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~side柊祐~

花沢類が鈴花に話し掛けるのを横目で睨んでいたけど、俺が命じた通りに行動しない彼女に驚いた。
今まで俺が術をかけた人間で、自ら覚醒したヤツはいない・・・それにつくしを覚醒させる「音」は破壊した。だから絶対に戻るはずがないんだ。
それなのに操れない・・・そんな馬鹿な!と自分の目を疑った。



あの時・・・花沢類が近くまで来たんだと悟った時、つくしにもう1度強い暗示を掛けた。

内容は至って簡単・・・花沢類が言いそうな言葉を幾つかチョイスしてそれに対する返事を教え込む。
一緒に居たいと言えば「成瀬の人間です」と答え、連れて行くと言うワードには「お断りします」と答える・・・君を離したくない、そう言えば「ここで暮らしたい」と答えるように・・・と。

そして俺の『君はこの後どうする?』・・・この言葉でつくしはその身をバルコニーから投げ落とす事になっていたんだ。


花沢類の目の前で、この世で1番大事な人間が自らの命を・・・それを見せることがこいつへの最高の復讐だと思ったのに!



それなのに何故動かない?
何故つくしの力が抜けていくんだ?!

有り得ない・・・その命が終わる瞬間まで、つくしは「成瀬鈴花」のままでいる筈なのに!


こうなったらもう1度鈴を鳴らすしかないのか・・・と、考えた時には手の中で握り締めていた鈴をつくしに向けて翳していた。

そして少し揺らすといつもの音が響く。
聞くがいい・・・そして俺の言葉を思い出して実行するんだ・・・!


チリン・・・・・・チリン、チリン・・・チリン・・・・・・
     チリン・・・チリン・・・・・・・・・



つくしの目が変わった。
そう、それでいい・・・花沢類の言葉は聞くな。俺の声だけを聞き分けろ。


「鈴花、君はこの後どうするんだっけ?」

「・・・・・・わ、私は・・・」
「つくし、大丈夫。俺が守るから戻っておいで」

「鈴花!君はどうするんだった?教えたよね?」


チリン・・・・・・チリン・・・・・・チリン、チリン・・・チリン・・・・・・
     チリン・・・チリン・・・・・・・・・チリン・・・



「・・・・・・うぅっ、うっ・・・あ、あぁ・・・わた・・・私は・・・」
「つくし、音に惑わされないで俺の声を聞いて。君はちゃんと戻れる・・・俺が戻すから!」

「無駄だね。もうそろそろ身体が動くよ。鈴花、さぁ、君はこの後どうする!!」

「・・・いやあぁーーーーっ!!」
「つくし!!」





*******************



柊祐が伸ばした手の先には小さな鈴があった。
それが揺れて音を出すと、つくしの身体がビクッと震えて強張ったように見えた。目を見開き音に集中している・・・何処を見ているか判らない瞳は俺を通り越して暗闇を見つめているようだった。

この音がつくしを催眠暗示に誘導するものか・・・そう思えば軽やかな音も忌々しく聞こえた。


どうにかしてこの音を止めたかったけど、つくしから目を離す訳にもいかない。
それほどつくしに緊張があった。すぐ近くに居るというのに俺ですら触れることを一瞬躊躇うほど、つくしの次の動作が恐ろしかった。


そして柊祐が最後に大声で吐き出した言葉・・・

「無駄だね。もうそろそろ身体が動くよ。鈴花、さぁ、君はこの後どうする!!」

それを聞いた途端、つくしは大きな叫び声をあげてバルコニーの手摺りに両手を掛け、身体をそこから投げだそうとした!


「つくし!!」

もう余裕なんてなくて、慌ててつくしの腕を掴んでその場から引き離し、転さないように丸くなった身体を抱き締めて床に倒れ込んだ!
ハッとしてすぐに起き上がりつくしを見ると、苦しそうにしてはいるけど意識はあった。自分の腹を押さえて歯を食いしばり、俺を突き飛ばして再び立ち上がり手摺りに向かった。

はぁはぁと荒い息のまま、そこから下を見て「私は・・・私は・・・」と繰り返す、そして少しずつ身体を浮かせていった。

突き飛ばされた俺はバルコニーの床に倒れてたまま、つくしの髪が風に靡くのを見ていた。



「判った・・・じゃあ俺も一緒に行くよ。あんたが行きたい所に」


その時、つくしの手が動きを止めた。
目は相変わらず遠くを見ていて俺の方には顔を向けていない。少しだけ開いた口は何かを呟き続けている。


「いいよ、あんたがそうしたいなら俺も行く。あんたの居ない世界は俺には何の意味もないから」


つくしの瞬きが多くなった。そして手摺りに掛かっていた手の力が無くなり、ストンと身体の横に落ちた。
まだ何か呟いてる・・・その言葉は聞こえなかったけど、風に混じって「・・・類」って聞こえた。


「思い出してくれた?良かった・・・最後にちゃんと名前を呼んでくれたんだね」

「・・・・・・あ・・・あぁ・・・ちが・・・私はりん・・・・・・」

「君は花沢つくしだよ。俺の大事な人.・・・この世で1番愛してるよ、つくし」



チリン・・・・・・チリン・・・・・・チリン、チリン・・・チリン・・・・・・
     チリン・・・チリン・・・・・・・・・チリン・・・



「鈴花、何をしている。君はこの後どうしたいの?その男も連れて行くならそうすればいい!」

「・・・・・・あっ、うぅ・・・私、私は・・・」
「つくし、君の中に居る天使の声・・・聞こえただろ?」


チリン・・・・・・チリン・・・チリン・・・・・・
     チリン・・・チリン・・・・・・チリン・・・



「鈴花、君は俺の言葉しか聞こえない。さぁ、約束通り動くんだ!君はこの後どうするんだっけ!」

「・・・・・・いや・・・いやだ、いや・・・」
「君がどうしても行くって言うなら俺が抱き締めて一緒に行ってあげる・・・もう離れているのは嫌なんだ」


チリン・・・・・・チリン・・・・・・チリン、チリン・・・チリン・・・・・・


「鈴花!!君を支配しているのは俺だ!指示通りに動けよ!」
「・・・・・・・・・助けて・・・類!」

「鈴花、君は俺の声だけ聞けばいいんだ!こいつの言葉に惑わされるな!鈴花!!」


「いやああぁーーっ!!類ーーっ!」


稲妻が走ったかのような叫び声が森に響き、鳥達がいっせいに羽ばたいた。
叫んだ後のつくしは両手で頭を抱え込み、1度空を見上げたかと思ったらふわりと俺の方に崩れ落ちてくる・・・。

その力が抜けた身体を抱き留めた時、つくしの目には涙が流れて意識は飛んでいた。



つくしが・・・自分の力で覚醒した瞬間だった。





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Comments 4

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2019/12/14 (Sat) 06:18 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/14 (Sat) 10:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

ははは!崖っぷちから這い上がって来ました!!
類君、一緒に落ちたらどうしようかと思いました(笑)

あと、落ちかけたつくしちゃんを片手で捕まえる!なーんて、名探偵コ○ンのようなのもいいなぁ♡

いや、良くないですよね💦

プル畑、ちょっと薄着しすぎて風邪引きました(笑)
頭がぼーっとしてます・・・。

2019/12/14 (Sat) 14:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは(笑)

お久しぶりです~!忙しそうね(笑)

で、読んだらこんなになってたと?ははは!申し訳ないっ!

覚醒した?(笑)
今までどうなってたの?夢の世界に行ってたの?💦


もしや現実逃避・・・?(笑)
うん、気持ちわかるっ!!私もこの年末は・・・逃げたい💦

2019/12/14 (Sat) 15:31 | EDIT | REPLY |   

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