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plumeria

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フランスに来てから数ヶ月後、亜由美の様子がおかしくなった。
周囲から見たら俺たちは婚約者だ・・・彼女の変化に両親が何か感づいてしまわないように取り乱した
亜由美を呼んで話しを聞いた。


「あまり態度に出すと怪しまれてしまう・・・何があったの?」

「彼の行方がわからなくなったの・・・私に黙って東條を出たらしいんです!あんなに約束をしたのに・・・
何処に行ったのかわからないの!なぜいなくなったのか理由すら・・・」

泣きながらいなくなった男の話をする亜由美。
このまま亜由美の計画が崩れれば、この婚約がそのまま結婚と進む可能性もあった。

「少し落ち着いて・・・。取り敢えず彼を捜そう。東條で捜すのはリスクがある。そっちは俺が引き受けるよ。
それで・・・もし彼の気持ちが変わっていたらどうするつもり?」

「・・・考えたこともないわ。私は東條を捨てて彼の所にいくつもりだったのよ?行くところがなくなったら・・・」

「そのまま花沢に入るつもり?悪いけど俺にはそのつもりはないよ」

気落ちしている亜由美には申し訳ないけど、万が一にも彼女の気持ちが変わらないようにあえて突き放した。
そして、すぐに日本に電話をかけた・・・総二郎には悪いけど頼れるのはそこしかなかった。

「・・・総二郎、こんな時間にごめん。牧野、どうしてるか知ってる?まだうちの人間が付いてるかどうか
・・・なんて知らないよね」

『多分、もう付いてないと思うけどな。お前んとこの別荘出てから俺が探した家に住んでるだろ?
そこに1人ほどうちの人間つけてんだよ。あいつの母親ぐらいの年の女性だけど、色々と世話してくれてる。
石垣の出身だから牧野も頼れるだろうし、万が一の時は逃げることも出来るしな。
その人には花沢の監視の話しもしてるから、変わったことがあったら連絡くれるようにしてるけど
今までも何も言ってこない。・・・それはもう、気にしなくてもいいと思うけどな』

それは・・・?他に何か別の問題でもあるかのように聞こえた総二郎の言葉のほうが気になった。


『お前の方はどうだ?1年間ってのは大丈夫だろうな?もう随分タイムリミットに近づいてるけど?』

「・・・少しトラブってるよ。亜由美の方がね・・・」

俺は総二郎に亜由美の相手の話をした。東條から出された料理人でかなりの腕前なら他の店ですでに
働いているかもしれない。とにかくその男を捜せないかと。

『仕方ねぇな・・・どんだけ俺に迷惑かけたら気が済むんだよっ!お前達は・・・ったく・・・料理人だろ?
まぁ、すぐに見つかるかわかんねぇけどやってやるよ。ここまで係わっちゃお前も俺にしか言えねぇんだろ?』

「・・・ごめん。総二郎・・・仕事忙しいのに」


『お前に為ってより牧野のためだな。だから気にすんな。あいつは俺たちを変えてくれた女だから特別だ。
このくらいはなんでもねぇよ・・・じゃあな!』


電話を切ってから後ろを振り向いたら、窓から外を眺めている亜由美がいた。
いなくなった男を思ってるんだろう・・・その姿は牧野と重なって見えた。


******


「つくしさん、今日は病院に行きましょうか?もう少ししたら車が来るから支度をしてね?
あら?どうしたの?・・・気分が悪いの?」

「・・・ごめんなさい。昨日はあんまり寝てないんです」

和代さんに声を掛けられた時、私はまだベッドから起き上がれなかった。
昨日、また星空を見過ぎて・・・それから星座を調べていたから。

星座にまつわる恋のお話し・・・なぜか悲しいものが多いから。
いけないとわかっていても自分の事と重ねてみてしまう。どれも結末は不幸せなものばかりだった。

「まぁ・・・睡眠は大切なのよ。それにお母さんの気持ちが赤ちゃんに伝わってしまうわよ?
あまり考え込まないで・・・きっとその子は幸せを運んでくれるわ。その子はあなたの宝物でしょう?」


宝物?・・・うん。そう、宝物だ・・・。
あの時にもらった宝物。早く会いたいなぁ・・・1月だって言ってたっけ。
ふふっ・・・私と同じ山羊座か水瓶座ね。・・・でもまだ先だなぁ。

「ねぇ、和代さん。竹富島には帰れないのかしら」

「総二郎様から許可が出ていないわ。私にはよくわからないんだけどあなたを守るように言われてるの。
ごめんなさいね・・・我慢してね」

「ううん。西門さんにお礼言っておいてください。我儘を言ってすみません」



ねぇ、・・・類。安定期に入ったんだって。
つわりも治まったみたいだよ?和代さんが全部作ってくれるから、私何にもしなくてサボってばかりなの。
そしてね・・・この子が言うのよ?泣きたくなった時に声をかけてくれるの。

泣いちゃダメだよ・・・笑ってないとダメだよって。


ねぇ、類・・・この子はあなたに似ているかしら。
もしそうならいいのにね。
そうしたら、私・・・類の代わりに一日中この子を抱き締めてるの。

私に似ていたら?それでもやっぱり抱き締めてると思うわ。
だって・・・宝物ですもの。・・・私たちの。

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