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電話を掛けてきた東北支部の町田支部長は気さくな人で、沢山居る地方支部の中でも特に懇意にしている人だった。
つくしのこともこの人には報告したい、そんな風に思っていたから偶然掛かった来たそれには驚いた。

まさかもう噂が?とは思ったが、それならそれでもいい・・・言われたらきちんと報告しようと歩きながら通話をタップした。


「もしもし、総二郎です。お久しぶりですね、町田支部長」
『あぁ、お久しゅうございます、若宗匠。お元気ですかな?』

「えぇ、お陰様で。そちらは?皆様お変わりありませんか?」


なんて世間話から始まって、漸く人の少ない場所まで来た。
その後もなんて事ない会話が続いたけど、どうもこの人の話し方がおかしい・・・何か言いたそうに言葉を詰まらせるから、こっちから聞いてみた。


「何かあったのですか?町田さんからの電話というのも珍しいじゃありませんか」
『・・・えぇ、まぁ・・・はは、そうなんですけどね』

「遠慮せず仰って下さい。宗家に何かご要望でも?」
『いえいえ、そうではないのです。ただ、不確かなお話ですのでな・・・その、本当かどうか判らないのですが』

「・・・・・・?」


思わせ振りな言葉で始まった本題は京都の連中の事だった。

先日東北支部の連中が慰安旅行で京都に行った際、関西西門京都支部の間島達と一緒にお茶屋で遊んだらしい。その時に酒に酔って間島支部長が「そろそろ宗家も京都に戻さんとあきませんなぁ~」と呟いたのを聞いて驚いたと・・・。
それを同席していた剛が「余計な事は言わないように!」と言葉を出して、その時の様子が逆に真剣で恐ろしかったそうだ。

元々京都にあった西門・・・東京に移ったのは最近でもねぇのに、今更宗家をそこに戻そうとしているのは知っていたが、酒の席で漏らしてしまうとは。


『間島さんは自分も西門家の人間ぐらいに思っていますから、何か企んでいるのでは?と心配になりまして。若宗匠や家元の回りで不審な動きはありませんかな?』

「ご心配ありがとうございます。何も起きておりませんし、起きてもちゃんと対処しますのでご安心下さい。前もってのご連絡、ありがとうございます。家元にそれとなく相談しておきますね」

『くれぐれも揉め事など起らんようにお願い致します。本当にあの時の剛さんは恐ろしかったんで・・・』

「・・・判りました、気を付けます」


間島支部長の奥方は俺の大叔母だ。確かに西門家とは親戚だが、あくまでも姻戚関係・・・誰が西門家の一部だっ!
また面倒臭い事が起きなければいいが、とスマホをしまって談話室に戻った。


でも、そこには誰もいない・・・何故か俺が買った花と和菓子がテーブルにポツンと置いてあった。


あいつっ・・・!!💢
あれだけ何処かに行くなっつったのに、何処に行きやがった?!




***********************




偶然出会ったお爺ちゃんを連れて病院の廊下をゆっくり歩いていた。
手術をしたばかりって言うから速く歩けないし、それを急かす訳にもいかないし・・・だからって置いていけないし。
総二郎の電話が終わったらどうしようかと思ったけど、病室に送り届ければすぐに戻ればいいか、って後ろを振り向きながら同じような壁とドアが続く廊下を進んだ。


「お爺ちゃん、お部屋何処なの?」
「まだ先じゃよ・・・お嬢さん、いいのかね?」

「だってここまで来てお爺ちゃんを1人に出来ないでしょ?おんぶしてあげようか?」
「ホッホッホッ!いくら儂が年寄でも一応男なのでな、女子の背中には乗れんよ」

「そうなの?じゃ、1度休憩しようか?」
「おぉ、そうじゃな、疲れたわい」


まだ先ってどのぐらい先なのかしら・・・ってか、隠れ食いするためにこんなに離れたところまで歩いて来たの?
これだけ食欲があるんならきっとすぐに回復するだろうなぁって、見ず知らずのお爺ちゃんなのに安心した。病衣のポケットから出てきたのはあめ玉・・・「美味しいぞ」なんてニコニコして言うからありがたくいただいた。

いや、そもそも病衣にあめ玉?!看護師さんに見付からないのかしら・・・。


「お嬢さんは誰かのお見舞いかな?1人で来たのかい?」
「ううん、彼氏と来たんだけどね~。お見舞いは彼氏の仕事関係の人なの。どうやらすっごい気難しい人みたいよ?だから会うのが億劫でさ~」

「ほう・・・彼氏さんの仕事関係の人にねぇ。どんなお仕事の人なんだね?」
「それがね、茶道家なのよ!珍しいでしょう?若いのにお茶点ててるの!」

「・・・・・・・・・ほう、茶道家ねぇ・・・」

「そうなの。でね、今日はその・・・後援会って判る?その会長さんが入院してるからお見舞いに来たの。でもね、私は彼の秘書だから、今日は彼女じゃなくて秘書として挨拶するの。
それにその後援会長さんって人が意地悪で皮肉れ者みたいなの。だから彼もウンザリしてるみたい。私にも大人しくしとけよ、って釘刺してたもん。だから気分が重くてねぇ~!」

「・・・・・・・・・ほう、意地が悪くて皮肉れておるのかい?そりゃとんでもない爺さんだねぇ」

「まぁ、私はその人と会ったことがないから判んないんだけどね~。じゃあ、行こうか、お爺ちゃん(あれ?私、後援会長が男性だって言ったっけ?)」

「はいはい、申し訳ないねぇ~」


またお爺ちゃんの腕を支えながら立ち上がって、指を差された方に向かって歩いて行った。
そして「あそこだよ」って言われた部屋に入り、お爺ちゃんをベッドに寝かせてから手の届くところにお水のペットボトルを置いた。


「それじゃ私は行きますね。お爺ちゃん、もうあんな事しちゃダメだよ?ちゃんと許可か出てからじゃないと食べちゃダメ!自宅に戻ってからにするんだよ?」

「ははは、判った判った。ホントにありがとうねぇ、お嬢さん」
「ううん、困った時はお互い様!歳も性別も関係ないってうちの両親がいつも言ってたから。お大事にね、お爺ちゃん」

「あぁ、またな」
「はーい!」


私よりも細い腕を振ってニコニコしてるお爺ちゃんに、私も元気よく手を振って病室を出た。
でも・・・どっちから来たっけ?あまりに似過ぎてる光景で、自分がどっち方面から来たのかさっぱり・・・確か右から来たよね?ってそっちに向かって歩いて行った。


「うわっ、もうあれから20分以上経ってる!総二郎、怒ってるだろうなぁ!・・・ってあれ?」


そう言えばさっき「またな」って言った?
どうして「またな」?もう会う予定なんてないはずだけど?




***********************




つくしが戻って来ないから仕方なく1人で病室に向かった。その途中も右見て左見て振り向いて・・・一周回りながら歩いてたけど何処にも姿がねぇ!
看護師にも聞きながら進んでったら、あっという間に堂本会長の病室に辿り着いた。

まぁ、いいか・・・さっさと見舞いを済ませてあいつを探しに行こう、そう思って病室に入り、会長のベッドに向かった。


「失礼致します、堂本会長。具合はいかがですか?」
「おぁ!若宗匠、よく来て下さいましたな。いや、もうすっかり元気です。わざわざありがとう!」

「・・・(なんでこんなに機嫌がいいんだ?いつも僻んだような言葉出すくせに・・・)それは良かった。顔色も良さそうですね」
「はいはい!漸く食事も出来るようになりましたからね~、若宗匠こそどうですか?お元気ですか?」

「は?(病人に言われたくはねぇけど)、はい、私は元気です。ありがとうございます・・・」
「そうですか!何か良い事でもありましたかな?」

「えっ?(どうしたんだ、この人・・・病気したら丸くなったのか?)いえ、いつもと変わりませんが・・・」
「おや?どうしてそんな不思議そうなお顔で?儂は意地悪なことでも言いましたか?」

「とんでもございません。えーと・・・会長の好きな和菓子を持って参りました。良くなられたらお召し上がり下さい」
「おお!それは有り難いですな~」


なんだ?すげぇ不気味だけど。
いつもなら俺の態度や言葉の揚げ足とって遊ぶクセに、雪乃の話題すら出さねぇとはどうした?

病気って内臓だと聞いてたけど頭だったのか?


そんな事より早く切り上げてつくしを探そうと、早々に見舞いを済ませて病室を飛び出した。





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2019/12/08 (Sun) 13:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

あっはは!病院迷子のつくしちゃん💦
私の祖母が入院していた病院がすごくややこしくて全然病室に辿り着かなかったんですよ(笑)
4年前に旦那が交通事故で入院していた時も、旦那の病室までお見舞いの人が辿り着かなかったです。
だからよく立ち止まってる人に看護師さんが「何処に行きますか~」って聞いていました。
そういう病院ってありますよね(笑)

因みにこのお爺ちゃんはそうではない様子・・・ふふふ、つくしちゃん、既に意地悪されているようです(笑)

そして総ちゃんはいつも振り回される役目♡うふふ、可愛いでしょ?♡

2019/12/08 (Sun) 17:08 | EDIT | REPLY |   

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