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「そうですねぇ・・・この柄も最近入荷したんですよ。青海波に小桜の青系と菊唐草って言うんですけどね」
「あら!赤とかピンクが多かったからいいかもしれませんねぇ」

堤さんと一緒に布を選んで「それを全部10mずつお願いします」って言うと「えっ!」と驚かれた。
流石に数種類もの布を10mだとかなりの量だし、一緒に買う付属品はこのお店にあるものを買い占めても足らない。だから発注してもらって配達を頼んだ。
でも急ぎもあるから巾着袋100個分ぐらいは今日買って帰ることにした。


「大変ですねぇ!これだけ作るの、時間掛かるでしょ?」
「あはは!私はもう作らないんですけどね~。使用人さん達がワイワイしながら作るから大丈夫じゃないかしら」

「使用人さん?そんなに沢山使用人さんが居るんですか?」
「えぇ、何人居るんだろ?全部で・・・30人ぐらいは居るのかしら?ねぇ、西門さん!」

「・・・・・・西門?って・・・もしかして茶道家の?」


私が総二郎に話し掛けたら堤さんが驚いたように目をまん丸くさせた。
確かにこのぐらいの歳の男性が着物なんて着てるから不思議だよね~と、「そうなんです~」って軽く応えたけど堤さんはそれを聞いた瞬間、サッと視線を下に向けて苦笑いになった。


あれ?もしかして今頃総二郎に照れたのかしら・・・?
彼をチラッと見たけど、総二郎は私の質問なんて聞いちゃいない・・・今日も顰めっ面で縮緬細工の手芸品と睨めっこしていた。


「じゃあ残りが揃ったら西門までお届けしてもらえますか?」
「は、はい!判りました。ではお代金はその時にいただきますね。本日はお持ち帰りの分だけで22500円です」

「はーい。どうもありがとう、堤さん」
「・・・えっ?!」

「だって名札にそう書いてあるから。私の先輩も堤って言うんです。だからすぐに覚えちゃった!」
「・・・そう、ですか。あははっ!平凡な名前ですから」


「・・・つくし、行くぞ~、間に合わなくなるぞ」
「はーい!」

「・・・ありがとうございました」


何となく元気がなくなったように見えたのは気のせいかしら?
スタスタ歩いて車に戻る総二郎の少し後ろを歩いていたけど気になって振り向いたら、彼女は店の外に出ていて、慌てたように頭を下げて見送ってくれた。

だからもう1回私もペコッと頭を下げて、急いで総二郎の後を追い掛けた。



「気になるのか?あの女」
「ん?そうじゃないけど。急に元気がなくなったから悪い事言ったのかなって・・・でも、いいや。何でもない!」

「・・・俺は何処かで見たような気がするけど思い出せねぇわ・・・」
「そうなの?それ、この前ここであったからじゃないの?」

「そうじゃなくて・・・・・・いや、何でもねぇ。マジで遅れるから急ぐぞ」
「うん!」


でも運転席のドアを開けた時、堤さんに近寄るスーツ姿の男性を見てしまった。
彼氏・・・かな?学生でもおじさんでもない感じの人だった。




**




美作茶道部は美作さんが不在だったから対応は小百合さん1人。
でも逆に彼がいなかったから穏やかな笑顔だった。
「この前はごめんなさいねぇ~」なんて言ってお土産にシフォンケーキまでくれるし、帰る時は時間外なのにエントランスまでお見送り・・・逆に気持ちが悪かった。


「気を付けてお帰り下さい。足りない物があればおっしゃって下さいね」

「いや、大丈夫。もう少し静かにしてくれれば助かるけどな」
「・・・・・・(足りない物なんてないでしょうよ!この前倍近く持って来たんだからっ!)」

「うふふ、素敵な講師ですもの、無理ございませんわ。でもまだ入部希望者がいて大変ですのよ?」

「ははっ!これ以上になると教えることも出来ないって」
「・・・・・・(いや、あなたの素敵な人は他にいるでしょうが!色目使ってんじゃないわよ!)」

「牧野さんもご苦労様。今度は部活の後にお食事でも行きましょうね」

「は?はいっ!頑張ります!」
「・・・飯食うのに頑張る必要はなくね?」


・・・・・・急に話を振るんじゃないわよ!
驚いて変な受け答えしちゃったじゃんっ!💢


クスクスと意地悪な笑い方をする小百合さんに見送られて本邸へと戻る途中、車の中では再来週の話に移っていた。
突然の京都行き・・・今度は相手が身内みたいなものだから凄く不安だった。
確かにアメリカの仕事も緊張したし大変だったけど、茶道だけじゃなかったし英語があまり出来ないって事で変な開き直りがあった。

もう2度と会う事はないって思えば気が楽。
もしもの時は井上さんと上田さんに助けてもらえる、そう思えば不思議と元気に笑顔を作れた。


でも今回は違う・・・相手は総二郎のお爺さんとあの間島さん達。
しかも日本語だから(当たり前)何言われてるか全部判っちゃう・・・そして私の未熟さも見破られる。

それを総二郎に言うと「なるようになるさ」ってあっけらかんとしていた。


「なるようになるさって・・・急だよね?困ったなぁ・・・何かしろって言われるかな?」
「まだ正式に話をしてねぇから言わないだろうけど、噂を聞いて無理なことを言い出すかもな。その時は俺が止めるから気にすんな」

「うん・・・それに間島さんって人、注意しなさいって前にも言われたのよ」
「あぁ、彼奴らか。宗家に良い感情持ってねぇからな・・・自分達の身内には腕の良い茶人は居ないクセに、俺達を分家扱いにして自分達が代表になろうとしてんだろ。そんな事、うちにすげぇスキャンダルとかが起きて危うくならねぇ限り絶対に無理だけどな」

「総二郎なら簡単にスキャンダルが出ると思われてるんじゃないの?」
「・・・・・・・・・・・・💢」


今からじゃ焦っても仕方ないか・・・と、怒ったような顔で運転してる総二郎を横目に助手席で大欠伸した。




**********************




つくしにはあんなことを言ったけど、内心俺も不思議だった。
何故急に親父の予定を変えてまで俺を呼んだのか・・・爺さんはアメリカでの話を窯元から聞いたって言うけど、俺の事なら見通しのはず・・・。
それよりも宗家のスケジュールを変更する方が面倒だと知ってるから、今までこんな事は無かったのに。

丁度町田さんから京都の連中の話を聞いたばかりだから余計に・・・だ。


屋敷に戻って事務所に顔を出せば、親父は丁度客の相手が終わったばかりで自室で寛いでると西村さんに言われ、つくしには片付けを頼んで1人でそこに向かった。
母屋だったからノックをして「入っていいか?」と聞けば「総二郎か?」の返事・・・それを聞いてドアを開け、周りを確認してから静かに閉めた。

親父はそこで新聞を読んでて、俺を見るとそいつをたたんでテーブルに置いた。


「・・・なぁ、俺の京都行きの理由は?爺さん、何か言ってたか?」

「それが先代は1人で舞鶴の方に出掛けてて連絡が取れなくてな。スマホなんて嫌いだから持ってないって大森に言われたし、いつもの旅館にも泊まっておらんから話してないんだ。
気紛れな人って訳でも無いのに何故なんだか・・・でも大森は『総二郎様にご変更だそうで』って言ったから、向こうでは周知されておるのだろうよ」

「俺が知らねぇのに・・・」
「いや、私も自分が行くものだと思って準備してたからな」


大森ってのは先代、俺の爺さんの側近みたいな人物で、堤のような仕事をしていた。だからこの人に聞けば先代のスケジュールは全部判るって事だ。
すげぇ信頼されてるから何処に行くにも同行していたのに、今回は1人・・・そもそも1人で舞鶴に行くのも解さないけど・・・。


嫌な予感がする。
つくしには心配させたくないから口には出さなかったが・・・何かあるんだろうか?




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Comments 2

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2019/12/15 (Sun) 15:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうですね~(笑)
こっちの悪巧みはコメディなので気楽にお待ちいただいていいかと思うのですが(笑)
それにこっちの爺さんはそこまで悪いヤツじゃ無さそうだし?


それに比べて・・・類君💦

どうしたらいいんでしょ(笑)
どんどんややこしくしているのは間違いなく私・・・💦

読者様に叱られそうな展開になってきましたが・・・ここで、止めたら殴られますよね(笑)
(今更書いた事を反省する私)

2019/12/15 (Sun) 22:55 | EDIT | REPLY |   

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