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「あっ、もしもし、西門流の牧野と申します。お世話になります。来週の水曜日なんですがお昼にお部屋を予約したいのですが・・・・・・はい、4名で・・・えぇ、お一人ご年配の方がいますので・・・えぇ、そうですね、宜しくお願い致します」

「はい、お待たせしました、西門の秘書、牧野でございます。あぁ、先日の件ですね?最終的には5名で・・・判りました、若宗匠に伝えておきます」

「もしもーし!牧野です~!はい、2時までに届けていただけますか?」
「西門流の牧野ですけど、お花は対で20万円ほどで・・・・・・はい、お願いします!」


今日は午後から美作商事だというのに電話が鳴り止まない。
おまけにこんな時に限って九州支部の幹部さんにお祝い事があって贈り物、東北支部の副支部長さんの所に弔事があってお悔やみの花とお供え物。家元とは別に西門さんも手配するって事で、ここでも「任せた」のひと言。

後援会幹部の奥様のお誕生日でプレゼント、京都で付き合いのある呉服屋さんの新装開店祝い・・・もう少し時期をずらせばいいのにって思うぐらい忙しかった。
おまけに秋の行事が多くてお店の予約ばっかり!どの店にいつの予約をしたのかで大混乱だった。


そんな時でも超冷静に仕事をする堤さん・・・私との温度差は凄いものがあった。
まるでアラスカで業務中みたいな彼に対して私はハワイの火山で仕事してるみたい。この落ち着きの差は年の差だろうか?と思いながら電話したことをメモに残していた。


「・・・大丈夫ですか、牧野さん。テンパってミスらないように」
「はい!えっと・・・これが・・・こうなって・・・あぁっ、間違った!」

「慶事と弔事のミスは絶対にしてはいけませんが、それ以外に場所、時間、人数などの再確認はキチンとして下さいね?勘違いとか見間違いは誰にでもあることです。確認して事前にミスを防いで下さい」
「はい、判りました!堤さん、家元の分は終わったんですか?」

「はい。もう1時間前に終わりましたよ」
「・・・・・・が、頑張ります!」

そして茶室に走っていって西門さんに確認、今度は事務所に行って西村さんに羊羹の到着確認、1人でドタバタしてるみたいだった。



「ほほほ、牧野さん、忙しそうね」

不意に聞こえたのは滅多にお話しない家元夫人の声。
今日も西門さんそっくりの綺麗な笑顔を私に向けて、後ろに志乃さんがついていて荷物を持っていたから何処かから帰って来た直後みたい。

「家元夫人、お疲れ様です!ははは、今日は電話や色んな手配が多くて・・・ドタバタしてすみません!」
「いいのよ、総二郎さんも少しはお仕事が楽になってるかしら?」

「・・・そ、それは・・・(本人に聞いて欲しいけど、聞いたら楽じゃねぇ!って言いそうだけど)」

「うふふ、自分で選んだ秘書ですものね。阿吽の呼吸で仕事が捗ってるのでしょうね」

「・・・そ、それも・・・(確かに本人に選ばれたけど、その経緯は急性アルコール中毒患者の愚行によるものだけど)」

私の表情で勘付いたのか、志乃さんは「プッ!」と噴き出してる。
家元夫人は「どうしたの?」なんて聞いてるけど志乃さんは「なんでもありません・・・」って言いながら肩を震わせ、私は笑いながら眉をひん曲げていた。


「今日は何があるのかしら?」
「夕方美作商事の茶道部の初回講習で、若宗匠はその講師をなさいます。私も同行致します」

「あぁ、あきら君のところね?そうなの、大変ねぇ~、お茶が点てられる状況だといいけれど」
「ははは・・・ホントですよね~」


流石、ご自分の息子の茶道教室の状況をよく判っていらっしゃる。
おば様達でも浮ついてお茶どころじゃないのに、これが若い女子社員になるとアイドルに群がるファンのようになるのでは・・・って思うとゾッとした。


「あら、じゃあ牧野さんはお茶会用のお着物持ってるの?」
「・・・いえ、自分では持ってないのでお稽古でお借りしているものを着させていただきます。先日若宗匠と志乃さんに選んでいただいたので」

「まぁ、せっかくだからいつものお稽古用じゃなくて、少し良いものを着ましょうよ。志乃さん、新しいのを出してあげて?」
「畏まりました」

「いっ、いえ!お稽古の着物をお借りするのも申し訳ないのに、新しいものなんてとんでもないです!」

「いいのいいの!それにもっと若いお嬢さん達にお茶を知っていただきたいわ。牧野さん、頑張ってね!」
「・・・・・・・・・は、はい!」


・・・・・・いや、私は助手にもならないから。
お茶は100%西門さんに任せるわよ。


そして夕方近くになって、家元夫人の着物と届けられたお菓子を持ち、念の為に西門流のパンフレットみたいなものを数枚持って車に向かった。




**




美作商事に着いたのは午後4時。
業務終了の5時が過ぎてから部活が始まるから、それまでに着物に着替えてお道具のセットをすると言われていたから。


西門さんと2人で昨日荷物を運んだ会議室に向かい、その隣のお道具を保管させてもらう部屋を私達の控え室にしてもらった。

・・・でも、ここで着物に着替える。
・・・なのに、この部屋って仕切りも何も無い。
クルッと振り向いたら西門さんがちょうどシャツのボタンを外し終わってそれを脱ぐところだった!しかも私の方を向いてるし!


きゃああぁーっ!なんで脱いでるんですかっ!」
「は?だって着物に着替えるんだから当たり前だろう」

「どうして今日に限って着物で来なかったんです?!ちょ、ちょっと待ってよ、私が外に出ますから!」
「俺は全然気にならねぇけど?流石に廊下だと騒ぎになるからここで着替えるけど、お前も着物になるんだから早く脱げよ」

「・・・・・・えっ!ここで?」
「お前が廊下で脱いだほうが驚かれるぞ?」


そう言うと同時にバサッと脱いだシャツ!そして丸見えの大胸筋っ!・・・っていうか、思ったより逞しい。
何より腕の筋肉が意外と男っぽい。

・・・私を何度も抱きかかえられたのが判る気がする。
男性にしては色白なんだろうけど、羨ましいほどに割れた腹筋も素敵・・・って、あまりにもさり気なく脱ぐから思わずガン見してしまった!
そうしたら私の視線に気がついてニヤリ・・・その顔、とても今から茶を教える人の顔じゃないし!


「なに?男の裸に興味あんの?まさか見たことねぇとか?」
「そっ、そんなんじゃ無いけど目の前で急に脱ぐからっ!」

「だからお前も早くしろって。何処までなら1人で着れるんだ?」
「お、おおお、帯はまだ無理!」

「んじゃ、長襦袢に着替えて着物羽織っとけ。帯は結んでやるから」
「に、西門さんは後ろ向いててっ!絶対にこっち見ないでよ?!」

「面倒くせぇ女だなぁ・・・」なんて言いながら私に背中向けたけど、ちょっと油断したら顔を横に向けてる!「エッチ!」って叫んだら「本当のエッチを教えてやろうか?」・・・・・・って、最悪っ!!💢
そしてケラケラ笑いながら着物に着替えたら、今度は私の帯の支度を始めた。

慌てて志乃さんに教わったように着物を羽織って着てみたけど、緊張しまくってヨレヨレ・・・。


「あのなぁ!お袋の着物が泣くぞ?全然ダメじゃん!」
「だってぇ~~!いつもは志乃さんに見てもらいながらなんですもん!」

「だから俺が見ればいいんだろ?」
「見るところが違うからヤだっ!あ~~~、どうしよう、時間がっ・・・!」

「そう、時間がねぇんだって。いいから来い。直してやるから」
「・・・・・・・・・はい」

仕方なく殆ど長襦袢の状態で西門さんの前に行くと、今まで巫山戯ていたのに急に真面目な顔して着付けてくれた。
いつも志乃さんだから気にならなかったけど、私の胸の前に西門さんの顔が来たかと思うと今度は背中に回って腕を前に伸ばしてくる。
一瞬抱き締められるのかとドキドキするから肩が上がると「力抜け」って耳元で囁かれる・・・そういうの、ゾクゾクするんだけどっ!

「・・・ここ押さえとけ。少し力入れて腰紐結ぶからあんまりキツかった言えよ」
「は、はい!」

「それと身体を傾けるな。着物の線が乱れるから」
「・・・はい」


ヤバい・・・真後ろにある他人の体温にこんなにビビるとは思わなかった。
今までだってもっと近寄ったはずなのに顔が見えないから?・・・そう思って少し振り向いたら、真剣な表情の西門さんを見てしまった。

「・・・・・・・・・」
「・・・牧野、前から思ってたんだけど・・・」

「・・・・・・え?な、なんでしょう?(ドキドキするんだけどっ!)」

「本当に真っ平らだな、お前」
「・・・・・・・・・・・・は?」

「あんまりにも胸がねぇから前帯の上んとこに皺が寄るんだ。しかもこれで屈んだら間違いなく胸元がパックリ開くぞ?今度から外で着付ける時はタオル・・・いや、スポーツタオルみたいな大きいヤツを2枚鞄に入れとけ。
それか『小さい胸用補正和装ブラ』ってのがあるから経費で買っとけ。こりゃ必需品だ」

「・・・・・・・・・・・・」


余計なお世話だっつーの!!💢💢



「あ、ブラ買うなら胸パッドは2枚重ねるから4枚要るぞ?」
「五月蠅いっ!!💢」




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Comments 4

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2019/10/19 (Sat) 12:54 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/19 (Sat) 14:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

そうなんですよ(笑)
大きな胸用のもあるんですが、小さな胸用もあるんですって。
それを総ちゃんが知ってることがなんとも言えませんけどね💦

お仕事の方は・・・ははは!これって秘書の仕事なの?って感じですが、要するに総ちゃんの雑用💦
事務所でも充分対応出来そうなのにね~って私も思いながら書いてます。

まだまだ新米ですからこのぐらいしか出来ないんですよね~。
ま、総ちゃんの狙いは「出来る秘書」じゃ無さそうなので、このまま西門に馴染んでいけばいいのかしら♡

ちょこちょこ小さな事件を起こして2人の距離を縮めたいと思います!

2019/10/19 (Sat) 15:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

あはは!そうなんですか?偶然の一致ですね💦
いやいや、スリムって事で宜しいのではないでしょうか(笑)

私の働いていた会社には勿論制服があったのですが、摩訶不思議な「3号」って言う制服を着ている人が居ました。
広げてみたら幼稚園児が着そうなサイズ・・・

「3号だとスカートが短くて~」

そりゃ当たり前だよ!ってみんなの反感買ってましたよ(笑)

2019/10/19 (Sat) 15:56 | EDIT | REPLY |   

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