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俺がつくしと初めて会ったパーティー・・・確かにもう1人子供が居たのを俺は覚えていた。

でもつくしは忘れていた。
いつだったかそれを話したら「全然覚えてないわ」って答えてた・・・それが柊祐だったのか?


それでつくしの事を覚えていたんだ。
でも、そんな子供の言葉を大人になってから利用したなんて信じられなかった。
そしてやっぱり彼は思い違いをしている・・・俺だってそう推測したから無理はないけど、俺達が腹違いの兄弟だと思ってる。

でも今、それを話せば他の事が聞けないかも知れない・・・だからすぐには真実を言わなかった。
後で父さんが来るはず・・・その時までに今まで仮定だった話の真相を聞こうと思った。


俺に向けられている銃口から銃弾が飛び出す前に、何としても柊祐に隙を作る・・・真相を聞き出しながらでも全神経を彼の動きに向けていた。


「この計画は誰が?あんた?それとも有栖川老人?」
「花沢を憎んでることは一緒だからね・・・お爺様が強く望んだから知恵を貸しただけだ。どうすれば1番花沢家が苦しむか・・・大事な跡取りが苦しむことがあの夫婦にとって1番の痛手だと判断した」

「だから一緒に潰された牧野家を巻き込んだ?それ、成功すると思ったわけ?」
「俺には特殊な能力がある・・・それを最大限に利用すれば何だって出来たのさ」

「つくしの両親を騙してここで・・・いや、村上市の方で匿った?」
「流石だな・・・もう村上の家まで調べたんだ?
そう・・・あそこで復讐計画への参加を説得したけど無駄だった。だから暗示を掛け続けたけど、今度はなかなか言う事を聞かなくてね。やはり2人ってのは不味いよね、実に厄介だった」

「だから子供はつくしだけだったって訳だ。進まで引き取ると催眠暗示に掛からないかもしれないから?」
「・・・・・・・・・」


小型拳銃を持つ手はピクリとも動かない。
この部屋の空気がピーンと張り詰めて、息をするのも忘れそうな程だった。

冷たい空気が流れてきて柊祐と俺の髪を揺らす・・・その時に俺のスマホが鳴ったけど、出ることは出来なかった。



「両親が逃げたから村上を出てこの山奥に来たってこと?君の曾お婆様の実家・・・そうだろう?」

「もう驚きもしないよ・・・そういう事だ。辛うじてライフラインが繋がってるだけで誰も来ない山奥の屋敷・・・色々計画するにはこんな場所の方が良くてね」

「あの事故もあんただよな。俺達がフランスに行ってる間に吉岡を呼び出し色々と仕込んだんだ。たった3日間でも暗示って可能なのか?」

「・・・吉岡のことは母さんが生きてる時から知ってたからね・・・君達が婚約した直後から少しずつ接触してたんだ。本人はその記憶を無くしてるけど、あの3日間で何度も事故のシュミレーションを叩き込めばその通りに動いたって訳さ」


柊祐の説明だと吉岡は命じられたルートを命じられた速度で走り、山道に車が入ったことを確認したら進入禁止の札を立てた。当然それは事故を起こした後に撤去し、幸い誰もあんな山道には来なかったからそれを見た人間は居ない。
その作業は柊祐が雇った人間が総て行い、彼はあの倒木の向こう側に待機していた。

吉岡はあの倒木を見た瞬間にブレーキを踏み、その一連の動きが催眠解除のサインだったらしい。覚醒の仕方はその時その人によって違う・・・吉岡には視覚による覚醒を指示していたと薄笑いを浮かべて言った。



「万が一の時でもそれが復讐・・・彼は大怪我を負って不自由な身体になったようだけど、命は取り留めたからいいだろう?」

「確かに吉岡にも罪はあるが、だからってそのやり方は間違ってる。あんたの母さんがそれを望んだとも思えない」

「・・・・・・何だと?」
「話しを聞く限りあんたに愛情を注いでた・・・そんな人が卑怯な復讐は考えないと思っただけだ」

「五月蠅い!お前に何が判る!」


初めて柊祐が大声をあげ、同時に引き金を引いた!
至近距離だから重く鈍い音が響いた瞬間、俺はつくしの前で両手を広げて庇った!


「・・・っつ!!」

眉を吊り上げた柊祐の顔・・・手に持つ拳銃から発射された弾は俺の左頬を僅かに掠めただけだったが、それでも火傷のように熱かった!
指で触れれば少しだけ血が付いた・・・態と外したんだろうけど、本気だと思えば身体が震えた。


自分の命を狙われる恐怖じゃない。
つくしの安全が保証されないと言う恐怖だ。



「あいつのせいで母さんはこんな場所に戻らなきゃいけなかったんだ。それがどれだけ苦しかったか、お前には判らないだろう!何も知らずに両親に守られてたんだからな!」

「俺が守られていた?あんたの母さんの事件と俺が関係してるのか?」

「あぁ、そうだ・・・お前が何処かの国で流行っていた熱病に感染したことが判って、お前の両親は病院で付きっきり・・・それを理由にろくな調査もせずに不正事件を放置したんだ。選りに選って首謀者の男に全権を任せて、1人の社員と1つの会社が犠牲になって終わるのならいいだろうと言ったんだ!
お前は最新医療によって救われた・・・お前の親父はそれだけで満足だと言ったそうだ。俺達の事なんて全部忘れて、一人息子のお前が生きていればいいって言いやがったんだよ!」


「俺が・・・熱病?」

「覚えてもないだろう・・・でもそれが事実だ。お前の親父はお前だけが大事だったんだ!」


それは随分後になって聞いた事はあったけど、当時の記憶なんてない。
「俺だけが大事だった」・・・その言葉で、やはり柊祐は自分も花沢の血を引くと思ってる・・・この瞬間に確信した。



「あんた、妹がいるのか?」
「・・・何故だ」

「つくしが・・・俺にじゃないけど子供の時に女の子と暮らしていたって話したそうだ」
「あぁ・・・そう言う事か。誰にも言わないようにって言ってたけどやっぱり誰かに話したんだ?」

「その子は何処に居る?」
「お前の目の前だ」

「・・・・・・え?」

「つくしが幼い頃にここで過ごした鈴音・・・それは俺だ。幸い俺は身体が小さかったんでね、声変わりが始まるまでつくしと過ごしてたって訳だ」


ほんの少しだけ疑っていたから驚きはしなかった。
でも、その目的が暗示の下準備だったと聞いた時には驚いた・・・と言うより腹が立った。


「不安が大きい人間は暗示に掛かりにくいんだ。でも数年間掛けて催眠に誘導する音を聞かせると自然と掛かりやすくなる・・・初めは何も言わなくても身体が音に反応し始めたら言葉を加えていくんだ。
つくしは長いこと鈴の音を聞いていたから、その音を聞くと脳が準備を始める・・・俺の声による命令を待つって訳だ」

「空港でも聞かせた?」

「あぁ、あの雑踏の中でも反応したから安心したよ。あの音を忘れてないんだってね」

「結婚式の直後を狙ったのは俺へのダメージを大きくするため?」

「勿論。そのぐらいじゃ復讐とは言えないけどね。
本当は牧野つくしと恋に落ちてくれればいいと思った。その恋人を他の男が奪う・・・もしくは信用していた恋人による裏切りとか、花沢を潰す為の情報を聞き出すとか色々考えていた。
それなのに婚約までしたから驚いたよ。それなら最後に式まで挙げさせて、その幸せの絶頂から叩き落としてやろうと計画を切り替えたのさ」

「有栖川老人も同じ考えだったのか?」

「お爺様は花沢家が没落すれば何でも良かったんだ。母さんを見捨てた家だからね・・・俺の狙いは花沢類、お前1人だ」


俺が絶望のあまり精神崩壊でもすれば花沢物産の後継者として認められなくなる。
そうなれば両親も平常心では居られなくなり、やがて社のトップとしての責任も果たせなくなる。力のない経営者を世界中の企業は見放し再建不可能となった花沢を救うのは・・・


「まさかと思うけど成瀬が救ってやる計画だったのか?うちを吸収でもするつもりだった?」

「・・・そんな先の事は考えていなかった。とにかく俺はお前が嘆き苦しむ所をこの目で見たかったし、最愛の妻を奪いたかっただけ。お爺様は残された人生の最後に花沢が地に落ちたと教えてやれば安心して逝くだろうからね」


成瀬のパーティーに俺が出席するように仕掛けたのも、つくしの指紋を化学薬品で消したことも、彼女を利用して俺の職印を奪い書類を偽造したことも、それをシェールガス開発事業撤退に使った事も認めた。
唯一この計画を狂わせたのがつくしの妊娠だった、それも白状した。


「・・・手は出してない、それは本当だな?」

「出しても良かったけど、つくしだってあの事故の怪我は酷かったんだ。それに催眠暗示の特訓中だったから迂闊に手を出せなかった・・・って言うのが本音かな。
つくしには動いてもらわないといけなかったからね。完全に鈴花になりきれない時にセックスなんてして、その時に覚醒して無茶な行動に出られたら困るだろ?」

「・・・もういい、それ以上は聞きたくない」

「大丈夫・・・もう聞くことも出来ないさ」



再び柊祐の指が引き金に掛かった。
そして顔面だった銃口の先が少し下げられた・・・それは間違いなく俺の心臓を狙っていた。


「安心して逝けよ。つくしはもう1度鈴花になる・・・お前の子供は俺が育ててやるから」





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Comments 4

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2019/12/16 (Mon) 08:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

風邪の治りが悪いのは○○のせい・・・でしょうか。
本日も仕事が出来ず、ほぼ寝ておりました(笑)

こういう時、ご飯を作ってくれる人が欲しいですが、旦那は全くその気なし。
食べなきゃ、と思いつつ水分だけなので力が出ないのかも💦

でも、今日の方が気分はいいです♡
ご心配いただきありがとうございます。


パトカーはまだ来ないかな?(笑)

2019/12/16 (Mon) 23:36 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/17 (Tue) 07:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

判るっ!それ、私もやられました(笑)
去年だったか、一昨年だったか、風邪でご飯が作れないって言ったら、自分だけのご飯買ってきました(笑)
それにムカついたら次の日、カレー作ったんですよ(笑)

私はカレーが食べられないのに!って言うと

「だから俺のは作らなくていいやん」
「私が食べるものは?」

「あぁ、お前のか!」
「・・・・・・」

一応生きてるからね・・・食料は必要なのよ。食べなきゃ回復しないし!!💢ってなりました。

2019/12/17 (Tue) 20:25 | EDIT | REPLY |   

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