FC2ブログ

plumeria

plumeria

暫くシートを倒して仮眠を取っていたら、ザザッと砂利道を車が通る音がして目を開けた。
急いで起き上がると中野美枝子の自宅前に白い軽自動車が停まり、中から白髪混じりの女性が降りてきた。

あの人が教えてもらった元事務員だろうか、そう思って急いで車を降りて近づいた。


「すみません、失礼ですが中野美枝子さんですか?」
「・・・・・・えぇ、そうですけど。もしかして小学校に行かれた方?」

「はい。少しお尋ねしたいことがあって来ました。お時間取っていただけますか?」
「・・・はぁ、いいんだけど、私の居た小学校の事かどうかも判らんのでしょう?お役に立てるかどうか・・・」

「それは承知しています。ご迷惑でしょうけど少しだけ・・・」


中野美枝子は怪訝な顔のまま俺を家の中に案内してくれて、すぐにエアコンのスイッチを入れ「この辺りは寒いでしょう」と熱いお茶を出してくれた。
そして買い物したものをガサガサとキッチンで片付けたら、自分にもお茶を入れて居間にやってきた。

そのままひと口お茶を飲んで、それから「どんな事ですか?」と落ち着いた声で聞いてくれた。
小学校では名乗る事は出来なかったけど、ここではそういう訳にはいかない。それにこの人なら信用出来そうだ・・・そう思って自分の名前を出した。


「申し遅れました、私は東京から来た花沢と申します。ここに来たのはある人物を探す為です。
はっきりとした時期も年齢も名前も判りませんが、柊祐と言う名前の男の子です。今はもう30歳ぐらいになっているんですが、この名前に心当たりはありませんか?」

「しゆう?」

「柊に示偏に右の祐で、柊祐です。ここに住んでいたという確証もありませんが、今現在この辺りに潜伏してると思うんです」

「潜伏・・・?そんな名前には覚えがありませんねぇ・・・確かにお洒落な名前で聞いた事があれば覚えそうだけど。何と言っても子供が少ない土地だから」


柊祐には覚えがない・・・それを聞いてやはりこの土地を選んだのは偶然だったのか、と思ったら再び進から連絡が入った。
彼女に「失礼」と断わってから電話に出ると、進は「大野という女性と話合いの時間が取れた」と言った。


「そう、悪かったな、仕事を休ませて」
『いえ、気になって仕事どころじゃないから。2時から時間取ってくれるそうです。また連絡しますね』

「あぁ、判った。流石つくしの弟だね。すぐに動かなきゃ落ち着かないなんて」
『だってやっと姉ちゃんも幸せになれたんだから・・・だから早く元に戻してやりたいし。じゃあ、また!』

「ん、頼むね」


その電話を切ってから中野美枝子に向き直ると、今度は驚いたような顔をしていた。
その表情に驚いて俺も次の質問が頭から消えたぐらい・・・どうしたのかとスマホを持ったまま固まった。


「今、つくしって言いましたよね?」
「は?えぇ、つくしと言うのは私の妻です。実は彼女が行方不明なんです。それで探しているんですが、関わってるのが柊祐という男性だと・・・」

「いえ、柊祐という子は本当に知らないのですが、つくしって・・・えーと、確か・・・あ、そうそう、牧野つくしちゃん?」


「・・・・・・どうして・・・?」


ここには柊祐が居るはずだった。
そして確かに今ならつくしはこの土地に居るのかもしれない。でもどうして中野美枝子は「牧野つくし」を知っているんだ?


驚きのあまり、今度は俺が言葉を失った。




*******************


~side進~


「・・・祐子さんの息子さん、柊祐くんって名前だったのよ」
「本当ですか?」

「えぇ、とても可愛らしい男の子・・・祐子さんの宝物だったの。私も3歳ぐらいの時に会ったことがあるわ。少し栗色の髪の毛で外人さんみたいな顔でね。お父さんに似てるんだと思ったわ」

「お父さん?お父さんって誰ですか?」


大野さんの視線は何処なのか判らないぐらいくうを見つめていた。
遠い昔を思い出してるのか、そんな気がするぐらい静かな時間が続いた。
途中で入ってきた店長さんに「ごめんね、長引くわ」と答えた時だけ顔を上げて、また俯いてしまった。

それから、小さな声で有栖川祐子さんの事を教えてくれた。


「彼女は新潟の田舎から来た人だったわ。好きな人が東京に行ったから追い掛けて来たんだって言ってたわね・・・」
「新潟・・・の何処ですか?」

「それは知らないの。北の方だって聞いたわ・・・その好きな人はね・・・」


祐子さんは若い頃、新潟の田舎を出て、新潟市内の会社に勤務していた時に東京から赴任して来た男性と恋に落ちて付き合い始めた。
祐子さんの方は結婚を頭に入れていたけど、男性の方はプロポーズをしてくれない。
それで何度か話し合っていた時に、男性は本社がある東京に戻ってしまった。

彼女は悲しみのあまり毎日泣き暮らした。でもその男性を忘れる事が出来ずに、勤めていた会社を辞めてその東京に出てきたそうだ。

でも、そこで男性には数年前からの婚約者が居て、東京に戻ったのは結婚のため。祐子さんが再会した時には男性には奥さんが居た。


「祐子さんのお父さんって人が相手の男の人を初めから嫌いだったらしくてね・・・東京に行く時も家出みたいに出てきたって聞いたわ。だから相手に奥さんが居たからって実家には帰れないし、相手の男性も奥さんが居ても祐子さんの事も手放せなかったみたい。だから田舎に帰らず東京で水商売してたの」

「・・・水商売?でもうちの会社は・・・」

「えぇ、徳永商事はあの花沢グループでしょ?そんなところにホステスしている人がいきなり入社は出来ないわよね。それはね・・・飲みに来ていたお客さんの1人が紹介したから入ることが出来たのよ」

「お客の1人?その人の口利きでうちの会社に?そんな事、本当に出来たのかなぁ・・・」


「出来たのよ。そのお客さん・・・当時の花沢物産の跡取り息子だったから」

「・・・・・・えっ?!」


有栖川祐子さんを徳永商事に入れたのは花沢さんのお父さんって事?今の社長が・・・祐子さんを?
それって、それって・・・どういうこと?

俺の頭では理解出来ないことが続いたけど、今、この人の話を聞けるのは俺しかいない。
だから必死に大野さんの話をメモった。


「花沢さんはとても素敵な人だったわ。顔が整ってるだけじゃなくて上品でね・・・それに優しかったから傷ついてる祐子さんには安らぎだったんだと思うわ。だから新しい恋が始まったの。
花沢さんとは立場上大っぴらに出来なかったからデートも出来ない・・・だから会うのは彼女の安アパートだったみたいね。その部屋に足りない物を揃えてくれたって申し訳なさそうに話してたことがあるの」

「じゃあ追い掛けて来た男の人とはもう別れて?」

「・・・それがねぇ、相手の男性も祐子さんと縁が切れなくて。だから一時期、2人の男性が祐子さんの所に出入りしてたって訳。増えていく家財道具で喧嘩になって叩かれたって言う話も聞いたわ。
元はと言えば婚約者が居たのに祐子さんと付き合ったそいつが悪いのにね」

「その男性って、名前知ってるんですか?」


「成瀬さんって人よ。今じゃ大きな会社の社長さんになってるわ」



成瀬コーポレーションの社長と有栖川祐子さんと・・・花沢さんのお父さんが繋がった?

そして息子が姉ちゃんを連れ去った柊祐。
ここはどうやって繋がるんだ?






にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/12/03 (Tue) 06:30 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

コメントありがとうございます。

えへへ💦実に昔話がややこしいですよね~・・・

類にもつくしちゃんにも悲劇としか言えない状況です。
そうなんですよ・・・この後で色々と出てくるのが本人達も知らない真実です。

この謎解き、結構時間掛かります(笑)
ごめんなさいね💦

2019/12/03 (Tue) 08:45 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply