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仁美と別居していた時、もうロスの病院と話合いを進めていて準備は出来ていた。
だから予約していた日にそこに向かい、仁美と説明を聞いた。

代理母出産専門のエージェンシーも同席し、その女性担当者が契約から出産までの手続きやコーディネートをしてくれる。それに代理母の紹介も任せていて、既にその候補者も決まっていた。
だからすぐにその女性とのマッチングが行われた。

それは32歳のサラと言う2人の子供を持つ人。
優しそうな表情と明るい声で仁美に話し掛け、初めのうちは緊張して震えていた仁美が打ち解けるのに時間は掛からなかった。


『初めまして、ヒトミ、アキラ。サラ・ウィルソンと言います、宜しくね』

『こちらこそ。サラ、今回は大変な事を引き受けてくれてありがとう』
『宜しくお願い致します・・・ご家族にも申し訳ないけど・・・』

『いいえ、家族も了解済みですもの、それは大丈夫です。それにまだあなた達に宝物をお渡ししてないのですもの、総てはこれからです』

『身体への負担だけでも大変です。色々なサポートはさせていただきますから、何でも言って下さい』

『それはコーディネーターを挟んで行いましょう?でも、必要以上に私からの要求はありません。私も妹が同じような病気で自分では子供を産めないの。だからヒトミの気持ちは判るのよ』

『・・・ありがとう、サラ』



マッチングした結果、俺達はサラに頼むことを決めた。
そして色々な感情、心情を考えて妊娠が確認された時と、出産の時以外は会わない事にした。妊娠が順調に進めばサラの身体の変化が判ってくる。
仁美もそれは承知していたけど、実際に自分の子供が他の女性の身体で育つことに不安を持つかもしれないから・・・。

サラの住所も聞いているし、彼女も「気が向いたら遊びに来て」なんて笑いながら言ってくれるけど、それに応えられるほど仁美に余裕はなかった。


代理母とのマッチングが成立すると、法的な契約書の作成と病院での検査が始まる。
基本的な問診や血液検査による感染症のチェック、代理母の子宮の状態の確認、卵子提供者は卵胞の数、精子提供者は精子の数や運動量などをチェックする。
この段階で医学的に不安要素が見付かれば代理母の変更も考えられたけど、それは問題なく進んだ。

その後は病院でサイクル調整が行われる。
体外受精させた胚を代理母の子宮に移植する際、代理母はその月経周期に合わせて投薬によってホルモンバランスを妊娠しやすい状態に整える必要がある。それがサイクル調整と言うらしい。

それらはサラの状態を基準に行われるから当然俺達はその間は待機となる。
1回目の移植で胚の着床が確認出来て妊娠にいたればいいけど、そうじゃない場合は投薬をやめてサラの身体のサイクルがくるのを待ち、2回目の移植に備えなければならない。

これは誰かが焦っても頑張ってもどうしようもないことで、その時を待つしかない。


この説明を聞いてから、俺達はその為の処置を受けた。
後は医療機関とコーディネーターに任せ、自分達のマンションに戻った。


「・・・・・・・・・」
「そんなに心配しなくていいって。もしもダメだったとしてもチャンスはこの1回じゃないんだから」

「・・・えぇ、判ってるんだけど・・・」
「そんなに不安?俺は希望の方が多いけどな。今からすごく楽しみだ」

「あきらさん・・・」
「さて、来週から仕事、頑張らないとな~!」


紫音と花音がうちに来た日を思い出す。
あの時は考える暇なんてなくて、急に俺達は親になった。
今度はちゃんと準備期間も、少しばかりの経験もある。そして、今度は俺達の子供だ。またあの賑やかな毎日が始まり、新発見も多いだろう。


仁美の不安は俺が笑うことで解消されればいいけど、なんて思いながらロスでの生活が始まった。




思ったより早くサラの準備が整って受精卵を彼女の子宮に移植する日が来た。
その連絡がきた時は仁美にも緊張があったけど、俺達はひたすら待つだけ・・・移植後の妊娠検査までは何も出来ない。

胚移植のあと、サラは数種類の妊娠検査を受け、正式に妊娠が成功したと診断されるのは妊娠6~7週目に実施される超音波診断で心拍が確認された時らしい。
それが確認出来たと聞いた時はホッとした。仁美も両手で顔を覆って泣いていたけど、これはまだスタートライン。この時にサラに面会して、その後は出産まで彼女に総てを任せるしかなかった。


『サラ、身体は大丈夫?これから暫く負担を掛けてしまうね』
『アキラ、大丈夫よ。私って意外と妊娠期は穏やかになれるの。あなた達の方が待ち遠しいでしょう?』

『・・・楽しみにしてます。サラ、本当にありがとう』
『あら!まだ産まれてないわよ?ヒトミもその間に沢山勉強しててね!』

『・・・は、はい!』
『くすっ、俺達も頑張るよ、サラ』



サラが俺達に子育て経験があるなんて知るわけがない。
だから「勉強しろ」って言われて仁美は困ったように笑ってた。



妊娠10週目にも超音波検査が行われて、そこで何の問題もなければ医療機関はサラが通っている産婦人科に変わる。
でも、今回は出産の時には1番初めの病院で、と依頼していた。サラもそれには快く応じてくれて、後はコーディネーターが総て手続きをしてくれる。

だからその日、病室でサラと別れたら次に会うのは7~8ヶ月後・・・この間に帰国しても良かったけど、俺達は自分達の子供が育ってるこの土地に住むことを最初から決めていた。




日本と違って気候にそこまで大きな差がないアメリカ西海岸。
そこに住んで数ヶ月が過ぎた。

コーディネーターからの定期的な連絡でサラの妊娠が順調である事も聞いていた。仁美もそれを聞く度に落ち着いてきて、やがてこの土地でキルトを作り始めた。

紫音と花音にも作ってやったっていうベッドカバー・・・今度は自分の子供用なんだろう。
でも用意した布の色合いがどうしても二種類になるらしい。


「いつも男の子用と女の子用を揃えてきたからかしら・・・いやだわ、気が付いたらこうなってるの」
「ははっ、いいんじゃないか?君には言わなかったけど、もう1人欲しいから・・・実はその準備もしてるんだ」

「・・・サラが産んでくれた後にってこと?」
「あぁ、まぁね。1人はやっぱり淋しいだろ?」

「そうだけど・・・」
「うん、まずは今の子供を無事にこの手に抱いてからだな」



順調に行けばあと2ヶ月ぐらいで産まれる・・・日本では総二郎達に3番目の子供が出来た頃だった。





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2019/11/24 (Sun) 11:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。


私の友達はサラさんみたいな人なんですよ。
日本だからそう言う事はしないけど、妊娠中が1番好きなんですって。

因みに5人お子さんがいます。6人目は流石に旦那さんが「無理!」って言ったとか(笑)
その無理ってのは経済的理由であって、○○○○が出来ないって事じゃないです。

え?そんな説明要らなかった?(笑)


あっはは!確かに!
一人目産んだ直後に次の話されたら腹立つのと同じですかね?
私も旦那の家から言われましたね~、次は?って。

一昨日産んだばっかりや!って言いそうになりました(笑)


サラさんはちゃんともらうでしょーーーっ!!
だってあきらだもん。そりゃ億とまではいかなくても・・・ねぇ。


ゆっくり更新しますので、次話は少し待ってね♡
お仕事忙しそうだから無理しないで下さいませ。風邪とか引かないでね~!

2019/11/25 (Mon) 00:29 | EDIT | REPLY |   

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