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plumeria

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それは思いもしないことだった。

亜由美の方から結婚式を挙げたいと申し出たらしい。
いつまでも俺が動かないからと東條の親に話を持っていき、そして花沢の両親に東條からのイヤミを込めた
申し入れがあったと・・・。

「東條との繋がりを切るわけにもいかん。来月、フランスで式場を予約したからな!全く・・・いつまでもぐずぐずと
しているから東條にも散々嫌味を言われたぞ。お前もここに来てから随分と会社に貢献しているようだな。
あれだけ大規模事業を取り纏められるようになるとは頼もしい限りだ。この機会に身を固めて落ち着くといい」


「亜由美が申し入れた・・・というのは本当ですか?」

「日本にいる父親にそういったらしい。あまり女性の方に負担をかけるもんではないぞ。
まぁそういう事だから、そのつもりで準備をしなさい」

あえて、わかりました・・・なんて言わない。ただ無言でその部屋をでた。


亜由美とは部屋をわけていたから、その後すぐに彼女の部屋を訪れた。
ノックをすると以前と違って笑いもしない、暗い表情の亜由美が出てきた。


「入るよ・・・ねぇ、どういうつもり?なぜ、あんなことを言ったの?」

「どうせ私は彼に捨てられたんですもの。ここまで来てこれ以上の恥はかきたくなかったのよ。
あなたには大事な人がいるってもうわかってるんですもの。あなたにも丁度いいでしょう?
これで堂々と妻公認で浮気すればいいわ。私はそのことでいちいち文句は言わないわよ!」

自分の行き場のない思いをどこにも持って行けなくて、愛してもない俺の所に来る決心をしたという。
涙を流しながら訴える亜由美が哀れだった。


「もし、相手の男が見つかったらどうするの?俺と結婚なんかしたらそれこそ戻れないよ?
俺は諦めないし、彼女を愛人のように扱うことなんて出来ない。あなたと籍を入れるつもりはないよ。
俺の籍に入れるのはあいつだけだから・・・」

「酷い人ね!自分だけ幸せになるつもりなの?」

「何を言われてもかまわないよ。自分の幸せのためにしてるんじゃないさ。幸せにしたい人がいるだけだよ。
その人の幸せは俺じゃないとダメだからね」

わかってるよ・・・俺の一言で亜由美を傷つけてしまうってことは・・・。
それでも手に入れたい夢があるんだ。一生かけてでも追い続けたい人と夢があるから諦めるわけにはいかない。


「・・・じゃあ、彼にとっての幸せは私じゃなかったって事なの?」

「それは本人に確かめなよ」


この後、本当に偶然・・・総二郎からの連絡が来た。


*******


「はぁっ・・・はぁっ・・・和代さん、苦しいよぉっ!」
「もう少しよ!頑張って・・・私が付いてるからね?こう見えても何人もとりあげてきたんだから!
ほら!しっかり息を吸ってっ!」

これがいつまで続くのか・・・もう痛みで身体が引き裂かれそうだった。
ベッドの上に和代さんが作ってくれたもの・・・バスタオルを輪にしてそれを掴んでいた。
普通のベッドだから掴むものが何もなくて手の持っていき場がなかったから・・・。

「はぁっ・・・はぁっ!うぅっ!」
「つくしさん頑張って!頭が見えてきたわよ?!もう少し!」

「いやぁあっ!もうダメっ!・・・和代さん、助けてっ!」

「自分を信じなさい!この子に会いたいんでしょう!さぁ!ほら・・・もう一度、息を止めてっ!!
力を入れるのよっ!」
「うっ・・・!あああぁっ!!・・・!!」



オギャ~オギャ~ オギャ~!フンギャア~!!




遠くで微かに聞こえたような気がする・・・赤ちゃんの産声。

「はぁっ・・・はぁっ・・・生まれた?・・・私の・・・赤ちゃん」


小さく泣く声が聞こえる・・・その声が私の宝物?
声にならないんだけど・・・元気なの?大丈夫なの?・・・男の子?女の子?どっちでもいいんだけど・・・。

涙がどんどん溢れてきて回りが見えない。
和代さんが何かを色々としているようだけど、全身が痛くてまるで力がはいらなかった。


しばらくしたら和代さんが赤ちゃんを連れてきてくれた。
ふわふわの髪が少しだけ見えた。


「ほら・・・あなたの宝物・・・ちゃんときてくれたわよ」
「ありがとう・・・和代さん・・・ありがと・・・」

私の顔の真横に何度も夢見た人と同じ顔の宝物がそっと置かれた。
神様は1人になった私に、彼とそっくりな宝物をくれたんだ。
まだ、開いてないけどその目は彼と同じかしら・・・口元は本当に彼に似てる・・・

さっきとは違う幸せな涙がこの天使のほっぺたに落ちた。


ねぇ・・・類、・・・私のことを褒めてくれる?頑張ったんだよ・・・。
すごく・・・すごく頑張ったんだよ?

いつか会えたら・・・よく頑張ったねって抱き締めてくれる?
私はこの子のおでこに初めてのキスをした。


「初めまして・・・これからは宜しくね」

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Comments 6

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2017/06/06 (Tue) 05:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます

えみりん様~!おはようございます。

生まれましたよ!
どっちがいいですか?明日はまだわかんないんですよ。
類が大変だから・・・。ちょっとフランスを片付けてきますね、先に!

総二郎がいいっ!なかなかこんな総二郎も良くないですか?
お昼にはボロボロなのに・・・。

感動の再会まで少し待っててくださいね!

では、私もゴミ出し行ってきます!

2017/06/06 (Tue) 08:20 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/06 (Tue) 09:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

簡単に書いてしまったけど、自宅で産むとか考えられないですよね!
産んだ後が大変そう。
私は自分の時は、産婦人科にちょうど赤ちゃんが一人もいなくて(初めてだったようですよ?そんなこと)寂しいから、今日産みましょう❗って言われました。

ドン引きでしたよ。

あ、私も余談でしたね。

今からは類君が頑張ってくれます。
また、来てくださいね🎵

ありがとうございました❤

2017/06/06 (Tue) 12:51 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/06 (Tue) 14:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは🎵

いつ、再会できるか!ですが、短編なのでもう少ししたら感動的な場面かも?

いや、出産シーンは文字には出来ませんね。
反省しましたよ。

あとわずかですから、宜しくおつきあいくださいませ。
いつもありがとうございます🎵

2017/06/06 (Tue) 16:17 | EDIT | REPLY |   

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