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何とか着物を着せてもらって身支度は完了!
今からは社員さん達が来る前に盆点前の用意をする・・・それが42名分だから西門さんと2人で大忙しだった。


「なんでお弟子さんにお手伝い頼まなかったんですか?」
「お前が居るから大丈夫だろうと思って。それに夕方から付き合えって弟子には言いにくいじゃん?」

「はぁ?住み込みのお弟子さんが沢山居るじゃないですか!」
「うるせぇな・・・口動かしてねぇで手を動かせ!どうせ今日は初回だから説明で終わるって」

「じゃあお湯は?お湯の用意もしなきゃでしょ?」
「だな~、頼むわ。それと菓子の用意もな」

「もーーーっ!こんなの着物着てたら動きにくくて時間だけが掛かる~!」
「つべこべ言うな!茶道は基本着物だっつったろ!」


この前私もやったから、その時のようにお盆の上に持って来たお茶碗や茶筅を並べていき、建水って言う茶碗を清めたり温めたりした時に使った湯や水を捨てるために使う筒型の器を置いた。
西門さん曰く「最近はアクリル製の建水もあるが冗談じゃねぇ!西門はこれって決まってんだ!」って変な所で頑固になって、わざわざ重たい陶器を持ち込んだ。

そんなの見栄張る部分なのかは判らないけど、仕事を終えて疲れた人達が来てお茶を習うのよ?手元が緩んで落として割ったら大変だからアクリル製のものにしたらいいのに・・・運ぶのにもどれだけ重たかったか!


でもそれが終わったら茶菓子を切り分ける♡
その時はちょっと嬉しかった。

この贅沢な羊羹を6本並べてそれを7等分。すこーしだけ細く切って試食しようとウキウキしていた。西門さんは・・・会場の端で抹茶を計測中。今ならチャンスだわ・・・!

やだぁっ♡本当に美味しそう~!!どうやって切ったらバレないかしら・・・えーと・・・


「おい、牧野、黒文字だけど・・・」
「うぎゃああぁっ!!」

ナイフを入れようとしていたら急に背中から声を掛けられ、思わず出てしまった叫び声。
それに西門さんが吃驚して黒文字の入ったケースを床に落としてバラバラ・・・次に私がそれを拾おうとしてバキッ!と3本ほど踏んでしまった・・・。


「・・・・・・・・・折れた」
「お前が踏んだからだよっ!・・・ってか、なんで叫んだ?!」

「はっ・・・いや、羊羹切ろうとして気合い入れてたもんだから・・・」
「・・・まさかつまみ食いしようとしてねぇよな?」

「まさか!数はぴったりなんですよ?ちょっと細くして端っこ食べようなんて考えてません!」
「考えてんじゃねぇか!!」


あと少しだったのに・・・残念っ!


「予備はあるのか?って聞こうかと思ったのに余計減らしてどーすんだよ!」
「すみません・・・」

そんな会話をしていたら会議室が開いて、入って来たのは美作さんと小百合さんだった。
西門さんに怒られてるのに、それを吹き飛ばすような美作さんの微笑み。ついニッコリ笑って「こんにちは~♡」って言ったら西門さんに後ろ頭を小突かれた!


「こんにちは、つくしちゃん。今日は宜しくね?遅い時間から始まるのに残業させちゃうね」
「いえ、とんでもありません!頑張ります!」

「それに着物、似合うんだね。控え室で着たの?狭かったけど大丈夫だった?」
「はいっ!問題ないです♡お気遣いありがとうございます!」

「・・・お前は何もしねぇクセに!」って呟いた西門さんの事は放っておいて、美作さんとお喋りをしていた。



「あら・・・どうしてこんなに準備を?多くありませんか、西門様」



***********************



もうすぐ業務終了で第1回目の茶道部が始まるって時、小百合のひと言で3人が固まった。
でもあきらも顔をあげて俺達が並べた盆点前の数を見て「あれ?」って言いやがった。

「何だよ、あきら。何か間違ってんのか?」
「いや・・・確か報告では人数がこんなには・・・」

「えっ?でも野中さんのメールにあった人数ですけど。そうですよね?野中さん」
「茶道部の定数は20名でしたわ。でも希望が多かったので24名まで受けましたけど」

「えぇっ?!いえ、野中さんのメールは42名でしたよ?だから私・・・」
「確認のお電話いただいたかしら?数字の打ち間違いは誰にでも有り得ることだわ。あなたから確認のお電話があったのならこのミスは防げたのではなくて?」

「・・・は?」


・・・そう言う事か。道理ですげぇ人数だと思った。

小百合は牧野がまだこんなのに慣れてないと思って態とこんな数字を出し、あきらの前で恥をかかせようとした訳だ?
牧野にも事務経験はあるんだから確認の電話が入れば訂正すればいいし、無ければこうやって嘲笑ってやろうって?

あきらもそれに気が付いたのか「やれやれ」って感じで小百合を見ていたが、牧野の方は何が起こったのか判ってなくて放心状態・・・。


「牧野、お前、確認したって言わなかったか?」
「・・・は、はい!メールの文章を何度も見て・・・」

「あら、何度見られてもそれが間違っていたら間違った数字で進めてしまうでしょう?そもそも茶道に42名なんて不思議に思わなかったのかしら・・・確かに数字を間違えたのは私だから?悪いとは思いますけど?でも西門流の秘書ならそのぐらい見抜いて連絡してくだされば良かったのに・・・」


「確認のメールは?」
「お礼と日にちの確認・・・だけです」

「その時に人数の確認はしなかったのか?」
「申し訳ありません!」


「いえいえ、私が悪いのよ?ごめんなさいねぇ、数字をひっくり返すなんて初歩的なミスしちゃって。あら、それより早く片付けなきゃ部員さんが驚くわよ?」

「は、はい!」


確かにこれだけ並べたのに半分は空席なんてみっともない。
うちの方が聞き間違えて張り切ったみたいに思われるのは胸くそ悪い・・・ってんで、牧野と2人で急いで余分なものを片付けた。


「・・・はぁはぁ」
「焦るな、茶碗を割るぞ?その方が面倒だ」

「ごめんなさい!」
「謝らなくてもいいからこれを控え室に運べ!丁寧にな」

「はい!」


18人分の盆を片付けて、キツキツだった椅子とテーブルを広げて何とか5時までに24名の部屋に変えることは出来た。
あきらも小百合も手伝って、準備が完了したと同時に鳴った終業のチャイム・・・それを聞いてからホッとしたが、牧野はどんよりしまくっていた。


「西門様、私の不注意で申し訳ございません。どうか牧野さんを叱らないで下さいませ」
「いや、こちらも確認ミスだから。もう少し数字の不自然さに気を付ければ良かったんだが」

「そうだな。総二郎も42名なんて指導出来ると思ったのか?24名だって本当は無理だろ!」
「ははっ、まぁな。美作ならそのぐらい集まると思ったんだって!じゃ、そろそろ来るだろうから茶の支度するわ。牧野、いつまでも隅で落ち込むな!お前も忙しいぞ!」

「・・・・・・申し訳ありません・・・」



「こんにちは~、茶道部ってここですかぁ?」

1人目の部員が入って来たら愛想良く迎えなきゃいけねぇのに、俺の横の牧野は通夜みたいな表情だった。
「馬鹿みたいに笑わなくていいから少しは顔作れ!」って言ったら泣きそうな笑顔・・・それにビクッとする部員もいたが、始まりの5時半には24名全員が揃って美作茶道部の第1回目が始まった。

本来の目的が社員のコミュニケーション作りだから、俺の自己紹介の後は部員の簡単な自己紹介。
そして茶道の簡単な説明や利休についてを少々、そして各自の前に置いた盆点前の道具名の説明・・・それだけで部活動の残り時間が僅かになり、仕方ねぇから俺がササッと点てた茶を牧野が配って、茶菓子を食べて終了。

ドタバタしまくった割りには全然作法に至らず、部員はキャアキャア言いながら帰って行った。
勿論俺にこっそり渡されたプレゼントはほぼ全員から・・・それを牧野に見せねぇように隠して片付けに入った。


来た時とは全然違う落ち込みよう。
小さいあいつが余計小さく見えて、情けないぐらい肩を落としてしょんぼりしていた。ま・・・無理もねぇけど。



♪~~♪~♪~~~

こんな時に電話が鳴り、画面を見たら志乃さんで、何かあったのかと思ったら・・・


「はっ?親父が倒れた?!・・・判った!すぐに戻る!」


志乃さんの電話は親父が茶室で倒れたって話だった。
特に持病なんかもなかったが、これまであの親父が病気になった事なんてなくて、俺は急いで会議室を出た。牧野も俺の話を聞いていたから慌てて控え室に来たが、この会場を片付けねぇと不味い。

「牧野!俺はすぐに本邸に戻る!悪いがここを片付けてお前はタクシーで戻って来い!」
「判りました!お家元、大丈夫なんですか?!」

「判らねぇ!後で連絡する!」
「はい!こっちは気にしないで下さい!」


って言うけど涙目の牧野を置いて帰るのはすげぇ気になる。
でも、後を任せられるのもあいつだけ・・・だから俺は着替えたらダッシュで駐車場に向かい、牧野の車で本邸に戻った。





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Comments 6

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2019/10/20 (Sun) 13:11 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/20 (Sun) 15:08 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!馬鹿ですよね~!
でも嫌がらせする人ってこんなもんですよ(笑)

私、初めて勤務した会社に大手銀行を退職したって言う女性がバイトに来ましたけど、
上司に叱られたからって200円の印紙100枚をゴミに捨てました(笑)
しかも私の目の前で💦それは驚きましたよ~!(勿論私が拾いました)

あれはなんでそんな事したのか、今でも謎というか、思い出すというか・・・衝撃でした(笑)

家元・・・さて、何が起きたのでしょう💦

2019/10/20 (Sun) 21:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

ホントに子供みたいな意地悪ですよね💦馬鹿じゃないの?って感じでしょ(笑)

まぁこれが大事件にならず、つくしちゃんの成長の1つになると思います。
総ちゃんもあきら君も判ってますからね♡

それにこのお話はコメディですから❤

でも家元が・・・さて、総ちゃんはどうなりますやら。
残ったつくしちゃんにも何かが起こるかも?(笑)

2019/10/20 (Sun) 21:56 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/22 (Tue) 09:54 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

あら、ホントだ(笑)
よく倒すわねぇ~💦

私の話ってよく入院してる(笑)大丈夫か?💦

2019/10/22 (Tue) 17:46 | EDIT | REPLY |   

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