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自宅謹慎になって数日、既に調べることすら判らなくなった俺はリビングのソファーで寝転んでいた。
その時、日中だというのに鳴ったインターホン・・・誰かと思ったらエントランスに難しい顔をした進が立っているのが映った。

すぐにロックを解除し部屋まで上がって来るように伝えたけど、その返事は聞き取れないほど小さかった。


あの噂を聞いたのか。
だから俺に不信感を抱いて、居ても立ってもいられなかった・・・そんな気がした。


やがて鳴ったチャイムでドアを開けると、今度はいきなり進が俺に殴りかかってきた!
避けようと思えば避けられたけど、敢えてそれを真面に喰らい、俺は玄関のシューズボックスに体当たり・・・!
過去に幼馴染みの拳を経験したことのある俺には力のない進のそれを痛いとは思わなかったけど、温厚なこいつをこんな風に怒らせた・・・その方に胸が痛んだ。


「・・・・・・ぃって・・・!」
「はぁはぁ・・・俺、謝らないからね。お義兄さん、いや花沢さん・・・あんたの事、見損なったから!」

「・・・徳永商事にも届いたんだな?」
「なんだよ、あれは・・・・・・姉ちゃんが居なくなって数ヶ月経つからって、もう諦めたのかよ!あんたはそんな人じゃないと思ってたのに!」

「・・・誰が諦めたって?いいから中に入れ、話がある」

「五月蠅い!俺は姉ちゃんの代わりにあんたを一発殴りたかっただけだ!もういい・・・二度とここには来ないから!」


進がそう言って向きを変えドアの外に飛び出した時、急いで立ち上がりその腕を掴んだ。
それを振り解こうとするけど進の力じゃ俺を払えない。それが判ったのか、今にも泣きそうな顔して俺を睨みつけ、もう1度ドアの内側に入って来た。

俺もそこで腕を離し、進にもう1度部屋に入るように言った。


「今は仕事中?」
「・・・今日は半休でもう自宅に帰るだけだよ」

「そうか、じゃあ時間はあるな?」
「あるけどあんたと話す時間は無い!」

「いいから少し落ち着いて。説明するから」
「・・・いい訳すんのかよ!」


俺に対して初めて乱暴な言葉遣いをする進・・・それだけ姉に対する愛情が強いんだと思えば腹は立たなかった。

彼をソファーに座らせたけど緊張して指先が震えてる。
ここには来たことがないから目だけ動かして部屋中を見回してるけど、それがつくしのものじゃない「何か」を探してるようで苦笑いが出る。

淹れてやった珈琲をテーブルに置き、俺は進の向かい側に座った。


「以前話したよな、つくしが誰かに操られてるって。それからの事を報告してなかったから伝えておくよ」
「・・・何だよ」

「そんなに尖るなって。まずは新潟の有栖川の事だけど」


この言葉で始まり、進に新潟まで行った時の事を伝えた。
有栖川と言う家はあったけれど空き家だったこと、それが今は何処に移り住んでいるのかも不明だったこと。
そしてつくしの・・・進の両親が最後に見掛けられたと言う場所に総二郎と行った事・・・それを話すと驚いていた。


「確かに進が言ったみたいな崖だった。そこでお前の両親を見たって言う人に偶然出会って話も聞けた。だから進が花を手向けたって場所に立ってみたよ。風が強くて真下の海は恐ろしかった・・・」

「・・・そこ、判ったんだ。何処だった?」
「新潟の村上市だ。随分北の方だよ」

「村上市・・・そうだったんだ」
「あぁ・・・」


その後、有栖川と成瀬が花沢にどう関係しているのか調べていたら、突然つくしが1人で東京に現れたと教えた。つくしは元気だったけど、その時に俺が罠に嵌められて大型プロジェクトを逃したことを話した。
想像だけどつくしが俺を謀った・・・そう言うと「そんな馬鹿な!」と声を荒げた。

でもそれはつくしの意思じゃなくて「暗示」によるものだろうから気にはしない・・・この言葉も今の進には信じられないといった感じだった。


「それにさ・・・つくし、子供が出来たらしいんだ」

「子供?だ、だ、誰の?!」
「柊祐は自分の子だって言ってるけど俺はそうは思わない。つくしが守ってくれてるのは俺の子供だろうと思う・・・いや、そう確信してる」

「ね、姉ちゃんはなんて?それでもそいつの子供だって言うの?」
「・・・意識操作されてるから仕方ない。つくしは嬉しそうに柊祐の子供だって俺に言ったよ」


進は混乱してるのか、何度も瞬きを繰り返しては何かを言おうとするけど纏まらない、そんな風に見えた。
でも、次に例の写真の話を始めると急に顔を真っ赤にさせて「聞きたくない!」とソファーから立ち上がった。


「座れって。これからが本題・・・今度は三条が暗示に掛けられたんだ」
「桜子さん?あ、あれって桜子さんなのか?!」

「そう。誰かが俺と三条を会わせるように嘘の予約を入れた店があってね。そこでお互いに仕組まれた事に気が付いたから別々に店を出たんだ。どうやらそれも計画の一部だったらしい。三条を先に帰らせたけど、その後・・・拉致されたんだ」
「拉致?誰に?」

「それは判らない。三条の話だとタクシーに乗っただけだって言うから待ち伏せていたんだろうけど」
「タクシーで何処かに連れて行かれたの?」

「そうらしい。そこで知らない男に監禁されて、数日間催眠暗示を掛けられた・・・って総二郎と俺は思ってる。それで三条が行方不明だから探していたら俺が彼女に呼び出されたんだ。
今度はつくしに関する情報提供だと言われて無理矢理あのホテルに入れられ、そこで三条に睡眠薬入りのスプレーを吹き掛けられて意識を失った。三条もその後で誰かに同じ事をされて・・・後は進が見た写真の出来上がりだ」

「・・・・・・何もしてないってこと?」

「する訳がない。俺にはつくしが居るんだから」


進は随分と混乱して「ちょっと待って」と自分に言い聞かせるように頭を抱え込んだ。

花沢には1億という強請があって、それを即金で払ったけど、結局こうやって主要会社にネタを送りつけられた・・・そう言うとやっと俺の前で畏まって頭を下げた。


「ごめんなさいっ!会社で噂になってるから信じ込んじゃって・・・俺、花・・・お義兄さんの事を信じてただけにショックが酷くて、それでどうしても我慢が出来なくなって、それで・・・」

「いや、いい。俺も誰かに殴られたいぐらい自分が情けなかったから。三条がそうなったのも俺のせいだろうし」

「でも、本当にそんなに簡単に・・・」

「それは判らないけどね。桜子は何か薬品を使われたのかもね・・・そんな事を言ってた。後は花沢を強請った男、タクシーの運転手・・・其奴らがどの程度の期間を掛けて意識操作されたのかは判らないんだ。
タクシーの運転手は誰だか知らないけど、ホテルで俺達の写真を撮った男の身元は判ってる。でも、そいつも何も覚えてないんだそうだ。
だから少し前に話しただろう?進の彼女にも、優紀ちゃんにも身の回りに気を付けろって。どんな手段に出てくるか判らないから、進はしっかり彼女を守ってやれよ?」


うんうんと頷く進の表情はここに来た時とは全然違っていた。
でも逆に不安も大きくなった・・・そんな感じに見えた。


その時、またインターホンが鳴った。

今度は美作の片岡・・・地下の秘密システムの責任者である片岡がマンションを訪ねて来た。
それは思いもしない来訪者だったから、急いでロックを解除し、片岡も部屋に入れた。


彼はチラッと進を見た後で俺に向き直ったから「彼はうちの関係者だから大丈夫」、そう言えばテーブルにノートパソコンを置いて操作を始めた。


「ここで美作のメインシステムに繋げてデータをお見せします。あきら様からの命令ですので」
「あきらの?」

「はい。美作商事に届いた花沢様のスキャンダルネタ、それがどうやって送られたかをお調べします」
「ここで?」

「はい。花沢様が外出出来ないと伺いましたので」
「・・・・・・まぁね」


そう言いながらそこに並べた大きめの封筒が数枚・・・美作の関連会社に送られたあの写真が入っていたものらしい。
進も唖然として片岡の素早い行動を見ていた。


「もういくつかデータを集めているのですが」
「えっ、もう?」

「はい。送られてきたその日から作業を開始していますので」


流石あきら・・・俺の親友は海外にいても頼もしかった。





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Comments 4

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2019/11/26 (Tue) 06:03 | EDIT | REPLY |   
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2019/11/26 (Tue) 08:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

このようにややこしいお話にお付きあい下さいましてありがとうございます。
ははは!コメント再開には少し早いとは思ったのですが、ちょうど章が変わったのでいいかな、と。

うんうん、つくしを鈴花にするアイテムの反対で、鈴花がつくしに戻るアイテムの破壊ですね(笑)

も~~ね~~、ややこしいから判んなくなりますよね💦
つくしちゃんが鈴花になるときは「鈴の音」です。

誰だ、こんなの考えたのはっ!!

2019/11/26 (Tue) 20:32 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。
困った時の美作システム(笑)

もうこの家が万能調味料みたいで嬉しいです❤
あって良かった、美作家。

破壊したのですが・・鈴の音は鈴花になるためでして、実は鈴花からつくしに戻る時の音・・・暗示を特音は「あの音」としか出してないのです。
判りにくいですよね💦

半分オカルトっぽい?(笑)

オカルト推理小説、みたいな💦なんて面倒な話でしょうかっ!!


で、総ちゃん・・・(笑)
あっはは!おかしいなぁ?

もう少し早くにこうなる予定が、どうして80話過ぎたんだろう?💦
まぁ、こちらはお気楽に読んでいただけたら嬉しいです❤


そして・・・長袖探してないです(笑)
出さなくちゃいけませんね💦えへへ~!!

2019/11/26 (Tue) 20:39 | EDIT | REPLY |   

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