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中等部にあがる頃には仁美ママの事は「仁美さん」、あきらパパのことは「あきらさん」と呼んでいた。

流石にもう親が4人なんて思えない・・・でも「おじさん」や「おばさん」のような感覚にもなれない。だからいつの間にか俺は「仁美さん」「あきらさん」と呼ぶようになった。
花音はいつまで経っても「仁美ママ」「あきらパパ」だったけど。


その仁美さんががアメリカで子供を産んだ。正確には代理母出産だったって事は後になって聞いたんだけど、それでも絢音とは少し違う意味で嬉しかった。
弟妹が増えていく気がして・・・それがあきらさんの所の子供だから他人のような気がしなくて。


そして初めて連れて来られた赤ちゃんが光留だった。
それまで妹しか居なかったからすごく嬉しかった。子供ながらに男同士の話が出来る!なんて思ったりして。
でも光留はすぐにアメリカに戻って、結局いつもの花音と絢音・・・五月蠅い妹達が俺の側に居た。


「紫音、宿題見せて?もうやってるんでしょ?」
「自分でやりなよ、花音。算数苦手だからって僕のを写したことがバレたら父様に怒られるよ?」
「紫音が言わなきゃバレないって!ノート、借りるね~」
「・・・もう!」

「しおんお兄ちゃま、ままごとしましょ?」
「絢音・・・僕は今からお稽古だから。花音に遊んでもらって?」
「かのんお姉ちゃまはしおんお兄ちゃまに頼んでって言ったもん。お兄ちゃま、お父さん役ね!」
「・・・・・・もうっ!!」

「紫音、あの棚の上の本取って」
「手が届くだろ、花音・・・」
「あの本、重たいから。お願い、紫音♡」
「・・・・・・もうっ!そう言えばいいと思って!」

「しおんお兄ちゃま、おトイレついてきて?」
「1人で行けるだろ?すぐそこじゃん」
「誰かドアの外にいないと絢音、こわいの~」
「・・・・・・もうっ!!花音に頼めばいいのに!」


花音も絢音も可愛いんだ。
それはそうなんだけど、どうしても俺の事を「兄」じゃなくて絵本に出てくる「召使い」みたいに思ってるんだ。

それが嫌で少し兄貴ぶって怒ると・・・泣く。
そうしたら母様も志乃さんも、お爺様もお婆様も判ってくれるけど、父様はご機嫌が悪くなる・・・。
『女を泣かすとは!』・・・それ、意味が違うと思うんだけど。


そのうち颯音が生まれて漸く俺にも弟が出来た。
そして同時にあきらさんのところにもう1人赤ちゃんが産まれたんだ。それが・・・朱里。

朱里が生まれて暫くしたらあきらさんと仁美さんは日本に帰国した。
これもあとで知ったんだけど日本だと代理出産が出来ないから渡米していたんだそうだ。そして2人授かったらもう終わりと決めていたらしく、光留と朱里を連れて帰って来た。

勿論うちにもまだ小さな颯音が居るから美作親子がやってきた。そして初めて朱里を見たんだ。



くどいようだけど絢音も可愛い。花音は俺と似てるから敢えて可愛いとは言わないけど美人・・・だとは思う。
でも朱里の可愛らしさは2人とは全然違って見えた。

あきらさんに似てフワフワの髪にくりくりした目。
真っ白な肌は赤ちゃんだから当然かもだけど、それでも綺麗な肌・・・多分夢子お婆様が準備したんだろうけどフリフリのベビードレスを着ていて、まるでお姫さまみたいだった。


「・・・・・・・・・」
「あら、紫音。どうしたの?」

「え?仁美ママ、なんでもないよ・・・か、可愛いなって思って」
「うふふ、そう?あきらさんによく似てるからね~」

「紫音、どうして赤いの?」
「五月蠅いな・・・花音は光留と遊んでてよ」

「・・・ホントだ。紫音、そんなに赤くならなくても生まれたての赤ん坊は見慣れてるだろ?」
「紫音・・・まさかお前、朱里に惚れたのか?」
「ちょっと!総二郎ったら何言ってるの?紫音が可哀想じゃない。ただ赤ちゃん見てるだけでしょ?」


あきらさんと父様が俺を揶揄うのを母様が止めてくれたけど、その時本当に俺は顔が熱かった。
7歳の俺が生まれたての赤ちゃんを好きに、だなんてよく言うよ!と、父様に言い返したかったけど言えない・・・そのままフイッと部屋を出ていったから、みんな唖然としていたらしい。

「紫音が感情的になるなんて珍しいな」、そんなふうに父様が言ってたってご機嫌伺いに来た母様に聞いた。


・・・みんなが騒ぐからじゃないか!
ちょっと赤くなっただけで揶揄うから、たまには拗ねてみたくなっただけだ。



うちとあきらさん達は父様同士が親友だからそれからも行き来はずっと続いた。
司おじさんはたまにしか来ないし、類お兄さんは(花音が怒るからおじさんとは言わない)なかなかフランスから帰ってこない。だからいつも会うのはこの二家族・・・お互いの祝い事も季節の行事も一緒にする事が多かった。

花見の茶会で忙しいのにわざわざ美作邸で夜桜したり、子供の日には母様が柏餅つくってパーティーしたり、七夕は俺達の誕生日だから盛大に祝ってくれた。
花火大会も一緒で果物狩りにも行った。クリスマスは美作邸でいつも通りイルミネーション満載の庭を眺めながら大騒ぎだった。

その度に俺の役目は朱里の子守・・・朱里も何故か兄である光留よりも俺に懐いてたから。


「しょん、おちっこ・・・」
「えっ!それは花音に頼んでよ。俺、こう見えて男なんだから!」

「あーちゃん、しょんがいい・・・」
「で、でも・・・」

「いいじゃない、紫音。連れて行ってあげたら?絢音の時も行ってたよ?」
「えっ!私、紫音兄様にトイレ連れてってもらってたの?やだぁ!!」

「・・・仕方ないな、おいで、朱里」
「うん!あーちゃん、しょんだいすき~!」

「・・・はいはい」


小学校低学年の時にはみんなで海に行って、そこで幼児体型なのに水着の朱里にドキッとしたんだ。
高学年になると急に女の子らしくなって服装も変わって来た。可愛いドレス着て、くるんとした癖毛にリボン着けててそれが似合ってて真っ赤になった。
この頃から少しだけメイクも始めてさ・・・流石あきらさんの娘だけあってお洒落だった。

中学校になったら少し体型が変わってマトモに見られなくなった。
その時俺は大学に入ったばかりで、友達の彼女はみんな同級生か高校生・・・中には既に人妻ってヤツもいた。それなのに俺は中学生の朱里・・・絶対に誰にも言えないって思った。

その年のバレンタインに初めてチョコをもらった。


「紫音、甘いの大丈夫だった?昨日ね、お婆ちゃまに聞いて頑張って作ってみたの。味見してくれない?」

「味見?って事は、俺が美味しいって言えば誰かにあげるの?」
「父様と総二郎おじ様よ。ついでに光留と颯音にもね!いいから食べてみて?」

「・・・なんか嬉しくないんだけど」
「あらぁ!味見係に選ばれたのよ?光栄じゃないの~!」


そうか?ただの実験台みたいなもんだろ?
そう言いながら頼まれたら断わられない・・・朱里のチョコを食べて「美味いよ」って言えば、喜んで綺麗にラッピングしたヤツを父様と颯音に持っていった。
俺はその食べかけの試食品だけ・・・・・・ホント、人の気持ちも知らないで!





母様に頼まれて玄関に行くまでにそんな昔話をまた思い出して、何度も溜息をついた。

いくら廊下が長くてもいつかは辿り着く玄関・・・それが見えてきたら、水色のワンピースの朱里の姿が目に飛び込んできた。
今日も可愛い格好して、そして全然この家に似合わない。

朱里と和風玄関・・・・・・シンデレラが竹取物語に登場したみたいだ。


「あら、紫音~!久しぶりね~!」
「・・・ん、久しぶり。英徳の旅行だって?」

「そうなの!はい、これお土産。丁度良かったぁ、紫音のも買って来たの」
「俺に?」

「うん!ほら、イルカのモチーフのネックレス♡可愛いでしょ?」
「・・・俺にネックレス?」


手渡された土産の袋を開けたのも何故か朱里で、その中から青いイルカのモチーフのそれが出てきた。
確かに綺麗だけど・・・父様じゃあるまいし、俺は1度もこんなのつけた事がないのに?アクセサリーなんて着けないことすら覚えられてないのか?と少しムッとした。


でも見てしまった。
朱里の首にも同じネックレスがあったのを・・・。





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Comments 4

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2020/01/12 (Sun) 15:37 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

本編ではあまり出さなかった紫音の本音です♡
色々苦労していたんですね~💦お兄ちゃんは!

お話の筋は分かり易いでしょ?(笑)
後はどうやって紫音が朱里ちゃんを口説くのか・・・ははは!総二郎のようにはいかないみたいですね!

まず先に口説いて自分のものにしちゃう総二郎と、その前に躊躇してしまう真面目な紫音・・・ホントに親子か?(笑)

でも、こんな家に入ってもらうことを悩むのは同じです。
頑張れ、紫音ーっ!

応援してやって下さいね♡

2020/01/12 (Sun) 22:02 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/12 (Sun) 22:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

ふふふ、でも花音も小さい時は「しょん」って呼んでるのよ。
子供の言葉って可愛いよね~!

動物は何見ても「わんわん」だし♡

因みにうちの子はお父さんのことを「おっとー!」って呼んでたので結構笑われました。
私は普通に「おかあさん」だったんだけどなぁ?

ママって呼ばれるのがイヤで、呼ばせなかったんですよ(笑)
今頃になって電話で「ママ~」って呼ばれますけど。


総ちゃんの息子でも女性には超オクテの紫音。
さて、どうなりますやら(笑)

2020/01/13 (Mon) 21:59 | EDIT | REPLY |   

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