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plumeria

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『東條を追い出されたっていう料理人の男が見つかったぞ。今は西門に置いて調理場で働かせてる。
どうすんだよ、こいつ』

亜由美の相手が見つかったって言う総二郎からの連絡・・・
内容を聞くとこの男は亜由美からこっそり送られてくるメールなどでその関係を疑われ、花沢との縁組みが
消えないようにと契約期間を待たずに解雇されたらしい。

住み込みだった男は行き場を失い、それまでため込んでいた開店資金を使って生活を続けていくうちに
自暴自棄になってしまった・・・挙句、その資金を使い込んでとうとう路頭に迷う羽目になったと・・・。
その男が働き口を探してとある店に来た時に、総二郎からこの男の事を聞いていた西門の料理人が
偶然にもその店にいたらしい。すぐに西門へとその男は連れてこられた。

総二郎が亜由美のことを話すとその男はひどく落ち込んでその場に項垂れたらしい。
そして、亜由美のことは本気だったと泣きながら訴えたと・・・。


「・・・仕方ないね。悪いんだけど総二郎、その男フランスまで送ってくれない?後は俺が話すよ。
こっちでも亜由美がそいつとのことを諦めて、俺と結婚する気になってるから式の準備が進んでるんだ。
・・・もう限界だね。俺は花沢を出るよ」

総二郎は全部知っている。俺が用意した書類のすべてを・・・だから、もう何も言わなかった。


『そうか・・・まぁ、仕方ないな!何とかなるさ・・・自分が出た後のことだけは考えとけよ?』

「そのためにフランスでいくつもの業績を残したつもりだよ。あれだけ商談決定したらしばらくは
会社も安定するさ。その後はもう両親の決断に任せるよ。誰がこの家を継ぐかなんて興味ないし・・・。
牧野の所に行くよ。・・・総二郎、牧野は元気にしてるんだよね?」


この後、総二郎はしばらく返事をしなかった。

『類・・・牧野の事で話しがあるんだけどな・・・いや、元気してるよ。それは大丈夫だ。
そうじゃなくて牧野にも色々あったんだよ。お前にきちんと伝えなきゃならないけど、牧野に会うのは
少し待ってくれないか?・・・・・・お前がフランスを出るのはいつだ?』

「俺はすぐにでもここを出たいけど、亜由美の相手が見つかったんならそっちを片付けてやりたい。
それに数件ほど終わらせたい案件が残ってるから・・・3週間ほど先かな。
総二郎・・・牧野に何かあったの?」

『なんでもねぇよ。ただお前にも問題があったように、牧野にだって大変な出来事があったってことだ。
もう牧野の中では解決はしてるだろうけど・・・心配すんな。あいつの様子を見てから俺が判断するよ。
俺もここまで関わったんだ・・・ちょっとぐらいなら待てるだろ?』

牧野にとって大変だったこと?まさか今でも花沢の監視がついていたんだろうか?
そいつから何かの嫌がらせを受けたとか・・・総二郎の言葉だともっと違うことのようだけど見当もつかなかった。


「・・・任せるよ。信じていいんだね、総二郎」

『当たり前だ!お前、何年越しの付き合いだ?・・・また連絡する』


*******


そして3週間後、総二郎からの連絡が来た・・・亜由美の相手の男をフランスに送ったと。
亜由美に会わせる前にその男をフランスのあるホテルに呼んだ。

真面目そうなその男は俺に会うなり立ち上がって頭を下げた。

「頭を上げてください。俺はあなたを責めてるわけじゃない・・・今後のことを聞きたいだけですよ。
亜由美のことをどうしたいんですか?もう、一緒に生きていく気持ちはなくなりましたか?」

俺の質問にその男は丁寧に答えてくれた。
亜由美のことは真剣だった・・・だけど何もなくなった自分がどうやって亜由美を幸せに出来るかを悩んだ・・・。
その自信がなくて自暴自棄になってしまったと。


「・・・そうですか。いいでしょう・・・俺もご存じの通り、これから自分の愛する人を迎えに行くんです。
あなたはこれから俺の言うとおりに行動してください。そして、必ず彼女を幸せにしてあげて下さい。
色々ありましたけど、亜由美は俺と同じ悩みで戦った同志ですから・・・。
それと、これを・・・気に障るかもしれないが、俺はもうこんな事は出来なくなりますから・・・最初で最後です」

店を出せるだけの資金をこの男に渡した。
受け取れないという男に亜由美に対する慰謝料ということにしてそれを押しつけた。

「いいんですよ。俺は今まで何も考えずにこうした金を使ってきました。これからはあなたのように自分で
働いて暮らしていくんです。・・・それが夢なんですよ。その代わり、これを有効に使って下さい」


俺は当日の行動について説明をした・・・びっくりしたんだろうけど、最後には頷いてくれた。
その男は俺たちの結婚式の日までこのホテルに泊まらせることにして俺は自宅に戻った。


総二郎からのメールがもう一通届いている・・・。


それは動画だった。
あの懐かしい竹富島の海・・・そこにいる女性が何かを抱えて歩いている動画だ。
後ろ姿だったけどそれが牧野だとすぐにわかった!

「牧野っ・・・!やっぱりこの島に戻ってたんだね?」


思わずこの小さな画面を覗き込むように見つめた。変わらずにその黒い髪を靡かせている。
そしてゆっくりと振り返った牧野の腕の中にあるもの・・・。


俺の中ですべての時間が止まった。

この動画は牧野に内緒で撮ったんだろう・・・
ごく自然に笑いながら海辺を歩いている。凄く幸せそうに・・・何か歌を歌っているようだった。
優しい声がこの動画から流れてくる・・・。


俺の頬に流れたものは懐かしさと愛しさと・・・幸せすぎる涙だった。

hoshi4.jpg
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Comments 6

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2017/06/07 (Wed) 05:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます

えみりん様、おはようございます🎵

総二郎、いいでしょうっ?!
なんて爽やかなのかしら!エロくもないしっ。

今からはラストに向けて類が突っ走るんですよ。
爆風スランプが聞こえるかもしれない!

マジて長い短編だわ。しかも、次のお話の準備といいながら、寄り道して沢山書いたから準備が進まなかったし。

梅雨入り近いかもですね。
私は雨が好き❤だけど、台風は嫌いです。

今日もがんばりましょうね!


2017/06/07 (Wed) 06:55 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/07 (Wed) 09:55 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/07 (Wed) 10:04 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは🎵

さて、いくらかしら。
私としては億はいきたいですね。まぁ、10まではいかなくても片手ぐらい?

で、類君は今からは月給で暮らすんです。
嫌だわ、想像できない!

うるっとしながら計算したんですね?
さすがです!

さて、感動的な場面は明日❗かな?
お楽しみに~❗

2017/06/07 (Wed) 12:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは✨

そこ?懐かしいお話がでましたね!

私の制作ノート、覗きました?( *´艸`)
雨が終わったら続編upしますよ。
でも、このお話はコメディですから、長くはないです。
しばらくは楽しくいきたいんですよね~❗

今度は類のお話がシリアスですから。ヤバイんですよ。

だから、つい可笑しな話を突然書くんですよね。


お楽しみにお待ち下さいませ‼
期待どおりかはわかりませんけど。

2017/06/07 (Wed) 12:56 | EDIT | REPLY |   

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