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何処を見てるのかも判らない門番のすぐ後ろまで来た。
俺の足音はざわめく森の木々の葉が隠してくれたようだ・・・ゆっくりと門柱の側まで進み、門番から見えないところに身を潜めて息を殺した。
それでも気が付かない・・・もはや門番なんて言えない状況だけど、それだけ注意する対象を絞ってるんだろう。

こいつを何とか門の外に出さなくては・・・。


つくしを出さないように見張っているなら拳銃のような物騒なものは持っていないだろう、と都合のいい解釈をしたけど油断は出来ない。
静かに足元の石を拾い、そこら辺に投げてみた。

カツン!と高い音を立てて石が転がると、その不自然な音に顔は向けたけど動く気配はない。でも、これで耳は聞こえてるんだと判断出来た。
今度はもう少し大きめの石を強めに地面に叩き付けた。
当然さっきよりも音は大きく、不自然な転がり方・・・それを不審に思ったのか、やっと門番が足を動かし、その大きな鉄の門を開けた。


今しかない・・・!!


屋敷から誰かが見ていたら不味い。
門から出てきた男が、石が転がった方に顔を向けた瞬間、横からその身体に飛び付いてもう一つの門柱の陰に押し倒した!

「うわぁっっ!!なんだっ、何処から・・・っ!」
「悪い、説明してる暇はない!」

襟元を掴み上げ、門柱に押し当てたと同時に鳩尾に拳を打ち込んだ!

「なっ・・・うぐっ・・・!!」


このぐらいだと内臓破裂はしないだろうと思う一歩手前、そのぐらいの力を込めたから大柄なこいつも一発で気を失いその場にズルズルと倒れた。
すぐに男を屋敷から見えない所に寝かせ、俺もそこから屋敷の様子を窺った。

窓にも庭にも人影なんてない・・・そして見える範囲では動くものは何もなかった。


「ごめん。あんたには全然関係ないし、間違いなく被害者だろうけどね・・・。後で助けるから寒いけど待っててくれ」

横にさせた男にそんな言葉を掛けて、開いた門から中に入った。




**********************


~side進~

次の日、営業に出掛けるついでに、大野さんの所にお礼を言いに向かった。
長い時間仕事を中断させたし、沢山の情報ももらって助かった・・・感謝の気持ちとして小さな菓子折を持ってそのドアを開けた。

カラン、とドアベルが鳴ると「いらっしゃいませ~」と昨日の声が聞こえて、奥から顔を出した大野さんは俺を見ると再び驚いていた。


「あら・・・まだ何か?」
「いえ!今日はお礼です。姉はまだ見付かってないけど、義兄さんも助かったって言ってました。それにお仕事の邪魔をして申し訳ありませんでした」

「まぁ、そうなの?そんな事いいのに・・・」

俺が差し出した菓子折を受け取って、今日は何故か困った顔をしていた。
その表情は昨日よりも深刻な感じがして、極普通に礼を言いたいだけだったのに俺まで固まってしまった。

もしかしたら新しい情報でもあるんだろうか・・・店内を見たら1人のサラリーマンが珈琲飲んでるだけで他にお客さんは居なかった。
だからつい、営業に行かなきゃいけないのに「珈琲、いただけますか?」と言ってわざわざカウンター席に座った。


それを見て何度も溜め息を漏らす大野さん。
丁度その時に店に居たもう1人の男性が出ていった。
シーンとした店内には小さなクラシックの音だけが流れて、俺と大野さんは向かい合っていた。旦那さんはそんな俺達の空気を読んだのか、「外で煙草を吸ってくる」と出ていった。


「・・・やだわ。なんだか話すチャンスを作られたみたいで」
「何かあるんですか?何でもいいです。まだ知ってる事があったら教えてください。義兄がこの時間も必死に探しています。大野さん、お願いします」

「・・・・・・えぇ、確かにもう話してもいいとは思うけど、女性には辛い話だから」
「でも祐子さんはこの世には居ません。それでも気になるなら俺が天国の祐子さんに謝りますから!」

「・・・・・・・・・そうね、怒らないでしょうけど・・・亡くなった後でも知られなくないと思ったから言えなくて・・・」
「そんなに?」


女性がそこまで知られたくないって事は・・・その言葉を思い浮かべたけど、花沢さんのお父さんとも成瀬社長とも、イギリス人の男だって合意の上だろ?
それ以外の誰かってこと?しかも姉ちゃんの事件に関わってる人?

残ってる男って・・・誰だ?


「祐子さん・・・若い頃に実のお父さんとね・・・そういう事があったらしいの」

「・・・・・・・・・え?」

「お父さんは亡くなった奥さん、つまり祐子さんのお母さんと彼女があまりにも似てるからって、その・・・無理矢理ね。それで彼女、家を飛び出して街に出て行き成瀬さんと恋をしたのよ。でも報われずに、最終的には実家に帰ったでしょう?
柊祐君がいるから、あの子に不自由ない生活をさせたかったんでしょうねぇ・・・決心するまで相当時間が掛かったと思うわ。この店にも何度か来て泣いてたの・・・『もしも子供の前で襲われたらどうしよう』って」


祐子さんが実の父親に?
それが姉ちゃんを連れ去ったお爺さんってこと?


「それだけ嫌なら東京で頑張れば?って言ったのよ・・・でも話した通り、柊祐君に寂しい想いをさせたくないって言ってね。もうその頃は柊祐君も10歳近かったんだから大丈夫だと思ったのに、それでも赤ちゃんの時から母と子、2人っきりでしょう?
それじゃなくても営業職の時は遅い時間になることもあって、その度に聞き分けのいい柊祐君が可哀想だって言ってたわ。だからもう離れたくなかったんだと思うのよね・・・。
それに懲戒免職だとやっぱり次の仕事がね・・・なかなか見つけられなくて」

「・・・そう、ですか」

「いつだったかしらねぇ・・・柊祐君が女の子だったら良かったなぁって言ったことがあるの。どうしてって聞いたらね・・・彼女、笑いながら言ったのよ。それはね・・・」





**********************


~side柊祐~

つくしの部屋のカーテンの隙間からあいつが来たのを確認した。


どうしてここが判った?
それを今更悩んでも目に映った姿が現実。

調査した限り活動的ではないと思ったけど、流石・・・頭脳の方は想像以上だってことか。
攻撃力も思ったよりはあるみたいだ。あの体格のいい門番を一撃で倒し、部屋から見られているかもしれないのに堂々と入って来た。

真っ直ぐこの屋敷を睨みつけて・・・その度胸だけは認めてやろう。

でも、可哀想に・・・これから何が起きるか知りもしないで。


屋敷内で騒がれるのは嫌だったから極僅かに居る使用人には1番奥の部屋から出るなと言って閉じ込めた。
いつものガードの男のみ玄関を見張らせ、お爺様も混濁した意識のまま眠っている。ここに憎み続けた花沢の息子が来たと言えば、光すら受け付けなくなった瞳を輝かせるかもしれないけどね。


「鈴花」も教えたとおり3階の部屋で待機中・・・そこで花沢類がくるのを待っている。


これで・・・最後だ。
残念だよ、つくし。


君だけは助けたかったけどね・・・。




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Comments 8

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2019/12/11 (Wed) 01:12 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/11 (Wed) 06:39 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/11 (Wed) 08:42 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/11 (Wed) 08:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは.

コメントありがとうございます。

えっ・・・!あまり深く悩まないで下さいね💦
ほら、あるじゃないですか(笑)

そんな事でここまで怒るの?ってこと!
その程度ですから💦

もうそんなに謎はありませんよ?

うんうん、大丈夫・・・って、最後の言葉は怖いですけどね(笑)

2019/12/11 (Wed) 21:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あっはは!爆弾落としちゃった!(笑)
お爺ちゃん、ヤバい人だったんですよ・・・ってか、変態なのです。

私の中でこのお爺ちゃんが1番嫌なヤツの設定でしたので(笑)

えーと、ええーと💦

どうしよう・・・今晩も顰蹙買うんだろうな(笑)
どこまで痛めつけたら気が済むんだっ!って・・・怖い怖い💦

2019/12/11 (Wed) 21:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、あっはは!それはないです(笑)

ここは純粋に・・・男の子だったら将来はって考えていただければ(笑)
祐子さんは悪い人ではありませんよ♡

2019/12/11 (Wed) 21:20 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

うふふ、さて・・・どうでしょうか(笑)
でもこの私がそんな事~!!

そうそう、オカルト・・・じゃなくてファンタジーです(笑)
天使の声が聞こえるファンタジーの世界です♡

とんでもない爺さんでしょ?
お年寄りは可愛く書きたいのですけどね~、この爺さんは変態です。


あっ!花沢城・・・(笑)
動物ネタに尽きたって訳じゃないんですよ?

ただ2人が結婚するまでのエピソードを知りたいって言われたので書いたんです♡
えぇ、勿論そんな事は考えずに始めたので3人で慌てました(笑)

もう1年・・・一体私達は1年間、何を書いてるんでしょう(笑)
自分で言うのも変ですが、恐るべしGPS💦

2019/12/11 (Wed) 21:27 | EDIT | REPLY |   

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