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「・・・今日はご馳走様でした。このドレスも・・・ありがとうございます」
「いや、こっちこそ草薙のおばさんとか社長夫人とか、思わぬ副産物があったからいいって。じゃ、明日のパーティーが最後だから宜しく。朝は何もねぇからゆっくりしとけ。昼イチで着付けするから、昼飯は早めに食おうぜ」

「4人一緒ですよね?」

「・・・・・・勿論」


ホテルまで戻って来て、エレベーターの中で交わした会話・・・何故かあの後から恥ずかしくてマトモに目を見られなかった。
それというのも後ろから抱き締められるみたいに服の中に入れられたのに、それに甘えて縋るように身体を預けて、耳元で囁かれる説明を聞きながらマンハッタンの夜景を眺めてたんだもの。

それ、周りの人が見てたら絶対に恋人同士じゃん!!
上司と部下だって言ったって信じてもらえないほどぴっーーーったりくっついてたよね?


自分でも信じられなかった・・・夜景が「綺麗だな」って言われたのに、自分の事を言われたのかと思って「それほどでもないですよ」って答えたなんて。

『・・・自分の事だと思ったのか?』


はぁ~~~~!!穴があったら入りたかった!



「おい、7階に着いたぞ」
「はっ!申し訳ありません、おやすみなさい!」

「あぁ、明日な・・・」
「はい、また明日・・・」


スーッとしまったエレベーターの扉に向かっていつまでも手を振ってたら、隣のエレベーターが開いて井上さん達が戻って来た。「どうしたの?牧野さん」って言われた時には2度目の穴探しだった・・・。
それに2人がジーッと私を見てるからどうしたのかと思ったら、私のドレスに視線が・・・マズい!と思ったけど遅かった。


「・・・それ、若宗匠から?」
「はっ?!えっ、と・・・まぁ、そうなんですが、深い意味とかないから」

「・・・そんなネックレス、持ってたっけ?」
「へっ?!あぁ、これは・・・ドレスにくっついてたオマケみたいなもんで・・・」

「「・・・・・・・・・へぇ」」

「ホントに何でもないですから!いつもの私の格好じゃ連れて歩けないって思ったんですって!じゃ、お、おやすみなさいっ!」


冗談じゃないわ!
あの2人は婚約者を知ってるんだもの、こんな事で喧嘩になりました、なんて嫌だからね?
このドレスやアクセサリーに深い意味なんて全然・・・全然無いんだから!


自分の部屋に入ったらすぐにドレスを脱ぎ捨てバスルームに飛び込んだ。
頭っからシャワーを浴びて、メイクも綺麗さっぱり落として髪だって元通り・・・いつもの牧野つくしに戻ったら、バスローブを羽織って部屋に戻った。

そして鏡をジッと見つめた・・・そこにはスッピンの私が居て、何故か淋しそうに見えた。



**



次の日の朝・・・よく寝付けなかったから9時になってもベッドから出られなかった。

目が覚めてない訳じゃない。
ただ目を閉じて昨日の事をぼんやり考えていたらこんな時間になっただけ・・・。
それでも起きなきゃ今日は最後のパーティーの日だ・・・少しは調子を戻さないと倒れるかもしれない。そのぐらい頭が重かった。

スマホを見たら西門さんから「11時にロビーに来い」とメールが入ってた。
少し早めの昼食・・・そんな事を言ってたなぁ、と支度を始めた。



時間になってロビーに降りたら井上さんと上田さんがもう待っていて、西門さんがまだみたい。
だから小走りで2人の所に行き「お待たせしました~!」と元気を振り絞って声を出した。


「あぁ、まだ若宗匠、来てないから大丈夫だよ。よく寝られた?」
「やっぱり海外での仕事は気疲れするよなぁ~!反応がイマイチ判らないし」

「えぇ?でも上田さんも井上さんも英語話せるんだからいいじゃないですか。私なんて結局覚えた単語すら言えませんでしたよ?」

「あはは!外人の反応じゃなくて若宗匠だよ。今回は特に意味不明だよな・・・」
「ほんと!俺達と飯が一緒なんて考えられなかったもんな。これで2回目だろ?どうしよ、もう話すネタもないし」

「ネタが必要ですか?普通に話せばいいのに」

「「・・・・・・それが出来れば気疲れしないって・・・」」


2人とも昨日の事なんて気にしてないみたい。だから敢えて『婚約者さんには内緒ですよ?』って言おうと思ったのを止めた。
忘れてるならそれでいいし・・・なんて。


「あっ、若宗匠、おはようございます!」
「おはようございます!」

2人がほぼ同時にそう言ったから振り向いたら、今日はラフなスタイルの彼・・・これまでで1番カジュアルだったから少しホッとした。またあんなスーツで来られたら、思い出してドキッとするから。


「おはようございます・・・」
「おはよ・・・って、また寝てねぇのか?クマ出来てんぞ?」

「えっ!ホントに?」
「それにちゃんと化粧水とかつけたのか?肌荒れしてね?」

「へっ?あぁ・・・そう言えば昨日は何にも・・・」
「お前、それでも24の女か?女子力上げろっての!」


・・・女子力上げても見てくれる人なんて居ませんけどね。その言葉はグッと呑み込んだ。


4人で向かったのはそこまで堅苦しくないレストランで、お料理もフルコースとかじゃなかった。
店内も思ったより賑やかで、あちこちで楽しそうな声が響くような・・・所謂庶民的なお店。だから井上さん達も肩の力が抜けて笑顔があった。
西門さんもそこまで喋らないけど穏やかな感じ・・・まさに仕事が終わった!って雰囲気で和やかなお昼だった。


「牧野、またそんなに残して・・・ホントに具合が悪いのか?」
「え?いいえ、そんなんじゃないですよ~!アメリカってお肉ばかりで胃が疲れたんですよ」

「そんな事言ってあんまり肉なんて食ってねぇだろ?」
「そ、そうだけど・・・。なんか初めての海外で緊張したって言うか、あんなホテルに何泊もした事ないから気疲れって言うか・・・ははは!日本に帰ったら体調も戻りますって!」

「・・・それならいいけど」
「それにあんまり食べると着物着た時に苦しいからですよ」


本当は西門さんの婚約者に会う時間が迫って来てるからドキドキしてる。
話しやすい人だったらいいけどなぁ・・・って。


ツンケンしたお嬢様なら嫌だな・・・って考えたらまたフォークが止まって3人が私を見る。それに気が付いたら「あはは!なんでもないです!」って、何も聞かれてないのに笑って誤魔化す。
こんな自分が凄く嫌だったけど、会ってしまえば逆にすっきりするのかも・・・お皿の上のサイコロステーキにブスッ!とフォークを突き刺してカプッ!と口に入れた。

美味しいんだかそうじゃないのか判らない・・・滅多に食べないステーキなのに。



**



ホテルに戻ってから暫くベッドでコロンとしていた。

この数日間、頑張ろうと何回言っても結局失敗だらけ・・・西門さんは副産物があったなんて言うけど、私にとってはそんなのどうでも良かった。
堤さんにもなんて報告すればいいのやら・・・また大きな溜息つかれそうで、それを考えたら頭が余計に痛くなる。

初めての海外・・・もっと楽しみたかったし、もっと役に立ちたかったなぁ・・・。
ベッドの横の窓から見えるNYの空はこんなにも青いのに、心の中には雨が降り続いてる気がした。



もうすぐ1時・・・着付けするから来いって言われた時間。
仕方なく小物を揃えて最上階の彼の部屋に向かった。


コンコンコン・・・

出て来なければいいのにって思った時ほど早く開くドア。
そして西門さんはもう黒の紋付き袴に着替えていた。
それがいつもの着物姿とは違って凄く凜々しい・・・初めて見る着物の正装に、何故か凄く切なくなった。

まるで花婿さんみたい・・・。


「時間通りだな。小物、持って来たのか?」
「・・・・・・・・・」

「ん、どうした?入れよ」
「・・・・・・・・・」

「・・・牧野?」



やっぱり・・・私、この人のことが・・・すごく好きなんだ。





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Comments 4

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2019/11/16 (Sat) 12:39 | EDIT | REPLY |   
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2019/11/16 (Sat) 15:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます(笑)

ってか、どっちの話のコメント?💦
書いてないから催促って事?!

ちょい待って・・・今ね、ホントに忙しくて大変なのよ💦
ヤガーの完結編、ちゃんと書かなきゃね!うんうん、判ってる。


そしてこっちも判ってる(笑)
なんやかんや言って結構伸ばしてしまったから💦
ほんと、ごめんなさい(笑)

2019/11/16 (Sat) 22:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

うふふ、そうなんですよ~、2人になりたかったみたいです。
上田と井上💦困った人達ですよね!ここは遠慮して辞退しなきゃ、ですよね(笑)

多分、総ちゃんの好みとつくしちゃんが一致しないからでしょうけど(笑)


そうそう、スパイスがドドーン!とやってくるんですよ♡
はぁ、やっとここまで来ました・・・長いアメリカ話だこと(笑)

2019/11/16 (Sat) 22:46 | EDIT | REPLY |   

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