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plumeria

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京都での茶事が終わってからもしばらくは家元夫人とも綾乃とも口をきかずに過ごした。
顔も合わせず、ただ仕事に打ち込んで夜は牧野の所に行く。

それを見かねた家元から呼び出しがあった。
滅多なことでは俺を呼びつけることはない人だからかなり心配したんだろう。


「何があったのかは知らんが、どういう態度だ?総二郎。この西門を纏めようという気があるのならもう少し
改めなさい。家元夫人もお前の事を心配してのことだろう。話し合いは出来ないのか?」

「話し合いですか?家元夫人の方が聞く耳をお持ちじゃないのですよ。今はまだお話しする気にはなれませんので
そうしているだけです。家元には余計なご心配をおかけして申し訳ありませんが・・・」

家元の方は家元夫人と違って俺の私生活にはあまり口出しはしなかったから衝突することはなかった。
牧野の事も反対するわけでも賛成するわけでもない。今のところは傍観しているようだった。
しかし、綾乃のことを万が一でも進められたら面倒だ・・・。
せめてこの話だけでも止めてもらおうと、家元にある提案をした。


「お家元・・・実は会って頂きたい女性がいます。以前、家元のお見舞いに来た牧野という女性ですが
もう一度、会って頂けませんでしょうか?」

「・・・あぁ、あの時の・・・あきら君と来た子だね?」

「はい。私が自分の将来の相手として選んだ女性です。しかし、まだこの世界を知らない、一般家庭の人です。
家元夫人はお気に召さないようで私に綾乃を薦めてきますが、そっちは一切考えておりません。
今すぐにとは言いません・・・今からゆっくりと時間をかけて教えていこうと思っていますが、まずは牧野の人柄を見て
いただきたいのです。どうでしょうか・・・私が唯一望んでいる事です」


しばらく黙っていた家元だったが、俺の申し出を受けてくれた。

「いいだろう。綾乃さんの事はすこしあの人も気持ちを入れすぎだとは思っていたからな。家柄は申し分ないが
肝心のお前にその気がないのなら無理をせずとも良かろう。何よりこの仕事は心がなくてはならん。
その心が病んでしまうような相手ではろくな仕事も出来ないだろう。多少は揉めた話しも聞いておるしな・・・」

「ありがとうございます。それでは事務所と話しをしてお時間の取れる日を調整させて頂きます」

こんなに急ぐつもりはなかったが藤崎氏が動く前にこっちから動いてやる!
牧野を家元にきちんと紹介して俺達の気持ちだけでも西門にアピールしといてやる!


俺は事務所に家元のスケジュールを確認したら、空いていたのは土曜日の午後・・・
珍しくこの日の午後には何の予定もなかった。

午後3時・・・この時間を家元の秘書に押さえてもらった。
今日はこれから茶道教室の打ち合わせが入っていたので、牧野には電話で連絡をした。


「牧野、今度の土曜日・・・空いてるよな?急な話しで悪いけど午後3時から家元に会ってくれないか?
心配しなくても家元の方はお前の事、反対とかしてるわけじゃねぇから。ただ、普通にしてりゃいいよ。
お前って言う人間を見てもらいたいだけだから」

『え?ホントに急な話だね・・・でも、あの・・・家元夫人は?』

「いねぇよ。そん時は用があって西門にはいない。会うのは家元だけだ」

まぁ、お袋を警戒すんのは仕方がない。まだ京都の件から日にちがたってないし、その前からあれだけ
やられたら恐怖だろう・・・いくら牧野でも。

「少しでもお前を待たせる時間を少なくしたいんだよ。味方になる人間を少しずつ増やした方がいいだろ?」

『お家元と何を話したらいいかわかんないよ。今までのことはご存じないの?』

「全く知らないわけじゃないけど、家元ってのはこのくらいのことで口を出したりはしないんだよ。
でも、綾乃のことはさすがに心配してる・・・お前に会うタイミングにはちょうどいいと思ってるんだ。
お前がまだこの家のことを知らないのも伝えているから・・・ただ、決心を聞かれたら答えられる準備だけしといてくれよ」

その決心は俺が急かすのではなく、牧野が自分からしてくれるのを待ちたかったけどな。
でも家元夫人と綾乃の攻撃があれだけ酷ければ、牧野は決心する時間なんてないだろう。

牧野が持っている自身の強さと、最後には必ず前を向くエネルギーに俺の方が頼ってしまったのかもしれない。


『うん。わかった・・・行くよ。ありがとう、西門さん。ちゃんと家元と話しをするね!』

「じゃあ、土曜の3時・・・支度は普通でいいからな。そのために無理はすんなよ?」


********

<side綾乃>

困ったわね・・・総二郎お兄様。
まだ、綾乃の気持ちをわかってくださらないの?

何のために京都まで行ったのか・・・牧野さんにはっきりと見せてあげたかったのに。

しかたないですわね・・・総二郎お兄様には直接手を出したくなかったのですけれど。
次の土曜日に牧野さんをお呼びになったのね。でも、これが最後だわ・・・。

もう一度あきらお兄様にお手伝い頂きましょう・・・そしてそのまま牧野さんをお渡ししますわね。
私、ちゃんと調べてるんですよ?あきらお兄様・・・とっくに帰国してたでしょう?

お優しいからこの前の食事のことを気にしているんでしょう?
でも、今回の方がすごく傷つくでしょうからあきらお兄様がせいぜい牧野さんを慰めてあげてね?


そして、二度とこの家に戻ってこないようにお願いしたいわ。


「もしもし・・・あきらお兄様?綾乃ですけど、今度の土曜日空いてませんか?牧野さんが西門に来るんです。
是非、あきらお兄様にも同席して頂きたいの。時間は午後3時・・・この時間は守ってくださる?」

『・・・今度は何だ?もう俺はあいつらの間に入りたくない。悪いけど、俺は行かないよ』

「あら、今回は総二郎お兄様がご一緒よ?いくらわたしでも総二郎お兄様の前ではあの話しはしないわ。
それに、これは牧野さんがご希望されてるのよ?あきらお兄様にも来て欲しいんですって!
午後3時ですから、必ずこの時間に来て下さい。・・・待ってますわ。あきらお兄様」


これで最後ですもの。あきらお兄様も必ず・・・来ていただかないとね。

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Comments 4

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2017/06/01 (Thu) 17:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: お疲れ様で~す

えみりん様、こんばんは❗

お疲れ様です❗
月初めですものね。私も忙しかった。
綾乃ちゃん、さて、びっくりする結末かと。

いやまぁ、嫌われましたねぇ!
私は綾乃ちゃんで楽しかったですけどね。

でも、しばらくはこんなキャラクター書きませんわ。

結末まで、しばしお待ちを。
今日もありがとうございました🎵

2017/06/01 (Thu) 18:52 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/01 (Thu) 20:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、今晩は!

そうなんですけど・・・最後なんですけどね、これが。
最後ってのは何かと事件が起きるものなんですよ。

先に謝っておきます!ごめんなさーい!!
最後の爆弾はちょびっと大きいです!

総二郎もつくしも頑張るけど、あきらも頑張ってねっ!!
って感じです。自分で書いててドキドキします・・・。

上手く伝わるといいんだけど。

今日もありがとうございました。

2017/06/01 (Thu) 23:54 | EDIT | REPLY |   

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