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~side柊祐~

昨日の夜から自室のパソコンを睨んだまま・・・あれから花沢がどうなったかを調べてみたが、一度落ちた株価がもう持ち直してる。それに花沢傘下の企業が離れたとのニュースもない。
もう少しアメリカでも動きを封じ込めるかと思ったのに、道明寺が出てきた為にそれも期待ほどではない。


「・・・花沢類と言うよりその周辺を甘くみ過ぎたか・・・」

やはりまだ手緩いか、と爪を噛んだけどだんだん無理をさせられなくなった「つくし」を1人であいつの元に送り込むことは危険・・・覚醒はしないだろうけど自分が監視できないところでは使えない。そのぐらい鈴花が不安定だった。

俺が何かを言うよりも「つくし」が拒絶する方が効果はある・・・それは確実なのに。


その後で花沢のホームページを確認したら、あの男が帰国していた。
今は日本にいる・・・それだけで虫唾が走った。


パソコンを閉じて数時間ぶりに椅子から立ち上がり部屋を出た。
向かったのは鈴花の部屋・・・何故か彼女に会うのにこの俺がドキドキしていた。今日はどんな言葉を出すのだろう・・・操ってるはずなのに制御できない鈴花の心の奥底、それに怯えているような・・・

いや、そんな事はない。
きっともうすぐあの家は崩壊する。

溺愛している息子が精神崩壊、もしくはその命を落とすかもしれないのだから。


その時に鈴花の部屋のドアが開いたままになってるのが見えた。
いつも絶対に閉まってるはずのドアが、何故・・・?

次の瞬間には踵を返し、階段を駆け下りて庭に向かっていた。


まさか鈴花が屋敷を出た?
門番がいるからあの外には出られないのに・・・と、屋敷のドアを開けたら彼女の姿は意外にもすぐ目に入った。
鈴花は花が散り終えた淋しい花壇の真ん中でジッと門の向こう側を見ていた。冷たい風が吹くのにコートも着ずに、伸びた髪をその風に靡かせて・・・まるで何かを持ってるかのように見えた。


虚ろな目は何処を見ている?
その目は鈴花のものなのか・・・まさか「つくし」が目覚めようとしてる?


一度引き返していつもの鈴を手に持った。念の為にもう1度「つくし」を鎮めて鈴花を強めないといけない。
それを持ってまた庭に出て、鈴花のすぐ後ろで鳴らした。


チリン・・・・・・チリン・・・チリン・・・・・・
      チリン・・・チリン・・・・・・



「鈴花、何してるの?風が冷たいんだから部屋にお入り」
「・・・・・・・・・柊祐、うん・・・そうね」

「門の外に何かあるの?」
「ううん、何でもないわ。さむっ・・・やだ、私ったら何してたのかしら・・・変ね・・・」


チリン・・・・・・チリンチリン・・・チリン・・・・・・
      チリン・・・チリン・・・・・・チリン



「子供が産まれたらいくらでも散歩に行けるよ。その頃は春だからもっと暖かいしね・・・さぁ、入ろう」
「・・・本当ね、春・・・になったら産まれるのよね」

「そうだよ、鈴花。君は春になったら俺の子供を産むんだよ」

「・・・柊祐の赤ちゃん・・・うん、楽しみ・・・」


チリン・・・・・・チリン・・・チリン・・・・・・


ポスッと俺に自分の身体を預けて微睡んだような目をする鈴花。
その身体を支えて屋敷の中に入り・・・ドアを閉める時に屋敷の前にある森を睨んだ。

誰かがあの森を越えてここに来る・・・?


来るとしたら・・・・・あいつしかいない。




************************


~side進~

睨まれながら半休届を出して会社を飛び出した。
勿論課長に言われてあの段ボールは全部片付けてから。

そして向かったのは山田さんに教えてもらった喫茶店で、そこはお昼時だったから混雑していた。
とても従業員の手を止めることは出来ない・・・でも、どうしても話しを聞きたかった俺は昼飯を食うついでに、横を通った女性に声を掛けた。
もう60歳近いんじゃないかと思うような人・・・でも、小綺麗で上品な女性だった。


「あの、すみません」
「何でしょう?お水のお代わりでしたらそこの・・・」

「いえ、そうじゃなくてここに大野さんって人はいますか?」
「大野?私の事?私の旧姓が大野だけど・・・あなたは?」

「大野さんですか?俺は・・・いや、私は徳永商事の牧野と申します。あなたに有栖川祐子さんの事でお尋ねしたい事があって来ました。後でいいのでお時間いただけますか?」


そう言ったら大野さんはすごく驚いていたけど、1度奥に入って旦那さんに許可をもらったと言われた。ただしランチタイムが終わってから。
それが2時からだと言われて、カウンター席の端っこに座らせてもらった。


食事が終わってからは珈琲だけで時間が過ぎるのを待つことにして、ここで一度花沢さんに連絡を入れた。


「もしもし、俺です。さっき話した人なんですけど、今、その店に居るんですよ」

『そう、悪かったな、仕事を休ませて』
「いえ、気になって仕事どころじゃないから。2時から時間取ってくれるそうです。また連絡しますね」

『あぁ、判った・・・頼むね』

花沢さんも誰かに会ってるのかな?声が低めで小さかった。
全然知らない土地なのに・・・流石だな、とスマホをポケットにしまった。



そして漸く約束の2時・・・大野さんはエプロンを取って、俺に手招きをした。

どうやら従業員の休憩室に行くみたいだ。
奥にある小さな部屋に案内され、そこにあった丸椅子に座った。大野さんはお茶を持ってきてくれてすぐ側のテーブルに置き、俺と向かい合わせて座った。
その距離僅かに1メートル・・・何故かすごく緊張した。


「お待たせしましたね。それで?祐子さんの何が聞きたいの・・・って言う前にどうして聞きたいの?」
「理由ですか?」

「えぇ、東京には彼女と親しい人はそんなにいなかったし、あなたの歳だと親子ぐらい・・・ううん、それ以上に違うでしょう?亡くなった事は知ってるの?」
「はい。知っています」

「じゃあ尚更だわ。どうして知りたいの?」


とても穏やかそうな人・・・優しい口調は俺の緊張を解してくれた。
だから「すこし長くなりますが」と言って、自分の子供の頃の話をした。

両親が行方不明になったこと、その後に投身自殺を図ったのではないかと言われたこと、その現場に行ったら有栖川と言う老人が現れて姉ちゃんを連れて行ったこと。
そして今、姉ちゃんが行方不明になっていること・・・それに「柊祐」という男が絡んでると話したら驚いた表情になった。


「・・・姉ちゃんは結婚したばかりなんです。それなのに行方が判らなくなって、柊祐って人が匿ってるんじゃないかって結論になりました。でも名字が判らなくて探せないんです。
それに有栖川って人がどうして姉ちゃんを引き取ったのか、それも理由が判らないんです。だから何処から調べればいいのかを散々悩んで、まずは有栖川って人を探したんです。そうしたら自分の勤めている会社に昔、在籍していた事が判ったんです。
その有栖川祐子さんと大野さんが仲が良かったって聞いたから来ました」

「・・・・・・そうだったの。お姉さんが行方不明・・・それは心配ね」

「はい。それに姉は妊娠してるみたいだから早く見つけたいんです。義兄さんも必死に探してるんです。その人が関係あるのかはまだ判りませんが・・・」

「関係あるかもね」


俺の話を遮るように「関係あるかも」って言葉を出して、大野さんは俯いてしまった。
逆に俺は吃驚して次に出す言葉を忘れたぐらい・・・途端に頭が真っ白になった。


「・・・祐子さんの息子さん、柊祐くんって名前だったのよ」

「ほ、本当ですか?」


「えぇ、とても可愛らしい男の子・・・祐子さんの宝物だったの」






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Comments 2

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2019/12/02 (Mon) 06:30 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

ホントに少しずつですが真相に近づいてきました・・・かね?(笑)
意外な展開もあるかもしれませんよ~❤

それにこんなに進を書いた事がないので新鮮です(笑)
類君と進・・・なんか笑える💦


うふふ、イベントも類を巻き込んじゃいました❤
最後まで楽しんでくださいね♪

2019/12/02 (Mon) 20:05 | EDIT | REPLY |   

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