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本当の両親が「そうちゃんパパとつくしママ」だと知った時、俺はそこまで・・・花音ほどは驚かなかった。
意味が判らなかったって言うのもあるけど、「あきらパパと仁美ママ」の子供だって言われるよりしっくりくると思ったからかもしれない。

それよりも花音のショックが大きすぎて大変だった。
だから花音よりも早く自分が納得して宥めようって・・・子供ながらに必死だったのを覚えてる。




「私達は育てのパパとママなの。あなた達のご両親はね、つくしさんと総二郎さんなの」

「・・・つくしちゃん?」
「・・・そうちゃん?」

「あぁ、そうだ・・・お前達の母親は牧野で父親は総二郎・・・これは本当なんだ」

「「・・・・・・」」



数年間母様と離れていた父様が突然美作にやってきて、再会したのは俺達が3歳の時だった。

ぼんやりと覚えてるのは大人達が何度か真剣な顔で真夜中に話合いをしていた事。
ぐっすり寝てる花音を起こさないようにベッドを抜け出し、何度かドアの外で立ち聞きしたっけ・・・でも、内容はさっぱり判らなかった。

「つくしちゃん」も「仁美ママ」も泣いてた。
「そうちゃん」と「あきらパパ」は何度か大きな声を出してた。

また足音を立てないように花音の所に戻ってベッドに潜り込みドキドキした。




これからは総二郎と牧野がお前達のパパとママだからな?でも、俺達もパパとママ・・・それはこれからも変わらない。お前達には2人ずつパパとママが居るって思ってくれないか?」

「パパがふたり?」
「ママもふたり?」

「そうだ・・・俺はこれからも紫音と花音のパパでいたい。本当のパパは総二郎になるけど、忘れないで欲しいからさ」
「ママも同じよ。暫くお屋敷から居なくなるけど本当のママが居てくれるから安心して身体を休めることが出来るわ。そしていつか戻って来た時にママって呼んで欲しい・・・そう思ってるわ」


「やだぁ!!パパなんてだいっきらい!ママもきらい!!
そんなこと言うみんな、だいっきらい!!かのん、ここの子だもん!!ばかぁ!!」




花音は自分の感情を思いっきり表に出せる性格・・・それが出来ない俺には羨ましくて仕方なかった。
本当は「ばか!」って叫びたけど、それを叫んだら誰かが苦しむんじゃないかって瞬間考えてしまう・・・臆病で慎重なのが俺だった。
そして爆発した花音を引き止めて宥めて落ち着かせるのは自分の役目だって、小さな頃からそう思ってた。

一緒にお腹の中にいた事なんて覚えてないし、生まれた時の事も知らない。
知ってるのは花音が本当は泣き虫で甘えん坊でさみしがり屋だという事。
双子だからいつも一緒で、いつも色違いのお揃いで、何処に行くにも隣だったから・・・俺も弱虫だったけど、兄だから妹を守るのは当然だって思ってた。



「ママはもうママじゃないの?ねぇ、しおん、ママは本当にいなくなるの?」
「さっき言ったじゃん、なんとかのママって・・・本当のママがつくしちゃんで、ママは・・・えっと」

「ママは1人だよ?」
「ぼくたちには2人いるんだよ。ママとつくしちゃん・・・2人がママになるんだよ」

「双子だから?」
「えっと・・・そうじゃないけど、つくしちゃんが病気だったからママになれなくて、こんどはママが病気になったからつくしちゃんに戻って・・・あれ?」

「じゃあさ!パパはそのままでもいいじゃん!」
「そ、それはぼくに言われても・・・あっ!ママとパパはセットなんだよ。で、つくしちゃんとそうちゃんがセット、だからじゃない?」

「わかんない~!!うわぁ~んっ!!」
「かのん、泣かないで!ぼくはずっといるんだから!」




そんな花音は自分の恋を叶えたくて日本を飛び出してしまった。
ホント、相変わらず自分勝手って言うか、一途というか・・・無鉄砲なんだから。


そんな昔話を思い出しながら今日も1人で屋敷に戻った。




**




「・・・・・・よし、いいだろう。もう少し表情を柔らかくしろ。お前はどうしても何か思い詰めたような表情をする。それを気にする客もいるからな。もてなす側が客に緊張感を与えるな」


屋敷に戻れば必ず父様の稽古を受ける。
これはやがて引き継ぐ「次期家元」に俺が相応しいと周囲に認められなくてはならない為・・・忙しい時間を割いて指導をしてくれていた。
でも作法、所作と言うより見抜かれてしまう心の内・・・それが実はすごくプレッシャーだった。


「はい。気をつけます」

「茶席は自分の素直な心が現れるんだ。何か悩みがあるのか?」

「・・・・・悩みがない人間は居ないと思います。それなりに色々と考える事はあります。でもそれと茶道は関係ありませんので、やはり自分の弱さだと思います」

「・・・そうか。紫音、俺は悩みや弱さがダメだと言ってるんじゃない。お前の言う通りそれは誰もが持ってるものであり、それ故に自分自身の修行となり有りの儘の姿になる。完璧など求めている訳じゃない。
茶道に関する悩みならいつでも聞いてやる。それ以外の悩みなら解決に向けて最善の努力をしろ。それがお前の茶道の上達にも繋がると思うからな」

「・・・判りました。努力致します」



努力はしたいんだけど・・・これが1番苦手分野だ。

誰にも相談できない。
唯一知ってる花音は海外、そして肝心のその子は・・・・・・


稽古が終わって溜息を漏らしながら母屋に戻った。
その時に母様が裏口から入って来て、俺を見てニコリ・・・どうしたのかと思ったら、今考えていた子の名前を出された。


「紫音、悪いんだけど正面玄関で朱里ちゃんのお土産、もらって来てくれる?」
「・・・朱里の?」

「えぇ、英徳の旅行でハワイに行ったからお土産持って来たみたいなのよ。でも私、丁度裏庭で草抜きしてたから泥だらけなの~!お願い、行ってあげて?待ってるはずなのよ」
「・・・仕方ないな。何だって母様が草抜きするのさ・・・父様に怒られるぞ?」

「あはは!大丈夫よ~、父様はこのぐらいで怒ったりしないわ」
「・・・ちぇ!」


そんな風に暢気に笑わないでよ・・・。

俺が朱里に会うと、ろくに話せなくてまた馬鹿にされるんだから。
7歳も離れてるのに最近・・・凄く綺麗になって俺、本当に困ってるんだから。





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2020/01/12 (Sun) 21:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

紫音が上ですよ~。
大人だと7歳差は気にならないけど、思春期の7歳差はヤバいよね・・・。

高校生が小学生のことを好きだもんね💦
紫音、変態路線まっしぐら・・・いやいや、そんなキャラじゃないし💦

2020/01/13 (Mon) 01:29 | EDIT | REPLY |   

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