FC2ブログ

plumeria

plumeria

片岡がテーブルに置いたパソコンの画面を俺も後ろから覗き込んでいた。
そして進は居心地悪そうに画面が見えないところで畏まってる・・・片岡が操作する指先を見つめていたけど、その不安そうな表情が目の端に映っていた。


「この封筒ですが、消印から推測して新座、三芳、川越と関越自動車道に沿って、幾つかに別けて投函されてますね。そして集めた中で1番遠くは水上温泉郷です」
「・・・そこの先は新潟だね」

「はい、そうです。美作の関連会社から集めただけですが、花沢も調べていますでしょうか?」
「いや、それどころじゃないみたいだから。警察に被害届は出したみたいだけど、実際どれだけの会社に送りつけたのか、花沢からは聞きにくいんじゃない?」

「そうでしょうね」
「それに俺の言葉なんて聞く耳持たないから。で、郵便だったんだね?」

「えぇ、そうです。それでこの道路上の郵便ポストで防犯カメラに映る場所を総て調べてみました」
「ごめん、大変だったね」

「いえ、お気になさらずに」


この会話に進は唖然・・・片岡のある意味無感情な言葉でそれが凄く簡単なように思えるけど、相当な量の監視カメラを見ただろうと思うと申し訳なかった。
ただ柊祐もそのぐらいの事は考えたんだろう。監視カメラに映ると想像されるコンビニ近くのポストでは大きな茶封筒を投函する人物は居なかったらしい。


「・・・実は奥利根に美作の施設があるんです」
「奥利根に?何かあったっけ?」

「極秘、とだけお話します。いや、我々のトレーニングセンターのようなものですよ」
「成る程・・・それは極秘だね」

「はい。それでこの辺りの主要道路には美作独自の監視カメラが設置されています。そちらのデータをご覧下さい」
「・・・・・・そんな事してるの?」

「旦那様のご命令ですから」


・・・すごい偶然。

でも、その監視カメラのデータを覗いて見ると、3件だけど郵便ポストに大きな茶封筒を投函するサングラスをかけた男の姿があった。その男の風貌には見覚えがある・・・いつもつくしをガードしている男だ。

その男が手袋をはめた手に抱えた封筒をポストに入れる前に辺りを確認・・・そして投函したら足早に車に戻る、その光景が3箇所でj確認された。
はっきり見えないけど毎回5~6通の封筒を投函しているのと、美作が集めた消印の場所を考えたらこの男は何回この行動を繰り返したのだろう・・・。

俺にはこの男も哀れに思えた。


「この男が運転している車ですが、Nシステムで追跡した結果、この後湯沢から関越自動車道に入っています。その後、北陸道に入り最後は磐越道に入って津川で降りていますね」

「津川?それ、どの辺り?」
「津川はここになります」

「・・・ここって」


・・・それは俺達が事故に遭った場所からそこまで離れていなかった。
もしかしたらつくしは津川に居るのか?

この新しい情報に俺の心臓が喧しく反応した。そして進も身を乗り出してその場所を画面で見て「ここに姉ちゃんが?」と呟いた。


「それでは私はこれで。少しはお役に立ちましたか?」
「あぁ、助かった。あきらには俺からも電話しとくよ。そっちのスタッフにも宜しく」

「私共は業務です。お気遣い無く。では、失礼します」

「ありがとう」
「あ、ありがとうございました!」


無表情だった片岡が最後には少しだけ笑って、マンションの部屋を出ていった。
その後に進が何度も頭を下げて帰って行き、俺はまた1人・・・でも「津川」と言うワードに何故か凄く心が疼いた。


自分の中の何かが「そこに行け」と言ってるような・・・そこに行けばつくしに会えそうな気がしていた。




**********************




「・・・鈴花、もう起きなきゃ。いつまで寝てるの?」

優しい柊祐の声で目が覚めると、もう辺りは真っ暗・・・私はどのぐらい寝ていたのかと驚いてベッドから身体を起こした。途端にお腹を蹴られて「いたたっ!」って言うと、彼が慌てたようにやってきて肩を支えてくれる。


「また母親を蹴ったの?産まれる前から暴れん坊だね」
「くすっ!私に似てるのかしらね」

「鈴花に似てる方がいいな・・・その真っ黒な黒髪、俺は好きだから」
「そお?私は柊祐みたいな優しい髪の色とちょっと不思議な色の瞳が大好きよ?そっちに似たらいいなぁ~!」

「・・・・・・お腹空いてない?食事、ここに運ばせようか?」
「ううん、ダイニングに行くわ。動くのも大事だって言われてるから。その方が安産になるってお医者様、言わなかった?」


何よりも私を大事にしてくれる彼に甘えるようにして腕を伸ばしたら、そっと抱き締めてくれる・・・私はそんな柊祐の温かさが大好き。この腕があれば他には何も要らない、そう思った時にまたポコン!とお腹を蹴る赤ちゃん。


「いたたっ!もう~~!ヤキモチなのかしら?」
「えっ・・・誰に?」

「柊祐によ。だってあなたに抱きついたら絶対にお腹を蹴るのよ?それがいつも酷いの!ほんっとにもうっ・・・いたたたっ!」
「・・・へぇ、そうなんだ。産まれた後が大変そうだね。ママの奪い合いだ・・・」

「柊祐?どうしたの?」

「いや、何でもないよ」


あれ?柊祐が少し怖い顔をした?
どうして・・・赤ちゃんの話なのに嬉しそうにしないのかしら。まさか本当にヤキモチだと思ってるのかな・・・?

悲しくなって彼の服の端っこを掴んだら、もう彼はニコッと笑ってくれていた。



『・・・そこ・・・ないよ・・・』



「え?何か言った?柊祐」
「・・・いや、何も」

「本当に?変ねぇ、今何か聞こえたのに。空耳かな?」
「なんて聞こえたの?」

「それがよく判らなかったの。きっと気のせいね!ダイニングに行こう?」
「・・・そうだね」



『・・・・・・もうす・・・来るよ・・・』



柊祐と並んで廊下を歩いていたら、また聞こえて来た声・・・思わず振り向いたけど誰も居ない。
そんな私を彼は少し怖い顔で見ていたから、慌てて腕に縋り付いた。


・・・誰の声なのかしら。
誰が私に話し掛けてるの?

お腹を触ってみたけど、この時の赤ちゃんは眠ってるのか凄く静かだった。





にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/11/27 (Wed) 00:55 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/11/27 (Wed) 06:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様。こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうなんです~、ここで一生懸命ママに話し掛けております。
この子には柊祐の術は掛かっていないので、必死にパパを呼んでおります。

2人が会った時、この子はどんな力をくれるんでしょうね~。
もうお話は終盤です。

最後まで応援宜しくお願い致します。

2019/11/27 (Wed) 23:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうですね~、うんうん、きっとその時には大活躍するんですよ。
まだ産まれてもないのにご苦労な事です♡

流石、類の子・・・策士かもしれないですよ?(笑)

2019/11/27 (Wed) 23:59 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply