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plumeria

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休憩と仮眠をとりながら車を走らせ、津川に着いたのは午前4時・・・その日は車の中で夜が明けるのを待っていた。
加代がくれた珈琲を飲んで積んであった毛布に包まり、これからどうするかを考えていた。


もし柊祐がつくしを連れてこの付近に滞在しているのなら、ここに土地勘があると言う事だ。
何の伝手もなく、思い付きで住むとは考えにくいような場所に思えた。


それなら柊祐の出身地、あるいはあいつの親が住んでいたとか?
成瀬コーポレーションの新潟支社は新潟市内の中心部だ。柊祐の母親がどうやって出会ったのかは判らないけど、実家が田舎にあっても不思議はない。
そして東京まで成瀬社長を追い掛けてきてるから彼が産まれたのはおそらく東京だろう。

もしかしたら何らかの理由で里帰りして、この辺りが自宅ならこの土地で柊祐を育て、そして亡くなった・・・と言う可能性もある。

じゃあ何処かの小学校に通ったんだろうか。
認知もされてないから成瀬じゃないとして、名字が不明だと卒業生の名簿からは捜し出せないのか・・・?
そもそも学校がこんな要求に応じてくれるのか?今は花沢の名前も出せないし、誰かの力を借りる余裕もない。名乗らずに小学校に乗り込んでも教えてくれるかどうか・・・・・・期待は出来ない。

それなら柊祐と同年代の地元の人間に彼の事を聞いて回るか・・・それも余所から来た俺には無理なように思えた。


手に持った珈琲がすっかり冷めて、それを口にすると逆に身体が冷えてしまった。
だから車を動かして自販機を探し、温かい紅茶を買った。それをゆっくり飲みながら、だんだん白んで来た空を見上げていた。

ここは東京よりかなり寒い・・・お腹の大きなつくしは温かくしてるだろうか。
そんな事を、だんだん見えなくなる星を見ながら考えていた。




************************


~side進~

花沢さんの事を思いっきり殴ってしまった事で、俺はあれからずっと落ち込んでいた。

信じてるって言いながら、あれだけ必死に探してくれてる人に向かってなんて事をしたんだろう・・・。
それに花沢さんは普段は穏やかな人だけど、特殊な訓練を受けてるから護身術には長けてるって姉ちゃんから聞いてた・・・それなのに人を殴った事がない俺の拳を避けなかった。

避けられないわけがない・・・それは浮気を認めたんじゃなくて、罠に嵌まったことを恥じていたのかも・・・


「はぁ・・・」
「牧野君、どうかしたの?」

「あっ、課長!な、何でもありません・・・」
「そう?じゃあ私と一緒に資料室に来てくれない?ちょっと面倒臭い事しなきゃいけないんだけどね、男じゃないと無理だから」

「男じゃないと?俺で役に立ちます?」
「段ボール箱ぐらい持てるでしょ?」

「はははっ!重さによりますけど、いいですよ。手伝います!」
「助かるわ~!」


女性だけど俺の上司に当たる林田課長に頼まれて、この人について資料室に向かった。
その仕事とは、社内規定に反して相当前の契約書がそこにまだ残ってるのを早急に処分しろ、という内容だった。

最近のものならきちんと箱に収納物が書かれているけど、古いものになると何にも書かれていなくて、資料室の奥の方に山積みされていた。触るのも嫌になるほど古さを感じる段ボール・・・課長を見ると「取って来て」って指さすだけで、自分はマスクをして遠離って行った。

そう言う事か・・・!
初めから俺だけにさせる気だったな?と思ったけど、これも上司の命令だから逆らう訳にもいかず、スーツの上着を脱いで小さな脚立を使って箱を降ろしていった。

あっという間に手が真っ黒・・・!触るのも気持ちが悪いぐらい湿った感じもする・・・そこで息を止める為に思いっきり吸い込んだら、速効噎せた!


「ゴホッ!ゴホッ・・・うわ、臭い~!」
「きゃあっ!咳なんてしないでよ、埃が舞うわ!」

「よく言いますよ、俺なんて目の前で・・・・・・くっしゅん!」
「牧野君っ!そっと降ろしてよ?こっちに投げないでよ?!」

「ゴホゴホっ!投げませんけど、どうしてこんなの放っておいたんですかぁ?くそ~~っ!」
「ゴチャゴチャ言わないで!私だってそんなに前から働いてないもん!」

「はいはい、えっと・・・この奥もそうなのかな・・・・・・って、うわぁーっ!」


思いの外重たかった段ボールを抱えたせいで足元がフラついて、狭い脚立の上で重心が崩れた!そしてそいつを手から離したけど、傾いた身体を立て直すことが出来なくてそのまま床に落ちてしまった!
その横には落ちた段ボールが破れて中身が飛び出し、俺はその黴臭い書類に埋もれた・・・。


「きゃああぁーっ!牧野君、大丈夫?怪我しなかった?!」
「・・・いたたたたっ!腰、打ったぁ・・・」

「いやよ、私が居たのに労災なんて!ほら、しっかりして?立てないの?」
「酷いなぁ・・・いたたっ、大丈夫ですよ、このぐらい・・・」

「医務室で湿布もらって貼っときなさいよ。あー、怖かったぁ!で・・・やれやれ、こんなにばらまいちゃって!」

「すみませんねぇ、課長・・・」


俺が落とした段ボールから出てきたのはいつの時代のものだか判らない古い書類の数々・・・それを2人で拾うのかと思えば課長は手を出さない。
汚れることは全部俺かよ!って思ったけど仕方がない。それを無造作に引っ掴んでまた箱の中に入れていたら、一枚の契約書が俺の目の前に落ちた。

やれやれとそれを拾った時に目についた承認印・・・その名前を見て驚いた!


「課長・有栖川」


その珍しい名字をここで見るとは思わなかった。

「有栖川」・・・姉ちゃんが引き取られたって言う爺さんの名字・・・?!どうしてこの会社にこの名字の人が居るんだ?
単なる偶然なのか?それとも何か関係あるのか?

俺がその書類をガン見するから後ろに居た課長も「どうしたの?」と聞いてきた。


「あ、あの!この有栖川って人なんですけど、課長知ってます?」
「はぁ?ちょっと!この書類って今から30年以上も前のじゃないの!私がそんな歳に見えるの?」

「え?そんなに前・・・?」
「上の方に日付があるわ。ほら、ここ!」

「あ、本当だ!この頃にこの会社に居たって人を知りませんか?俺、有栖川って人を探してるんです!」
「えっ?そうねぇ・・・総務の山田さんなら知ってるかも・・・?もうすぐ定年でこの会社では1番勤続年数が長い人よ」

「総務の山田さんですね?ありがとうございます!!」

「ああーっ!牧野君、ここ片付けてよーーっ!」
「後でやります!課長、すみません!」


処分するはずの古い契約書を手に掴んで、俺は総務課に向かって走っていた。


「いや、まずは花沢さんだ!花沢さんに教えなきゃ!」

総務課の手前で立ち止まって、焦りながらスマホで花沢さんを探して通話をタップ!その途中も俺は何故かドキドキして背中に汗が流れた。


もしかしたら俺、すごい発見かも・・・!
もしかしたら姉ちゃんの事が少しは判るかも・・・!

また姉ちゃんに会えるかもしれないと思うと、会社の廊下なのに目が潤んで来た。



『・・・・・・進、どうした?』

「花沢さん、いや、お義兄さん!俺、見つけたんです!」






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2019/11/30 (Sat) 05:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

なんと情報を掴んだのは進でありました(笑)
ここから一気に事件の真相に向かい・・・ます?かな?

既にお話には書いてますし、つくしちゃんにも説明はしているのですが、肝心の類君はまだ何も知らないので大変💦
色々重複して書いてるのでこんがらがったらごめんなさいっ(笑)

ややこしっ!って思ったら無視して下さい(それでいいのか?)

2019/11/30 (Sat) 20:16 | EDIT | REPLY |   

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