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着物を着せてもらいながら真後ろに西門さんの息遣いを感じる・・・これが帯で良かったって思いながら、自分の身体が苦しくなっていくのを、着付けのせいなのか得体の知れない感情なのか判らずに我慢していた。

そして帯の形を整えている時に・・・西門さんから「若宗匠」に変えようと決めた。


よく考えたら西門家で西門さんって呼んでたんだって、今更だったんだもの。
でも総二郎様なんて言えないし、「さん」って言うのも多分違う・・・それなら「若宗匠」しかないじゃない。それでこれまでよりも距離を開けなきゃ婚約者に申し訳ない気がしてきた。

だってきっと最後のパーティーには来るんだから、今から練習しておかないと。


そう決めて部屋を出る時に、初めて「若宗匠」って呼んだら彼は驚いた表情をした。



「・・・でも、ちゃんと言えた。だから次からは大丈夫だ・・・よし!」
「は?どうかされました?」

「はっ、ごめんなさいっ!」

髪の毛を結ってもらってる最中だった・・・。


3つ隣のメイクスペースに目をやれば、そこには派手な振袖の宏美さん・・・壮一郎さんの秘書が居た。
華道というのは文字通り華やかなのね、と自分を見れば上品な着物だけど華やかかと言われればそうでもない。着物の善し悪しがイマイチな私・・・これが茶道と華道の違い?なんて頭を傾げながらその部屋を後にした。


そして再び向かった最上階。
ノックをしたらドアが開いて、また仏頂面の西門さんが出てきた。


「そろそろ説明会場の方にいきますか?」
「・・・そうだな」

「井上さんと上田さんはどうします?7階で降ります?」
「いや、メールで直接会場まで来いと連絡しろ」

「はい、判りました、若宗匠」
「・・・・・・・・・」


ほら、ちゃんと言えた。
彼はまたムスッとしたけど、それにイチイチ反応せずにスマホで2人にメッセージを送った。
『若宗匠と直接会場に生きます。お二人の来て下らいね』・・・送った後で見たら誤字だらけだった。

もうっ、指先が震えるから・・・っ!



**



会場に行ったら西門さんはステージに上がり、私達はお客様達とは別に設けられた主催者側の椅子に、関係者として座っていた。

延々と話してるのはこのイベントの責任者みたいだったけど、英語だから何言ってるのかさっぱり・・・。
井上さんと上田さんは英語がわかるから、時々笑ったり頷いたりしてるけど、私はそれに合わせて同じフリをするだけ。中身は判らなかった・・・っていうか、頭に単語の1つも入らなかった。

そのうち参加団体の代表者が自分達の活動の説明を始めたみたい。
1番初めは書道家の男性が普通に日本語で話して、それを隣のお姉さんが英語に訳していた。

2人目は琴奏者の人、3人目は歌舞伎の人、4人目は能の人・・・それが終わったら西門さんが立ち上がってスポットライトを浴びた。途端に何処かから漏れる声は女性のものだ。
どうやら色気と言うものに国境はないらしい・・・西門さんがマイクの前に立って髪を少し掻き上げたら、「OH~~!」って声が♥マーク付きで聞こえて来た。


「Nice to meet you all。My name is Sojiro Nishikado」
(皆様、初めまして、西門総二郎です)


・・・やだ!今、少しだけ首を傾けたでしょ?!こんな所でも態と色気出しちゃって!

なんて、自己紹介する西門さんを睨んでしまった。
当然彼は私達の方なんて見ないから、私が口を尖らせたって判るはずはない。アヒルみたいに唇を突き出していたら、井上さんに小突かれた。
「牧野さん、回りに人が居るから!」って小さな声で言われてハッと隣を見たら・・・舞妓のお姉さんが西門さんに見惚れていた。


「Omote-senke is one of the various Sadou schools that can be found in Japan。I would like to introduce the history of Sadou to all of you」
(表千家は、茶道流派の一つです。皆様に茶道の歴史について紹介をしようと思います)


・・・やだ!ちょっと英語が出来るからって通訳抜きで話しちゃって。

でも日本語の彼とは違って、英語だと少し優しそうに見えた。
たまに出てくる手の動きはなんなの?って思うけど、それが美しいから人種問わずみんながうっとり・・・それを見ると私は何故かハラハラして落ち着かない。
西門さんの話も聞かずに会場内を見回していた。


「Wabi-sabi are Japanese senses of beauty, which mean Beauty within simplicity。Wabi means Something simple and in sado, it means Beauty from simplicity。Sabi means the beauty from serenity that comes with age」

( ”わびさび”は日本人の美意識を表す言葉で、「簡素なものに感じる美」を指します。”わび”とは「粗末な様子」「簡素な様子」を意味し、茶道では「簡素なものから味わい愛でる美」のことを指します。”さび”は時間が経過し、寂れた状態のことを意味し、枯れた味わいのある趣のことを指します)


・・・ダメだ。「わび」と「さび」しか聞こえない。
でも綺麗な英語・・・それだけは判るから、何言ってるのかさっぱりだったけど聞き入っていた。

言葉って言うより西門さんの声・・・普段の怒鳴り声じゃなくて優しい異国の声。


『千利休の教えでは茶道の心得は 「四規七則」と説いています。 その四規とは「和敬静寂」。和はお互い仲良くする、 敬はお互い敬う、清は心を清らかにする、 寂はどんな時も動じない事を表します。
そして七則は茶の極意についてです。少しお話しましょう



これまでの人の話より会場の人の目が違う。
西門さんがイケメンって事だけじゃなくて、多分彼の話し方が上手なんだろう。テンポといい、目線といい、手の動きといい人を惹き付けて離さない。

なんだか・・・ちょっと遠い存在になった気がした。


『一、茶は服の良きように点て、とは飲む人にちょうど良いお茶を点てること。 二、炭は湯の沸くように置き 、とは炭は湯がよく沸くほどうまく置きなさいということ。三、花は野にあるように 、とは花は自然にあるように生けなさいということ・・・・・・
この当たり前のことが難しいのが茶道なのだと利休は諭しております』



西門さんの話が終わった時には会場からの拍手が凄かった。


・・・よし、今からは私も頑張らなきゃ!

全員の話が終わったらいよいよデモンストレーション・・・巾着袋の出番だわっ!





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2019/11/09 (Sat) 23:13 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうそう、色気に国境はないのですよ♡
そして私も「wabi」と「sabi」しか聞き取れません(笑)

いや、もう何も聞いてないかも💦
キョロキョロせずにガン見しておきます(笑)

2人で並んで涎垂らしながら見たいね~(笑)

2019/11/10 (Sun) 22:55 | EDIT | REPLY |   

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