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「We call the Japanese tea ceremony “Sado”」(日本のお茶の様式を茶道と呼びます)

「茶道は日本の伝統文化です、はい」
「・・・・・・Sado is a Japanese ・・・Japanese ・・・」

「traditional 」
「あっ!Sado is a Japanese traditional culture!」(茶道は日本の伝統文化です。)


車の中でも英会話教室が続き、勿論運転は西門さん。
私は助手席で堤さんに作ってもらった「西門流英会話Lesson」のプリントを握り締めて暗記中。
1番初めに覚えたのは「Please take the ocha gashi♡」(お茶菓子をどうぞ) だって言ったら西門さんに「そりゃ英会話じゃなくてお前が言われたい言葉だろう!」って怒られた。


あれから10日経って、今向かっているのはパスポートセンターだ。
大至急って事で申請して、今日が受取日。ほんの少しワクワクする・・・それを見て西門さんは呆れたように笑った。



「は~・・・これがパスポート」
「一応申請すればもらえるんだからそこまで喜ぶようなもんじゃねぇよ。終わったんなら次いくぞ!」

「はいっ!」


手に持ったパスポートの顔写真のなんと幼いこと・・・でも、嬉しくて何度も自分の顔を見ていた。隣から覗き込んだ西門さんは「プッ!」と噴き出してたけど。


そのまま今度は茶道教室。
今日も西門さん目当ての激戦に勝ち抜いたおば様達のお稽古をした。

その後に渡米の為のお買い物もあるって事で、着物から普段着に着替えて車に飛び乗った。
それも時間が惜しいって事で西門さんの運転で、今度は英語の勉強じゃなくて助手席で電話三昧。急に留守にするから色んな客先に説明と予定変更で大忙しだった。


「もしもし、西門の秘書の牧野でございます。先日申し込んでいただきましたお稽古の件ですが・・・」なんて西門さんの前で電話していたら、切った後で言葉遣いの指導やら口調の速さで叱られてばかり。
「相手は年寄が多いんだからもう少しゆっくり喋ってやれよ」って言う西門さんの運転が焦りまくってるんだから説得力は全然ない。


「はいはい、次はゆっくり喋りますよ、えーと・・・今度は」
「その前にあの店に行くぞ」

「は?何処ですか?」
「風呂敷専門店」

「・・・・・・風呂敷?」


何に使うのかと思えば、デモンストレーションの時に渡す、所謂「来場記念品」みたいな物らしい。毎回こういう時には持参してて、それが外国でも人気の風呂敷か扇子だとか・・・。
家元がギックリ腰になった時に、この件の引き継ぎが出来てなくて少し手配が遅れたんだと面倒臭そうに話した。

でも、そのお店に着いたら「ふぅ・・・」って溜息ついて、イマイチ乗り気じゃ無さそう・・・?


「どうしたんですか?」

「・・・毎回だからなぁって思ってさ。大体日本文化の紹介だから殆どが土産も和風で来るだろ?
確か前回は琴の連中と、前々回は歌舞伎の連中と土産が被ったって親父が言ってた。俺が別の企画で行く時も大抵風呂敷だしな。だからってデカいものは置き場に困るし。
ま、仕方ないか・・・風呂敷は確かに向こうでも人気だし、軽いし便利だしな・・・・・・飽きるけど」

「渡すのは風呂敷だけなんですか?」
「いや、簡単な茶のセットをいつも付けてる。茶碗は小振りな並の商品で、茶筅と茶匙と抹茶の小袋。それに茶菓子と懐紙を付けて、そいつを向こうで袋詰めして風呂敷と一緒にな」

「へぇ!すごい!沢山人が来るんでしょう?」
「そうは言っても1回に100名ぐらいじゃね?いつも土産は200ぐらいしか用意しねぇし」


西門さんの説明だと、そういうイベントはまず全体の紹介と現在の活動状況などを主催者が来場者に話し、その後各ブースに別れてデモンストレーションを行うとか。
だから総ての人が茶道に来るわけじゃない。その中でも興味を持って話を聞いたり実祭に体験した人に渡すらしい。


「・・・・・・・・・ふむ」
「お前が悩んでどーすんだよ。行くぞ、今年の柄を選ばなきゃなー」

「・・・お土産、今年は自分で作ったらどうでしょう?」
「・・・・・・は?」



*********************




俺の中にはない発想・・・土産を作る・・・誰が?
キョトンとして牧野を見ていたら、こいつはすげぇ偉そうに、得意顔で「ふふん!」って言いやがった。

「馬鹿じゃねぇの?!誰がどんなものを作るって?」
「私が作ります!簡単なんですよ、巾着袋とかどうですか?」

「・・・は?なんだそれ」


巾着袋・・・聞き慣れない言葉に店に入ろうとした足が止まった。
いや、想像は出来るがそれを「西門」が「作る」・・・?


「お弁当袋みたいなので紐で縛るヤツですよ!それを手作りして中にお茶セット入れたら良いんじゃないですか?絶対に他と被りませんよ?」

「馬鹿馬鹿しい!そんなの作る時間がいつあるんだよ!」
「だって今は西門に寝泊まりしてますよ?アパートじゃミシン掛けにくいけど、本邸だったら出来るでしょ?あっ、ミシンってあるんですか?」

「知るか!いいから行くぞ」
「え~~~っ!絶対にいいと思ったのに~!」


巾着袋なんて庶民的なものを言ったかと思えば、その上手作り!幼稚園児じゃねぇんだからそんなものを土産で渡せるか!
ブーブー五月蠅い牧野を無視してスタスタとその店に入ろうとしたら・・・


「どうもありがとうございました~」
「それじゃあ宜しく!ギリギリで申し訳ないね」

そんな声が聞こえて、出てきたのは華道、東川流の放蕩息子、東川壮一郎!
俺のすげぇ嫌いな男が出てきやがった!


「おや、総二郎君?」
「・・・・・・久しぶりですね、壮一郎さん」

「あっ、もしかして君もここで風呂敷の注文?あぁ~、そりゃごめん!もう間に合わないってよ?」
「はっ?!」

「あれだろ?政府主催のアメリカのヤツ。今年は総二郎君が行くのかい?うちは俺なんだよ~!」
「・・・・・・・・・マジ?(俺としたことがこいつの名前を見落としてたのかっ!)」


この東川壮一郎は俺より3歳上で、昔からお互いの家を行き来していたからよく知ってる奴だ。
チャラくて女ったらしで節操がなくて、夜遊びだらけでそんなに大した腕もねぇのに一人息子だから跡取り。何かに付け俺や祥一郎と張り合ってきたが、祥一郎が茶道をリタイアしたときに散々西門を馬鹿にしたから今では犬猿の中だ。

そいつが急に店から現れてニヤけたもんだからムカッとして睨みつけてしまった。
そして真後ろには結構美人のオトナの女。もしかして?って思ったら「こいつは秘書の宏美」・・・・・・。


・・・不味い!!


「西門さん、どうしたんですかぁ?」
「・・・いや、何でもない!」

もしかしたら牧野を見て何か言うかも、って思った時には遅かった。
俺の背中からひょっこり顔を出した牧野はまん丸い目で東川を見つめ、逆に東川と秘書の宏美って女は驚いた顔をした。


「総二郎君、その子は?」

「・・・・・・えーと」
「こんにちは~。西門の秘書の牧野と申します。西門さん、紹介して下さいよ!」

「えっ?総二郎君の秘書・・・この子が?」
「あら、お幾つなの?まだ学生じゃないの?」

「・・・・・・えーと」
「えっ♡そんなに若く見えます?でももう24歳なんです~!」


褒めてんじゃねぇよ!馬鹿にしてんだよっ!!


壮一郎はクスクス笑い、宏美はふふっ、と小馬鹿にしたような含み笑い。
「すごく可愛い子にしたんだねぇ」と俺の真横で囁いて、牧野にも「こんにちは~!」なんてチャラい動きで手を振っていた。


「・・・牧野。こちらは華道、東川流の家元のご子息で東川壮一郎さんだ。今回のメンバーの1人・・・だそうだ」

「そうなんですか?じゃあまたお会いできますね~」
「うん、そうだね。どう?総二郎君のお守りは。大変じゃない?この人我儘だから」

「あはは!いえいえ、西門さんの方が私のお守りで大変だと思います。まだ勉強中ですから」
「へぇ~、君のお守りもしてるんだ?」
「うふふ、私達と同じね♡」

「・・・は?」
「牧野、気にするな。時間がないから急ぐぞ」


そう言って此奴らの横を通って店に入ろうとしたら再び引き止められた。

「さっきも言っただろ?もうこの店で注文しても期日に間に合わないんだって。俺達のでギリギリなんだ。ほら、家紋とロゴを入れるだろ?他を当たれば?今年は書道の後藤さんも日舞の藤沢さんもここの風呂敷なんだってさ。ちょっとうちものんびりしてたけど、西門はもっとのんびりしてたんだねぇ」

「・・・家元が少し調子を壊したので連絡が悪くてですね・・・」
「おや、そうだったの?総二郎君がまさかの家元?」

「・・・いえ、復活しました」
「そうなんだ、良かったねぇ~。まだ早いよね?」

「・・・・・・・・・・・・(てめぇが襲名するよりはいいと思うがな💢)」

「それじゃあ総二郎君、アメリカで会おうな!」
「失礼しますわ、西門様」


くそっ・・・!あんな男と同じ土産なんてこっちから願い下げだ!
これから寒くなるから扇子は時期外れだし・・・💢

店の前で腕組みして考えていたら、牧野が何が起きたのか判らずキョトンとした顔で立っている。


「・・・・・・・・・」
「風呂敷ダメだったんですね?」

「・・・・・・・・・」
「どうしましょう・・・もう夕方ですよ?」


「牧野、巾着袋ってどうやって作るんだ?」
「おっ!その気になりましたか?」



こうなったら絶対に被らねぇ土産だ・・・すげぇ小さな闘いだが、あの男には負けたくない!!
(いや、巾着袋で既に負けてるのか?)





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Comments 8

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2019/10/26 (Sat) 13:57 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/26 (Sat) 15:14 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/26 (Sat) 17:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あっはは!もうねぇ💦ここ、心配だったんですよ(笑)
は?って思われるだろうなって。

でも、これが後で色々とね・・・2人の関係に関わってくるのですよ(笑)
楽しみに待ってて下さいね♡

巾着袋、私もよく作りました(笑)
友達の出産祝いに「外出用オムツ入れ」とか。その時の端布が山ほどあります。


ってことで、今晩から西門ではミシン音が響きますよ~!!

2019/10/26 (Sat) 19:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

Blizzard Oh! Blizzard
閉ざせ二人を~
流れる距離と時間を消して~~~~あら、消えてしまったわ(笑)

どうしましょ(笑)


爆笑っ!!今度はそう来ましたか!!
学校、好きですね~~(笑)

総ちゃん、紐で何かしそうで怖いですね(笑)

2019/10/26 (Sat) 19:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 手伝いたいです

coco様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

はははっ!こっちは和みますか?(笑)ですよね~~~~。
うんうん、向こうはね・・・今年いっぱいぐらいはチーン!だと思います。


ええっ!そんなに作れるものですかっ?!
あら・・・西門の200個を2000個にしたら良かったかしら(笑)

今からつくしちゃんと総ちゃん、材料買いに行くんですよ(笑)
そうかぁ・・・200個だとcoco様はすぐに作っちゃいますね?

お手伝いに行ってあげて下さい(笑)

こちらこそ、これからも宜しくお願い致します。

2019/10/26 (Sat) 19:48 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/26 (Sat) 21:25 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 200個は…

coco様、こんばんは。

おおっ!我が家も業務用ミシンとロックミシンは「糸取り物語」だっけ?高いヤツです(笑)
ミシン3台で多分50万ぐらいかな?馬鹿じゃないの?って自分でも思いますが、これが仕事だから仕方ないと。

爆笑!総ちゃんがそんな事を?(笑)
イライラしそうですよね~💦

そう言うの、あきら君にさせたらやりそう(笑)類は1個で寝る。司は出来ない(笑)


そうそう、和柄ですよねっ!
楽しいコメント、ありがとうございました♡

2019/10/26 (Sat) 23:41 | EDIT | REPLY |   

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