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『クリスマスイブに羽田を発つ。この時間に空港に来い、判ったな』

『・・・もしも行かなかったら?』
『来なかったら1人で行く。でもお前は絶対に来るからそんな心配してねぇけどよ』

『くすっ・・・相変わらず我儘だなぁ、道明寺』
『この俺に選ばれた女だ。お前の夢は全部叶えてやる・・・そんな事が出来るのは俺だけだからな』



その飛行機はさっき羽田を飛び立った。
私は・・・一緒に行くことが出来なかった。

嫌いになった訳じゃないけど、少しだけ見る方向が違う気がしたの。
今でも大好きだって言えるけど、愛してる・・・とは言えないの。
私の夢を叶えてくれるって言ったけど、あんたはその夢を知らない・・・・・・私の夢は・・・私じゃないと叶えられないんだもん。


去年と同じ場所に立ってクリスマスツリーを見上げていた。
少しアレンジが違うだけで今年も凄く綺麗・・・あの天辺のお星さまは、何処を見てるんだろう?こんなに沢山人が居たら、私の事はサンタさん、見逃しちゃうかもね・・・。

なーんて、いい歳なのに「サンタさん」だなんて・・・自分でも可笑しくなっちゃった。


そしてまた、あの歌を思い出して口ずさみそうになったその時・・・


「・・・牧野?!」


あれ?このシーン・・・もしかして1年前と同じ?
あまりにも去年と気分が同じだったから幻聴かな?それとも・・・・・・


「牧野、あんた1人で何してんの?今年も・・・あいつ、居ないの?」


その言葉で振り向いたら、黒いロングコートの花沢類がハァハァ言いながら立っていた。
凄い・・・その下って絶対にタキシードだよね?真っ黒いくせにあまりにも目立つから、通行人がみんな花沢類を見ていく。私はそんな人に声を掛けられて、一緒に注目の的になってしまった。

あまりにも・・・この人と私じゃ似合わないから。


「は、花沢類こそどうして今年もここに来てるの?ここじゃなくてさ、他に行く所があるんじゃないの?」
「・・・質問の答えになってない。あいつは?」

「・・・道明寺なら今頃飛行機の中だよ。多分、もう戻って来ないと思う・・・卒業式なんて関係ないって言ってたから」
「あいつがアメリカに行くことは知ってる。あんた、誘われたんじゃなかったの?」

「誘われたよ。でも・・・やっぱり私は日本に居たいの。毎晩毎晩考えたけど、アメリカで暮らす自分の姿が想像出来なかったの。だから・・・もういいのよ」

「本当にそれで良かったの?後悔しない?」


後悔しない・・・その言葉には素直に頷けた。
行った方が後悔する気がしたから。
自分の意思を何処かに押し込めてあいつの言う通りにしたら、いつか必ず衝突して爆発して木っ端微塵に吹っ飛んじゃう・・・そう思うから。
・・・って花沢類に話したらポカンと口を開けて驚いてた。


「そんな顔しなくたっていいじゃない。道明寺はサンタクロースじゃなかったのよ」
「・・・またそんな事言ってる。だからここで待ってたの?」

「あはは!そういう意味じゃないわ。私、ここのツリーが1番好きなのよ。色んなところに豪華なツリーはあるけど、ここがお気に入りなの。子供の時から見てるから」

「ふ~ん。こんな街のド真ん中じゃサンタクロース、来そうにないのに」
「だーかーら!あれは歌でしょ?そのぐらい判ってるって。じゃ、花沢類、パーティー楽しんでね!」

「・・・・・・ん」


ここからは去年と同じ・・・私はまたそこに花沢類を残して走って帰った。

失恋したての顔なんて見せたくない。
花沢類には見られたくないところばっか見られちゃう・・・それが悔しくて堪らなかったの。





***********************





新しい年になって2ヶ月後、俺達は卒業した。
卒業式にはやっぱり司は来なくて、牧野は俺達3人に卒業祝いだってまたクッキーを焼いてくれた。


「おい、またかよ!お前、クリスマスもバレンタインも全部クッキーじゃねぇか!」
「あはは!いいじゃん、安上がりなんだもん!」

「安上がり・・・俺達にそう言って渡すの、お前だけだぞ?!」
「そお?記憶に残って嬉しいってもんよ!はい、花沢類もおめでとう!」

「・・・ん、ありがと」


今日は総二郎とあきらと俺の分だけ・・・その手に余分な袋はなかった。


司とは今年になってからもう1度話し合った結果、恋人としてはついていけない・・・牧野がそう言ったと聞いた。


「いつなら来れるのか、私の大学卒業まで待てばいいのか、何処が不満だって何度も聞くの。
不満って言うか・・・私は自分の事は自分で決めたいだけなの。道明寺は確かに見た目と違って優しいし頼もしいし、一緒に居て楽しいんだけど、行き先も将来もあいつが決めた場所じゃないとダメなの。
私はもっと自由に生きたいのよね。それを言っても『自由時間なら与えてやる!』って言うの。与えられた自由じゃないの・・・それが判ってもらえなかったの」


卒業式後、牧野がボソッとそんな事を言って苦笑いしてた。



4月・・・俺達が大学生になって、牧野は退屈な高校3年生を過ごしていた。

揶揄かう総二郎も愚痴を聞くあきらも居ない。
非常階段で俺と過ごすこともなくなって、牧野は1人でその踊り場から空を見上げてると言った。

司と別れたことはすぐに学校中に知られたからもう苛められることもなく、コソコソと陰口は言われてるようだったけど「そんなの気にならないわ!」って笑ってた。
車に乗ってたら牧野とすれ違うこともあったけど、いつも忙しそうに走ってた。

あぁ、今日もバイトなんだ?って思いながらその背中を見送った。


長い夏休みには花火大会に誘ってみた。
勿論2人じゃなくて総二郎もあきらも居る・・・浴衣を着せるのは総二郎だったから少しイラついた。
あきらの別荘にも連れて行った。そこでは牧野が中心になってバーベキューをして、俺よりも先にあきらに肉を渡すのを見てイラついた。


「お前、卒業したらどーすんの?」

急に言葉を出したのは総二郎。その質問であきらも俺も牧野に目を向けた。
そうしたらキョトンとした顔で「勿論、就職だよ~!」・・・それに3人で驚いた。

「就職?何処に?!」
「ん?まだ決まってないけど後藤商事って会社を受けようかなって。家から近いのよ」

「なんだ?その会社。聞いた事ねぇけど?」
「・・・どんな会社なの?牧野」

「介護用品扱ってる小さな会社だよ。あんた達の会社があるようなオフィスビル街じゃないわ。でもその方が気が楽だもん!」

「それなら美作に入れば?牧野の家の近くに関連会社の出張所があったと思うけど」
「いーのいーの!そんな事したら美作さんの伝手って事で特別扱いされそうだしね~。就職してまで苛められたくないわよ」

「じゃ西門に入れてやろうか?茶道会館なら募集してたぞ?」
「いやよ!卒業してまで毎日西門さんに会うなんて!」


司と付き合ってる時は大学までが条件だって聞いていた。
でも今はもうその束縛はない・・・大学で会えないことは淋しかったけど、それが牧野の選んだ道なら応援してやろうって思った。


「牧野、決まったら教えてよ。就職祝いならいいでしょ?」

「・・・うん!ありがとう、花沢類!」




そうしてまたやってきたクリスマスイブ。
丁度牧野から内定したって連絡が入ったから、この年のクリスマスは4人でパーティーをした。
場所はあの公園の近くのレストランの貸し切りの部屋で、俺達はそれぞれ牧野に就職祝いを渡したんだ。

総二郎からはノートパソコン・・・「まずはネット環境からだわ」って大笑いしてた。
あきらからはイタリアのブランドスーツ・・・「胸が余りそう、それにウエストがキツそう・・・」って眉を顰めた。

俺は・・・車のキー。


「え?花沢類、私、運転免許なんてないし」
「・・・取りなよ。いくら近くても車がないと夜遅かったら危ないよ」

「・・・そ、そお?」
「うん、そう。だから入社までに取りな?」

「でも車なんてもらえないっ!買うならちゃんと自分で働いて買うから!」
「それ、いつ頃になるの?冬だと帰る頃には真っ暗でしょ?」

「えーと・・・な、夏!夏になったら車買う!だから・・・」
「じゃあ、もしも買えなかった時の為にキーだけ渡しとく。無理そうだったら連絡して?」

「・・・うん、判った」


このぐらいしか心配してやれないから・・・そう言うと、牧野はちゃんと春までに免許を取った。





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2019/12/24 (Tue) 08:13 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

あはは!どうかな?
つくしちゃん、意外と脆いかもしれませんよ?(笑)

あのラストシーンに行くまでに色々ありそうです。
ちょっと控えめな類君の変身ぶりを楽しみにしてて下さいね❤

2019/12/24 (Tue) 11:54 | EDIT | REPLY |   

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