FC2ブログ

plumeria

plumeria

『お前なんかに牧野はやらねぇよ! こいつはもう俺のもんだからな!!』

さっきの言葉が頭の中をグルングルン回ってて、私を引っ張る西門さんの背中を見ていた。
草履だから速くなんて歩けなくて、そんなに引っ張ったら着崩れして会場にも戻れない!って、そう叫びたいのに声が出ない。

やっと止まったのはエレベーターホールで、すぐにそれが来たからまたグイッと引っ張られてエレベーターの中に放り込まれた。
中には数人の外人さんが居て、大振袖の私と紋付き袴の彼を見て「Oh!Japanese Wedding!」なんて言ってるけど、こっちはそれどころじゃないんだって!

この引き攣った2人が結婚式に見える?
西門さんは超怖い顔して俯いてるし、私はそんな彼に手首掴まれて怯えてるのに?!


他の人達は途中の階でみんな降りて行き、どんどん少なくなる人数に私の心臓がバクバクしていた。
もしかしたら最後は2人?この密室に2人きり?!

でも、それはすぐにやってきて、随分上の方に来たら最後の同乗者がエレベーターを降りた・・・そしてこの扉が閉まったら2人きり。もう心臓は爆発寸前で、扉がスッと閉まった瞬間・・・隣に居た彼が凄い力で抱き締めて来た!!


「うぎゃああぁっ!!待って、西門さんっ!ここっ、ここエレベーターだから!!」
「五月蠅い!判ってる、そんなの!」

「だって誰かが乗ってきたらどーするのよ!」
「アホか!もうすぐ最上階なのに誰が途中で乗ってくるんだよ!」

「でもっ、でもっ・・・!」
「あぁーっ、もう、喧しいっ!!」


喧しいって言われた途端に塞がれた唇・・・まさか本当にこんな所でキスするなんて思わなくて、驚きすぎて目を開けたまま・・・。
しかもすぐには離してくれる気配なんてなくて、強引に私の中に舌を入れ込んできた。


身体のド真ん中が熱い・・・それに凄く甘いキス。
いきなり過ぎて戸惑ったはずなのに、気が付いたら私の手は西門さんの背中に回っていた。耳に届くリップ音が恥ずかしくて一度唇を離そうとしたけど、すぐに噛み付かれるように重ねられた。


やだ・・・あの時よりも情熱的なキス。
頭の中がおかしくなりそう・・・!もう足がガクガクして立てない・・・!


エレベーターが最上階に着いて扉が開く瞬間まで抱き締められていて、そこに誰かが居たらどうしようかと思った。
でも、誰も居ない・・・ヨロヨロとそこから出た私を西門さんが抱えるようにして自分の部屋に連れて行ってくれた。


・・・でも、これからどーするの?




********************




類に奪われるだなんて思わなかったが、もう他の男とじゃれ合う牧野を見たくなかった。

花沢の秘書なんて牧野が選ぶとも思わなかった。
司を見たって一目惚れするとも思わなかった・・・いや、少しは不安だったけど、俺に婚約者がいたら嫌だと言ったこいつの言葉をもう1度確かめたくて、あの場から逃げだしただけ。


こいつの手を握ってる指先が既にヤバい。この俺が震えてやがる。
この震えは恐怖とか不安とかってんじゃねぇ・・・こいつを自分のものだと言い放ったことを実行する、それを考えたからだ。


そして部屋まで待ちきれずにエレベーターで2人きりになった瞬間、牧野を抱き締めてキスした。
こいつはそれを拒むどころか俺の身体を引き寄せてくれた。その背中から伝わる指の力が増す度に牧野を抱き締める力も強くなって、貪るようにこいつの口内に舌をねじ込んでいた。

まだ女を知らないガキみたいなキス・・・こんなの俺の美学に反するんだけど止められない・・・結局最上階に着くまでの間、ずっとこいつの唇を奪っていた。


最上階に着いたら腰砕けになった牧野を抱えるようにして部屋まで行ったが、その途中なんて覚えてもいない。
ただ少しでも早く誰も来ないところに連れて行きたくて、牧野の草履なんて気にしてやることも出来なかった。そのぐらい・・・この俺が焦ってることに、自分が1番驚いてた。


「あっ、あのさ!」
「・・・なんだ!」

「パーティー、戻らなくていいの?イベントの慰労会なんでしょ?他の団体さんとの親睦が・・・っ!」
「慰労会なら自分に部屋でやる。他の団体なんてどうでもいい、好きに飲ませとけ!」

「えぇっ!そんなんでいいの?!」
「俺がいいって言ってんだ、気にするな!」


俺が居なくなったって誰も気が付かない・・・事はねぇだろうが関係ない。どうせこのパーティー会場で解散したら暫く誰とも会わねぇんだから!

部屋に入ったら牧野を引っ張ってベッドルームに行き、そこにあるソファーに半分投げ込むようにして座らせた。すぐに横に座って怯えた目のこいつを真っ直ぐに見つめ・・・そのままもう1度キスした。

今度はそっと触れるだけのやつ。
そしてすぐに離してやり、震えてる身体を抱き締めた。


「・・・・・・馬鹿野郎、類の話に乗っかってんじゃねぇよ」
「・・・乗ってない・・・ですよ」

「その話し方やめろ。今は秘書じゃねぇから」
「で、でも勤務中だし」

「じゃあ今日はこれまで・・・で、文句ねぇな?」

「・・・・・・判った」


・・・って、ここまでは甘い空気だったが、兎に角こいつの勘違いがどうして始まったのかを聞かなきゃいけねぇ。そう思って抱き締めていた手を離して今度は睨みつけた!
そうしたら再びビクッとして「今度はなに?!」って俺から飛び退いた。

俺も姿勢を戻して腕組み・・・これまでの事を聞こうじゃねぇかと情けない顔の牧野と向かい合った。


「で?厨房の奴等が俺の婚約者の噂をしてたんだって?」
「いや、あの・・・巾着袋を作り始めた日に聞いたのよ!家元夫人が・・・」

「お袋?お袋がどうしたんだよ」
「家元夫人が調理長に西門さんのお祝い膳を考えてって話してたって!だからみんながとうとう婚約が決まったんだって言うから・・・」

「は?俺の祝い膳?なんだそりゃ」
「知らないわよ!私だって秘書なのに何にも知らなくて、驚いちゃってそれからは全然仕事が出来なくて・・・だから、あの・・・」

「・・・だからあんなに毎日動揺したりボーッとしたり、人の話なんて聞いちゃいなくて飯も食えずに寝られなかったのか?」
「・・・・・・だって・・・」


アメリカに来ても俺が初日の夜に誰かと飯を食いに行くって話を立ち聞きして、居るはずもない婚約者だと思い込みショックだったらしい。それが説明会の後のエレベーターホールでも同じく立ち聞きして、このパーティーにそいつが来ると勘違いして気が重たかったと。

あのヤケ酒も婚約者のせいで、若宗匠と言い始めたのも婚約者のせい。
仕事にやる気スイッチを入れて忘れようとしたけど、何かにつけて思い出すから浮き沈みの毎日だったと泣きそうな声で説明していた。

馬鹿なヤツ・・・ストレートに聞けば良かったのに。


「だって聞けないじゃない!聞く理由がないんだもん!」
「聞く理由?そんなの自分が1番判ってんじゃね?」

「そっ、そんなの・・・だって西門さんは上司だもん、そんな・・・」
「今は上司じゃねぇ。勤務外だからな・・・どうしてそんなに気になったんだ?俺が婚約したらそんなに嫌なのか?」

「・・・・・・えっと、だから・・・」
「だから?」

「・・・・・・・・・今回は」
「今回は?」


「・・・・・・本気で好きになったみたい・・・で」


深紅の振袖に負けないぐらい真っ赤になって、小さな声でそう言った。
その言葉を口にする牧野はすげぇ可愛かった。

言ったあとでモジモジして小さくなっていくこいつを今度は優しく抱き締めて、その耳元で囁いた。



「その恋、丸っと受け止めてやる・・・だから俺から離れるな」






にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
関連記事
Posted by

Comments 10

There are no comments yet.
-  
承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

2019/11/22 (Fri) 12:16 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/11/22 (Fri) 13:17 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/11/22 (Fri) 14:29 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/11/22 (Fri) 17:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

生粋娘様、こんばんは。

ご訪問&コメントありがとうございます。

初めまして・・・なのですね?そしてオルゴールの方にもお越しいただいたのですね(笑)
それはそれは・・・💦大変申し訳ありません、放置しちゃって💦

あはは!焦れったいですか?それもごめんなさい!
この寸前の焦れったいのがめっちゃ好きなものですから(笑)

まだ焦らないで下さいませね♡色々と準備に時間がかかるつくしちゃんみたいです💦ははは!

どうぞこれからも宜しくお願い足します♡

2019/11/22 (Fri) 19:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

うんうん、嬉しかったでしょうねぇ~~~~♡

で・・・(笑)いやいやいや、そんなにすぐに暴走しませんよ?
私がこういう焦れったいの好きって知ってらっしゃるくせに~♡

このデレデレのところがいいのですよ。
ここで糖分補給して下さいな♡

えっ?このままで終わるのかって?


それは・・・・・・秘密です。

2019/11/22 (Fri) 19:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あはは!まりぽん様、ご乱心💦
大丈夫ですか?しっかりして下さいね!もしかして怪我しちゃった?(笑)

頭の中で妄想に走ったでしょ?♡
ほら、糖度が上がってきたぁ~~!!

総二郎っぽくなって来ましたねぇ~~~!!


でも・・・相手はこのつくしちゃん♡さて、すんなり行きますかどうか・・・(笑)

2019/11/22 (Fri) 19:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: やばいです!

シポンヌ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あははは!爆笑っ!!

そんなところで二次を読んではダメですよっ!(笑)
自然と顔がニヤけるんですから♡

自分でも気が付かないうちに笑ってますから、家に帰ってからゆっくりと・・・(笑)

でも、作家さんの中で「電車で書いてる」って人がいました(笑)
それも怖いですよね・・・・・・。

2019/11/22 (Fri) 19:54 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/11/23 (Sat) 11:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんにちは。

コメントありがとうございます。


・・・・・・良く判っておいでですこと(笑)

2019/11/23 (Sat) 12:04 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply