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plumeria

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つくしは抱き締められた腕の強さに驚き、その後のキスはこれまでに無い衝撃的なものだった。


夢にみてはいけないと思った。
友達で居ることが1番だと思うようにしていた・・・でも、想いは深まるばかりで止めることは出来ない。それを最近は強く感じていただけに、この温かさはつくしの全身を一気に駆け巡った。

「ダメだよ」・・・そう言って払い除けることも出来たはずなのに、いつの間にかつくしの腕も類の首に巻き付いている。
唇を離した後もお互いを強く引き寄せ合い、その肌の温もりを感じていた。


「牧野、俺があんたを守るから何処にも行かないで・・・」
「・・・・・・でも・・・」

「花沢の事なら気にしないで・・・俺を1人の男として考えて欲しいんだ」
「・・・花沢類、そんな事出来るの?」

「出来る出来ないの問題じゃない。あんたと一緒に居たい・・・それだけじゃダメ?」

「でもそれだけで済まないのは花沢類が1番判ってるはずだよ?だから私・・・他の人を見ようとしたの・・・」


やっと手の力を緩めて身体を離した二人・・・それでも類はつくしの手を離せなかった。
行かせたくない、その気持ちが類の指先からつくしに伝わる。それを感じて嬉しかったが時間は過ぎていくばかり・・・このまま行かずに済ませていいのか、つくしは困惑していた。


仙道の性格は知っているつもりだ。
このまま約束を破ったらどんな行動に出るか・・・。


勿論仙道が花沢物産に攻撃なんて出来ない。だが類個人になら何かを仕掛けてもおかしくはない。
自分だけに怒りを向けるのならいくらでも耐えられるが、それが違う方向に向けられたら・・・それほど仙道の執着心は恐怖だった。


「・・・会いに行くのにそれだけ怯えるのなら恋じゃない。本当に恋人だと思ってるんなら俺を突き飛ばして抵抗するはずじゃないの?」

「・・・・・・・・・それは」

「俺の側に居ることがダメだと思ったからあいつを選んだ・・・あんた、そう言ったよ?」

「・・・・・・うん」

「俺は司じゃない。花沢は道明寺じゃない・・・それを切り離せない?」
「だって!!もうあんな思いは・・・!」

「うん、させない。勿論時間も掛かるだろうし、俺にも牧野に話したいことはある。俺を助けて欲しいと思ってることがある・・・それはあんたにしか出来ないんだ」


自分が花沢に対して抱いている漠然とした疎外感・・・誰にも言えない思い、どうやってそこから解放されるか・・・類はつくしとなら一歩踏み出せる、そう感じていた。
今、自分が持っているもの総てを投げ捨てても2人でいられたら・・・そんな選択は出来ないと決めつけていたが、それすら怖くはないと思った。


つくしなら自分が開く事が出来ない扉を開けられるかもしれない。
自分が自分らしく生きられる場所に連れて行ってくれるかもしれない・・・そしてつくしにとっても自分がそういう存在で在りたい。


もう1度、つくしが時間を気にした。
類はそれが我慢出来なかった。だから時計を見たつくしの顔を優しく手で戻し、そっとキスをした。

「行かせない」、その言葉につくしが嬉しそうな微笑みを浮かべる・・・でもそれはすぐに苦しそうな顔に変わった。



「どうしてそんな顔をするの?」

「・・・ごめん、花沢類。約束は約束だから行ってくる・・・」
「どうして?あいつの事を裏切られない・・・そう言う意味?」

「裏切るとかじゃなくて、ちゃんと終わらせてくる。じゃないとあっちゃんは・・・怖い人だから」
「怖い?牧野、手を出されるの?」

「ううん、今までそんな事は無かったよ?でもあっちゃんは自分の思い通りにならなかったら叱る人なの。自分が好きなものを好きになれ、自分の嫌いなものは部屋に置くな・・・飲むものも食べるものも、着るものも全部そうなの。
自分好みから外れると怒るの・・・そんな性格だから約束破ったらその後が怖いから・・・」

「・・・流されて返事なんかしないって自信ある?」

「・・・うん、大丈夫。逆にご両親が居るなら暴れないと思うから」


「そう・・・・・・判った」


つくしは握られた類の手をそっと離し、スッと立ち上がると「着替えてくる」・・・そう言って隣の部屋に入った。


選んだのは仙道が好きそうな上品なワンピース。
類に見せようと選んだアクセサリーは外し、代わりに小さなパールのピアスをつけただけ。
結んでいた髪は解き、真っ直ぐに降ろした。素足だったのに窮屈なストッキングを履き、鞄も仙道から以前贈られたブランド品を出した。



そこまでしてハッと気がついいた。

・・・何故自分は仙道の好きなものをこんな暗い気持ちで選んでるんだろう・・・。


そう思った時に急いで全部脱ぎ捨て、今朝迷ったもう一つの服に着替えた。
ボーダーラインのサマーセーターとワイドパンツ・・・類を思って選んだ服だ。そして急いでパールのピアスを外し、さっきまで付けていたピアスに戻した。

勿論アクアマリンのブレスレットも付けたまま。
メイクも直そうと思ったがほんの少しの手直しで済ませ、髪ももう1度ポニーテールに括り直した。鞄だけは大事なヒメルリガイが入っているから戻さずに、変えたブランド品を手に持った。

これで支度は完了。鏡の中の自分をジッと見つめ、軽く頬を叩き「よし!」と小さく呟いた。

その格好で類が待つ部屋に戻ると、類はキョトンとしていた。


「あれ?そんな格好でいいの?」
「うん!これね、実は今日海に行くために選んでた服なの。寸前まで悩んで別のものに変えたけど、花沢類に見せたかったから」

「・・・くすっ、そうなんだ?可愛いけど海には向かなかったね」
「ふふっ、そうかも」


自分に見せたかった服・・・その言葉は類を笑顔に変えた。
そしてこれは仙道に従わないというつくしの意思表示・・・そう思えた。






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