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津川まで行く事を決めたのはそれからすぐだった。

ただし自宅謹慎中で勝手な行動は許されていない。俺がここを出て行く事を母さんに知られるのは不味かった。
ここの合鍵も渡してないから入って来ることは出来ないけど車を動かせば知られてしまう可能性もある。これ以上騒ぎを大きくするのは流石に出来ない・・・。

だからと言ってこれ以上、総二郎の時間を使う訳にもいかない。
レンタカーを借りれば情報が漏れるかも・・・と、移動手段を考えながら同時にルートも調べていた。


飛行機での移動は逆に難しい・・・それに津川に着いても自分で移動出来た方が便利だ。
それならやはり車だろうという結論になった。

東北自動車道を使って郡山から磐越自動車道で津川に向かうか、関越自動車道を使って長岡、新潟中央まで行き、そこから同じく磐越自動車道で津川に行くか・・・どうせならキーワードでもある新潟のルートで行くか、とパソコンの画面を見ながら考えていた。


♪~♪~~

不意に鳴ったスマホ・・・掛けてきたのは加代だった。
それは本当に珍しいことで、俺は驚いて暫く画面を見つめていた。

まさか母さんが何かを探ろうとして加代を・・・なんて勘繰って、通話のところまで指を伸ばしながらなかなか押せない。でも、ここで出ないとまた五月蠅く言い始めるだろうから、軽く溜息をついてタップした。


「・・・どうした?加代」
『あぁ、類様。もう切ろうかと思っていましたわ』

「ごめん、少し驚いたから。何かあった?」
『えぇ、この前お話した件で思い出したことがあって・・・それをお伝えしようかと思いましたの。今、宜しかったですか?』

「思い出したこと?・・・・・・あ、加代!ここに来られる?」
『えっ?私が類様のマンションにですか?』


母さんの差し金じゃないと判ると急にあることを思い付いた。

俺の計画に加代を・・・そう思って加代をマンションに呼び出した。
加代はたとえ母さんに知られても咎められない、ある意味では1番怪しまれずにここに来る事が出来る人物だ。
聞けば明日は休みだから今日は屋敷に泊まらず自宅に戻るらしく、相談があると言えば勤務終了後に買い出ししてから来ると言われた。



加代が来たのは午後7時半。
両手に沢山の食材を持って来て、それを冷蔵庫に入れていた。

そしてあれこれと見回したが、あまりにも生活感がないので逆にガッカリしたようだ。シーツの洗濯でも、と言われたけど「寝室は一度も使ってない」・・・その言葉を聞いて辛そうだった。


「加代、それよりも話を聞いてくれる?」
「・・・何でございましょう?この度の件でしたら奥様から少しは聞いてますわ。類様には身に覚えのないことだとか」

「母さんは信じてないだろうけどね。加代に話したつくしの意識操作、あれを今度は三条に仕掛けたみたいなんだ」
「三条様に?それであのような事に?」

「ん、それでなんだけど・・・」


この前加代に相談したおかげで総てを話しやすい。
だから例の写真がどうやって投函されたかを調べた話を聞かせた。そしてつくしをガードしていた男が投函する監視カメラ映像を入手し、そいつの行き先が新潟の津川だったと説明した。

そこはつくしと俺が事故に遭った場所に近い・・・その言葉は俺の怪我を思い出させるのか、加代は身体を竦めて眉を寄せた。


「俺はどうしてもそこに行きたい。加代、協力してくれない?」
「えっ!ここを抜け出すんですか?実はここに来た時に気が付きましたけど、うちの警護係が見張っていましたわよ?」

「・・・やっぱりそうか。俺が勝手に外出しないように監視してるとは思ってたけど」
「えぇ、おそらくそうでしょうね。奥様は今回の事でかなりお悩みですから・・・」

「でも行く。だから、加代が車を用意してくれない?俺の車が動くとすぐに判ってしまうから」
「・・・私がですか?」

「頼む、加代。津川に行けばつくしの行き先が判りそうな気がするんだ」
「・・・・・・つくし様の?」


加代はもう1度この部屋全体を見回した。
そして暫く考え込んでから、「ここが笑い溢れる部屋になるのなら」と協力してくれることになった。

今度は加代の話・・・何を思いだしたのかと聞けば、父さんが結婚前に付き合っていたと言う例の女性についてだった。


「実は今日、新しい使用人の面接がありましたの。田村さんと私とで、若いお嬢さんの面接をしたのですけれど、その人の名前が優しい子と書いて『優子』でしたの」

「優子?別に珍しい名前じゃないよね?」

「えぇ、思い出したのは旦那様がお若い頃、お電話で「ゆうこ」って呼んでいたのを聞いたんですよ。あれは多分・・・前後の会話から考えてもその女性だと思います。
もう泣かないで、とか次はいつ会えるか、とか・・・私も立ち聞きは良くないって判っていましたけど、動いた方が気付かれると思って立ち竦みましたの。そうしたら会話を終わった旦那様が私に気が付かずにその場を離れられて・・・」

「名字は?」

「いえ、それは言わなかったと思います。呼んでいたのは名前だけだったと・・・」


『ゆうこ』・・・単なる偶然だろうか。
柊祐にも「祐」の字がある・・・。


「それと、多分奥様から連絡があると思いますが、明日旦那様がお戻りですわ。ですから類様がお留守なのは困ります。お屋敷に呼ばれると思いますから」

「父さんが?この件で帰ってくるの?」

「はい。フランスでもかなり噂されているらしく、色々とお聞きになりたいそうですわ」

「・・・判った。じゃあそれが終わったら津川に行く。加代、頼む・・・迷惑は掛けないから」

「判りました。類様のお気持ちも判りますもの、何とかしましょう・・・また、詳しい事はご連絡致します」


加代はその情報をくれた後、少しだけでもと食事を作って帰っていった。
「ここで初めての料理が私で申し訳ありません」なんていいながら、食べやすいようにとビーフシチューと簡単なサラダだけ・・・久しぶりにそんな匂いがするキッチンを見て、つくしのエプロン姿を想像していた。


『類、出来たよ~!沢山食べてね~』


そんな元気のいい声は、いつになったらここで響くんだろう。



**


加代から聞いていた母さんの電話はその日の夜遅くにあった。
明日、父さんが帰国するから夕方自宅に戻れ、と。しかも自分で運転せずに迎えの車で来て、マンションに戻るのも1人ではダメだと行動を押さえ込むような発言をされた。

それには反論もせずに受け入れ、すぐに加代に連絡をした。


「明日、俺が自宅に戻っている時に駐車場に車を1台持ってこれる?」
『はい。それでは私の車をお停め致します。ダークブルーの普通車でナンバーは○○ー○○です。キーを付けたままでも大丈夫でしょうか?』

「セキュリティーの厳しいマンションだから大丈夫だと思う。俺の車の右隣がゲスト用の駐車場だから、そこに停めてくれる?」
『畏まりました。旦那様と喧嘩などされませんようにね、類様』

「喧嘩はしないけど自分の意思は曲げない。きっとつくしの事を諦めろって言うんだろうけどね」
『・・・見付かることをお祈りしますわ』

「ありがとう、加代」


父さんに会って昔の話が聞けたらいいけど、それは期待できない。
憶測で言葉を出してもはぐらかされるだけ・・・特に今のつくしの状態なんて見たことがない人間には理解出来ない。父さんが何を言ってもそれには自分の無実を主張するしかない。

だから特に何も考えなかった。
頭の中には津川で何をどう探すのか・・・それしかなかった。





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Comments 4

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2019/11/28 (Thu) 00:15 | EDIT | REPLY |   
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2019/11/28 (Thu) 06:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

chawarin様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そ、そこまで類君が恐ろしく変化するかは判りませんが、これから頑張って取り返しに行きますっ!!(笑)
2人が離れ離れは書いてる方も辛いので、早く会わせてあげなきゃ、ですよね♡

もう少しでラストになりますので、最後まで応援宜しくお願いいたします。

2019/11/28 (Thu) 21:06 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

はじめに種明かしをしておりますので、これからは類君がそこに辿り着くまでをお楽しみ下さいね♡
類パパは・・・どうなんでしょうか。今のままだとねぇ💦

自分でも「古畑任三郎みたいな話だな」・・・と思っております。
先に全部犯行をバラし、後でトリックを見抜く、みたいな(笑)

え?ちょっと違う?えへへ!

2019/11/28 (Thu) 21:09 | EDIT | REPLY |   

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