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「花沢類のこと、ずっと前から好きだった・・・苦しいほど好きだったの」

その言葉を聞いた瞬間、類は後ろからつくしを抱き上げ、そのまま奥のベッドルームに運んだ。
つくしはこんな時でも「うひゃああぁーっ!」と素っ頓狂な声をあげて類にしがみつきギュッと目を閉じる。

そして優しく降ろされたベッドの端で、今度は類と真正面から向き合ってお互いの目を見つめる。
いつも何を考えてるか判らない薄茶の瞳の中には自分だけ・・・つくしはこれまで見たことのない男らしい類に、キュンとするどころか息すら出来ない。

綺麗な指先が自分の頬を撫でる・・・その時に目を閉じることさえ忘れて彼の顔をガン見し、逆に類の方が噴き出してしまった。


「ぷっ!あははは、牧野、やめてよ、その顔っ!!」
「・・・えっ?い、今、笑う場面なの?」

「だって、そんな大きな目を間近で見たら可笑しくて!俺、今凄くその気だったのに・・・あっははは!」
「ええーっ?!うそっ、なに?私、ムードぶち壊したの?!」

「くくくっ・・・ダメ、お腹痛いっ・・・!」
「は、花沢類・・・そんなに笑わなくても・・・」


本当言えば類も緊張していた。
このままつくしを抱いてしまおうと考えたのは事実だが、余りにも急な展開なのも然り・・・だから態と時間を取るためにこの場を笑いで誤魔化した。

すこし残念な気持ちを隠し、つくしを抱き寄せ軽めのキス・・・そのあと今度は手を差し出してつくしを立たせ、リビングのソファーに向かった。


「ごめん、大笑いして。シャンパンでも飲もうか」
「・・・・・・くすっ、私こそごめん。ドキドキし過ぎちゃった!」

「でも俺はそのつもりだけど」
「・・・・・・・・・」

「ダメ?」
「・・・・・・お、お風呂に入ってからね。潮風に当たってるから」

「・・・ん」


いつも使ってるものとは全然違うクリスタルのシャンパングラス、それに注がれた淡い琥珀色。

今まではこの状況が自分と類との違いを思い知らされるようで嫌だったつくしだが、一緒に海を歩いてくれて、路上では自分の為に人目も憚らず闘ってくれた彼を思うとその気持ちは何処かに消えていた。
類なら司や仙道とは違い、いつでもこの世界から自分の世界に入ってきてくれる・・・自分も類のためなら新しい世界に飛び出す勇気を出せそうな気がした。

自分を飾らずに自然体で・・・どんな場所だろうがそれが可能だと信じることが出来た。



話すことは今朝の海の事と、水族館の話ばかり。
今度は違う海に行こうとか、その時にはお弁当を作るとか・・・時々口に運ぶシャンパンで頬を赤く染めるつくしを類は面白そうに眺めていた。


類はつくしがさっきの店で何を話し、仙道の両親が何を言ったのかさえ詳しく聞こうともしない。
聞いたからと言って自分達に何の変化も起きないと思ってるから・・・自分達に必要なのは「創造されたもの」ではなく「有りの儘」だからだ。


「・・・これも作ったの?」
「ん?あぁ、このピアス?うん!星形のパーツを使ってね、コットンパールって言うのを1つだけ付けてね・・・」

「似合ってる・・・朝、見たときドキッとした」
「・・・そ、そぉ?えへへ・・・自信作だから」

「・・・なんか複雑」
「へ?なにが?」

「牧野、こういうの作ってる時、俺の事を忘れそうだから。好きな事をさせてあげたいけど、その手を止めるかもしれないなって思って」

「・・・・・・馬鹿、忘れないよ」


少し拗ねた顔を見せて、つくしがグラスをテーブルに戻すと、その腕を類が掴んだ。
ビクッとしたつくしを余所に、類はその腕からそっとアクアマリンのブレスレットを外した。そして自身の腕からも外して2つをテーブルの上に重ね、それが終わると黙ってつくしを抱き寄せた。


「・・・花沢類?」
「・・・・・・そろそろシャワーの時間じゃない?」

「・・・あっ、そう・・・かも。えっと・・・花沢類、先に行く?」
「一緒に行く。おいで・・・牧野」

「・・・・・・一緒?」
「くすっ、そうだよ。ほら、立たないなら抱えて行くけど?」

「うわっ!い、行きますっ!じ、自分で行く!」


差し出された類の手を1度は掴んだけど、その言葉で慌てて振り解いてダッシュでバスルームに駆け込んだ。
それを見てクスクス笑い、類が後から同じ方向に向かった。



駆け込んだのはいいけれど、ホテルの脱衣場に逃げ隠れする場所もなく、つくしは真っ赤になって類がくるのを待っていた。
そしてその場で向かい合うと、類の方が先に着ているものをバサッと脱ぎ捨て、つくしはクルッと背中を向けて爆発寸前の心臓を抱えていた。

身体が火照って何も考えられない。
後ろでは類が何をしているのか想像出来る音だけが聞こえ、それなのに自分が着ているものは力一杯握り締めて手を離すことが出来ない。


勿論、この状況が初めてではない。
でも仙道の時には「諦め」という恋人とは思えない感情があったから、ここまで心臓が高鳴ることがなかった。

身体を合わせることは義務・・・そんな気がしていた。


でも今は違う。
これからの事を想像するとつくしは気を失うんじゃないかとさえ思えて、既に立ってるのがやっとだった。



「牧野・・・何してんの?」
「・・・なんでもないっ!は、花沢類、先に入っててよ、私は後から・・・」

「えっ?そんなに怖がらなくても・・・いいからこっち向けって」
「・・・ちょっと待って、もう少し・・・」

「・・・仕方ないな」
「・・・うわあぁっ!!」


壁から離れようとしないつくしの肩を掴んで強引に向きを変えさせ、自分の胸に押し当てるようにして抱き締めた。
類の素肌に顔を埋め、つくしは浮いた両手をどうしていいのかも判らない。ジタバタするつくしを離すまいと、類はその後ろ頭を抱えて自分の心臓につくしの耳を当てた。

再びビクッとするつくしの身体・・・その直後、逃げようとしていたのを止めて静かになった。


「・・・判った?あんただけじゃないって」
「・・・・・・花沢類の心臓・・・凄く速い」

「うん・・・凄くドキドキしてる。何度も・・・夢見たから」
「・・・・・・・・・」


「あんたが欲しくて堪んなかった・・・だから怖がらないで、牧野・・・」





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Comments 4

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2020/01/16 (Thu) 01:32 | EDIT | REPLY |   
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2020/01/16 (Thu) 05:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

コメントありがとうございます(反応はやっ!!)

でもごめんね?
もう1日待ってね💦

2020/01/16 (Thu) 16:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

コメントありがとうございます。

あははは!ビオラ様もハートマークがっ💦
でも本当に思わせ振りでごめんなさいっ!!

ちょっと心の準備をさせてあげて下さい(笑)

2020/01/16 (Thu) 16:49 | EDIT | REPLY |   

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