれまでに味わったことがない痛み・・・それが胸全体にあって動かすことも出来ない。
頭を僅か数㎝動かすのがやっとだった。


「少し待て。すぐに医者が来て検査すると思うから」
「検査・・・なんの?俺・・・どうして・・・」

「事故に遭ったんだけど、その事情はまた後で。今は休んでちょうだい」


「ねぇ、つくしは?・・・あいつ、今何処に居るの?」

「・・・・・・・・・牧野は・・・」
「つくしちゃんの事も後で教えるから少し待ってて。とにかくお医者様に診ていただきましょう」


総二郎の表情がおかしい。
母さんの態度も不自然・・・でも、まだ何も考えられなくて痛みと闘っていた。


早くつくしに会いたい。
まさか俺みたいに怪我してるんだろうか。

それなら俺よりも彼女を助けてやって・・・・・・そう思いながら医者が来るのを待っていた。






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