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打ち合わせがあるホテルの大会議室に入ったら、パタパタと掛け寄って来たのは井上さんと上田さん。
私に「大丈夫?」って声を掛けてくれて、ここでも私は平謝りだった。

「本当にごめんなさいっ!も~自分があんなに酒癖が悪かったなんて・・・お恥ずかしいです!」

「いやいや、俺達は構わないけど・・・」
「若宗匠にはちゃんと謝った?」

「・・・えーと」


謝ったのは謝ったけど、その代わり蹴りを入れて西門さんのお腹に足跡を残しました・・・とは言えないよね。しかも何が起きたのか判らないけど、西門さんに甘えて朝まで一緒に居ました・・・なんてもっと言えないよね?
隣でジロッと睨んでる人が居るから「謝りました!」って返事したら、反対側を向いて噴き出していた。

ムカつくけど何も言えない・・・。
そう言いながら覚えてもないのにキスされたって事を思い出して、自分の唇に指を当ててた。

何で覚えてないんだろう・・・馬鹿じゃないの?



「やぁ、総二郎君。この前はどーも!」
「おはようございます、西門様。あら~、あなたも来たのね?」

その時に後ろから声を掛けてきたのは、先日風呂敷専門店で会った華道家の東川壮一郎さんと秘書の宏美さんだった。
壮一郎さんはスーツなのに何処かチャラくて、宏美さんも秘書と言うよりホステスみたいなタイトワンピース。Sexyと言えばそうだけど、この会議室では凄く浮いてる。
しかもそんなに若い人が居ないから、何処かの着物のお爺ちゃんは「はしたない!」と怒ってる人も居た。
本人は気が付いてないみたいだったけど、宏美さんの印象で東川さんの印象も変わるんだ・・・それなら私は同じ事をしてはいけない。

隣を見たら無表情の西門さん・・・そして、ここはクールに挨拶をしていた。


「おはようございます、壮一郎さん。東川流はお2人ですか?」
「おはようございます。開催期間中、どうぞ宜しくお願い致します」

西門で習った語先後礼・・・語尾を伸ばさずに、挨拶の後でゆっくり丁寧に30度の敬礼。
手は決して肘を張らず、自然な位置で少しだけ重なるように・・・そうしたら、西門さんは私を後ろに回したりはしなかった。

よし!と思ってチラッと見上げたら「どうした、お前・・・」って。

真面目にしたのに何で西門さんがそこまで驚くかなっ!!💢


「へぇ、君、この前と随分印象が違うね。どっちが本当の姿だろ?」
「・・・あの時は(パスポートを持ったので)少し浮かれておりまして申し訳ございませんでした。これが本来の私です」

「そうなんだ!もしかしたら総二郎君に叱られた?その日のお仕置きが酷かったとか?」
「やだぁ!壮一郎さんったら、言い過ぎですわ!」

「・・・(お仕置き?)いえ、そのような事は・・・ほんの少しだけ、いつもより強めに・・・」
「牧野、もう喋るな」


あれれ?どうしてみんな変な顔してるの?また私、何か不味いことを喋った?




**********************




「俺達の席は・・・あぁ、総二郎君とは随分離れてるんだねぇ。じゃあ、もう会うのは明日かな?会場で一人だけ目立つなよ?」
「失礼します~」

「失礼致します」
「・・・・・・・・・・・・」


アホか!お前より俺の方が目立つのは目に見えている・・・その自信もある!少なくともお前よりは目立ってやる!
なんて壮一郎の後ろ姿を睨みながら、あいつとは真反対の位置にあった自分達の席についた。

そして面倒臭い説明とか簡単な紹介が終わって、さっさと打ち合わせは終了。
その後は明日のオープニングセレモニーのリハーサルと自分のデモンストレーション会場の確認。そうしたら茶道の向かいは華道でムカついた。

もう会わねぇと思ったのに、向こうもこっちを見ながらニヤけてやがる・・・でも、それには反応せずに無視した。


「へぇ~!こうやって簡単な和室を作ってるんですね!」
「そう。本当の茶室なんてここには作れないし、見学することも出来ないからこうやってバックだけ張りぼての壁作って床の間を設える。そこにちゃんと掛け物を掛けて茶花も生けて、炉は開かれてないから風炉で湯を沸かすんだ」

「で、この紅葉は本物?」
「そう。少しでも季節感を出すためにな。本当は風や空気を感じたいところだけど、ホテルの中だから仕方ねぇし」

西門のスペースは本来の茶室4畳半をそのまま再現し、勿論半分以上は壁もなく客に見えるようにしてある。
そしていつもは水屋で行う作業も分かり易く見せるためにオープンになってて、井上が半東のような仕事を披露。その後は客の役目を井上が受け持って俺が茶を点てる。
牧野と上田が見学中の客に説明となっているが、牧野の英語力は期待できないから土産物係・・・そう言ったら怒ったような顔をしてた。

「だって仕方ねぇだろ?喋られないんだから。たまに日本人も来るからそいつに説明出来るんならいいぞ?でも茶道がイマイチ判ってねぇだろ?」
「・・・うぐっ・・・!」

「まぁ、愛想良く土産物手渡してくれたらいいから。一応お前も着物だから上品にな」
「・・・判りました」


茶道は歌舞伎や能のようにリハなんて必要ねぇ。
別会場からは賑やかな音楽が聞こえていたが、自分のスペースの仕組みを確認したらさっさと部屋に戻った。




******************




日本の文化芸能を全部詰め込んだって感じの少し息苦しい会場・・・そこを出て、みんなで部屋に戻ろうとエレベーターに向かってた時に、私だけトイレに行くからってみんなと離れた。
そして戻って来た時に、また3人の話を聞いてしまった。


「若宗匠、昨日は楽しかったですか?」


昨日は楽しかったか・・・って婚約者とのデートの事?
井上さんの質問にピタッと足が止まり、西門さんがなんて言うのかドキドキした。

「あ~?楽しいって程でもねぇし。付き合いが長いからな・・・今更だろ」
「そうなんですか?でも一緒に居ると注目されません?華やかな方ですし」

「まぁな。隣にあいつが居たらまず見られるな・・・派手だから」
「でしょうねぇ~!もう随分長いこと本邸にもお見えじゃないですよね?」

「・・・だな。堅苦しい場所が苦手なヤツだし、俺も本邸に来たら緊張するから外で会う方がいいわ」
「今回はパーティーには来られるんですか?」

「あぁ、顔出すみたいだ。来なくてもいいのに・・・あいつのせいで騒がれるの、嫌いなんだよな」
「・・・わ、私達もドキドキします~」


付き合いが長くて華やかな人・・・でも堅苦しいことが嫌いだから外で会う?


なんだ・・・昔から知ってる人なんだ。
西村さんが花嫁候補が沢山居るみたいに話してたから、最近出会った人かと思ったのに・・・。
今までそんな気持ちじゃなかったけど、やっと決心したって事かしら。井上さんも上田さんも知ってるんだ・・・そして最後に行われるパーティーには来るのね?

どんな・・・人なのかしら。きっと凄く美人なんだろうな。


紹介されたらちゃんと「おめでとう」って・・・言わなきゃね。



「お待たせしました~!」
「お?遅せーよ!トイレで吐いてたのか?」

「そんな馬鹿な!もうお酒なんて残ってませんよっ!」
「今日は飲むなよ?明日は本番だから」


うん、大丈夫・・・何ともない。だって、私はただの秘書だもん。






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Comments 4

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2019/11/04 (Mon) 14:50 | EDIT | REPLY |   
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2019/11/04 (Mon) 14:57 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうそう!主語がね(笑)
何処かで誰かが道明寺って言ってくれればいいのに(笑)
そしてなんといいタイミングで話す人達でしょうか。

つくしちゃんの勘違い、誰か気が付いてやって欲しいところですが・・・またややこしい人が来ます(笑)

さて、誰かな?

2019/11/04 (Mon) 23:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうそう、いつもより強めに・・・いつもより激しく・・・いつもより長く!!
いやいや、いかんいかん。

そうじゃないって。
まだまだ我慢・・・(まだまだ?)

あっはは!今度はそっちに勘違い?!
それは想定してなかったなぁ~!!でも、面白いかも。


もう1回言うけど、司は「ウケ」です。

2019/11/04 (Mon) 23:50 | EDIT | REPLY |   

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