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「それではご機嫌よう。牧野さん、寒くなってきたからお風邪など引かないようにね」
「・・・・・・はい!気を付けます!ま、真凜さんもお元気で!」

「・・・ほほほ、また来週来ますわ」
「・・・・・・・・・・・・ですよね」


雪乃さんの次には真凜さんまで?
この人までがガラッと態度を変えてきたから驚いて「お元気で」なんて言っちゃったわよ!しかも玄関出る時に私に微笑んだ・・・これまで1度だって振り向いたことがない人なのに?!

暫く呆けていたけど、やっと立ち上がって部屋に戻ろうとしたら総二郎まですぐ側の柱の陰にへばりついて眉を顰めてた!


「ちょっと!そんなところで何してるんですかっ!」
「・・・なんだ、ありゃ」

「さぁ?私が聞きたい・・・どうしたの?なんで真凜さんまで大人しくなったの?!」
「稽古の最中も真剣すぎてどうしようかと思った。しかも今まで散々注意しても聞かなかったのにフレグランス付けてなくてネイルもなかった・・・どっか具合悪いのか?それとも演技か?」

「怖いわ~、あんなお淑やかな真凜さん・・・」
「要注意だな。つくし、油断するなよ」


これがお稽古に来るお嬢様に対する言葉か、と思うけどそのぐらい不気味だった。絶対に噂を聞いて私に意地悪すると思った2人が、突然優等生になるなんて・・・。
総二郎にも必要以上に馴れ馴れしくしないのはいいけど、その変わりようが激しくて信じられない。

誰かが注意したって事もなさそうだから、自分達で意識的に変えてるみたいだけど・・・・・・どうして?


「まぁ、様子見だな。それより今日は美作の茶道部だろ?準備しとけよ」
「はーい!・・・で、美作さんは?」

「・・・あきらは出張中だから居ねぇよ。気になんのか?」
「へっ?!う、ううん!あれ以来だから挨拶しようと思っただけ。参加人数、間違えないようにしなくちゃ!」

「くくっ、頼んだぞ」
「はい!じゃあまた後で」


総二郎は今から自分のお稽古とお道具のお手入れ、その後は茶道会館で打ち合わせ。私はその間に事務処理と美作茶道部の準備だったから玄関で別れた。



**



秘書控え室に戻ったらすぐにパソコンでこれからのスケジュールを確認、手配漏れがないようにと画面を見直していた。


「あれ?こんなのあったっけ?」
「どうしました?」

堤さんも秘書控え室で仕事中だったから私の声で手を止めた。
そして「あぁ、言い忘れていましたが」と、急に入った出張の説明を始めた。
その急な出張が私の言ったヤツで、このスケジュール管理は堤さんと共有してるから彼が付け足したものだったらしい。


「実は再来週の5日間、京都に行くことになったんですよ」
「京都?」

「はい。京都には家元のお父上、先代家元がおられますが、そこで行われるお茶会の亭主を総二郎様にとお話があったのです。本当は家元が行くようにしていたのですが、アメリカでのお話を向こうの窯元から聞いたらしく、総二郎様に会いたくなったそうですから」

「はぁ、成る程・・・私も同行って事ですね?」

「多分、それが目的でしょうね」
「私が目的?」

「噂をお聞きになったのかもしれません。頑張って下さいね、牧野さん」

「・・・・・・・・・・・・」


超えなきゃならない壁ってヤツね・・・?





夕方近くになって、美作に持って行くお抹茶の準備のために保管庫に居たら「牧野さん、居る-?」と、絵美さんの声が聞こえた。


「はーい!ここに居ますけどどうしましたぁ?」
「あぁ、居た居た、良かったぁ!」

「・・・?」

絵美さんは再度結成された・・・と言うか、これからは常時稼働することになった巾着袋制作室の責任者に任命された人。何かあったのかと思って手を止めて彼女の方に行くと、着物の前掛けを揺らしながら駆け寄って来た。


「どうしたんです?そんなに急いで」
「うん!あのね、悪いんだけどあの和柄の布、全柄10mぐらい注文してきてくれない?重たいから本邸まで配達とか出来ないかしら、それも聞いてきて欲しいのよ」

「10m?そんなに?!」
「そうなのよ~!今度は都内の各茶道教室から頼まれちゃったの。しかも来年の稽古始めのプレゼントにするからって日付と教室名まで縫い込むことになったのよ~」

「うわ、大変そう!コンピューターミシンで?」
「そうそう、だから楽ちんだけどさ。これ以上になったら工場が出来そうで怖いわ~!」

「・・・ははは、ほ、ホントですね~(本当に出来そう・・・シャレになんない!)」
「まぁ、西門邸での手作りがウケてるみたいだけどね」


まさか思い付きで始めたのにこんな事になろうとは・・・言い出しっぺの責任ってものを感じて、絵美さんには「了解しました!」と返事をした。




美作商事に行く途中の車の中、運転にも慣れてきたから今日は私がハンドルを握り、着物姿の総二郎が助手席でシートベルトを握り締めていた。
だから手芸店まで道案内を頼んで、さっきの絵美さんの話をしたら大笑いしてた。

「すげぇな、巾着袋ってそんなにウケがいいのか?」
「さぁ?西門邸の中で作られてることで喜ばれてるみたいだけど、変だよね~」

「まぁ、いいけどさ。つくしが作らなくていいんなら」
「うん。最高級コンピューターミシンが3台ぐらい増えたって言ってた。すごいよ?それだけでも100万超えてるもん!」

「いいんじゃね?1億超えたら驚くけど」
「・・・・・・・・・・・・」




そして到着した手芸店で四苦八苦しながら車を駐車・・・最後にコツン!と衝撃があって総二郎に睨まれた。
急いで出てみたらナンバープレートの横辺りがお店の塀に・・・思いっきり下がった眉に総二郎が噴き出してた。
「ガレージに入れたら磨いといてやる。このぐらいの傷なら目立たなくなるだろ」って言われて頭を掻いたら「少しずつ上達してるんだから気にすんな」って珍しく怒らなかった。


「・・・ごめんね、私が自分でやるよ。教えてくれる?」
「お前がやると余計傷付けそうだけど?コンパウンドってのは研磨剤だから傷を埋めることは出来ねぇの。上手いことやって車のボディについた微細な傷をなだらかにすることで傷を目立たなくするって訳だ」

「紙やすりみたいなもんね?!」
「・・・・・・やっぱり俺がやる」


そんな会話をしながらお店の正面に向かうと、そこを箒で掃いていたのは初めて来た時に一緒に選んでくれた可愛い店員さんだった。
駐車場から着物姿の男性が来たから目に入ったみたいで、私達が近づいたら「あぁ、この前の!」って笑顔を向けてくれた。


「こんにちは~!」
「いらっしゃいませ。今日はどうされたんですか?」

「この前買った布がまた必要なんです。しかも柄を増やしたいらしくて。選んでいただけます?」
「はい!いいですよ、では入りましょうか」


チラッと見えた名札・・・あぁ、そうだった!この人も「堤さん」だった。

ん?堤さん・・・・・・偶然かな?





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2019/12/14 (Sat) 15:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

うふふ、何やらこっちは事件が始まったようです(笑)
でもこっちはコメディなので安心して下さいね♡
(そう言ってとんでもない爆弾の可能性もありますけど)

こんな何気ない会話も好きですね~。
着物の総ちゃんが手芸店に入るってのが私的には気に入っております(笑)

似合わないでしょうね💦

2019/12/14 (Sat) 23:29 | EDIT | REPLY |   

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