FC2ブログ

plumeria

plumeria

それから数日間、何事も起きずに平和に過ぎていった。
ただし総二郎のお稽古は少し厳しくなって、毎日お茶を点てる作法を教えられた。
立ち居振る舞いだって怪しいのに、と言えば「それは時間外に教えてやる!」って言うけど・・・そのお稽古が時間外にされた事は無い。

毎日仕事が終わればクタクタで、それでも”その時間”になると元気になる総二郎のする事と言えば・・・。


「・・・・・・はぁはぁ・・・総・・・もうダメ・・・」
「もう終わり?マジか・・・休憩だろ?」

「休憩じゃない・・・・・・限界超えてるって!」
「意外と体力ねぇなぁ・・・でも、それも慣れって言うし」

「いやぁだぁ、総っ・・・!」
「くくっ、無駄だって。今度は優しくするから・・・な?」


そう言って優しくしてくれたことがあっただろうか・・・って悩む間にもう始まる、地獄のような夜なんだもの!



**



「それじゃあ俺はスタジオに入るからここで待っとけ。何処にも行くなよ?」
「判りました。じゃあ京都に持ってく手土産の確認しておきます」

「あぁ、頼む。それと自分の着物とかも志乃さんに頼んで用意しとけよ」
「そっか!じゃあ時間があるから電話しておきます」


今日は総二郎がトーク番組のゲスト出演で2時間程度の収録があるからって、某テレビ局のスタジオに来ていた。
それをモニターで見ながら、私は楽屋で仕事。先代が好きだって言うお菓子の手配に京都で会う予定の人達への個別の手土産、泊まるのは一乗寺にある西門の別邸らしいから、そこの使用人さん達への心遣いも忘れずに。
残りの時間は志乃さんに着物の話をして、打ち合わせは終わり!

「よし、総二郎の収録でも見よう~っと!」

スマホを鞄に入れて勢いよく立ち上がり、楽屋を出たらスタジオが見えるところにそ~っと近づいた。


凄いなぁ・・・あれだけ照明浴びても全然余裕の笑顔。それに司会者って有名なタレントさんだ!
沢山のスタッフが中央を見つめていて、それはテレビでしか見た事ない裏方の光景だった。

いつも見てる背景って実はこんな張りぼてなんだ?とか、見上げたら眩しいスポットライトがズラリと並んでる・・・よくドラマではあれが落ちてくるのよね、と考えていたらほんの少しライトが揺れた。


「あれ?地震・・・?ううん、違うよね・・・なんで揺れてるのかしら」

そう呟いた時、誰かが私の背中をトン!と突いた。


えっ、誰・・・?

振り向こうとしたけど蹌踉けた身体は少しだけ前に出て、そこにあったケーブルに躓いた・・・!
次の瞬間にはスタッフさんの「危ない!!」って声がスタジオ中に響き渡った!

躓いただけでも驚いたのに、今度は後ろにグイッと引っ張られて誰だか判らない男の人に体当たり!
でもすぐに私の立っていたところに真っ黒い物体が・・・!


ガシャーン!!


「きゃあああーっ!なにっ!」
「どうした?!おい、カメラ止めろ!!」
「大丈夫か!怪我は無いかっ!照明スタッフ、どこだ?!」

「つくし・・・?!」


私がさっき蹌踉けて移動した所・・・そこで真上から落ちてきたスポットライトが粉々になっていた。
その飛び散った破片が他の照明でキラキラしてたけど、もしも当たっていたら・・・?

私が引っ張ってくれたスタッフさんに縋り付いてガタガタ震えていたら、総二郎が人混みの間から駆け寄って凄く心配そうに顔を覗き込んだ。
それを見たらポロッと涙が溢れた・・・。


「・・・そ、総じ・・・ろ・・・」
「大丈夫か?!怪我してねぇか?」

「うん・・・うん、だい・・・じょうぶ」
「はぁ・・・、良かった・・・!」


助けてくれたスタッフさんにはお礼を言ったけど、総二郎は照明さんに凄い剣幕で怒鳴っていた。

「申し訳ありません!」と沢山の人が私達に謝るけど、それよりも私は誰かに突かれた事の方が怖くて顔を上げることが出来ない。総二郎に支えられて楽屋に戻ったけど、2人きりになったらその場に崩れ落ちた。


「あっぶねぇな・・・後でディレクターにもう1回文句言ってやる!」
「・・・・・・・・・」

「腰が抜けたか?何か飲むか?」
「・・・・・・誰か居たの」

「は?」
「あのライトが落ちてくる直前、私・・・誰かに背中を押されたの」

「・・・・・・本当か?」
「うん、それであの場所に出ちゃって、そうしたら・・・あんな事が」


背中がゾッとする・・・誰が私を押したの?




***********************




つくしの言葉に驚いた。
確かに照明スタッフは「念入りにチェックしたのに」とは言っていた。もし単純な設置ミスじゃないなら、誰かが故意に起こした事故なのか?

現場スタッフに見慣れない人物がいなかったかと聞いたけど、答えは全員が「判らない」だった。
こんなスタジオでは殆どがチームとして動くから全員顔見知りの筈だけど、業者の出入りや他の収録で来てたヤツが見学したり、新人マネージャーなんかが居れば区別なんて出来ない。
しかも収録中だからスタッフの意識は俺達に集中していて、裏方の隅っこで何が起きてても気にしてるヤツは少ない。

つくしも暗がりに立ってたから余計に・・・だ。
色んな角度から撮っていたカメラ映像を見てもらったけど、不審な動きをするヤツはいなかったらしい。


「で、でもさ・・・私が狙われたなんて証拠も無いし、そんなのある訳がないから・・・うん、きっと偶然何かが当たったんだよ・・・ね?」
「・・・でも押されたって思ったんだろ?謝ったヤツもいなかったって事だよな?」

「そ、そうだけど・・・。あっ、でもね、ライトも少し前から揺れてたの!だからきっと何かが緩んでたんだよ」
「揺れてた?真上のライトが?」

「ううん、少し離れたところ」
「落ちたのはお前の真上だぞ?」

「・・・・・・あれ?」


誰かがスタジオの天井付近で何かを弄ってたのか・・・?
比較的広いスタジオだったから天井のスポット付近には確かに梁があるけど、収録中にそんなところで動くとフロアの連中に見付かるはずだ。


って事は端の方で誰かが・・・?
つくしの位置とライトの位置を合わせるために押した・・・って事か?

つくし本人を狙ったのか、それともスタジオで事故を起こしたい人間がたまたまつくしを利用したのか・・・。



「総二郎、何考えてるの?」
「・・・・・・いや、何でもねぇ。怪我が無かったんだから良かったけど、念の為に自分の回りを警戒しとけ。俺が居ない時には特にな」

「警戒って、私が何かしたの?」
「何もしてねぇよ。念の為って言ったろ?お前に手を出すヤツは俺が許さねぇから心配すんなって」

「・・・ん、判った。でも本当に当たらなくて良かったぁ!当たるなら宝くじだよね!」
「ぷっ!それならもう当たってるだろ?」

「えっ?買ってないのに?」
「この俺を当てただろ?それってどんな宝くじより奇跡だって事だ」


「自惚れ屋~!」って真っ赤になってバシバシ叩くつくしを笑いながら見てたけど、内心穏やかじゃ無かった。



本当につくしを狙ったのなら・・・1回じゃ終わらないだろうから。




にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
関連記事
Posted by

Comments 6

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/12/16 (Mon) 12:55 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/12/16 (Mon) 20:55 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/12/16 (Mon) 21:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

こっちまでサスペンス劇場に(笑)
でも、どことなく安心できるでしょ?
つくしちゃんがボケッとしてるんで危機感ってものがございません(笑)

まぁ、こっちのお話は総ちゃんとつくしちゃんが一緒にいるから大丈夫・・・(じゃなかったりして💦)

それでも脳天気なつくしちゃんでホッコリしていただけると嬉しいな♡

2019/12/16 (Mon) 23:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。


え?あのぐらいのRでも喜んだの?ってか・・・Rじゃないよね(笑)
うん、こっちもサスペンスに突入よ♡

うふふっ!!

2019/12/16 (Mon) 23:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おひさしぶりです

シポンヌ様 こんばんは。

コメントありがとうございます。

忙しいですよね~、12月ですもの。
私も忙しすぎて睡眠時間がなく、とうとう風邪で寝込んでいます。


お話・・・頑張りたいけど、ちょっと気力が💦
何とかお正月までには生き返らないと・・・(笑)


あはは!お話はね、少しだけサスペンス劇場になってきました。
でもそこまでややこしい事にはなりませんからご安心を♡

2019/12/16 (Mon) 23:45 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply