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plumeria

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次の日も森田さんは屋敷に来てくれた。
今日はお爺様の処置では無く私の検査のため・・・そして簡易検査だったけどそこに妊娠を示すサインが現れた。その結果をもらって震える手でジッと見つめた。


確かにある・・・赤い線。妊娠していたら現れる印・・・それがだんだん潤んでぼやけてきた。


「・・・・・・ほんとに?」
「えぇ、おめでとうございます・・・と言っていいと思いますよ」

確信はあったけど、本当にそうだと判ったら嬉しくて涙が溢れた。
ここに来てから毎日のように流す涙だったけど、今日だけは違う・・・自分の身体が凄く大事で愛おしく思えた。


類の赤ちゃん・・・私の中に宿ってくれた彼の赤ちゃん・・・!


その報告は柊祐にも聞いてもらった。
これにより私を自由にしてもらうため・・・子供の命が掛かっているのだから、当然私は解放されると思っていた。

でも、その時の柊祐の反応は少し予想外だった。
「妊娠に間違いないと思います」、と言う森田さんの言葉に一瞬眉を寄せたけど、すぐにニヤリと笑った。それは今までに無く怖い笑顔で、私は背中に汗が流れた。

何故、この人は笑えるのだろう・・・その理由を聞いちゃいけないような気がして、私は息を飲んだ。
さっきまで凄く幸せな気分だったのに・・・。



「彼女の話を聞く限りでは3ヶ月に入ってると思います。1度きちんと検診を受けた方がいいのですが」
「・・・・・・そう、3ヶ月・・・ここに来る前だね」

「検査薬で反応は出ましたけど子宮の中の事までは判らないでしょう?明らかな出血がなくても子宮内でその可能性はありますから」
「・・・移動は?車に乗るのは支障ない?」

「安定期までは遠出はお薦めしませんし、悪阻がどの程度で治まるのかは判りませんから、何とも申し上げられません」
「振動が少なければ大丈夫かな・・・」

「胎児が無事かどうかなんて保証はどんな場合でも出来ません。安静にし過ぎるのも良くないですが無理は禁物です」
「判った、ありがとう」

「お大事になさいませ。検診の時はお電話を」
「あぁ、そうするよ」


森田さんに妊娠中でも飲める頭痛薬をもらって、極簡単な注意を受け、彼女はすぐに部屋を出ていった。


そうしたらここには柊祐と私だけ。
暫く彼は何かを考え込んでいて、シーンとした時間が続いた。

類と同じ色のその瞳は何処を見ているのだろう・・・彼の考えていることが判らなくて、嬉しいはずなのに重たい石を抱えこんだような気さえしていた。




********************


~side柊祐~

つくしの妊娠は計画には無かった。

初めに聞いた時は・・・ショックと言うより余計に憎しみが湧いた。そして俺としたことが、そんな事を想定していなかったと言う事にも驚いた。

でも、これはあいつを苦しめるにはいい「材料」かもしれない。
ただ愛する女が他の男のものになっている事を見せるより、その男の子供を身籠もってると思わせたら・・・それはあいつにとって最悪な行為を想像させるだろうから。

今度はつくしと2人っきりで会わせてやろうと思ってたけど、予定を変更して俺も行くか・・・。


チラッとつくしに目を向けると不安そうにこっちを見ている。
でもすぐにその両手が自然と自分の腹を守るように覆って、今度は母親のような表情をした。


「そんなに心配そうな顔をしないで。病院の事は考えるから」
「本当?じゃあ帰してくれるの?」

「それは無理だけど」
「どうして?!この子には何の罪も無いのよ?お願い、花沢に帰して!」

「そんなに興奮しちゃダメなんじゃない?花沢家に戻れなくても花沢類の子供は自分の手で育てられるんだよ?それでいいだろう?」

「・・・そんな・・・・・・いやだ、類と一緒に育てたい!」


「父親が居なくてもつくしちゃんに溢れるほどの愛情があったらその子は幸せに育つよ。俺がそうだったようにね・・・」


そう・・・子供には何の罪も無いんだ。

俺だってそうだった。
俺はただ、母さんと2人でいいから楽しく暮らしたかった・・・本当ならこんな力は無くても良かった。


俺から何もかも奪った花沢類・・・あの男だけは許さない。
母さんだけじゃ無く、それ以外を全部・・・あいつは俺から奪っていったんだ。


だから俺はあいつの子供をいただく。
検診を受けるのは「成瀬鈴花」・・・・・・生まれるのは俺の子供だ。

そしてその頃にはもう花沢つくしに戻らなければいい。一生鈴花のまま、ここで俺と暮らせばいいんだから・・・。




**********************




何処から調べたらいいのか、それすら頭に浮かばないほど手掛かりなんてなかった。

でも意図的に俺をパーティーに引きずり出したと言うのなら、ターゲットはやはり俺・・・そして父さんが成瀬に拒否反応を示したのなら俺が生まれた事と何か関係があるんだろうか。
そんな、昔のことを今更言われても迷惑なだけだけど、まずは取っ掛かりを見付けるしかない。

パソコンの画面を眺めているだけじゃつくしを取り戻せない。もどかしさを感じながらも成瀬コーポレーションと言う文字をキーボード入力した。



成瀬コーポレーションは今から45年前に「成瀬産業」という名前で、産業機械の製造会社からスタートしていた。場所は東京でも田舎の方でそこまで大きくない。
創立は今の社長の父親で、規模を拡大し始めたのはその10年後。本社も都心部に移して急速に業績を上げている。そして初めての海外支店としてアメリカ、ロサンゼルスに進出。

柊祐が30歳前後ならこの頃にはまだ生まれていない。
現社長がこの頃何をしていたのかを調べたら、この海外第1号支店の責任者としてアメリカに渡っていたようだ。ホームページの企業歴史のところにその記載があった。

そしてのちに夫人となったのはバーバラ・ハリス。ロサンゼルスの大企業の1人娘だった。
国際結婚では氏名変更をしないケースが多いのにバーバラはその手続きをとって「成瀬バーバラ」となってる・・・余程あの成瀬社長の事を愛してたって事か?

「・・・ホームページじゃそんなに詳しい事までは知ることは出来ないか。別の方法で調べてみよう・・・・・・へぇ、この頃一気に国内支店も増やしてるのか。札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡、鹿児島、新潟・・・・・・新潟?」


また新潟・・・?
そんなの偶然かもしれないけど、俺が事故に遭ったのも新潟で、牧野を育ててくれた人も新潟だった。
ヘリが消えて行った方向が埼玉方面・・・でもその先には新潟がある。


何かあるんだろうか・・・新潟と言うワードが凄く気になった。





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