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類お兄様の返事を聞かずに、16分経ったら観覧車は予定通り私達を元の場所に戻してしまった。
2人だけの空間は急に風を感じる広い世界に変わり、また乗る時と同じようにお兄様の後をついて行く・・・その先には駐車場が見えていた。

あそこに行くまでが最後のデート・・・その現実は苦しかったけど、想いをぶつけたから少しは楽になった・・・そう思うしかなかった。


「・・・花音」
「は、はい!」

「大学・・・3年だっけ?」
「・・・はい」

「大学は卒業した方がいいと思う・・・中退させるわけにはいかない」
「・・・・・・え?」


それ・・・どう言う意味?
大学を卒業したらフランスに行ってもいいって事?

その言葉を聞いて私は驚いて立ち止まってしまった。そうしたら類お兄様も気が付いて足を止め、ゆっくり振り向いて私の顔を見た。凄く、優しい顔して・・・。


「・・・花音の事は愛おしいと思う。それは本当だけど、君の総てを求めるかと聞かれたら答えられない。
そんな俺のところでいいなら、あと1年間じっくり考えて、まずはアシスタントとしてフランスにおいで」

「アシスタント?」

「そう。西門とは全く違う世界だけど、花沢に入って俺の補佐をするんだ。フランス語も勉強しなくちゃいけないし経済も学ばなきゃいけない。その覚悟が出来るなら・・・だけどね」


多分、それはお兄様の精一杯の優しさ・・・そして私を傷付けないように遠ざけようとしたんだと思う。女性としては見ることが出来ないって、それをアシスタントって言葉に置き換えたんだ。

でも私は今の言葉の中で、自分に都合のいいところだけを受け止めることにした。
何処からこんなパワーが来るのか自分にも判らない・・・ただ目の前にいるこの人を失いたくない、それしか考えられなかった。


凄く我儘で自分勝手、そう思われてもいい。
今、全力で掴みたい夢がある・・・どんな小さなチャンスでも逃したくなかった。


「覚悟はあります。お兄様・・・私、大学を辞めます」
「花音、それは俺が反対。そう言ったよね?」

「英徳を中退してパリの大学で経済学を学びます。その為に外国語学科ではフランス語を勉強したわ。向こうでももっと勉強します。そして卒業したらお兄様の傍で働きます。それなら連れて行ってくれる?」

「花音・・・!」

「アシスタントでいいわ。それでお兄様の傍にいられるなら花音は頑張ります!」

「でもそれは最終的には君の望みじゃないんだろう?俺にはまだそのビジョンは無い・・・だから」
「そんなの、どうなるかなんて判らないでしょ?」


小さい時からみんなに可愛がられて大切にされて、なに不自由なく育ってきた。
父様と母様、あきらパパに仁美ママ・・・それに紫音に絢音に颯音、お爺様、お婆様、美作のお爺様、お婆様・・・沢山の家族に愛されて、いつも笑って暮らして来た。

それでもいつも心の中に居たのは類お兄様で、どうしても・・・どうしてもその手が欲しかった。


「母様はよく自分の事を雑草だって言ってたわ。何度踏みつけられても再び葉を広げて花を咲かせる雑草だって・・・だから幸せだって言ってたの。それなら私だって雑草の娘ですもの、簡単には枯れません!」




***********************




雑草の娘・・・くすっ、そんな言葉を聞くとは思わなかった。
流石だね。やっぱり牧野の子供だ。


はぁ・・・・・・仕方ない。総二郎に殴られるのかな、俺・・・。


「・・・馬鹿だね、花音」
「それを言うなら類お兄様の方が馬鹿だわ。私よりずっと長いんだもの」

「ははっ、そうかもね。じゃ・・・帰ろうか」
「・・・お兄様?」

「総二郎に・・・父さんに言わないといけないだろ?少し怖いけどね」
「・・・・・・はい!」


それまで後ろを歩いていた花音が嬉しそうに横に並んだ。
確かにさっきみたいに思い詰めた顔で暮らしていくのを考えるより、そうやって笑顔でいられる方がいい。それなら「同士」として一緒に暮らしてみようか・・・歩きながらそんな事を考えた。

そうやって暮らしていった先の事は・・・まだ判らないけど。


車に乗ったら1番にしたのは総二郎に電話・・・「今から連れて帰る」と言えば「遅い!」と怒鳴られて切られた。
これよりもっと怒鳴られるのかと思うとホントに嫌なんだけど。




西門に着いたら車の音を待っていたかのように総二郎が飛び出してきた。花音はその顔を見てビクッとしていたけど、後ろから牧野も転けそうな勢いで出てきたのを見てホッとしたようだ。
総二郎は牧野の前だと無茶はしない・・・それを判ってるから。

でも、今回はそうなるかどうか。


「花音・・・お前、今まで何処に行ってたんだ!心配掛けやがって!!」
「総、落ち着いて!は、花沢類、どうもありがとう!」

「いや、遅くなってごめん」
「父様、母様、ご心配かけました・・・本当にごめんなさい!」

「ごめんで済むか!紫音から聞いてどれだけっ・・・!この馬鹿野郎!!」
「総!!」


総二郎が花音の近くまで来て右手を高く上げ、それが今にも振り下ろされようとした時、牧野があいつの身体を止めた!俺も驚いて花音の前に飛び出して庇ったけど、まさか総二郎がそこまで怒るとは思わなかった。

別に深夜でも無い。
まだ夜と言っても8時前だ・・・それなのにここまで感情を露わにするのは、やっぱり花音が連れ去られたというあの事件を思い出すからだろうか。


「花音はちゃんと帰って来たのよ?そんなに怒ってたら何も言えないじゃない。ね?落ち着いてこの子の話を聞きましょう?」
「・・・・・・判った」

「花音もいいわね?欠課の事はいいとしても黙っていなくなるなんて怒られて当然よ。お父様にきちんと説明しなさい。私が連絡してしまったからだけど、花沢類にも迷惑掛けたんだから」

「は、はい。でも、あの・・・」

「・・・・・・どうかしたの?」


不安そうに隣で俺を見上げた花音。
そしてそれを見て眉を吊り上げた総二郎・・・牧野はほんの少し目を見開いた。
流石母親・・・もしかしたら何かを感じ取ったのかもしれない。大きな丸い目が花音を見た後で俺の方に向けられた。

それにニコッと軽く返すと鬱陶しいヤツがまた一歩出てくる。ホント、どれだけ俺を警戒してるんだか。


「あのさ、総二郎・・・」
「なんだ。礼ならつくしが言ったぞ」

「そうじゃないって。話があるんだ」
「こんな時間にか?今日は花音と話すから今度にしてくれないか」

「もう時間が無いんだ。それに少し長くなる・・・車を入れてもいい?」

「・・・判った。裏門を開けさせるからガレージに停めればいい。話は部屋で・・・」
「出来たら紫音や絢音達が居ないところで」


花音の名前をそこに入れなかった事で、何の話か察したようだ。暫く鋭い目で俺を睨んでいたけど、クルッと向きを変えたと同時に背中を向けたまま言葉が返ってきた。


「・・・俺の茶室に来い。花音は玄関から入りなさい」


そのまま中に消えて行った総二郎・・・その背中を見ながら心配そうにしてる牧野。
そして花音はなにか言いたげに唇を動かしていたけど言葉には出来なかったみたい・・・俺が車に乗り込んだら、牧野に促されて正門の中に入って行った。





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Posted by

Comments 6

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2019/10/24 (Thu) 12:27 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/24 (Thu) 13:13 | EDIT | REPLY |   
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2019/10/24 (Thu) 13:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

はい(笑)覚悟したようです💦
私としては凄く微妙ですが、どうしても花音に笑顔になって欲しくて。

だったらこの手しかないじゃん!って思って(笑)
完全に濁してしまった感はありますが、これから総ちゃんにお話します・・・ひえ~💦

1番怖いかもっ!!

この総ちゃん、花音には厳しいけどめっちゃ愛があるので(笑)
また書くには時間が掛かりそうですが、待ってて下さいね・・・。

総ちゃんと類君の闘いを頑張ります!!

2019/10/24 (Thu) 23:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あっはは!
第1ラウンドは類vs雑草の娘 結果、雑草チームの勝ち~~!!
第2ラウンドは類vs頑固親父 結果・・・・・・どっちよ(笑)

ここで頑固親父が勝って、類が負けたら大笑いだよね。

それこそ「お兄様、大っ嫌い!」で終わるんじゃないかな・・・。ねぇ?


皆様、類君への一発を期待してるんだか怖がってるんだか(笑)
確か本編ではあきらが殴られたよね・・・で、総ちゃんは司君に膝蹴りされたよね?

今度は類君か(笑)

みんなよく殴られるなぁ💦怖い怖い!

2019/10/24 (Thu) 23:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

粘り勝ちしちゃいましたね(笑)
まぁ、これが即「花沢家への嫁入り」じゃないって事ですが、その後は・・・判りませんね(笑)

困ったのは総ちゃん・・・。
このお父上は素直に受け入れるとは誰も思いませんよね(笑)

どんな闘いになるのか、私にもまだ判りませんが、頑張って書きたいと思います。
(まだ書いて無いことに驚きですよね💦)

多分、日曜になると思います・・・待ってて下さいね。

2019/10/24 (Thu) 23:20 | EDIT | REPLY |   

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