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plumeria

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「あれ?此処どこ?私何処から来たっけ・・・」

お爺ちゃんと休憩したところまでは戻って来たけど、そこから談話室までがさっぱり。だから通りかかった看護師さんに案内してもらって漸く最初のところに戻ってきた。
そこには総二郎が座ってて顰めっ面・・・相当待たせたんだと思って急いで駆け寄った。


「ごめん!待った?!」
「・・・待った。勝手にウロウロすんなって言っただろ?」

「あ、あのね?こっちの椅子に座ってたお爺ちゃんが咳き込んじゃって、1人で病室に帰るのが大変そうだったから付き添ったの。そうしたら迷子になっちゃって・・・この病院、ホントに広いのね~!」
「そりゃ広いけど、それにしちゃ時間掛かってたな!まぁいいや・・・帰るぞ」

そう言った総二郎の手には花も和菓子も無い・・・って、そう言えばこの部屋に置きっぱなしだった!
それに帰るって言うから「お見舞いは?」って言うと、ジロッと睨まれた。


「もう済ませた!お前が此処に荷物全部置いてったから、それ持って1人で行って来たよ」
「そうなの?ごめん!でも早かったんだね~!」

「まぁな、病室はすぐそこだったから」
「そうなんだ!じゃあ帰ろうか!」

「・・・ってか、お前は何処まで行ってたんだよ。どんな爺さんだった?」

「あのね、こっちの廊下をぐるっと回ってナースセンターの前を通って、その向こう側にある中庭が見える場所で休憩して、それからまたぐるっと回ってトレを通過して・・・そうしたら病室に着いたみたい。
そのお爺ちゃんは七福神みたいだったよ?シワシワでね、笑うと可愛いの!」

「・・・・・・へぇ(それって、ただ連れ回されたんじゃねぇのか?)」
「手術したばかりなのに隠れて大福食べてたんだよ?うふふ、食いしん坊だよねぇ!」

「・・・一緒に食ったとか言わねぇよな?」
「言わないよ~!あめ玉はもらったけど」

「知らない男に菓子なんてもらうな!」
「男って・・・だからお爺ちゃんだってば!」


ご機嫌が悪いときは少しだけ甘えるみたいに腕を持つ・・・そうしたらすぐにニヤッと笑って機嫌が直る、実に単純なところがあるって最近知った。
ふふふ、総二郎の事も前より知ってる・・・そんな自分がちょっとだけ誇らしかった。


最後に向かったのは手芸店で、そこで前に担当してもらった人を探したけど居なかった。
だから他の店員さんに頼んで、前と同じような和柄アムンゼンと裏地用の生地を揃えてもらい、バイアステープや紐なんかを必要数ほどカゴに入れていった。

そのカゴの中をチラッと見た総二郎が途端に眉を顰めた。


「おい、幾つ追加があるんだ?」
「ん~?150個かな?」

「は?それ追加って数か?ほぼ初めと同じような数じゃね?」
「うん。アメリカに送るのが45個、関東婦人会にプレゼントするのが58個、今回の参加団体にお礼状と一緒に送るのが32個、巾着袋制作室のメンバーに記念として15個なの」

「・・・まさか、それをつくしが作るんじゃないだろうな」
「へ?」

「夜中まであの部屋に居るのは許さねぇからな?お前はメンバーから除外!業務が終わったら行く所はそこじゃねぇ!」

「・・・・・・・・・・・・」


はぁ、やれやれだ。
誰も私が作るなんて言ってないのに大騒ぎ・・・手芸店のレジの前で小っ恥ずかしい言葉を並べてる総二郎に笑いが出た。



**



今日の仕事はこれで終了。
本邸に戻ったら駐車場に車を停めて、総二郎が重たいからって手芸屋さんの紙袋を持ってくれた。その代わり私は総二郎の着物を持って裏口から入る・・・着物を任されるのがほんの少し気恥ずかしかった。

秘書の時も持ったことはあるけど、今は少し違う。
ちょっとだけ奥さんの気分になってしまう・・・なんてニヤニヤしていたら、裏口のすぐ側で志乃さんが待っていた。


「お疲れ様でございます、総二郎様」

「・・・どうした?志乃さん、何かあったのか?」
「・・・・・・?」

「はぁ、それが・・・」って言った志乃さんがチラっと私を見た。
もしかしたら私が居たら話しにくいのかな?と、その横を通り過ぎて先に入ろうとしたら総二郎にスーツの背中を引っ張られた!

それに驚いて危うく大事な着物を落としそうになるし、志乃さんも私と総二郎を交互に見ながら片手を頬に当てて困惑中。
だから、総二郎に「若宗匠にお話があるみたいなので先に戻ります」って言えば・・・


「つくしに聞かれて不味い話はないからいい。志乃さん、何があったんだ?」
「・・・宜しいのですか?今、お話しても?」

「いいって。こいつには隠し事も無いから大丈夫だし、まだ暫くは秘書をするって言ってるんだから」
「では・・・成宮雪乃様が先ほどからお待ちでございます」

「えっ?!」
「・・・・・・・・・・・・」


やっぱり来たわね、雪乃お嬢様・・・。
そして総二郎は私の隣でキョトンとしていた。




************************




約束でも稽古でもないのに何故来る・・・💢
と、言いたかったが既に客間に通していると言われて仕方無くそこに向かった。


今度はつくしが顰めっ面で、俺の着物を持つ手が筋張ってる。
それに雪乃の名前を聞いてからは俺と視線を合わせない。
持ってた巾着袋の材料は志乃さんが制作室に運ぶと言ってくれたから、今の俺は両手をポケットに突っ込んでつくしと並んで廊下を歩いていた。

自分ちの廊下がこんなに長かったっけ、と思うほど・・・つくしの強張った顔がすげぇ恐ろしかった。


「あのなぁ!そんな顔しなくても、俺が呼んだんじゃねぇっての!」
「・・・・・・呼んでたらアウトでしょ。誰もそんな事言ってないわ」

「じゃあ少しは俺を見ろよ。何処見て歩いてんだ?」
「前見て歩いてんの。事故ったらいけないから」

「だーかーら!俺だって何の用事で来たのか知らねぇんだから」
「・・・・・・お土産、待ってたんじゃないの?渡してあげたら?」


「買ってねぇし」って言えば漸く拗ねた顔してチラッと俺を見上げ、ちょうど廊下が交差するところまで来たら「着物はこっちだから」って俺が行く方向の反対側に曲がろうとした。
だからその肩を掴んでグイッと引き寄せ、振り向いたつくしの頬に触れるだけのキス・・・!

「うわっ!ななななな、何すんのっ!」
「・・・だって拗ねてるから」

「拗ねてないっ!もうーっ、ここ、あなたの実家だからね!判ってんの?!」
「場所なんて関係ねぇだろ?仕事が終わったらお前専用の男って言ったじゃん。だからその証拠?」

「ばばば、バカッ!!早く行きなさいっ!」

バシッ!と俺を叩いたのはさっきまで大事に抱えていた俺の着物を包んでる畳紙。
「痛ぇ!」と叫んだ時にはダッシュで衣装部屋まで走って行きやがった。



ところで、成宮雪乃・・・何考えてんだ?





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