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いつの頃からだろう・・・牧野が俺の中で特別になったのは。
司と付き合ってる時・・・類に憧れてた時・・・総二郎を追うようになった時・・・いや、彼奴らとは関係無く牧野に一目惚れした、それが正解かもしれない。

それまでは年上ばかりを相手にして甘えていたから、子供みたいなあいつに驚いただけだと思った。


でも違う・・・心の奥の方で守りたいって気持ちが初めて芽生えた。それが牧野だった。


でも牧野にしてみたら俺が1番安全な男だったようだ。
なんでも簡単に相談したり近寄ったり、少し触れたって驚きもせずに「なぁに?」なんて笑顔で返して・・・それが本当に憎らしく思う時もあった。

だからって急に「男」になれない。
牧野には兄貴のような存在で・・・何となく1歩引いてしまったんだ。


『ねぇ、美作さん!道明寺って何色が好きなの?やったことないんだけど編み物してみようかなって思うの!』
『美作さん、花沢類のご両親ってどんな人?道明寺のお母さんより怖い?』
『西門さんって怒ることあるのかな?いつもニコニコしてるけど、何処か棘もあるよね~、美作さんもそう思わない?』

・・・そうやってお前は誰かに俺の事を聞いてくれたことがあるのかなって・・・いつもそう思ってた。




「・・・なにを考えてるの?あきらさん」
「ん?いや・・・これまでの事を色々とね」

今、俺は仁美を連れてアメリカ、ロサンゼルスに向かう飛行機の中・・・乗り気じゃなかった彼女を説得して米国で代理母出産に望むためだ。
仁美が病気をしてからは夫婦2人でも良いと思っていたけど、双子を育ててみて思った・・・出来るなら賑やかに暮らしたいと。

絵夢達でウンザリしていたから静かに暮らすのが夢だったのに、あの小さな手の温もりが忘れられない。
可愛らしい声で「パパ」と呼んでくれる存在が欲しい・・・そして仁美にも、もう1度母になってもらいたかった。

そうじゃないと彼女も後悔だけの人生になる。
自分の犯した罪を忘れる事は出来ないだろうけど、それに縛られたままになる。それを救えるのは俺じゃなくて「子供」だろうから・・・。


「・・・本当に上手くいくのかしら。そうなったとしても私にそんな価値があるのかしら・・・」
「そんなのに価値なんて必要か?必要なのは愛情であって、それは紫音たちにもちゃんと注いでたじゃないか。
だからあんなにも明るくて素直な子に育ったんだ。一度間違った方向を向いてしまったけど、君はちゃんと自分を取り戻した・・・だから大丈夫さ」

「神様は許してくれるかしら」
「神様が許さなくても俺や総二郎達は許してるんだからいいじゃないか。側にいるのは神様よりも俺なんだから」

「・・・でも」
「同じ悩むなら子供の名前で悩んどいてくれよ。順調に進んでも性別は聞かないつもりだから両方の名前をね」

「・・・あきらさん」
「少し寝る・・・仁美もまだ時間があるから身体を休めとけよ」



仁美はそう言うと軽く頷いて目を閉じた。
そして、俺も再び遠い日の夢を見た・・・。




あいつはいつも大学のラウンジの窓から、総二郎が女を引き連れてるのを悲しそうに見ていたっけ。
その背中を俺と類は黙って見るしかなかった。
無理矢理自分の腕の中に引き込むなんて出来なかった・・・本音を言えば俺は手を伸ばしたかったけど、それは牧野の幸せじゃないと判っていたから。
そして類も同じだったと思う・・・俺と同じような目をして牧野を見つめていた。


『・・・ちゃんとわかってるって。大丈夫・・・そんな仲にはなれないから』

牧野もそう言って窓を閉めて、俺達の方に向き直って淋しそうに笑った。


司と恋をして、その後で密かに総二郎を想って・・・この頃から牧野は凄く綺麗になった。
本人にその自覚がなかったし、格好も化粧も変わらなかったけど、内側から光るものを感じるようになった。それを引き出したのはあいつへの想い・・・それが自分じゃないことが残念だった。


『・・・牧野、俺って選択肢はないわけ?』 ・・・自分でも驚いたひと言だった。

その時には仁美との婚約を控えていたから。
別に強要もされなかったけど、仁美と会ってみたら素直に思えた・・・誰かを選ばなきゃいけないならこの人で良くないだろうか、と。
それは諦め半分って意味じゃなく、本当に仁美の穏やかな部分に安らぎを覚えたから。誰でも良かったとか、適当だった訳でも無い。

いつまでも牧野を想い続けることは出来ない。
いつかは誰かを迎えなきゃいけない・・・それはこんなに早く無くても良かったけど、仁美よりも安らぐ女性が現れるとは思わなかった。
そして早い結婚に後悔もなかった。


この話を牧野に教えた時、意外にも淋しそうな表情をしてくれた。
そんな顔をされたら期待するだろ?なんて思うけど、これも「兄」が居なくなるみたいなもの・・・そんな事は判ってる。


『彼女と会った時に穏やかな雰囲気に惹かれてね。愛してるかって言われたらわかんないけど、この人なら愛せるかもって思えたから・・・かな?』

『・・・結婚した後に恋をするってこと?』

『ははっ!そうかもな・・・でも、俺にはさ・・・』




このあと総二郎が現れて会話が途切れた。
牧野に言いそうになった言葉は・・・

『俺にはさ、そんな恋が似合うんだって。好きになった子はいつも余所見だから』・・・少し皮肉を入れた言葉だったから言わずにおいて良かったと思った。


そして卒業式のプロムナード・・・彼奴らがいる前で牧野を独占出来る時間だった。
ガラにもなくドキドキして、冷静なつもりだったのに実はステップを間違えたりして。でも牧野の方が初心者だから全然気がつかなくて、俺を信用してついてくるのが嬉しかった。

本当なら見つめ合って踊ったりしないのに、すごく近くで牧野の照れた顔を見る事が出来る・・・それがほんの少しの時間で、次には他のヤツと踊るんだって判ってるのに最高の時間だった。


だけど話しておかないと・・・きっとこの時間を逃したら言葉に出来ない。
ワルツの音で自分の気持ちを少しでも誤魔化せるのなら・・・って、渡英することをその場で告げた。


『俺は卒業したら2年ぐらいイギリスで修行するから日本にいないけど、何かあったら連絡しろよ?1人で抱え込むなよ』

『うん・・・ありがとう、美作さん。あの・・・』
『ん?』

『あの話、どうなったの?結婚・・・しちゃうの?』

『あぁ、するよ。早いうちにね・・・でもイギリスでするからさ。牧野は来られないだろ?』



何か祝いたいって言ってくれたけど断わった。
本音を言えば祝って欲しくなかった・・・その時は本当に強がってたんだ。





『We have started our descent(飛行機は降下を開始しました)
The captain has turned on the fasten seatbelt sign in preparation for our descent(飛行機の降下に備えましてシートベルト着用のサインが点灯いたしました)
We will now have to discontinue our in-flight service(今をもちまして機内サービスを終了いたします)』


機内アナウンスが流れた。
その声で目を開けたら、仁美は既に起きてて準備を始めていた。


「よく寝てたのね、あきらさん。寝言、言ってたわよ?」
「え?なんて言ってた?」

「うふふ、教えないわ。でも幸せそうな顔してたから良い夢だったのね」
「・・・良い夢・・・いや、懐かしい夢だ」

「そうなの?・・・・・・あら、お天気良さそうね」


窓からもうアメリカの地が見える・・・仁美はそれを不安と期待を込めた目で見ていた。





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あきら君のお話のスタートです。
のんびり更新ですが、宜しくお願いします。
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Comments 6

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2019/11/18 (Mon) 14:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!罪な💦そうですよね~!

そうそう💦きっとヤバい寝言を言ったんでしょうね。それか仁美さんの意地悪かもしれませんけど(笑)


今回はそこまで長くならないと思いますので(花音が長すぎた💦)どうぞ宜しくお願い致します。
やっとあきら君のお子様の名前と性別が出て来ます♡

2019/11/18 (Mon) 22:38 | EDIT | REPLY |   
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2019/11/19 (Tue) 21:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 待ってましたっ!!

あおさ~~~~んっ!こんばんはっ!

コメントありがとうございます。


そうそう!こんなに遅くなるとは思わずに(笑)
やっと書き始めたあきら君♡

もうねぇ・・・本編で苛めちゃったから、ここでは宝物をドドーーン!!と授けたいのよ(笑)

男妖精って(笑)うんうん、可愛いだろうねぇ~!
今度宅急便であおさんに送っとくよ!!受け取ってくれぃっ!


忙しいけど(マジで)これだけは終わらせないと年が越せない💦
あきら君の後には紫音のお話があるんだけど、実はこれにもあきらくんが出るの。

年内完結を目指します!!
(ヤバくない?総誕とクリスマスがあるのに💦)

あおさんも風邪とか引かずにね~!!どうもありがとーーーっ!





でも確かに忙しくてね💦

2019/11/20 (Wed) 00:21 | EDIT | REPLY |   
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2019/11/24 (Sun) 10:57 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。


これはね、クリスマスロースってヤツです。
ただ単に冬の花だから(笑)

深い意味は・・・ないです。

すまん、あきら君(笑)

2019/11/24 (Sun) 23:59 | EDIT | REPLY |   

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