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美作を出ると牧野がビビりそうな運転をして自宅に戻った。
そしていつもは走るな!と怒鳴る俺が全速力で廊下を走り、親父の部屋に向かった。


倒れたって・・・一体何の病気だ?!

あれだけ毎日楽しそうに酒飲んで飯食って笑ってたのに、なんで急に倒れるんだ?!
俺はまだ家元なんかになりたくない・・・まだのんびり遊びたいってのにっ!

そんな事を考えながらその部屋についたら、言葉も掛けずにバーン!と襖を開けた!


「親父!大丈夫か!!」

「あら、総二郎さん」
「・・・おぉ、総二郎、すまんの~」

「・・・・・・・・・は?」


なんだ?このほんわかした空気は。

親父は確かに痛そうな顔して布団に入っていたが、その横ではお袋が暢気に茶を飲んでいた。しかも片手には栗饅頭・・・それを親父に食べさせていたようだ。
そのあまりにも病人らしくない光景に唖然とし、襖を持ってる手が固まった。

「あら、嫌だ・・・そう言えば誰も総二郎さんには連絡しなかったのかしら?」
「堤は明日の仕事のキャンセル連絡でそれどころじゃなかろう」

「志乃さんは倒れた時の後片付けするって言ってたわね」
「西村事務長は確か用事があって出掛けておったな・・・」

「いや、そんな事はどうでもいいが、倒れたんじゃなかったのかよ?!何処が悪かったんだ?頭か?心臓か?!」

「「・・・・・・・・・・・・」」


何故そこで顔を見合わせる?親父・・・どうしてバツが悪そうなんだ?


「おほほ!それがギックリ腰だったのよ~!」
「いや、そんなに軽く言うが本当に気を失うほど痛かったのだよ!総二郎、信じてくれ!」

「・・・・・・・・・ギックリ腰だぁ?」


ギックリ腰であんな電話をすんなよっ!!💢💢


聞けば親父は自分の稽古で茶室に籠もっていた時、水の入った建水を持ち上げようとしてグギッ!っとなり、その痛みが酷すぎて気絶したらしい。
そして炉の前に倒れ込んでいたのを志乃さんが通りかかって発見、大騒ぎになって掛り付け医が呼ばれたらしい。

でも医者が駆け付けて診察が始まったらすぐに意識が戻り、「腰が痛い・・・」と言ったので弟子を数人呼んで部屋まで運び、そのまま布団に寝かせた・・・と。


「いやぁ、あんなことぐらいでギックリ腰になるんだなぁ・・・総二郎も気を付けろよ?」
「俺の腰はそんじょそこらの腰とは訳が違うっての!暫くそこで休んでろっ!💢」

「まぁ!総二郎さん、お家元になんてこと言うの!」
「うるせぇ!そうと判った時にすぐに連絡すりゃ良かったんだよ!」


今度はクルッと向きを変えて再び駐車場へ!
牧野に電話を掛けようと走りながらスマホを取り出したら、丁度あきらから電話が入った。


『あぁ、総二郎!家元どうだった?』
「おー!それがさ、ただのギックリ腰だったんだって!マジ、ムカついたわ!今から牧野を迎えに行くんだけど、まだそこに居るんだろ?」

『あぁ、そうなんだ?じゃあ丁度良かった』


あきらの言葉で足が止まった。
丁度いいって何がだ?その後ろで牧野が「美作さん、ホントにいいですから!」って言ってるのが聞こえた。
此奴ら何やってんだ?片付けるだけだったはずなのに・・・


『あの後つくしちゃんに美作の仕事を手伝ってもらってさ、お礼に食事に連れて行こうと思うんだけどいいか?』
「は?牧野が美作の手伝い・・・どういう事だ?」

『詳しい事は後で教えてやる。もう腹減ってるみたいだから行くな。帰りはちゃんと送るから心配すんな~』
「何処に行くんだよ!あきら!」

『困りますって!ホントにお腹空いてないんで!』
『俺の行きつけだから大丈夫だって。じゃあな~!』

「おい!あきら、そいつに飲ませちゃ・・・」って言った時にはもう通話が切れていた。


くそっ・・・!
またあいつ、あんなガキには興味もねぇクセにいい顔しやがって!


今度はあきらに腹が立ってまた走ろうとしたら、後ろから「総二郎様、少し宜しいですか?」と聞いてきたのは堤!

「なんだ!急いでるんだが?!」
「申し訳ありません。私も至急なのです。お家元の代行をしていただくにあたり、総二郎様のご予定を確認しないと作業が進まないのです。少しお時間をいただけますか?」

「・・・・・・・・・くそっ!!💢」


秘書を迎えに行くことを優先して仕事を後回しも出来ねぇし、しかも親友が送るって言ってんのに慌てていくのは不自然・・・つまり、ここで堤を無視する理由がないっ!
仕方なくこいつと一緒に秘書控え室に向かった。




************************




お家元が倒れたんだから急いで戻らなきゃ、そう思ったのにまさかのギックリ腰で驚いた。
そして美作さんの突然のお誘いにもっと吃驚した。

西門さんには彼が電話してくれたんだけど、なんて言ってるのか判らない。
ただ「俺の行きつけだから大丈夫だって。じゃあな~!」って言われた時、西門さんが2人で食事に行くのを許可したんだと思ったら・・・少しだけ淋しかった。

帰って来い、とは・・・言わないよね。
でもまだ「今日はこでまで」って言われてないのにな・・・なんて。


「小百合さんも来るんですか?」
「いや、彼女は先に帰ったよ。今日は旦那が早いらしいから」

「・・・・・・・・・はい?」
「あれ?言わなかった?彼女、既婚者なんだよ?」


うそーーっ!!
結婚してんのに私にあんなこと言ったの?!
・・・ってか、旦那さんが遅かったらどうだったんだろう?


軽くショックを受けている私を引き摺って、美作さんはエントランスに呼んだタクシーに乗り込んだ。
「飲めるよね?」なんて言われて「はぁ・・・」って答えたものの、実は超弱いから急性アルコール中毒になった訳で。




「・・・ここですか?」
「うん、そう。心配しなくても怪しいお店じゃないって」

タクシーを降りたのは新宿にある小さなビルの地下入り口で、そこにはCafe&Barの文字。

そこで薄暗い階段を見下ろしながら私の足は止まってしまった。だって男の人と2人っきりで地下のお店だなんて初めて・・・本当に行ってもいいのかどうかと凄く悩んだ。
でも隣を見たら爽やかな美作さん・・・西門さんにも電話したんだから大丈夫だろうと、恐る恐る彼の後ろをついて行った。

そして中に入って店内を見回したら、外の雰囲気とは違って凄く綺麗で上品な場所だった。
出てきたウェイトレスさんも綺麗で丁寧な挨拶。それまでの恐怖心が一気に消えてしまった。


「奥に行こうか」
「・・・お、奥?」

「うん、ちょっと仕切られた場所があって落ち着くからね」
「・・・は、はい!」

いや、そんな仕切られた場所に居たら逆に緊張するでしょ!
この入り口近い席でいいのにって思ったのに、何も言えずに覚束ない足取りで彼の後をついて行く・・・なんだかここでも凄く不釣り合いな気がして回りの目が気になった。

座ったのは確かに他の席とは隔離されたような、ちょっと密会を感じさせる雰囲気の席。
「好き嫌いは?」って言われたから「なんでも大丈夫です」って答えたら、彼が全部注文してくれた。

はぁ・・・メニューなんてない店なんだ?
それ自体がもう初めて・・・凄くオトナの空間にいるようでドキドキした。


「どう?総二郎とは」

「・・・はい?」
「総二郎と会話出来てる?この前楽しくなったって言ってたけど」

「あはは・・・どうなんでしょうねぇ?楽しくなってきたのは本来の仕事の方でして、お茶のお稽古もイマイチですし、お花も志乃さんに怒られてばかりですし着付けも全然!こんな事すると思わなかったから大変ですよ~」

「・・・・・・花って華道?」

「えぇ、そうなんです。どうしてかは知りませんけど、これも誰かに聞かれた時は私も答えられなきゃダメだからって。それにこの前はご飯食べに来たんですよ」


そう言ったら美作さんの顔が固まった。
凄く驚いてるみたいで綺麗な目を見開いて・・・あれ?私、不味いこと言ったのかな?

出されたおしぼりで口を・・・はマナー違反だった!手を拭きながら、私の不自然な瞬きが続いた。


「ご飯って・・・君の家に?」
「は、はい・・・狭いアパートだから嫌だったのに、料亭は飽きたから和食以外で何か作れって。しかもそれも業務だって言うんですよ?横暴でしょう?!その前は蓼科まで車の教習に行ったんです。それも業務命令みたいに言われて」

「蓼科・・・類の所?」
「るい?えーと・・・花沢物産のお友達?」


あらら?また変な顔になったわ。
どうしたんだろ・・・またヤバい事口走った?

何度も頭を抱えこんで「ん~~」って唸ってた美作さんだけど、そのうちニヤニヤ笑って「総二郎がねぇ~」なんて言ってる。


そのうち運ばれて来た美味しそうなお料理。
こんな素敵な人と2人で食べるのならもう少しマナーを覚えとけば良かったぁ~💦





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Comments 4

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2019/10/22 (Tue) 16:12 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/22 (Tue) 16:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

爆笑!!そうなのよ💦
昨日、なんで判ったんだろう?って不思議だったのよ!!

いや、勿論そんな事しないんだけどね!
地下に行くんだったのよ(笑)

こっちがビビったわ💦


あきらには賞味期限切れたヨーグルトとかどうだろう。
すぐにお腹壊しそうだ(笑)

つくしちゃんは2日ぐらいなら平気。総ちゃんは1日なら我慢する。
類君はお腹壊しても気がつかない。司君は何を食べてもお腹を壊さない。

だから何の話だ?(笑)

2019/10/22 (Tue) 17:57 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

うふふ、そうなりますよね~!
そこでまたご対面があると思います❤

総ちゃんの意外な部分発見でしょうか?あきら君が一緒なのでそっちが心配なんだと思います。
あきら君は手を出さないけど・・・つくしちゃんがね(笑)

ライバルはまだまだ居るぞ、総ちゃん!!

2019/10/22 (Tue) 18:01 | EDIT | REPLY |   

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