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綾乃は自分の脚を鋏で刺した・・・その傷は深く右足の神経を傷つけていた。
もしかしたら歩行困難になるかもしれない・・・それが病院の診断結果だった。

「総二郎さん・・・!一体これはどういう事なの?!なぜ、綾乃ちゃんがこんな事になるのっ!」

そう泣きながら俺に問いかける家元夫人。
外出先から直接病院に駆けつけ、真っ青な顔でその場に立ち竦んだ。

手術が終わって麻酔がまだ効いている綾乃のベッドの横に座り込んでその顔を撫でていた。


「綾乃が私と一緒になりたいと・・・そう言ってきたのですが、私には牧野がいますからそれは無理だと・・・
その話をしたときに、自分で自分を刺したんですよ」

「なんですって・・・そんな事を綾乃ちゃんに言ったの?これからどうするつもりなんです?こんな大怪我を
させるようなことを言ったのは総二郎さんですよ?!」

ここまで来てまだそんな事を言う家元夫人に呆れて・・・こんな時だがため息が出た。

「申し訳ないとは思います。私が止められなかったということに関しては・・・でも、綾乃は自分で刺したんですよ?
私にはどうすることも出来ませんし、自分の気持ちに嘘もつけませんので」

俺が言った言葉も聞いているのかいないのか・・・家元夫人は綾乃に謝り続けた。
なんで謝るんだ?今まで綾乃がやったことを考えたら謝らないといけないのは牧野に対してだろう!


「総二郎さん・・・明日藤崎家の方達がこちらにいらっしゃるわ。その時に今後のことも考えましょう・・・。
でも、あなたにも責任のあることですよ?しっかりと受け止めてちょうだい!」


責任?・・・責任って何だ?
怪我は自分でやったことだ!可哀想だとは思うが何で俺が責任を負わなきゃなんないんだ?!
このケガを理由に綾乃を俺に押しつける気か!

この人は何があっても俺の気持ちなど考える気はないのか・・・怒りを通り越して空しく思えてきた。

*******

あれから牧野と連絡が取れない。何度かけても電話には出なかった。

仕方なく綾乃に一晩中付き添うことになったが、俺の頭の中には泣きながら飛び出した牧野の顔が浮かんだ。
何度も自分に言い聞かせた・・・牧野は絶対に俺の所に戻ってくる。

あいつは絶対にこの俺の所に帰ってくる・・・これだけは信じられる。
絶対にもう一度、この腕であいつを抱き締めてやれる。
あんなに泣かせたくせにそんな自分勝手な確信があった。


「おにいさま・・・どこ?・・・そうじろう・・おにいさま」


麻酔から覚めきってない綾乃は譫言のように俺を呼ぶ。
側にはいるがその手を取ることは出来なかった。

恐ろしいほどの綾乃の想い・・・こんな押しつけられる愛情なんかまっぴらだ!
俺はお互いが求め合える愛情が欲しかった・・・それが出来るのが牧野なんだ。

俺に向かって手を伸ばしてくる綾乃・・・その手に触れることも声をかけることも最後まで出来なかった。



*******



美作さんの別荘で今日は休むことになった。
何も考えたくなくて、窓から外の海を眺めていた・・・白く波が打ち寄せるのをずっと見てた。

真っ暗な夜の海・・・波の音が聞こえてくる。まるでそこに呼ばれているかのように・・・。
気が付いたら窓枠にしがみついて外に出ようとしていた・・・一瞬自分の身体が震えた。


「牧野・・・もう窓を閉めろ。風が冷たくはないか?」

ビクッとして振り向いたらそこには美作さんが立っていた。手に持っているのはホットミルク・・・?
私のすぐ側まで来てそれを手渡ししてくれた。

「ありがとう・・・あったかいね・・・」
「ちょっとでもいいから飲んどけよ?暖まるし、よく眠られるから・・・俺で良かったら話しを聞くけど
まだ、話す気にはならないか?」

「うん・・・ごめん。今はまだなにも話したくない」

そう言うと少しだけ笑って・・・わかったって言ってくれた。
入れてもらったホットミルクは甘くて・・・あたたかかった。
一口飲んだら、カップの中にポツンと涙が落ちてしまった・・・美作さんに気付かれないように慌てて拭いた。
横を見たら美作さんは雑誌を読んでいるのかソファーに座ってこっちを見ていない。

これ以上泣いているのを見られたくない・・・自分が弱くなったところなんて見せたくなかった。
だって美作さんには前に忠告されていたんだから・・・。


閉めていた窓に何かが当たるような音がした。


「美作さん・・・もしかしたら雨が降ってるの?」

「あぁ、さっきから少しだけな・・・」


そうか・・・やっぱり雨が降ってるんだ。
雨の音に誘われるように私は外に飛び出していった・・・美作さんはびっくりしただろうけど・・・。


そしてその雨の中、海の方に向かって歩いた。
波が打ち寄せるその手前まで行って、何も見えない暗い空を見上げた・・・雨が白い糸のように落ちてくる・・・。
いつのまにかひどくなっていた雨に私の身体はすぐに全身ずぶ濡れになっていった。


後ろから傘が出てきた・・・美作さんが傘を差しだしてくれているんだ。

「いいの・・・いらないのよ、傘なんて。こうしていたら雨なのか涙なのかわかんないでしょう?」
「俺は牧野が濡れてしまうのが嫌なだけだよ。泣きたいなら泣いたらいい。雨に紛らわせる必要はないだろ?」


そう言うと美作さんが私を後ろから抱き締めた・・・。

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Comments 6

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2017/06/05 (Mon) 12:29 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/05 (Mon) 15:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

毎度楽しいコメント、ありがとうございます🎵
え?
難しくないですよぉ。総二郎のお話だもの。

あきらが可愛いでしょ?
いかにもあきらっぽくないですか?傘にはフリルがあったりして❤( *´艸`)

あと、45分にしましょうか?

私も疲れてきましたよ~。あきらにうしろから抱きしめてほしいわぁ。

では、また明日❗

今日もありがとうございました❗

2017/06/05 (Mon) 16:02 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

花さま、こんにちは🎵

スリリングなのに萌えるのね?
もう、ドスケベだから❤(けっこうハマった)

どうする?私が濃厚なあきらのシーン書いたら…。
絶対、次のリレーから外されそう。
いや、そんなの書けないんだけど。

あの可愛いヤツ、変えたんですね❗
今度は大人っぽいぞ?あの字は花さま?
(ここで聞くなよって感じですよね)

では、お暇が出来たらこの先を確認しに来てくださいね❗
ありがとうございました🎵

2017/06/05 (Mon) 16:19 | EDIT | REPLY |   
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2017/06/05 (Mon) 20:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、今晩は!

あはは!このお話、自分では思わなかったんだけど昼ドラとよくコメント
いただきますよ!でも、私、昼ドラって見たことないんですよ。

あきらと・・・?いつか、もうすごくスラスラとそんなシーンが書けるように
なったとしたら挑戦しましょう!
つまりは・・・無理!って事ですけど!あきらって一番濃厚な気がするんですもん。


そうなんですよね、実はこのお話、昼ドラでもあきつくでもないんですよ。
総二郎のラブストーリーなんです。実は・・・。
サスペンス劇場でもないんです。

おっかしいなぁ・・・どのあたりからラブが消えたんだろう。
初めのころはいい感じのラブだったのになぁ。

でも、もうこのまま突っ走ります!!ラブラブが好きな方には申し訳ないが
お許しを~!

今日もありがとうございました!!

2017/06/05 (Mon) 23:38 | EDIT | REPLY |   

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