星の砂 月の雫 (最終話)

「すっかり母ちゃんの顔になったじゃん!牧野!!」

久しぶりに訪れた古い日本家屋の西門邸・・・和服姿の西門さんが出迎えてくれた。

「西門さん!ずっとお礼言えなくてごめんなさい。・・・ありがとう、本当に」
「総二郎、世話かけたね。・・・明日、3人でハワイに向かうよ」

「気にすんな!俺もたまには東京を出たかっただけだからさ。でも、俺には無理だな!あんな所にずっといたら
日焼けしちまうだろ?・・・類も人生で一番黒くなってないか?」

「そうかも・・・だって、ずっとこの子と散歩してたからね」

西門さんは大笑いしながら類が暇人だと言ってからかっていた。


西門さんにも雫を抱いてもらった。慣れない西門さんはすごく緊張して自分と雫の間がすごく離れてる。
それを見て今度は類と2人で大笑いしてしまった。それでも雫の顔をつつきながら類に似ていると微笑んでいた。

そして、私が会いたかった人・・・和代さんを呼んでくれた。


「和代さんっ!会いたかった・・・!見て?雫、こんなに大きくなったの。すごいでしょう?」
「まぁっ!つくしさん・・・お元気そうね!総二郎様・・・雫ちゃんを抱いてもよろしいですか?」

和代さんは西門さんから雫を受け取って、慣れた手つきで抱っこしてくれた。
その目には涙が光っていて、私も思わずハンカチで眼を押さえた。


「類・・・こちらが和代さん。私を守ってくれて、雫をとりあげて下さった方よ」

類に和代さんを紹介した。私と雫を救ってくれた和代さんに類も丁寧に頭を下げていた。

「つくしがお世話になりました。雫のことも・・・本当にありがとうございました。私がいない間、あなたが
いて下さって・・・後から知ったのにこんな事言うのはおかしいですが助かりました。」

「あらまぁ・・・!こちらが旦那様ですか?ホントにつくしさんが泣くほど会いたがったのがよくわかるわ。
素敵な旦那様ね・・・どうぞ、つくしさんとお幸せに・・・」


私の希望で雫を抱っこした和代さんと私の写真を撮った。
ついでに嫌がる西門さんと類の写真も撮った。西門さんの胸には大泣きする雫が変なカッコで抱かれている。

これは私の宝物のひとつに加わるの・・・向こうに行ったらこれと星の砂を飾るの。


「類、牧野・・・いつかお前達に会いに行ってやるよ。今までとは違う生活だろうけど何かあったらまた連絡してこい!
でも今度はいい知らせにしてくれよ?家族が増えたとか、給料が上がったとかな!」


何度も、何度も2人に頭を下げて・・・私たちは西門さん、和代さんと別れた。



*******



ハワイ島にある施設の近くに用意してもらった小さな可愛らしい一軒家。
とても静かなところで俺の職場に近い山の麓・・・でも、近くに海もあってつくしは大喜びだった。

「すごく落ち着いたところで良かった!街の中だとどうしようかと思ったわ。お庭もあるし・・・お花とか植えたら
雫が喜ぶかしら・・・小さなブランコとかあるといいわね!」

「このあたりだと静かだから、雫にもいいと思ったんだよね。俺も明日からの仕事がすごく楽しみなんだ。
ずっとこの土地に憧れていたから」


次の日から天文台での仕事が始まった。
もう、経済学も、経営に関する書類も、決算書類なんかもすべて忘れて自分の好きな世界での仕事が出来る。
毎日が興奮と感動で溢れていて、充実した毎日を送った。
家に帰るともうすでに夢の中にいる天使に必ずキスをする。

今日は1人で壁に手をついてるけど立ったらしい。つくしが動画を見せてくれた。
親としての喜び・・・俺にはもらえなかった愛情を雫にはたっぷりと注いであげたかった。

「けっこう私に似ておてんばみたいよ?怪我ばっかりしたらどうしよう・・・今日も傷だらけよ?」

「元気な証拠だよ。大きな怪我さえしなかったらいいんだから・・・毎日が楽しいんだよ、きっと・・・」

ぐっすり眠る雫の髪を撫でるのが好きだった。
いつまでも見ていたい俺の宝物・・・俺もこうやって撫ででもらったことってあるんだろうか。
フランスに残した両親を思うと少しだけ胸が痛むけど、もしいつか・・・あの人達と話せるときが来たとしたら
胸を張って自分の家族と仕事を見せたい・・・そう思っていた。



俺がこうしてハワイで暮らし始めて半年がたった頃、一枚のはがきが転送されてきた。

その写真は・・・亜由美だった。

東京から離れた土地で小さな店を持ったのだろう・・・あの男と一緒に笑顔の亜由美がそこにいる。
添えられた文字はたった一言・・・・・・「幸せです」と。

「ねぇ。類・・・その人なの?あの時の・・・」

「うん。そう・・・偽りの婚約者、やってた人・・・」

「ふーん・・・随分綺麗な人だったのね」

少し怒ったようにはがきを見ているつくし・・・でも、俺はなぜか嬉しかったんだ。
同じような苦しみを背負った同志・・・亜由美の幸せそうな笑顔が。

その住所に俺たち3人の写真を送った。
同じようにたった一言・・・・・・「幸せです」と書き添えて。



今日もハワイの満天の星空をつくしと一緒に見上げている。

「ねぇ、ここは竹富島と同じくらい星が綺麗ね」
「そうだね・・・また、星の話しをしてあげるよ。雫がもう少し大きくなったらね」

「類・・・雫は射手座なのよ?射手座の女の子は大胆に気持ちのまま生きていくらしいよ。
自由の象徴なんだって。・・・この土地にはあってるかもね!」

今日も元気に泣いている雫を抱きかかえて、今度は3人で星を眺めた。


「雫・・・いつか大きくなったらパパとママみたいな恋をしなよ?・・・俺はヤキモチを焼くだろうけどね」


そう言って雫を抱き締める。

俺たちの上をひとつ・・・流れ星が落ちていった。

雫はそこに手を伸ばそうとする・・・まるで夢を掴もうとするかのように。


「類・・・私は本当に幸せだわ」
「俺もそうだよ。つくしに会えて・・・雫に会えて本当に幸せだよ」


満天の星の下・・・どうかすべての人が幸せでありますように・・・。
あなたの願いが1つでも多く叶えられますように・・・。


fin.

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長い短編の終了です。(*^▽^*)いや、短編じゃないって?

どうでしょう・・・最後はほんわかしていただけましたか?
初めはどんな悲恋かと思ったでしょう?総二郎にも感動していただけたら嬉しいな!

ご自分の星座の性格分析って調べたことありますか?
私は水瓶座・・・1番似合わないのは事務職だそうです。
知性を司る風の星座・・・文字にすると格好いいんだけど。


それでは、新しいお話し、「Sister Complex」をスタートいたします。
初めの2話はプロローグ・・・可愛らしい類君が登場します!
このお話の設定にドン引きしないでお付き合いいただくと嬉しいです。

それでは、これからも宜しくお願いします!

「星の砂 月の雫」に最後までお付き合いいただいてありがとうございました。


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花より男子

8 Comments

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2017/06/11 (Sun) 03:25 | EDIT | REPLY |   

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2017/06/11 (Sun) 05:41 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

kyoro様、おはようございます!

本当にごめんなさいね!初めがあれだけ悲しそうに始まったらこんな終わり方って
思いませんものね!私はすぐに悲しい方に持っていこうとするから・・・。

結婚式はですね、結局類と亜由美さんは始まる前に教会から逃げたんですよ。
類はウエディングドレス姿の亜由美さんを、相手の男性に託したんですね。
花沢家が来る前に、類は1人で、亜由美さんは2人で教会を出た訳です。

花沢家は・・・今回は無視!して下さい!(皆さんが気にするところですが)
本当ならこんなことしたら花沢家は黙ってないでしょうけど、このお話は短編だったので
花沢家が暴れたらお話しが終わらないので(*^▽^*)
ここで爆弾投下はいくらでも出来るんですが、マジで悲恋になってしまうから。

3倍くらい話しが長くなるかも・・・ですよ?

短い話しで設定がややこしかったですね!ごめんなさい!
でも、ほっこりしていただけのなら嬉しいです。

いつもありがとうございます!応援コメント本当に励まされます!

2017/06/11 (Sun) 07:50 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: おはようございます

えみりん様~!おはようございます!

確かに後20話いけそうですね・・・!亜由美さんが桜子のように豹変したら。
怖いわ~!
日焼けした類も怖いわ~!

普通は類に女の子がいたら、蝶よ花よで育てられて真っ白でフワフワしたイメージ?かな。
それが毎日傷だらけのおてんばですからね。

総二郎が雫を抱っこした写真・・・男二人の写真って本当に飾ったら笑えますよね。
ここだけ見たらBLの世界じゃないですか?産めないからもらった・・・みたいな。
総二郎と類?どっちが女役?ちょっと考えてしまいました。

潮干狩り・・・どうだろう。
タイトルどおりですからね。
これをどうやってラストに持っていくか・・・?!

実は今でも悩んでいる次第です。短編の間に何やってたんだか!
(故事ことわざにハマっていました!)

今日もありがとうございました!日曜日・・・ゆっくり過ごして下さいね!

2017/06/11 (Sun) 08:04 | EDIT | REPLY |   

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2017/06/11 (Sun) 11:53 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんにちは~!

そうでしょう?ここはもうそっと見守りたいですよね。
花沢物産、ごめんね!って感じで。

次のお話し・・・ドン引きって書いたけどそうじゃないのかもしれない。
なんだこれ?って言われないように書いたけど・・・。

このくらいじゃ驚かないわよって思われるくらいの設定かも・・・。
小心者ゆえ、お許し下さい。
読者様の方がいろんなモノ読んでるだろうから強いのかもしれません。
一人でビビってるんですよ。えへへ・・・。

今日もありがとうございました。良い休日をお過ごし下さいね!

2017/06/11 (Sun) 12:22 | EDIT | REPLY |   

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2017/06/11 (Sun) 18:25 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: タイトルなし

さとぴょん様、今晩は!

すんばらしかったですか?笑える~!
総二郎が可愛いでしょう?ここ、わたしも好きなところ♥
変な抱っこってどんなんでしょうかね?

類君は何となくこんな終わり方が似合う気がする。
私の希望満載の終わり方です。

実は意外と私もロマンチストなんですよ?こう見えて・・・。

さとぴょん様の願い事も叶いますようにっ!

今日もありがとうございました!

2017/06/11 (Sun) 21:10 | EDIT | REPLY |   

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