FC2ブログ

plumeria

plumeria

「お前の事も報告するから」
「・・・・・・・・・うそっ!ちょっと待って?もう報告するの?」

「何だよ、先に延ばしたら良い事でもあんのかよ」
「そう言う意味じゃないわよ!だって、私達はまだあの、その・・・1回しか・・・」

「1回寝りゃ相性が良いかどうか判るだろ。それとも何か?お前は俺で不満だったのか?」
「・・・だからそう言う事じゃなくてね・・・」


そう言う相性とかってのもあなたは判るでしょうけど私には判んないわよ!何度も言うけどハジメテだったんだから!
他の人なんて知らないもん!って言おうとしたけど、その言葉を出したら後が怖そうだあったからやめておいた。

そして、戸惑ってる私の事なんて無視して背中を押され、あれよあれよという間に家元達の部屋の前・・・そこで廊下に座れと言われたから彼の後ろについて座った。
あの日の夜から続いてる動悸・・・我ながらよく心臓が保ってるなって思う・・・。


「総二郎です。ただいま戻りましたのでご挨拶に参りました」
「・・・・・・(え?なんでそんな言葉遣い?!)」

「入りなさい」
「失礼致します」


急に茶人みたいな(失礼💦)畏まった挨拶して障子を開け、西門の作法に従って部屋に入る。
勿論続く私も同様にして部屋に入ると、西門さんが指示した隣に座って一礼・・・これまでとは違う緊張で喉がカラカラなんだけどっ?!
横目で西門さんを見たけど凜とした表情に戻ってて私の方を見たりはしない。
正面の家元と家元夫人を見ても・・・って言うか、このお2人にはこうして会うのは初めてだったから、すぐに顔を畳に移した。

とても顔を上げてられない・・・なんで私がここにいるの?!


「はぁ~、疲れた!来年あったら絶対行かねぇからな!」
「・・・・・・・・・は?」


急に素に戻った西門さんが、あれだけ綺麗な所作でお部屋に入ったのにもう足を崩してる。
それを見ても特に何も言わない家元と家元夫人は「お疲れ様~」と、極普通に声を掛けていた。
それに家元夫人が急須でお茶を入れてる?!それを見て慌てて「やります!」と言ったら、あまりにもすべすべな畳で滑って、西門さんの前で派手に転けた・・・!

「何やってんだ?」って呆れたように手を出してくれたからそれに掴まって、「よいしょ」と起きた時には綺麗な湯呑みに入ったお茶が出されてた。


「うふふ、牧野さん、気にしなくていいのよ~。この部屋に入ったら親子に戻ってもいいって事にしているの。廊下だと誰が見てるか判らないから親子ではなく、家元と若宗匠って立場ですけどね」

「そ、そうなんですか?でも家元夫人にお茶を入れさせては堤さんに叱られます!」
「ここに居ねぇんだから大丈夫だろ。叱られたら張り倒せ、俺が許す」

「・・・・・・・・・・・・」


あんなステンレスみたいな人を張り倒せないでしょうが!って、横目で睨んだけどニヤリと笑って効果無し。
でも肩肘張らずに話せるのなら助かる・・・そう思って、元の位置に戻ってお茶をいただいた。

うん・・・流石西門家。
急須のお茶でも最高級なのかもしれない・・・すごく美味しくて気持ちが落ち着いた。



「で、どうだったんだ?他の団体に見劣りなどしてはおらんだろうな?」
「馬鹿言え!この俺だぞ?毎回茶道の前は人が溢れたさ」

「ほほほ!いやぁねぇ、総二郎さんったら。お得意の顔で御夫人を引き寄せたのね?」
「わざわざ顔を作らなくても普通にしてたら来るって。それに今年は土産がウケてさ!」

「そうらしいなぁ!ここだけの話、書道の連中は半分持って帰ったそうだぞ?」
「あら、そうですの?それは牧野さんが機転を利かせてくれたからだわ。実は1つ、リバーシブルの巾着袋を志乃さんにもらったのだけど、婦人会のメンバーにそれを見せたらみんなが欲しがったのよ?」


確かに私は普段からこのお2人とは話さないから知らないけど、いつもこんな感じじゃなかったのに?
思い起こせばこのメンバーで話すのは入社挨拶の時以来・・・あの時は超格好いいおじ様にキュン!として、美人の家元夫人に見惚れたのに。

たまにすれ違う時も上品で、住む世界の違う人だと思ってたけど・・・なんだ、意外と普通なのね?と可笑しくなって笑ってしまった。


堤さんへの業務報告もこんなに楽だったらなぁ~と、お茶を啜ったところで「そう言えば」と家元夫人が真面目な顔をした。
どうしたのかと思えば出てきたのは奈々さんって名前で、それが草薙さん事だと言われ、ビクッとして持ってた湯呑みを落としそうになった!


「菜々さんから久しぶりに電話があったかと思ったら『あなたの息子さんも、あとちょっとで一人前ね』なんて言われたのよ?それでどういう事かを聞いたら『女性に助けられるようじゃまだまだって事よ』ですって!何したのよ、総二郎さん」

「あぁ~、それな。おばさんが偶然デモンストレーション会場に来てて、俺を見てあの事を思い出したらしいんだ。それで少し機嫌悪くしたのを牧野が宥めてくれたって言うか・・・」

「まぁ!助けてくれた女性って言うのは牧野さんなの?あなた、それでも若宗匠なの?!」

「いえ、家元夫人、大したことはしてないですから・・・」


そんな事より西門のブースで門下生でもない私がお茶点てたなんて知られた方が不味い!
西門さんを見たらムスッとした顔で頭掻いてるし、家元は苦笑い・・・まさか、井上さん達が報告してないよね?!って思っても確認も出来ない。
でも家元夫人も不機嫌そうにしてるけど、そこまで怒ってる訳じゃ無さそう?

少しだけ頬を赤くして「ホント、昔から気が強いんだから!」なんてブツブツ言ってた。


「あの人ったら『あなたも相変わらず暗いお屋敷の奥深くで暮らしてるの?可哀想だから今度帰国したら顔でも見せに行くわよ。どっちの顔に皺が多いか比べようじゃないの』って言ったのよ?!
だから『それはそうとあなたの娘さんはお嫁に行かれたのかしら?』って聞けば黙ってたわ!ふふんっ、まだお嫁に行ってないんだと思ったわよ」

お嫁さん・・・今の私にはドキッとする言葉。

「それに『アメリカでいつも若い人と仕事してるから呆ける暇がないわ。美和子さんは大丈夫なの?お相手がご年配って事が多いから心配だわ~、脳トレやってる?』だって!
やぁねぇ!外国が長いからってズケズケとものを言うようになっちゃって!ホントに困ったお友達だわ」

呆けないかもしれないけど、いつか転んで怪我しそうだったけど。


でも言葉とは裏腹で、嬉しそうに見えるのは私だけかしら。
「いつ帰って来るのかしらねぇ~」なんて言いながら綺麗な手でお茶を飲んで、一昔前を思いだしてるみたいだった。

そのすぐ後には家元が思い出したように言葉を出した。


「今朝、西村さんがアメリカからの電話を取ってな。話せないから堤に変わってもらったらしいのだが」
「アメリカから?誰が掛けてきたんだ?」

「あの世界的に有名なバトラー社だよ。社長夫人が日本贔屓なのも有名だが、来春はうちで大掛りな茶会をしたいと言ってな、その日には日米の主要企業の代表が揃うから宜しくとの事だったらしい。
総二郎、何か思い当たることがあるのか?いや、光栄だがメンバーを考えたらそれなりの準備をしなくてはならんぞ?」

「あぁ~、それも牧野の巾着袋のファンだ。こいつの対応にすげぇ喜んでたから」
「えっ?!それ誰ですか?!」


全然覚えてないけど、どうやら私はすごい人に巾着袋を渡したらしい。
その話を西門さんから聞いて、あの最後に突進して来たおばさんがその人だと聞いて驚いた。
私はただお爺ちゃんに奥様の分だと言って1つ余分に渡しただけ・・・その人が経済界でそんなに有名な人だなんて思わなかったもの!

頑張って作ったものだから、喜んでくれた人には調子に乗ってバンバン渡しちゃったのよね・・・。


家元は大喜びで、家元夫人も「牧野さんが1番頑張ったのね!」と言われ、西門さんまで「見せてやりたかったぜ」なんて。私は西門さんの居もしない婚約者の事でミスばっかりだったのに、そんな風に言われたらなんて答えたらいいのか返事に困った。

でも、これでアメリカ出張の報告は終わったみたい。
最後にもう1度お2人から「ご苦労様」の言葉を貰い、西門さんが「報告」を始める前に部屋から出ようと丁寧に頭を下げた。

それなのに私が頭を上げても西門さんは真面目な顔して前を見てる・・・まさか、本当にこれから話すつもり?!


「お袋、1つ聞いてもいいか?」

「あら、何かしら?総二郎さん」

「俺の祝い膳って何だ?」



あああーーっ!!完全に忘れてたっ!
『総二郎さんのお祝い膳』!!






にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/12/02 (Mon) 13:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: ありがとうございます

シポンヌ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あらら!風邪ですか?お母さん、看病してあげて下さい(笑)
そういう私も娘が入院していたとき、病院でお話書いてましたけど(笑)

あはは!総ちゃんのお祝い膳💦
この家元夫人、なかなかの策士でございます。

2019/12/02 (Mon) 20:08 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply