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何が起きたのかは判らないけど急に言われた「巾着袋ってどうやって作るんだ?」
そういう庶民的な事ならお任せ!って事で、それから風呂敷専門店には入らずに大きな手芸店を探した。


「・・・牧野、手芸ってなんだ?」
「は?何って・・・小物作ったり編み物したりですかね~、ビーズアクセサリーとかもそうですよ」

「・・・誰が作るって言ったっけ?」
「私ですよ。任せて下さい!こうみえて得意なんです♡高校まで手提げカバンは自分で作ってましたから」

「カバンも作れるのか?」
「うん、布ですけど」

「・・・・・・・・・(革じゃねぇんだ)」


さっきはあれだけ「人と被りたくない!」って喚いていたのに、手芸店の中に一歩入ったら硬直。そして店員さんも硬直。
確かに似合わないから双方驚くのも無理は無い。でも時間が無いから西門さんは放っておいて、そこに居た若い店員さんに声を掛けた。
この辺じゃ大きな手芸屋さんだからかしら、お客さんが結構居て、スーツ姿の男性も居た。
あんな格好でこんな店・・・凄い違和感だなって目が行っちゃう。でもそれよりも西門さんの方が似合わなかったけど・・・。


「すみませ~ん!」
「はい、いらっしゃいませ」

うわっ・・・可愛い人!
しゃがみ込んでいたその店員さんが立ち上がってニッコリ笑ってくれた。私より小柄で、歳はあんまり変わらない感じ?ネームプレートを見たら・・・「堤」。

はぁ~、この人も堤って言うんだ?


「あの、和柄の生地を探してるんですけど」
「和柄?何を作るんですか?」

「巾着袋を200個なんですけど」
「・・・は?」

可愛い顔をポカンとさせて、その店員さんも固まった。うん、無理もないよね・・・でもここは急がなきゃ!


「外国の方へのプレゼントなんです。時間が無いから今日の夜からでも縫わなきゃいけなくて」
「は、はい!じゃあ・・・これなんかはどうですか?」

「あら、可愛い~!」
「裏地はお付けになりますか?もし付けるんなら表地はこっちで裏地はこれなんてどうでしょう?」


この店員さんが勧めてくれたのはアムンゼンって言う梨地織りで、ほんの少しデコボコがあって滑らかな生地。
普通のお店には無地しかなかったのに、このお店には和柄があって「桜流水」「梅に縞」 「市松菊」「花手毬」・・・着物に使われるような絵柄で可愛かった。
そして勧めてくれた裏地は綿プリントの「矢絣」「青海波」「唐草模様」「麻の葉」。こっちはシンプルでリバーシブルに出来ると面白いって。

リバーシブル・・・でもそれだと少し手間が掛かる。
でも確かにいいかも?って指折り数えて・・・10日間しかない。

でもやるしかないか!とその4種類を何メートル買えばいいかを堤さんと必死に計算した。


「えーとえーと・・・あんまり小さいとお茶碗が入らないから、ひとつが60㎝×25㎝でしょ?」
「生地幅が110ですから・・・えーと、4種類だし・・・」

「1つの柄で50個作るのに7m80㎝だ」
「「・・・・・・・・・(計算はやっ!)」」


結局ここで買った生地は表地のアムンゼンと裏地の綿プリントを各8メートルずつ合計64メートル、バイアステープ、ミシン糸、紐200mで、合計4万円ちょい。おまけだと言って少しだけ端布ももらった♡
これを西門さんに言ったら「は?」って驚かれた。


「あっ!高かったですか?もしかしてお金、持って無い?私も今は2000円しか・・・」
「いや、その反対だろ!」

「・・・どういう事?」


西門さん曰く、今までのお土産はネーム入風呂敷、正絹ちりめんで1枚2万円・・・200枚で400万円?!!
今回のお土産は1つが約200円・・・・・・。


いや、お土産に400万円、出す方がおかしいでしょ!それにお茶セットも入ったら・・・・・・いくらになるの?




**********************




「総二郎さん・・・何が始まったの?」
「ん?あれか?・・・巾着袋作りらしい」

「・・・・・・巾着袋?」
「はは・・・今度のアメリカ行きの土産だとよ」


今、お袋と見ているのは母屋の奥にある使用人が泊まりこんでる棟の一室。
そこで牧野を中心に女性の使用人が数名、ヤケに楽しそうに集まっていた。西門家、始まって以来の光景だ。

初めて入った手芸店屋で、これまた初めて生地ってものを買ったが、そいつを持ち帰って牧野が志乃さんに話したところ・・・


*

「まぁ!そんなの200個もあなた1人で出来る訳ないでしょう!・・・判りました。ここは使用人総出で頑張りましょう!」
「え?志乃さん、それは困ります!皆さんのお仕事の邪魔をしてはいけないので、ミシンだけ貸してもらえませんか?」

「何を言っているのです!総二郎様のお仕事のサポートです。空いた時間にみなで掛かればそれほど大変ではありません。では、早速準備を始めましょう!」

「し、志乃さん?!」

「志乃さん、俺も?」
「総二郎様は邪魔です!」

*


・・・生まれて初めて「邪魔」って言われた。

その志乃さんのひと言で作られたのが「巾着袋制作室&製作スタッフ」。
そこに使用人の着物修復の為に置いてあったミシンが数台並び、使用人達が楽しそうに生地を広げて大はしゃぎ。襷掛けして指揮をとる志乃さんと、ハサミで生地を切っていく牧野。数人は作り方をタブレットで確認中だ。


「マチ付きの可愛いヤツも作りません?」
「でもそれだとリバーシブルには出来ないよね?」
「お茶碗が入ればいいんですかぁ?」

「紐の先に和風ビーズ、付けましょうよ!私ネットで売ってる店知ってるよ?」
「あっ、いいわねぇ~!」

「懐かしいなぁ~!昔お母さんが作ってくれたの、嬉しかったもの」
「そうそう!キャラクターものだったりね!」
「和柄って可愛いねぇ~」

「西門の家紋は必要ですからタグとして縫い付けますよ、判りましたね?タグは大至急作らせますから、出来たらすぐに縫えるように下準備です!」
「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」」

「申し訳ありません、皆様~💦」


俺とお袋にはなんのことだかさっぱり&呆然。
ただあまりにも昼間の様子とは違う使用人達の笑顔に驚いた。いつもはみんな真顔で仕事していて、俺達に笑った顔なんて見せないのに。
そして牧野の回りにみんなが集まって、あーでもない、こーでもないと何かを話し合ってた。



「・・・あなたの探してきた秘書は変わってるわね、総二郎さん」
「まぁな。あんな女、滅多に居ねぇと思うわ」

「ふふっ、あなたがこんな事をさせるのですもの、確かに滅多に居ないと思うわ」
「どう言う意味だよ・・・」

「なんでもありません。私はお手伝い出来ないから、何か差し入れでもしようかしら。確か京都から美味しいお菓子が届いていたわねぇ~」


お袋まで笑いながら自分の部屋に戻って行った。

ま・・・いいか。外国人に何がウケるのか判んねぇからな・・・。




**********************




まさかこんなにも手伝ってくれる人が居るなんて思わなかった。
これも志乃さんの呼びかけだから嫌々?と思えば・・・そうでもない。集まってくれた使用人さん達は「最近、お屋敷が明るいもんね~」なんて言ってる。

志乃さんが用があるって部屋を出ていったら早速会話が始まった。


「牧野さんは最近だから判らないのよ。昔はねぇ~・・・」
「そうそう。元々家元も家元夫人もそこまで怖くないんだけど、後援会の方々が五月蠅いし、先代は厳しかったわね」
「うんうん、だから祥一郎様が家を出ちゃうし、孝三郎様はヤンチャだし、総二郎様は尖ってるし」

「尖ってる?」

「うん。とにかく笑わなかったわよ?イケメンだけど怖くて近寄れなかったもん」
「見てるにはいいけど話したら凍っちゃうぐらいだったよね~。外じゃ派手に遊んでおられるけど」
「そういえば最近はお屋敷にいらっしゃるわね」

「怖くて近寄れなくて凍る・・・?」


確かに優しそうか怖そうかって言われたら間違いなく「怖そう」
穏やかか鋭いかって言われたら「鋭い」・・・でも「怖そう」だけど本当は優しい人だと思うんだけど。
表現の仕方がちょっと人と違うだけで、他人に心を開くまでに時間が掛かるややこしい人だと思うけどな・・・。

そんな会話をしながらも、みんなでやったら準備も早い!
あっという間に生地を切り終えて、器用な絵美さんが早くもミシンを使い出した。
他の人は畳の上に表地と裏地を並べて組み合わせを考え中。さっき集まったばかりなのにチームワーク抜群!


その時だった。


「そういえばさ、厨房の人達の噂だと総二郎様、とうとう決めるんですって?」
「「「うそっ!!」」」

「西門さんが決める?何を?」


「婚約者よ。家元夫人が料理長に言ってるのを聞いたらしいの。『総二郎さんのお祝い膳を考えておくように』って」



西門さんが・・・・・・婚約?




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*和柄イメージです*

桜流水
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梅に縞

ho311-1110-2_YM_1.jpg

市松菊

5550-101-8.jpg

花手毬

61YxTKEDuDL.jpg

和柄ビーズ

imgrc0063484027.jpg



こんな感じです。ちょっと同じ色合いしか見付けられなかったけど💦
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Comments 4

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2019/10/27 (Sun) 14:22 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/27 (Sun) 15:25 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

和気藹々だったでしょ(笑)
衣装屋の私でも和柄のものは買いませんが、実はそんな端布が大好きです!
京都の縮緬細工とか大好き♡

巾着、私も手伝いたいわぁ!
この巾着袋制作室のメンバーになりたい(笑)


そう思ったら・・・でました!「総二郎さんのお祝い膳」!!

つくしちゃん、大丈夫かな?(笑)

2019/10/27 (Sun) 22:30 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

巾着袋は可愛いんですが、1個200円ですから(笑)
しかもリバーシブルの裏地に「唐草模様」💦いいのか?西門流!

でも、あったら欲しいかも(笑)

もしかしたらこのまま巾着袋制作室が定着したりして。怖いですねぇ~💦
因みに私の眼鏡ケースは黒の「桜流水」です。印鑑も紫の桜流水・・・好きなんです♡

総ちゃんのお祝い事・・・さて?なんでしょうかね。

2019/10/27 (Sun) 22:36 | EDIT | REPLY |   

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