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部屋に戻ったけどつくしはまだ目覚めなかった。
余程精神的に疲れたのか・・・それとも自分の家に帰るまで天使がそうさせてくれてるのか・・・。

どちらにしてもここに長居は無用・・・廊下でオロオロしている使用人達に有栖川老人の事を役場に届け出るように頼んで、俺はつくしを抱きかかえた。


「類・・・お前は何故私と祐子の事を知ったんだ?」

玄関のドアを開けて外に出た時、父さんに聞かれた。
1度に全部を聞いたこの人は混乱して当然・・・だから「帰り道で話す」、そう言って父さんが乗ってきたタクシーをそのまま返し、加代の車に向かった。



ここに来たのは午前中だったのに、今はもう日が暮れかかってる。
その赤味掛かってきた空を見上げて、あいつが何処を彷徨いてるのかと気になって仕方なかった。もしかしたら・・・なんて考えたけど、それが柊祐の決めたことなら好きにさせてやればいいんだろうか。

砂利を踏みしめる音だけが耳に届くぐらいシーンとした山道・・・・・・帰る時には2人でと誓った通りにはなったけど、心の何処かにモヤモヤしたものを感じていた。



つくしを後部座席に横にさせてから、運転は父さんに任せた。
そしてヘリを待機させているところまで運転してもらい、俺は彼女に寄り添っていた。その時に成瀬のパーティーで鈴花となったつくしと再会し、その後総二郎やあきらとこの事件について調べていたことを話した。

その結果、柊祐と俺が似ていること、深い憎しみを俺本人に持っていることから父さんの隠し子じゃないかと言う推測に至ったと話せば少し嫌そうな顔をした。
「そんな無責任な事はしない!」と小さな声で反論し、「そうであったら花沢に引き取ったのにな」・・・そうとも言った。


「これ、実は加代の車なんだ」
「なに?加代も知ってるのか?」

「ごめん、少しだけ昔話を聞いたけど、無理矢理聞き出したんだから許してやって欲しい。で、母さんには話したの?」
「・・・仕方ないだろう!明日の朝、アメリカに発つ予定だったのにお前が呼び出すから!」

「何か言ってた?」
「子供の事は驚いていたよ。でも、すぐに助け出せと言われたからヘリの手配もスムーズに出来たんだけどな。母さんに隠し事は出来んよ、後が怖いからな」

「くすっ、東京に戻っても祐子さんの名前は出さないから安心していいよ。父さんを呼んだのは柊祐の要求ってことで」
「・・・・・・そうしてくれ」


頬が温かい・・・つくしの髪を撫でながら窓の外に目をやった。
また一層暗くなってきた木々の色・・・そのうち車は森を抜けて、灯りが輝きだした町の方に向かった。




**




加代の車は運送会社に頼んで東京まで運んでもらう手続きを取り、まだ眠っているつくしを抱えてヘリに乗り込んだ。
その後新潟を飛び立ち東京に着いたのはその日の夜遅くで、ヘリポートに着くなり花沢の車からは母さんと加代が飛び出してきた。
その顔は心配と言うよりは怒ってる・・・抱きかかえているつくしにも一瞬視線を送ったけど、まずは俺の前に来て睨みつけていた。


「もうっ!本当にあなたは私達に隠れてコソコソと何やってるの!驚かせないでよ!!」

「ごめん。何を言っても信じてくれないから・・・」

「お、奥様。類様はつくし様が心配だったのですからそのぐらいになさって下さいませ。それよりもお身体が心配ですわ。夜間ですけど病院に連絡してありますからすぐに行きませんと!」

「そうよ!つくしさん、赤ちゃんがいるんですって?!どうしてそれを早く教えてくれなかったの?!さぁ、行くわよ!」

「・・・ん、ありがと」


父さんはバツが悪そうにしていたけど、母さんはつくしを見たらそれどころじゃなくなったらしい。
随分大きくなった腹を見て、そこは経験者として心配になったんだろう。それに初孫・・・気分は既にmamie(マミィ・お婆ちゃん)なのかもしれない。

「しっかりしなさい!すぐに病院だからね?大丈夫だから頑張るのよ!」なんて、最近まで三条でもいいって言ってた人とは思えない台詞まで出ていた。



花沢総合医療センターに着くと、裏の救急外来から入りつくしはすぐに産婦人科の検診を受けるためにストレッチャーで運ばれていった。
俺達はその診察室の外の廊下で呼ばれるのを待ち、30分ぐらいで「花沢様、こちらに」と声が掛かった。
慌てて1番に立ち上がったのは母さん・・・でもそれを父さんが止めて、俺だけが説明室に入った。


その部屋にはつくしの姿はなく、まだ処置室で眠ってると言われた。
医者の表情は深刻そうではなかったけど、ここまで放置していたことをまずは説教された。


「若奥様の事は聞いていましたよ。事故後、行方不明の状態だからここに入院しているように話を合わせてくれと奥様から言われていましたからね。それでも見付かったのならすぐに申し出ていただきませんと!
しかも妊娠しているのに母子手帳すら手続きしていないとはどういう事ですか、類様!」

「・・・申し訳ない。色々と・・・その、彼女が精神的に不安定で・・・」

「それでも妊娠となると検査やら胎児の状態チェックやらで少しも油断は出来ないんですよ?花沢物産の跡取りになるかもしれないのに、何を暢気な事を言ってるんですか!」

「跡取り?じゃあ男の子?」

「いえ、それは先ほどの検診では分かり難かったのでお答えできません。無事だったから良かったものの、これまでのデータが何もないのですから暫く入院ですからね!」

「え?入院?」

「若奥様の健康状態が今の様子ではわかりません!類様・・・事の重大さがお判りではないと?」

「いや、宜しくお願いします・・・」


呆れたように言葉を出す医者だったけど、最後には「おめでとうございます。3月頃のご誕生だと思いますよ」・・・そう言われた。


その後、寝ているつくしの側に行きそっと額にキス・・・「よく頑張ったね」って言うと、何処かで天使が笑ったような気がした。



廊下ではソワソワした3人が待っていて、俺がつくしのストレッチャーと一緒に出てきたら急いで駆け寄ってきた。
そして無言で俺の目を見るから「3月頃だって」、そう言うと3人共が「はぁ~~~!」と溜息を漏らした。


すぐに案内されたのは最上階にある花沢家専用の特別室で、ストレッチャーからベッドに移されたつくしは穏やかな表情で眠っていた。
片腕だけに点滴をされ、その手首に付けられた入院患者識別バンドの名前・・・ちゃんと「花沢つくし」になってるのを見てホッとした。


「今日から少しの間入院するらしい。何の手続きもしてないから明日になったら母子手帳の発行するんだって」
「まぁ!それも持ってなかったの?今まで柊祐って人に放置されてたって言うの?!」

「それは判らないけど、つくしが目覚めても意識操作されていた時の事は覚えてないはずだから何も言わないてやって?つくしとしての記憶しか持ってないと思うんだ・・・それは幸せな事だと思うから」

「・・・操られて花沢に敵意を感じていたことなど覚えてないのだな?そもそもつくしさんの意思じゃないという事でいいんだな?」

「勿論。そうじゃなきゃ俺の声で覚醒なんてしなかったと思う・・・ずっと1人で不安だったと思うよ」


「・・・・・・そうね。私も今度こそちゃんと向き合わなきゃ・・・確かに気持ちが寄り添ってなかったわ。申し訳ない事をしたわね・・・」
「あぁ、私も同じだ。アメリカ行きは延期して、つくしさんの目が覚めるのを待つことにするよ。そうしたら安心だろう?」

すぐ後ろで加代も唇を噛んで泣きそうなのを堪えていた。



つくし・・・もう目を開けていいよ。
君は家族のところに戻って来たんだよ?


早くその声を聞かせて・・・・・・・・・






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2019/12/29 (Sun) 09:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

はい、やっとここまで来ました!
あと少しで終わることが出来ます~💦
マジで辛かった💦

もう2度とこんな話、書きませんっ(笑)

2019/12/29 (Sun) 21:21 | EDIT | REPLY |   

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