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美作商事で茶道部が行われる前日、私の朝一番の仕事は和菓子の注文だった。
西門さんと相談して、季節感もあって女性が好きなもの・・・選んだのは東京にある京菓子のお店の栗蒸羊羹。大人気で予約制らしい。

しかも1本が2400円・・・今回は初回の記念で1人ずつにお土産として渡すらしく、2400円×42名で100800円!
でも当日のお菓子もだから切り分け用に6本・・・部活とは言えお茶飲んでお菓子食べてお土産もらってって・・・どうなの、それ。


「牧野さん、人数の確認はしたんですね?」
「え?はい!しました」

「そうですか・・・では、念の為1~2本余分に手配したらいいですよ。そのぐらいは誰かに許可を取らなくても大丈夫です。突然の欠席も考えられますが、飛び入り参加も考えられるのが総二郎様の茶道教室です。余るのは問題ないですが、足りないとなると困りますから。人数、大丈夫ですね?」

「成る程~!じゃあ全部で50本ですね!電話してみます!」
「・・・・・・・・・」

堤さんのアドバイスで合計50本に決まり!
1日働いた後で茶道なんてよく出来るよね~って、私にはさっぱり理解出来ない。でも言われたとおりに注文して、明日の朝イチに届けてもらうようにした。
羊羹で12万円・・・流石だわ。


それが済んだら体力のありそうなお弟子さん2人を連れて4人で道具の搬入に向かった。
同じ車で行けばいいのに何故か道具を乗せた車はお弟子さん2人で、私と西門さんは同じ車・・・そこまでして私に運転させたいのかとムカついた。


「あのですね!同じ場所に行くのにどうして別々なんですか?!向こうの車に乗りゃ良いのに!」
「あれだけの道具を乗せた車に乗りたくないだけだ。ガタガタ煩いし、俺は静かにのんびり仕事に向かいたいんだ」

「よく言うわ!いつもギャアギャア煩いじゃないですか!道具はガタガタ鳴るでしょうけど文句は言わないんだから黙って乗ってりゃいいのに」
「うるせぇよ!運転中に叫ぶ暇がお前にあるのかよ!」

「判ってます!ちゃんと前見て運転してますって!」
「当たり前だ、馬鹿野郎!」

「あーーっ!その言い方パワハラ!」
「何処がパワハラだ!いいから後を追え!見失うぞ!」


1番煩いのは西門さんだと思うのよね?!
それなのに屁理屈言うんだからって、私もブツブツ言いながらもう1台の後を追った・・・そして当然のように見失った。
お弟子さん達、黄色で信号突破しなくてもよくない?付いて行けないじゃないっ!その後も追い付こうと思ったけど、もう何処を走ってるのかさっぱり・・・。
西門さんがあれこれ言うんだけど、聞いてるうちにこんがらがって迷子になった。


「ほら見ろ、喚いてるからだ!どっかで路肩に寄せろ、運転代わるから」
「初めからそうしてくれれば良かったのに・・・」

「なんだと?」
「あっ!あそこで停めよ♡丁度広いわ」

「いいのか?派出所の前の駐禁ゾーンだが?」
「・・・・・・・・・ありゃ?」


結局何処かのお店の駐車場に入り運転手交代。
その後はスムーズに美作商事に向かった。


駐車場に入ると既にお弟子さん達は来客用スペースに停めて私達を待っていて、運転が私じゃなくて鬼みたいな顔の西門さんだからビビってる。
そこで2人と一緒に荷物を降ろしたけど、西門さんはムスッとしてズボンのポケットに手なんか突っ込んだまま、地下駐車場からロビーの方に向かって行った。


「あれ?何処に行くんですか?荷物はここですよ?」
「ま、牧野さんっ!若宗匠に運ばせる気ですか?」
「私達の仕事ですよっ?!」

「・・・・・・そう言う事だ。俺は先に会場の下見に行ってくる」

「はぁ?!下見とか後でもいいじゃないですか!」
「牧野さんっ!若宗匠に運んでいただいたのがバレたら破門です!」
「早く運びましょう、牧野さんっ!軽いヤツでいいので持って下さい!」

「・・・・・・落として割るんじゃねぇぞ」

「1人でも多く運んだら楽なのに~」
「逆です!心臓に穴が開くような事を言わないでっ!」
「いいから黙って、牧野さんっ!」


何よ、その呆れたような目・・・西門さんはクルッと向きを変えてさっさと逃げた。


お茶を点てるのは21階の会議室。
そこまでは地下駐車場からエレベーターで搬入するように指示されていたから、3人で数回往復して21階の通路まで運び終えた。

それでも今度は会議室まで持って行かなきゃいけない。
その指示を待っていたら楽しそうに会話しながらやってきたのは美作さんと西門さん。「向こうだってよ!」って超軽い言葉と指1本で指示され、ムカつきながら箱を抱えた。

そうしたらフッと暗くなった私の目の前・・・驚いて見上げたら、優しい笑顔の美作さんが居た♡


「こんにちは、つくしちゃん」

「あっ!美作さん、こんにちは♡」
「くすっ、楽しそうに働くんだね」

「はいっ!(西門さんに)慣れて来たので楽しいです!」
「・・・・・・(さっきまで怒ってなかったか?)」

やっぱり素敵~~!!
なんて穏やかな雰囲気♡そして柔らかい物腰♡白い歯がなんとも言えず爽やか~~!

って思ったら、美作さんは私が持ってる箱に手を掛けた。

「持ってあげるよ、重いでしょ?」

「はっ?!とんでもないです、これは私達の仕事なので気にしないで下さい!お気持ちだけで嬉しいですっ!」
「・・・・・・(さっき俺には持てって怒鳴らなかったか?)」


ちょっとだけ触れしまった指先・・・それだけなのに顔がカァッと熱くなって、心臓が口から飛び出そうになった!
「いいの?」なんて小首傾げて苦笑いだけど、その仕草が本物の王子様・・・♡何処かの誰かとは大違いでキュンとなった。


「おい!そんな所でボケッとしてねぇであの部屋に入れとけ」
「・・・はいはい」

その「何処かの誰か」が機嫌悪そうに言うから一気に私までトーンダウン。
言われた部屋に荷物を運んだ。




*************************




受付であきらに来社した事を伝えたら執務室に来いって言われ、専用エレベーターを使ってそこに向かった。
そしてノックをしたら「入れ-」ってあきらの声。あの美人秘書が答えると思ったのに拍子抜けして、ドアを開けたらあきらが奥のデスクに居るだけでそれ以外の気配がなかった。


「・・・あれ?あのグラマーな美人秘書、何処行ったんだよ」
「あぁ、今は秘書課の全体会議だから居ないんだ。座れよ」

「なんだ、お前だけか!」
「ははっ!気にしてないクセに」

「・・・・・・・・・」


昔から俺の事だけは良く知ってるヤツ・・・何気に気にしてなかったのがバレててムカッとした。
逆に「つくしちゃんは?」って聞くから「荷物運びだ」ってボソッと言えばニヤけてやがった。

専務自らに珈琲を淹れさせ、ドカッとそこのソファーに座る。
その時に、また転んで道具を滅茶苦茶にしてねぇよな?って頭の中で考えていたら、言葉に出してないのに「気になるなら行けよ」、そう言われて余計にムカついた。


「あぁ、そう言えば司から連絡あったか?」
「は?別にねぇけど、なんで?」

「今度政府主催の『日本の伝統文化の紹介』ってイベントがニューヨークのMホテルであるらしいけど、それに西門が入ってたって言ってたから」
「へぇ、そうなんだ。知らなかった」

「・・・知っとけよ。自分の家の事なんだから」
「親父じゃねぇのか?近いうちに海外があるって言ってたから。聞いたのかもしれないけど自分じゃないなら基本無視だ」

「なんだ、そうなのか?司はお前が来ると思ってるみたいだったぞ?」
「アホか!あいつが俺に会いたいとか言わねぇだろ」

「ははっ、酒飲み相手じゃないのか?」
「たとえ俺だったとしてもごめんだな。喧嘩になりそうだし」


・・・って、もし俺になったらアメリカ出張・・・牧野を同行して?
そうなったらあいつを司に会わせるのか・・・なんかすげぇ嫌な予感がするけど。


暫くくだらない話をしていたけど、そろそろ荷物も運び終わっただろうからって席を立ち、会議室がある21階に降りた。そうしたら丁度牧野達が道具を運び終えて、そこのエレベーターホールで草臥れていた。


「お!全部持って来たのか?」
「・・・はぁはぁ、見たら判るでしょ!運びましたよ!」

「そっか。でも保管場所は向こうだってよ。行くぞ!」
「ひとつぐらい持とうか?って言う気も無いんですかっ!」


くくっ、やっぱり怒ってやがる。
その尖った口が面白くて素通りしたら、あきらが余計な手を出しやがった。

「こんにちは、つくしちゃん」

「あっ!美作さん、こんにちは♡」
「くすっ、楽しそうに働くんだね」


その声を聞いて振り向けば牧野の真っ赤な顔・・・それについさっきここに着いた時には俺を睨んだ目がもうハート型になってる。
俺と居る時には馬鹿力出すクセに、どうしてあきらの前だと茶筅しか入ってねぇ軽い箱を重そうに見せるんだ?
あれが無意識だったら相当ヤバい女だな!・・・と、ここに来てから何度目のムカつきだ?


「持ってあげるよ、重いでしょ?」
「はっ?!とんでもないです、これは私達の仕事なので気にしないで下さい!お気持ちだけで嬉しいです♡」

だから重くねぇって!
重いのは2人の弟子が汗流して運んでる茶碗の方だって!
あきらだって判ってるはずなのに態とらしい笑顔で話し掛けてんじゃねぇよ!・・・アホか、こいつら!


「おい!そんな所でボケッとしてねぇであの部屋に入れとけ」
「・・・はいはい」

「なんで急に声が変わるんだよ・・・」
「え?変えてませんよ?いつもこんな声です。じゃ、運びますんで!」


なんて可愛気がないんだっ!
あきらには見せなかったキツネみたいな目で俺を睨み、運ぶ時に箱の角を俺の腰にぶつけやがった!
「いてっ!」って叫ぶと「大袈裟な・・・」って、それが秘書の言う言葉か?


「くくっ、可愛いなぁ・・・」
「はぁ?何処がだよ!・・・ったく、俺をなんだと思ってんだろうな、あいつ!」

「違うって。可愛いのはお前だよ」
「・・・・・・は?」


幼稚舎から連んできたあきらに「可愛い」って言われた。

この俺が・・・?




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Comments 6

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2019/10/18 (Fri) 12:47 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/18 (Fri) 15:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: に、2400円!!!

ただの******様 こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!上には上がありますよね(笑)
今回はこの程度で💦

調べたら1本2376円だったかな?だから切りよく2400円にしました。
この後も「は?」ってヤツが出てきます(笑)

お菓子ではありませんが、私の住んでるところでも吃驚する値段の食材があるのですが、一皿2万円って言うのをバブル期に食べた事があります。そう言われたら美味しいと思うしかないのですが(笑)

で、多分茶道はホスト側が茶菓子まで選ぶので、茶菓子代は美作に請求、お土産代は西門持ちじゃないですかね?
それか茶菓子代なんてどーとでもなるぐらいの講師料かもしれませんね!総ちゃんですから♡

2019/10/18 (Fri) 20:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうかも(笑)なんとお子ちゃまな総ちゃんでしょう(笑)
喧嘩ばっかりしていますが💦

あきら君にもバレましたね~。Colorful類君じゃないですが、そろそろ回りが世話を焼き始めるかもしれませんよ?
まずは総ちゃんに変化が出ましたが、つくしちゃんにも出てくるかも♡

見守ってやって下さいね!

2019/10/18 (Fri) 20:21 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/18 (Fri) 21:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様 こんばんは。

コメントありがとうございます。


はっ?!何が始まったって?!(笑)

あっはは!無理無理!!(爆)

2019/10/18 (Fri) 22:45 | EDIT | REPLY |   

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